ばんえい記念とは (バンエイキネンとは) [単語記事]

最強ばん馬は誰だ・ばんえい競馬史上最強決戦
ばんえい記念
帯広競馬場・負担重量 1000kg(5歳以下990kg、牝馬は-20kg)

ばんえい記念とは、帯広競馬場で開催される、ばんえい競馬の重賞競走である。格付けはBG1(ばんえいグレード1)。

正式名称は「農林水産大臣賞典ばんえい記念」。1997年度までは単に「農林水産大臣賞典」というタイトルであり、現在でも「大臣賞」の別名がある。

概要

毎シーズン最終週（現在は3月の最終週かその前）に行われる、1968年から続く歴史ある一戦である。現存するばんえい競馬の重賞では最も歴史が長く、また記録に残っていないだけで1967年以前にも同様の競走が存在していた。現在の出走可能馬は4歳以上選抜。フルゲート10頭。

ばんえい競馬の頂上決戦というレースであるから、1着賞金はばんえい競馬の全レースの中で最高額の1000万円である。他の競馬主催者と比べると、最高峰のレースとしては少なめだが…。
2003年までは優勝賞金1000万円が長らく続いていたが、ばんえい競馬の収益が悪化していたこともあり2004年から削減され、2013年には300万円まで落ち込んでいた。その後は賞金が上昇し、2017年に14年ぶりに1000万円となった。

そして、ばんえい重量（馬が引くソリの重量）も全レース中最大。最高重量1トンが設定されている（牝馬は20kg減、5歳以下は10kg減）。自身の体重と同程度のソリを引く過酷な競走である。ばんえい競馬の最有力馬ばかりが出走するとはいえ、通常800kg前後で行われる古馬重賞に比べかなりの高重量であるため、以下のような特徴的な光景が繰り広げられる。

第1障害（小さいほうの山）は、他のレースではすぐに越えていくことが普通であるものの、ばんえい記念では少し時間をかけることが多い。第1障害で息を入れる（呼吸を整えさせるために馬を休める）こともままある。
第2障害（大きいほうの山）は一走りで越えられることはまずなく、坂の途中で止まりつつ越えていく。馬も騎手も苦しいことが観客にも伝わってくる、最高の盛り上がりを見せるシーンである。
第2障害を越えてからも、体力を消耗しているため思うようにソリを引けず途中で止まってしまう馬も多く、ゴールまで目が離せない。

また、古馬の競走は別定戦（ばんえい重量に馬の戦績が反映される）が一般的であるばんえい競馬において、この競走は数少ない定量戦（戦績は反映せず、馬齢・性別のみで決定）の一つでもある。

通常、一般戦は1分半～3分ほどのレースだが、ばんえい記念は1着馬のタイムでも4分前後かかることが多い。2008年は1着入線が5分35秒という超長時間レースとなった。全馬が完走するまでには10分を要する事もあるほどである。実況では度々「世界一長い1ハロン戦」と称されている。
他の競馬で4分を要するのは、平地競走だと4000m以上（日本では設定なし）、障害競走だと3500m以上（日本では中山グランドジャンプ・中山大障害などがある）という超長距離設定に相当するため、日本競馬最長クラス、もとい日本の公営競技の最長クラスのレースの一つに数えられる。

主な前哨戦

レース名	格付け	備考
帯広記念	BG1	1月上旬開催・ばんえい記念に次ぐ高重量戦(900kg前後)
チャンピオンカップ	BG2	2月下旬～3月上旬開催・ばんえい記念の前の最後の古馬重賞当年度の重賞競走優勝馬のみ出走可能

歴代優勝馬

回数についているリンクをクリックすると該当する動画に飛びます。
馬齢表記は2000年までは旧表記、2001年以降は現表記。
公式の正式な回次は第31回から。
競走名は第1回から第30回まで「農林水産大臣賞典」第31回以降は「ばんえい記念」。

