とら(うしおととら)とは、藤田和日郎の漫画『うしおととら』に登場する妖怪であり、もうひとりの主人公というべき存在である。
二千年以上生き、強力な力を持つ大妖怪。OVAでは大塚周夫、TVアニメでは小山力也が声を担当している。
古代中国で生まれ日本へと渡ってきており、「字伏(あざふせ)」「雷獣」「わいら」「長飛丸(ながとびまる)」など様々な名で呼ばれてきた。
人を食い暴れまわっていたが、あるとき「獣の槍」によって岩に磔にされ、以後およそ五百年の間封印される。
偶然自分を見つけた蒼月潮をだまして槍を引き抜かせ、ついでとばかりに食べようとするも、潮が獣の槍を使いこなしたことで失敗。潮から人を食わないように見張られるため、いずれ食い殺して自由の身になってやろうと考え潮に取り付くのだった。
このときに潮から「虎に似てるから『とら』」と名付けられ、潮を含む人間たちからはそう呼ばれることになる。一方で妖怪たちからは、封印される直前に浸透していた「長飛丸」の名で呼ばれる。
とら単体でも並の妖怪では歯が立たないといってよいが、潮とコンビで戦った場合、「二体で一体の妖」と評されるほどの強さとチームワークを発揮する。
人間以外の食事では、井上真由子から勧められた「はんばっか」がお気に入り。お気に入りは「てれ焼きばっか(照り焼きバーガー)」とのこと。他にも焼き鳥や魚肉ソーセージ等色々食している。
弱点はオーデコロンや香水。嗅ぐとクシャミが止まらなくなってしまう。
また、一般的な妖怪と同じく、金属も苦手。
殴る蹴るといった基本的な力も非常に強いが、以下の能力も持つ。
「雷獣」という異名が示すように、強力な電撃を放つことができる。
口から火を吐く。並の相手なら一瞬で黒焦げにできる。でもイズナは黒焦げになってもピンピンしている。
東京―沖縄間を半日で飛ぶことが可能な飛行速度をもつ。ちなみに地面を走る場合は推定時速300km以上。
昨日今日の若造妖怪など物の数ではない。
人間から見えないように姿を消せる。子供や強い法力の持ち主には見破られることがある。
木や土の壁を通り抜けられる。姿を消したままでも可能。しかしガラスやコンクリートにはぶつかってしまう。
武器にする、脚代わりにする、固めて遠くに飛ばし爆発させる、など。
下記の変化の素材にも使われる。
人間や物品に化けることができる。作中で化けたものは
など。
人間に化けて社会に溶け込めば人を食うのに楽だが、ポリシーに反するようで実行していない。
連載初期のころは、頭部に長くとがった耳が生えていた。
しかし徐々に描かれることが少なくなり、最終巻あたりではまるで最初から存在しなかったかのように耳が無くなっている。
ちなみにアニメでは最初から耳は描かれていない。
このことは書籍「藤田和日郎魂」描き下ろし漫画において、作者自身がネタにしている。
人間であった頃の名をシャガクシャという。
天竺で生まれ、流星が落ち人々が死に絶えた地で一人生き残っていた赤ん坊であり、「呪われた子」と恐れられていた。故に幼少時から疎まれ、荒んだ生活をしており、誰かれ構わず暴力をふるっていた。その一方で周囲の人間を憎み見下すことを楽しんでいる節があった。その度に右肩が疼いていたようだ。
成長してからは軍隊に入り、兵士として多くの兵をなぎ倒し、将軍となった。手のひらを返したように尊敬の眼差しを送る人々を見下す日々だったが、従者の少年・ラーマとその姉との交流により、初めて人の心の温かさ・優しさを知る。
そして、ある大国との戦争において、シャガクシャはラーマと姉を守るため国を離れる決断をする。まずラーマの姉を逃がそうと山中を逃げていたが、敵軍の待ち伏せに遭い、彼女を殺されてしまう。今までにない憎しみに我を忘れて、シャガクシャは敵兵を殺してゆく。その最中、突如として右肩に激痛が走る。膨れ上がる肩。そこを突き破って、巨大な異形のものが姿を現す。
その異形こそ、後に「白面の者」と呼ばれることとなる、九本の尾を持つ妖怪であった。
産まれた時に落ちた流星とは、白面の者の成長前の姿であり、白面の気まぐれにより偶然シャガクシャに取り憑いたのであった。そして怒りや憎しみといった負の感情を取り込み、シャガクシャの中で育っていったのである。
白面はシャガクシャに別れを告げた後、ラーマのいる都に火をかける。シャガクシャがたどり着いた時には、既にラーマは虫の息だった。周囲にはラーマが守っていた子供たちの亡骸。ラーマが最期に伝えた言葉は、人々の悔悟。「かつて虐げてきた自分たちを、命がけで守ってくれるシャガクシャに謝りたい――」
それからシャガクシャは、白面の者を追い、旅に出る。
白面は、別れ際にシャガクシャに言い残していた。「我と同じ存在(=妖)にならぬ限り、お前は死ぬことはない」
白面が滅ぼした土地で白面の生み出した婢妖などと戦うことが多々あったが、その言葉通りにシャガクシャは死ななかった。
そして中国を旅する中、ある民家から大きな矢のようなものが飛び出すのを目撃する。
それは人々の間で「妖怪を討つための槍」として噂となっていった。その槍を探し始めたシャガクシャは、ある老人の証言を元に、その槍が封印された霊山へ辿り着く。
そこには、数多の大妖怪が糸に変化し、その糸で織り上げられた赤い布に縛られ、中空に釣り上げられた槍――
「獣の槍」が、そこにあった。
獣の槍を手に取り、シャガクシャは霊山を立ち去る。
その後のことは判然としないが、数多の妖怪と戦う内に魂を削られ、最初の「字伏」となったことは確かである。
そして本編の五百年前、字伏となったシャガクシャは日本にて当代の槍使い・草太郎と戦う。
なりゆきで草太郎の想い人を助けたが、草太郎の魂も獣の槍に吸い尽くされようとしていた。そして草太郎は気づいていなかったようだが、槍を見つけた婢妖どもが群れをなして槍を破壊しに来ていたのである。
一計を案じ、彼はわざと草太郎の槍を受け、磔にされた。これにより「白面と同じ肉体とニオイを持つ」シャガクシャの体内に槍が隠される形となり、槍を守ると共に草太郎を人のまま生き長らえさせることになった。
そして、その上には寺が建てられ、草太郎は僧侶となり、代々槍を守り続けていく。
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最終更新:2024/04/20(土) 05:00
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