ルールは普通の将棋と同じだが、相手の駒が表示されない。つまり相手の駒が見えない将棋である。
与えられる情報は、「駒を取ったかどうか」と「王手を掛けたかどうか」のみ。
一見すると難しくなった将棋に感じそうだが、“相手からも自分の駒が見えない”というのが重要なポイント。推理するだけでなく、相手の歩の目の前に大駒を打ち込んだり、情報の撹乱させる動き、ブラフ、暗殺など通常の将棋ではありえない指し手が可能であり、本将棋の常識に囚われず戦術の自由度が非常に高いのが特徴。
元々は様々な変則将棋のうちの一つで、お遊び程度のゲームであったが、レーティングと段位システム、ランキングを搭載したついたて将棋オンライン
の登場によって、最近ひそかに注目を集めつつある。
詳細ルールは以下の通り。
通常の将棋において指す事のできない以下の手を指そうとすると、反則となる。(“反則”と表示されるだけで、どのような理由で反則なのかは知らされない)
反則を指しても即負けにはならず、9回までは元に戻して指し直しとなり、10回目で負けになる。
(レアケースだが、打ち歩詰めや連続王手の千日手による反則もある。ただし二歩や二手指しなど、相手の駒に関係ない反則については取り決め次第)
相手の駒が何も見えないのにどう戦うのか、と思うかもしれないが、まずは情報を集めよう。手掛かりになりそうなものは色々とあるので、五感を研ぎ澄ませて察知する姿勢が大切になる。
相手の玉を探すための最も重要な手掛かり。当然ながら自玉も見つかれば危険にさらされる。
相手の駒を取ることは勿論、自分の駒を取られた場合は相手の駒がそこに居るということが分かるので、重要な情報となる。
また、何を取られたかを覚えておけば、相手の持ち駒に何があるかも推測できる。
反則を受けることはマイナス面だけではなく、相手の情報も同時に得る事ができる強力な武器となる。
ただし10回で負けなのでやりすぎに注意。
また相手が反則をした場合、何を指そうとしていたのかが分かるかもしれない。
場合によっては強力な情報となりうる。
例えば8手目に8七の駒が取られた場合は、飛車先を伸ばした△8七歩成以外に考えられない他、それ以外の駒は動いていない事も分かるため、盤面すべての情報が(一瞬だけ)得られている。
他には、急戦か持久戦かの判断材料にしたり、相手玉の移動範囲を特定できたりもする。
と、主な情報手段はこの通り。これくらい分かれば、ね、簡単でしょう?
なにしろ相手に駒が見えないのだから、作戦も自由度が高い。飛車先を伸ばすだけの単純な攻めでも決して侮れず、序盤から激しい攻め合いになりやすいのもついたて将棋の特徴である。
定跡もほぼ無いので、それぞれのプレイヤーがオリジナルの作戦を用意して戦っている。
(ついたて将棋では、「知られること」が弱点であり、最強の作戦などは無い。仮に強いとされる作戦があったとしても、それが知れ渡れば簡単に対策することができてしまう。(角を歩でタダ取りするなど))
なので『僕の考えた最強戦法』をどんどん編み出して相手にぶつけて行こう。
また、相手がどこから攻めてくるのかが分からないため、囲い方も通常の将棋とは性格が大きく異なる。
例えば通常の将棋で用いられる美濃囲いなどを組んだとしても安心とは言えず、と金でいきなり金銀を奪われたり、玉頭から歩を成られたりと、想定してもしきれないような攻めがいくらでもあるので、本将棋で使われる形をそのまま用いるのは難しい。
ついたて将棋の場合は固さよりも「悟られにくさ」や「反撃のしやすさ」、「逃げ道の広さ(入玉も含む)」などが重視されやすい。玉1枚を王手のかかりにくい位置に動かしただけの陣形も、ついたて将棋ならではの囲い方である。
定跡がほぼ無いついたて将棋では、部分的な手筋が戦略の要。ついたて将棋ならではのユニークな手筋が数多くあるが、一部を紹介する。
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本将棋でもお馴染みだが、駒が見えないついたて将棋ではとてつもなく強力なのはお分かりだろう。
他にも飛車の動きを縛って反則を誘う、玉らしき駒が玉なのか確かめるといったトリッキーな使い方も存在する。
ただし、見えないと言っても露骨過ぎる叩きは読まれて失敗したりする。また事前に回避されていて拍子抜けを食らう場合も多々ある。
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角頭歩ではなく歩頭角。
どう考えてもタダで取れる角なのだが、バレなければどうという事はないのだ。(ただし同じ場所にずっと置いていると存在がバレたり、偶然取られたりする可能性が高くなるので早めに捌いてしまおう)
タダ取りの場所でも堂々と踏み込んで良いのがついたて将棋ならではで、本将棋の常識にとらわれない柔軟な考え方がついたて攻略の鍵となる。
