どろろとは (ドロロとは) [単語記事]

『どろろ』とは、手塚治虫の漫画作品、およびそれをもとにした作品群である。

2019年 1月に放送開始のテレビアニメ「どろろ」は「どろろ（2019年版）」を参照。

概要

身体のあらゆる部位を失った少年・百鬼丸が、やんちゃな子供のどろろと共に身体を取り戻すため妖怪を退治する冒険物、時代物漫画。
製作当時は水木しげるによる妖怪ブームが色濃く、対抗するために連載したと講談社漫画全集のあとがきに書いている。しかし、ただの妖怪漫画ではなくて、「手、耳、足、など体の48箇所を妖怪に奪われ、48匹の妖怪を倒す。妖怪を倒せば体の部分が復活する」という斬新な設定に仕立てあげた。

だが残念なことに、この設定は当時の子供にとって異質であり、一種の執念を抱えたやや重い内容は時代背景的にあまり受け入れられることはなかった。
当時は劇画ブームでもあり、手塚の作品もそれほど良い評価を受けなかった模様である。
元々『週刊少年サンデー』で掲載されていたが打ち切り、『冒険王』で連載を再開するもやはりやや打ち切りめいた形で終了した。48体の妖怪を倒すことが主要な目的のひとつだが、結局全ての妖怪を倒すことのないまま物語は終わっている。

しかし、奇抜な設定や感情の描写を評価するファンは当時からいたようで、その後は手塚治虫自身と共に再評価が進んだ。現在は手塚作品の中でも人気が高い。時代がどろろに追いついたという感じかも知れない。
連載時に放映されていたアニメ版のほか、近年になって多数の関連作品が製作されている。
関連作の中には、全ての妖怪を倒すところまで物語を補完してきちんと完結させたものも見られる。

ニコニコ動画ではアニメ版のほか、セガからPlayStation2で発売されたゲーム版の動画が多数投稿されている。
どちらも良作の誉れ高い作品であり、原作を読んだファンからの評価も良好。
妻夫木聡主演の映画版もあるが、まさに妖怪のような出来であった原作ファンからの評価は悪い。（しかし、柴咲コウの演技は必見）

登場人物

どろろ: 声：鈴木弘子（パイロット版アニメ）、松島みのり（1969年版アニメ）、大谷育江（ゲーム）、鈴木梨央（2019年版アニメ）; 演：柴咲コウ（映画）、橋本くるみ（映画・幼少期）、北原里英（2019年舞台）; 主人公の一人。ほうぼうでコソ泥生活を送っていたちみっこい子供。盗みがバレて村の大人に殺されそうになっていたところを百鬼丸に助けられる。「百鬼丸の腕にくっついている刀がほしい」と名目で旅に同行することになり、その後は機敏さや機転を活かして百鬼丸を助けている。子供らしく調子のいい性格のどろろはどこか微笑ましく、なんだかんだで百鬼丸とはいいコンビ。手塚によると一応主人公なのだが百鬼丸の方が目立っているため「どうして題名を百鬼丸にしないのか」というハガキがいっぱい来たらしい。そのためアニメ版では途中から「どろろと百鬼丸」という題名に変更された。
百鬼丸: 声：野沢那智（パイロット版・1969年版アニメ）、杉田智和（ゲーム）、鈴木拡樹（2019年版アニメ）; 演：妻夫木聡（映画）、鈴木宗太郎（映画・幼少期）、鈴木拡樹（2019年舞台）; もう一人の主人公。手足・目鼻・口・耳など、全身のあらゆる機能を失った少年。
元は武将・醍醐景光の子供だったのだが、醍醐が48体の魔神と交わした天下統一の契約の生け贄に捧げられてしまう。魔神に1つずつ身体の一部分を取られた結果、身体の起伏や穴のない奇形児の姿で生まれてきた百鬼丸を醍醐は妻に川へ流させる。
しかし偶然寿海という医師に拾われて父親代わりに育てられ、寿海の道具のお陰もあってなんとか人並みの生活が送れるようになった。当初は声帯や耳もなかったため、人との会話は超能力で行っていた。
その出生もあって妖怪につきまとわれるようになり、迷惑をかけまいと寿海のもとから旅立つ。
ある時48体の魔物を倒せば1体ごとに身体が戻ることを知り、剣を覚えて魔物たちに立ち向かう。