※同名の競走馬については「アカイイト(競走馬)」の単語記事を参照。
※その他の曖昧さ回避の用法は「赤い糸」の単語記事を参照。
この夏、わたしはたったひとりの家族だったお母さんを亡くして――
――遺産として残されたお父さんの実家を見るために、長い道を行く電車に乗り――
そして、悲しい目をした懐かしいあのひと――
わたしの生まれ故郷でもある経観塚
過去と現在(いま)、夢と現(うつつ)、わたしの記憶とわたしの血――
縁(えにし)の糸が絡まりあい、寄り合わさってひとつの絵を成し――
通常版 | 廉価版 | |
---|---|---|
発売日 | 2004年10月21日 | 2005年10月27日 |
価格 | 7,140円 | 2,100円 |
プラットホーム | PlayStation 2 | |
ジャンル | 和風伝奇アドベンチャー | |
対象年齢 | 15歳以上(CERO) | |
プロデューサー | ||
原画 | Hal | |
シナリオ | 麓川智之 | |
主題歌 |
アカイイトとは、2004年にSUCCESSより発売されたPS2用ADVである。
シナリオ担当の麓川智之が書いたWebノベルが原作で、今でも公式HPで読むことができる。しかしWeb版はルートの一部を描いたものであり、ゲームではそれがいくらか改変されている。本編のネタバレになる話も掲載されているので閲覧時は注意。
赤を基調とした公式サイトを見るとホラーな雰囲気を感じるかもしれないが、プレイヤーに恐怖を与える演出や描写は少なく、ホラーやスプラッターが苦手な人でも比較的とっつきやすいゲームといえる。
また、日本神話や民俗学、伝奇的な設定を多く含み、難解な用語や設定とは裏腹に読みやすく癖のない文体でストーリーもよく練りこまれているため、ADV好きにとって非常に良質な作品である。単語を解説するための用語集も充実しており、ヒロインの一人である葛に「ムダ知識の宝庫」と称されている。
本作は主人公の桂が特殊な血を引いているという設定があり、作中で出血したり吸血されるシーンが多く登場する。特にヒロインに力をあげる意味で行われる吸血シーンは「よくソニーチェックを通ったな」とユーザーから言われる程淫靡な描写がされている。声優陣の演技も必聴。
特定のルートを経由していないとルートが解放されない「ルート封印システム」を採用しており、初期の全く解放されていない状態だとほとんどのトゥルーエンドにたどり着けないどころか個別ルートにすら入れないヒロインも複数いる。このため実質、攻略順が制限されている。しかしこの封印システムのおかげで伏線回収がスムーズに行われている面もある。
エンディングの数も当時としては多めで32種類。そのうち約半数は桂が死亡するバッドエンドとなっている。しかし単なるハズレルートではなくある意味トゥルーエンド以上のドラマが描かれるバッドエンドやノーマルエンドも多く、トゥルーエンド以外の評価も高い。とあるノーマルエンドは続編の「アオイシロ」でミニゲームとして登場した。いずれかのエンディングを迎えた時点でルート解放の条件を満たしていた場合は告知される。また全てのトゥルーエンドに到達するとご褒美CGが貰え、タイトル画面とBGMも専用のものに変化する。エンディングリストからエンディングシーンの回想を閲覧することができるが、そのうちの1つは再生するとフリーズするバグがある(後述のアーカイブス版でも修正されていない)。
巷では百合ゲーとして名高いが、特に百合好きでない人でも十二分に楽しめるため、機会があれば是非やってみることをお勧めする。当時PS2市場には百合とされる作品が少なかったため、ジャンル誌でも紹介されている。実は企画当初は男性主人公だったのだが、「鬼から逃げ回りヒロインに守られる男性主人公ってどうなんだろう」という考えから女性主人公に変更された経緯がある。元々百合ゲーとして作られたものではなく、設定変更の結果百合になったという方が正しい。
2013年10月16日より、PS2アーカイブスとしてダウンロード版が配信。対応機種はPS3で価格は1,200円。生産終了後、入手困難な状況が解消されたが、主要機種がPS4に移って以降、再びプレイ環境が制限されるようになっていった。
初回盤にはアンソロジーコミックが同梱されており、全ルートクリアを前提とした作品が多数収録されている。そのため最初に「ゲームクリア後に読むことを推奨」という注意書きがされていたが、それに気づかずネタバレを見てしまった人もそれなりにいた模様。また店舗購入特典のテレホンカードもあったが、コンシューマー作品とは思えないデザインが多数存在していた。デザインはファンブックで確認できる。