慣れればいろいろな攻め筋が見えてくる。まずは盤面を広く使えるようになるべし。
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反則で相手の状況を調べる手筋の1つ。
例えばこの局面、▲7二金(王手)で金を取り、相手がそれを取り返す。
玉か銀のどちらで取ったのか見分けたいが、見分ける方法がある。ここで▲7一角と打つ。角が打てれば銀で取り返していることが分かり、そのまま詰ますことができる。
角打ちが反則だった場合、銀は動いておらず玉で取り返したことが分かる。反則1点を受けてしまうが、0手で情報を獲得できる効果は大きい。代わりに▲6二金と打ち、以下△同銀、▲8一角、△8二玉、▲6二龍、△8一玉、▲8二銀、△9二玉、▲7一銀不成、△何か、▲8二龍(反則の場合7二龍)で詰みである。
ついたて詰将棋(詰将棋のついたてバージョン)を解く際によく使われるテクニックで、実戦でも終盤の寄せの手掛かりを得るのに役に立つ。
序盤や中盤の場合は居玉かどうかを調べるために5一の地点に何かの駒(飛車であることが多い)を打つ手がメジャーで、次の手筋の下準備としても使われる。
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物騒な名前だが、決まれば病み付きになること間違いなし。
暗闇から迫り一撃で葬り去る、無防備な居玉への最強手筋
上図のように飛車と角(銀やと金でも可)を並べ、▲4一角成とする手がメジャーで、他にも様々な暗殺筋が存在する。(関連動画参照)
大事なのはひっそりと迫ること。無駄な駒を取ったりしていると気配を気づかれて逃げられたり、固められたりしてしまう。
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△8七歩成と攻めてきたが、▲同銀とあえて取る。
銀にヒモが付いていないので飛車で取り返されれば相手は銀得だが、ヒモが付いていると相手に思い込ませる揺さぶりをかけている。
理論だけでは説明できない、勝負師向け手筋。
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本将棋では珍しいがついたてでは時々現れる手筋。舐めプでもバグ狙いでもない
相手玉が近い場所に攻め入るとき、余計な王手がかかってしまう事を防ぐ目的で使う。角成で王手になってしまうと取られてしまう可能性が高いからだ。
同じように飛不成、歩不成も使われる。
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と金に侵入され、金を取られた場面。
次に銀を取られれば王手となり、玉の位置を相手に教えてしまうことになるので、ここは銀を見捨ててでも▲2七玉と早逃げ。
玉の位置情報は非常に重要で、一度でも見つかってしまうと寄せの手掛かりを与えて相手を安心させてしまうので、少しでも玉の存在は隠すようにしておきたい。
『王の早逃げ八手の得』だが、相手にうまく玉を見失わせればそれ以上の手稼ぎができる可能性まである。
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あえて王手を受けて情報を得る手筋が存在する。
相手がここで△2八飛成と成り込んだ場合、2八の歩が取られて自玉に王手が掛かるので、この二つによって飛車が来たことが分かる。
逆に2八の歩が取られたが王手でない場合は、飛車ではないことが分かるので対応を分けたりもできる。
だが、玉の位置を知らせてしまうので諸刃の剣。
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持ち駒に歩がたくさん有るとき、▲8三歩打△9二玉▲8二歩成△同玉▲8三歩打…とひたすら連続王手を掛ける。
コンピュータ将棋がよくやる無駄な王手に見えるが、非常に厳しい攻め。相手はどのような王手なのか判らない上に正しく逃げなければ反則をどんどん取られ、やがて力尽きてしまう。
他にも負けそうなとき、敵玉の位置が判っているなら最後っ屁に王手で追っかけまくれば逆転があるかもしれない。
ちなみに、パターンを読まれた場合は8三金や7二馬など変化しても良い。
対局は主にこちらで行われている。
ちょっとした解説付き
盤駒を使う場合は、このように自分の駒だけを並べた2枚の盤を向かい合わせ、“ついたて”によって遮断する。
審判が必ず必要になる。
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最終更新:2025/12/08(月) 06:00
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