回数	開催日	競馬場	優勝馬	性齢	重量	勝利騎手	馬場水分	勝ち時計
第55回	2023年 3月20日	帯広	メムロボブサップ	牡7	1000	阿部武臣	1.3%	3:34:4
第54回	2022年 3月20日	帯広	メジロゴーリキ	牡8	1000	西謙一	4.8%	2:47:2
第53回	2021年 3月21日	帯広	ホクショウマサル	牡10	1000	阿部武臣	2.7%	2:43:4
第52回	2020年 3月21日	帯広	オレノココロ	牡10	1000	鈴木恵介	1.4%	4:16:0
第51回	2019年 3月24日	帯広	センゴクエース	牡7	1000	工藤篤	1.2%	3:35:0
第50回	2018年 3月25日	帯広	オレノココロ	牡8	1000	鈴木恵介	0.9%	3:59:3
第49回	2017年 3月20日	帯広	オレノココロ	牡7	1000	鈴木恵介	0.6%	4:07:6
第48回	2016年 3月20日	帯広	フジダイビクトリー	牡8	1000	松田道明	1.7%	3:41:5
第47回	2015年 3月22日	帯広	キタノタイショウ	牡9	1000	大河原和雄	2.4%	3:49:9
第46回	2014年 3月23日	帯広	インフィニティー	牡8	1000	浅田達矢	2.7%	4:13:2
第45回	2013年 3月24日	帯広	カネサブラック	牡11	1000	松田道明	1.8%	3:43:1
第44回	2012年 3月25日	帯広	ニシキダイジン	牡11	1000	鈴木恵介	5.1%	2:34:0
第43回	2011年 3月27日	帯広	カネサブラック	牡9	1000	松田道明	0.9%	4:07:7
第42回	2010年 3月28日	帯広	ニシキダイジン	牡9	1000	藤野俊一	4.6%	4:24:8
第41回	2009年 3月29日	帯広	トモエパワー	牡9	1000	西弘美	2.3%	4:50:8
第40回	2008年 3月23日	帯広	トモエパワー	牡8	1000	西弘美	0.6%	5:35:8
第39回	2007年 3月25日	帯広	トモエパワー	牡7	1000	坂本東一	4.4%	4:50:6
第38回	2006年 3月26日	帯広	スーパーペガサス	牡10	1000	藤野俊一	4.6%	4:36:1
第37回	2005年 2月20日	帯広	スーパーペガサス	牡9	1000	藤野俊一	9.2%	3:15:3
第36回	2004年 2月22日	帯広	スーパーペガサス	牡8	1000	岩本利春	6.9%	3:07:8
2003年度(第36回)よりばんえいグレード制導入。BG1に格付け
第35回	2003年 2月16日	帯広	スーパーペガサス	牡7	1000	岩本利春	2.2%	4:19:8
第34回	2002年 2月17日	帯広	サカノタイソン	牡8	1000	藤本匠	2.4%	4:16:4
第33回	2001年 2月18日	帯広	サカノタイソン	牡7	1000	大河原和雄	0.9%	3:42:3
第32回	2000年 2月6日	帯広	シマヅショウリキ	牡9	1000	藤野俊一	1.8%	3:58:8
第31回	1999年 2月7日	帯広	シマヅショウリキ	牡8	1000	藤野俊一	2.4%	3:59:2
第30回	1998年 1月25日	帯広	フクイチ	牡10	1000	西弘美	4.7%	3:29.9
第29回	1997年 1月26日	帯広	フクイチ	牡9	1000	西弘美	2.5%	4:36.9
第28回	1996年 1月28日	帯広	マルゼンバージ	牡10	1000	金山明彦	2.7%	4:33.1
第27回	1995年 1月15日	帯広	フクイチ	牡7	1000	西康幸	3.0%	4:02.6
第26回	1993年 12月23日	帯広	マルゼンバージ	牡8	1000	金山明彦	3.0%	3:31.7
第25回	1992年 12月23日	帯広	テンシヨウリ	牡9	1000	藤本匠	7.0%	2:59.1
第24回	1991年 12月15日	帯広	ヒカルテンリユウ	牡9	1000	金山明彦	2.0%	4:42.5
第23回	1990年 12月24日	帯広	タカラフジ	牡10	1000	久田守	2.3%	4:37.3
第22回	1989年 12月10日	帯広	イエヤス	牡6	1000	西弘美	2.5%	5:32.2
第21回	1988年 11月27日	帯広	ニユーフロンテヤ	牡6	1000	久田守	7.4%	3:20.4
第20回	1987年 10月25日	旭川	ハクマサヒカリ	牡10	920	皆川公二	1.9%	4:15.2
第19回	1986年 12月7日	北見	キンタロー	牡10	1000	金山明彦	2.4%	3:43.4
第18回	1985年 11月24日	帯広	キンタロー	牡9	1000	尾ケ瀬富雄	5.3%	3:53.7
第17回	1984年 10月28日	岩見沢	ハイスピード	牡7	1000	工藤正男	7.0%	3:07.6
第16回	1983年 10月23日	旭川	キンタロー	牡7	1000	尾ケ瀬富雄	3.3%	3:40.2
第15回	1982年 11月21日	北見	キヨヒメ	牝9	990	水上勲	1.5%	5:09.6
第14回	1981年 11月15日	帯広	キヨヒメ	牝8	990	水上勲	3.4%	4:16.8
第13回	1980年 11月9日	岩見沢	ダイケツ	牡7	1000	金山明彦	3.1%	2:43.2
第12回	1979年 10月21日	旭川	キヨヒメ	牝6	990	山田勇作	6.5%	2:36.8
第11回	1978年 11月12日	北見	ハクリユウ	牡7	1000	大友榮司	1.3%	4:08.3
第10回	1977年 11月13日	帯広	ニジヨウホウ	騸10	1000	木村卓司	2.5%	4:12.0
第9回	1976年 10月24日	旭川	ダイニミハル	牝11	640	木村卓司	3.0%	4:02.3
第8回	1975年 11月9日	帯広	トクヨオーザ	騸8	760	山田勇作	6.5%	2:29.7
第7回	1974年 11月3日	岩見沢	ダイニミハル	牝9	740	木村卓司	6.0%	2:26.9
第6回	1973年 9月2日	旭川	カツタロー	騸7	700	金山明彦	軽	2:35.2
第5回	1972年 11月3日	岩見沢	シヤリイチ	騸11	850	山田勇作	軽	3:47.5
第4回	1971年 10月10日	旭川	シヤリイチ	騸10	850	平田正一	軽	5:50.0
第3回	1970年 11月1日	岩見沢	ハルトカチ	騸7	900	中西関松	軽	3:48.9
第2回	1969年 10月19日	旭川	ハルトカチ	騸6	1100	中西関松	軽	6:10.6
第1回	1968年 8月3日	岩見沢	トーホクイチ	騸8	850	遠藤久夫	稍重	5:07.3