本編の後日談(ユメイルートと言われているが実質はゲーム本編には存在しない全ヒロインのエンディングを迎えた特殊ルート)を描いたドラマCD「京洛降魔」が発売された(初回盤には没シーンも含めた台本が同梱されていた)。発売数が少なかったため、ユーザーから何度も再販希望が寄せられ数回メーカーであるサクセスからの直販で再販されている。現在はサクセスが関連商品の販売をしていないため、入手困難な関連商品の筆頭に挙がっている(公式HPは2022年時点でも現存している)。
BGMはLittle WingのMANYOが担当。作風にマッチしたBGMは主題歌と並んで評価が高い。シナリオ担当の麓川が仕事とは関係なく書いた詩をプロデューサーが発見したことを機に「歌詞を付けてほしいBGMをユーザー投票で選出し2曲のボーカルCDを発売する」企画を開催。本編BGMである「いつかのひかり」と「泡沫」のボーカルバージョンと主題歌合わせた4曲のインストバージョンを収録したCDが発売された(新曲の歌唱は霜月はるか)。CD自体は販売終了となっているが、霜月はるかのワークスアルバムなどに楽曲が収録されている。
本作の舞台である経観塚の山道にはモデルがあり、西東京の山道で撮影した写真を基に描かれたことがプロデューサーのブログで語られている(経観塚自体は東京からローカル線を東北方面にほぼ1日乗り継いだところにある設定)。
シリーズ作品として「アオイシロ」が2008年に発売され、本作にはなかったスキップ機能やサウンドモード、どうしてもクリアできない人のためのネタバレ解禁機能まで搭載。全ヒロインとの同時エンディングを迎えられるグランドエンドルートを用意し、手順を誤らなければ一度もノーマル・バッドエンドにならずに全ヒロインのトゥルーエンドに到達できるようにするなど工夫されていたが、本作の評価を超えることはできなかった。こちらの売り上げ次第では更なるシリーズ展開もされる可能性があったようで、実現されなかったことをファンからは惜しまれている。その中には本作のPC版発売も含まれていた。
2020年代に入りSUCCESSはNintendo Switch市場への参入やコットンシリーズの最新作発売などCS方面への動きが見られ、アカイイトの現行機種への移植及びリマスターが期待されていた。2023年にNintendo Switch及びSteamにてアオイシロとのカップリングでHDリマスター版が発売されることがサクセスより発表された(ダウンロード版は個別販売)。なお、リマスターにあたってのキャスト変更は行われていない模様。
本作の主人公。「用意周到」を宗としているが、基本的にのんびりかつうっかりが多いため、周りからは心配されることが多い。しかし自分が「これ」と決めたものは命がかかっている危機の中でもやり通す芯の強さを持っている。人ならざるものが飲むと強大な力を得られる贄の血を引く一族の人間で、その濃さは羽藤家の中でも群を抜いており、それ故に鬼に狙われることになる。大の日本びいきで和食や落語を好み、即興で落語を披露することもできる。
唯一の肉親である母を失った後、遺産整理の下見として経観塚(へみづか)にある屋敷を訪れるのだが……。
百合作品への出演が多い松来未祐のキャラクターの中でもトップクラスのはまり役として知られている。フルボイスのゲームの台本は電話帳レベルに分厚いことが多いが、主人公である彼女の台本はそれが4冊もあったらしい。
古の太刀・維斗を持つ、凛とした佇まいの少女。桂曰く「納豆をかき混ぜる姿すら様になる」らしい。
人に仇なす鬼を切る「鬼切り」の役目に就いており、とある任務のため、桂と同じ列車で経観塚を訪れる。普段は名門と名高い北斗学院附属の学生として過ごしているが、役目のため出席率は芳しくない模様。
唯一初期状態でもトゥルーエンドに到達できるキャラクターだが、その分他ルートに繋がる伏線も多く配置されている。
移動中の荷物を少なくするため、宿泊先の宿に荷物の大部分を宅配で送っている。それを見た桂はドラマCDの修学旅行で実践。しかしうっかりを発動させ、サクヤたちが合流するきっかけを作った。
羽藤の屋敷に住み着いていた活発な少女。見かけにそぐわず神話・民俗学に詳しい、作中最年少ながら本作の蘊蓄担当でもある。白い狐の尾花(おばな)を連れている。サバイバル術にも長けており、長年放置されて止まっていた屋敷の電気と水道を復活させたのも彼女(さすがにガスはダメだったが昔ながらのかまどのため特に問題はなかった)。
原作となるWebノベルは彼女のルートをベースに書かれている。ルートの封印も少なく、選択を間違わなければ早い段階でトゥルーエンドに到達できる。
桂の母親である真弓の親友で、羽藤家とは桂の祖母の代からの付き合い。桂にとっては頼れる姐のような存在である。真弓が亡くなった際は桂の後見人を買って出た。フォトグラファーの仕事のため経観塚で桂と居合わせる。本業は政治経済を扱うルポライターだが現在はフォトグラファーとしての稼ぎの方が多いらしい。フォトグラファーとしては秘境や自然の奥深くにいる動物が専門。年齢不詳な外見だが、出入りしている出版社には20歳で通している。どこへ行くにも愛車のクロカンで駆け回り、ドラマCDでも車で京都へ駆け付けた。
