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え か け さ す せ て と は り |
西尾維新による試み書物・“文字消去ノベル”、これこそ『もじなし!』。
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大要
'12年の3つめの号以降翌2つめの号に至る、悪魔の名を持つノベル誌に初出。'14年睦月に単行本を印行。
表紙や目次にも表記のように、「ある語ないしある文字の使用を不能にし作られた文章。」こそ文字消去文。十余ペイジの短編3つに、それぞれに文字使用不能にし翻案した4種の短編の、総和都合15本を収録し、久米田康治や真島ヒロを代表に総員15人の美術師、ピクチャーを1枚づつ担う。
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あらまし
- 『実妹による殺し!』
- 実妹の部屋に死体を見出だした。実妹、級友を殺したらしい。殺しの容疑者の兄の身分、自分の将来に大きく響くように思った僕、死体を始末しに殺しの張本人たる実妹を連れ立ち山へ行く。
- 『ギャンブル「紙幣山崩落」』
- いくらあるのやら、自分にも認識不能なくらいの借金を持った僕。窓牖のない小部屋、卓上に粗放に積まれた紙幣の山。ショーになった男子2名による、命の載った金員遊戯「紙幣山崩落」、幕開き。
- 『公序時代』
- きみ達の時代を基準に見た未来、ぼく達の世、自由を代償に平和を手中にした。キャメラに常に見られ、誰しも公序に見合う行為に勤しむ夢の世。そう思う日々だった。なのに、ビルの谷間に自由に寝転ぶヤツを見たのだ。
ひ. 端緒に短編を自由に執筆。
ふ. 五十音46字のうち、任意の6字をピックアップ。
み. 残った40字を、くじ引きし10字づつ、4グループに区分。
よ. その10字を使用しないように、件の短編をグループにつき1種、都合4種執筆!
いつ. 濁音の類い及び拗音・促音の処置、基本の字に同じ。音引き、読まれる母音の対処。
む. ピックアップした6字、始終使用に問題なし。
以上、『実妹による殺し!』に使用のレベル1のルール。レベル2(『ギャンブル「紙幣山崩落」』)なら46字をくじ引きし、残った6字、そのまま自由字になる。3つめのレベル(『公序時代』)なら、残った6字を禁止字にし、4種オールに使用禁止。
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その他(た)
- 後記に至るも文字消去の対象に含まれ、五十音の2分の1を使用不能にした2種の後記の後ろに、通常の後記を収録。
- 書皮の表紙及び折れ部分に、同じく文字遊びの、文字消去文の逆に漏れ無く文字を使用し作る「総文字文」、それも文字をそれぞれ一遍づつのみ使用の「純総文字文」をそれぞれ収録。表紙にそれぞれの短編のあらまし、折れ部分に文字消去文そのものにつく内容。
- 対談集『本題』に曰く、構想の趣旨を論じるのもいくぶん大変だったらしい。
- 「こういうのをしたいんだ」
「……それ、面白いの?」
- 日本語文字消去ノベルに、筒井御大の『残った像に口紅を』の例あるものの、筒井の実音に準拠した音(おん)の消去に対し、本ノベル、文字を基準に消去した部分に相違を見られる。
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まつわる項
目