「その域に達していない」とは、京都アニメーション制作のテレビアニメ作品『らき☆すた』の監督交代理由である。
2007年4月30日に京都アニメーションは放送中のテレビアニメ『らき☆すた』の監督を、放送第5話より山本寛から武本康弘に交代させることを発表した。そのプレスリリースの中で監督交代理由以下の様に説明した。
「らき☆すた」監督の山本寛は、監督において、まだ、その域に達していないと弊社は判断し、交代いたしました。 |
この中の「その域に達していない」という言葉は、その後もネタフレーズとして広く知られるようになり、本人含めいろいろな場面でパロディとして使われるようになった。なお、山本監督作品の「かんなぎ」の第5話では、ヤマカンなる人物が「ナギ様のおかげで監督の域に達しました!」との投稿を行っており、最終話まで降板せずに乗り切ったようだ。
関係者が多くを語っていないため詳細は不明だが、安藤健二『封印作品の憂鬱』pp. 289-298 (洋泉社, 2008)に、この事件の一連の経緯が記述されている。
その中で、京アニ関係者の話として、次のようなことが書かれている。まず、当時角川作品であり、山本がシリーズ演出を担当した『涼宮ハルヒの憂鬱』のアニメがヒットしていた。そこで、同じく角川作品の『らき☆すた』をアニメ化する際に、「角川書店のプロデューサーから強いプッシュがあった」ため山本が監督になったという。角川には『涼宮ハルヒの憂鬱』2期を山本にする前準備としての意味合いがあったらしい。しかし、「(京アニの)社長夫人と山本は、以前から全く反りが合わなかった」という問題があった。その時に、山本が『妄想ノオト』というHPに他社アニメを批判する記述をしていたことが発覚し、それが「格好の口実」となって降板になったのだろうと述べられている。
ただし、上記の経緯はあくまで「匿名で取材に応じた京アニ関係者」によるものであり、実際どこまで信頼できるのかはわからない状態である。
山本がアニメーションDOを退社した直後はオトナアニメのインタビューやラジオ番組でも経緯は明らかにしていなかったが、十年を経てインタビューに答え事情を明らかにしている。ただし有料かつネット記事媒体であることが多い。(→参考インタビュー:https://note.com/wakusei2nd/n/n730635898f07)
山本寛本人が2018年頃に開設した有料note(ブログ)でも、涼宮ハルヒの憂鬱やらき☆すたのスタッフ参加の経緯を明らかにしており安藤健二のルポルタージュの答え(差異がある)となっている記事もある。
監督交代騒動の山本本人の主張を要約すると、京アニが涼宮ハルヒの憂鬱の大ヒットで湧いている中、2006年のアニメ「天元突破グレンラガン」のプロデューサー降板騒動でネットの騒動に過敏になっており、らき☆すたのアニメ放送開始時に2ch系まとめブログが山本の日記の記述に目をつけて騒動になったことに京アニ上層部が恐慌状態となってしまったとのことである。(従前から山本の映像サークルの公式サイトと日記は上層部としても把握していたらしい)
その結果、従来から仲が悪かった一部の上層部の意見が通り監督降板と過激な告知文の掲示となったという。
また「その域に達していない」と晒し上げる告知は後の世でパワーハラスメントに当たる可能性もあるが、山本が京都アニメーションに対して訴訟を提起した形跡はない。
監督交代騒動で社内対立はあったようで、スタッフ数人が山本がアニメーションDOを退社した半年以内に、京都アニメーションを退社し、山本が設立したアニメーション制作会社「Ordet」に合流しいくつかの作品に参加している。
KADOKAWAとの縁は切れておらず、2013年には「らき☆すた」のスピンオフ作品「宮河家の空腹」のアニメ化を手掛け監督を務めた。一部スタッフも元京アニ所属でらき☆すたに携わったスタッフも参加している。
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最終更新:2025/04/22(火) 09:00
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