その活発な外見からは想像しにくいが作中きっての料理上手で真弓に料理を叩き込んだのも彼女。以前手作りのバレンタインのお菓子を編集に持参したことがあるが、逆に気味悪がられたらしい。
ゲーム開始時点ではルート入り口に封印があるため、封じを解除しなければルートに入ることができない。ルート内にもトラップのように封印があるため、彼女のトゥルーエンドにたどり着けるのは全体でも終盤の方になる。
続編であるアオイシロでもゲスト出演。アオイシロ本編では電話越しでの登場だったが、PC版に追加されたおまけシナリオで顔出し登場。本作でできたコネの影響で多忙を極めているらしい。ここにも当然クロカンで来ており、仕事先の沖縄までフェリーで車を持ち込む模様。
経観塚を訪れた際に、桂が見た不思議な夢に出てきた少女。桂がピンチになったときは自身の力が弱まったり自身が消滅する危険を冒してでも助けに来てくれる。懐かしさを感じるものの、桂は彼女が誰なのか思い出すことはできない。経観塚のご神木に宿る「オハシラサマ」で、ノゾミ・ミカゲと相対する存在。
パッケージで桂と一緒に描かれているキャラクターだが、個別ルートの入り口からしてルート封印があり、トゥルーエンドまでの封印の数も最も多い。
普段はしっかり者だが桂に異常なまでの愛情を抱えており、度々突飛な言動をすることがある。数々の奇行(?)はユーザーからネタにされている。
鈴の音と共に現れる双子の鬼。高飛車なノゾミに対し、ミカゲは一歩引いた態度を取る。オハシラサマにより封じされている鬼を「主さま」と呼び慕っており、復活のために動いている。桂の血を飲むことで力が増強され、主復活の手段の一つとなるため、執拗に狙ってくる。人を操る能力を持っている。
大部分のシナリオで敵対することになるが、実は個別ルートが用意されている(ルートが解放されるのは全体の最終盤)。個別ルートでは彼女らの過去が語られる。
桂と同時期に経観塚を訪れた少年。かつて経観塚の祭を取り仕切っていた家との縁続きで、祭に協力するためにこの地を訪れた。鬼や鬼切りについての造詣も深く、主要人物の何人かとは面識がある。
桂の母親。シングルマザーで翻訳家の仕事をしながら桂を養ってきた。無理をして桂を私立のお嬢様学校に通わせていたため、過労がたたって本編開始の少し前に亡くなっている。鬼や鬼切りについての知識と技量もあり、桂が携帯のストラップにしている青珠に力を籠めて鬼除けとしていた。長年桂が鬼に目を付けられなかったのはこの力によるところが大きい。
桂のクラスメイトで、出席番号は桂の一つ前。桂を「おもちゃ一号」に認定し彼女をいじるのが日常。普段は早寝早起きのニワトリ生活がモットー。作中ではほとんど桂の電話を通しての登場で、桂が経観塚から帰ってきたときも後ろ姿だけで顔は描かれていない。廉価版パッケージ裏やドラマCDで初めて顔が描かれた。
余談だが、能登麻美子がハイテンションキャラを演じている数少ない例であり、スタッフロールで名前を見るまで気付かなかったユーザーも多かった。
桂のクラスメイトで、出席番号は桂の二つ前。本編でも「お凛さん」として存在は語られるが本格的に登場するのは後日談のWebノベルとドラマCD。桂の近所では有名なやんごとなき屋敷のお嬢様で、桂にとっては数少ない時代劇鑑賞仲間。暴走しがちな陽子のストッパー的な役回りで、その際は実力行使も辞さない。
ドラマCDで葛が合流するまでは蘊蓄担当でもあり、葛から対抗心を燃やされていた。修学旅行では本人に内緒で警護のための人員を付けられている。途中で彼女が気づいて下がらせたが、彼らの存在が思わぬところで役立つこととなる。
掲示板
95ななしのよっしん
2022/09/21(水) 17:43:18 ID: 4DkLvIm3LA
民俗学ネタがある和風ゲームが好きで、ずっと前から気になってたタイトルだったから、PS3を貰ったのを機にこの前DL版を購入してしまったよ。
ちょっともったいないけど、リマスター版が出るなら発売するまで待つわ。
全然プレイできなくて積みゲー状態になってるし。
96ななしのよっしん
2023/01/29(日) 13:18:27 ID: BK51ozuTTU
千年以上待ってた
97ななしのよっしん
2023/02/24(金) 02:49:32 ID: 4LNu2mB2WI
STEAM版にサントラやドラマCDが入っているかは気になるところ、予約特典の豪華なSwich版も悪くないけど半永久的にプレイできるSTEAM版でどこまで入れてくるか。
なんにせよアカイイトのPC版は泣く泣く諦めていただけに、今回の吉報はまさに奇跡としか言いようがない、マジでありがとう。
急上昇ワード改
最終更新:2023/03/31(金) 15:00
最終更新:2023/03/31(金) 15:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。