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アスロック

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曖昧さ回避

アスロックとは

アスロック(ASROC)とは、アメリカ海軍海上自衛隊などの西側諸国で使用される、艦載対潜兵器
名称は「Anti Submarine ROCket」(対潜水艦ロケット)の略称
初期のでは対潜ロケットだが、現在使われている物は誘導機がついたので対潜ミサイルに分類される。
開発は米国だが、日本韓国においても自式のものが開発され、同じく「アスロック」と呼ばれる。

概要

簡単に言えば、「魚雷ロケットで素く長距離搬送するシステム」である。
魚雷の代わりに核爆を運ぶタイプも存在していたが、現在では全て退役している。

現代の水上戦闘艦の多くは、至近距離に接近した潜水艦を攻撃するための魚雷「短魚雷」を装備している。しかし潜水艦が使う魚雷はより大で射程の長い「長魚雷」であり、短魚雷はあくまで護身用でしかない。かといって、水上艦に長魚雷を積むのはかさばるばかりでなく、射程は伸びるとしても潜水艦に並ぶ程度で積極的に潜水艦に攻撃するには不足で、魚雷の速では命中する前に潜水艦を見失う危険もあった。

アスロックはその問題を解決する「素く」「遠くに」魚雷を放り込むための装備である。

ランチャーから発射されるとロケットで加速し域まで飛翔中で燃焼を終えたロケットを切り離し、魚雷はパラシュートを開いて着、着後は魚雷自らが持つソナーで標を探し出して追尾・攻撃する。

「対潜ロケット」「対潜ミサイル」など名前だけだと誤解されがちだが、ロケットが燃焼するのは中のみ。
あくまで「魚雷ロケットを使って域まで素く運ぶ」ものであり水中では普通魚雷と変わらない。実際、弾頭に使う魚雷水上艦の発射機から直接撃つ短魚雷と全く同じ物である。 

なお、以降の表記の内、スペックは資料媒体によって数値が異なるため、参考にする際は注意されたし。 

RUR-5 ASROC

一番最初に造られた初期のアスロック。「アスロックランチャー」と呼ばれる8連装発射機から発射する。弾頭には米国製「Mk44魚雷」「Mk46魚雷」の他、日本では産の「73式魚雷」を使用。対潜ミサイルという位置付けだが、飛翔中は誘導で文字通り「対潜ロケット」である。但し積んでいる短魚雷は誘導式なのでトータルで見たなら誘導兵器、「ミサイル」と見なせる。
全長は約5.2m、重量は約0.5トン。有効射程は9kmほど。 

RUM-139 VL-ASROC

イージス艦などの新艦が使用する「Mk41 垂直発射システム」(Mk41 VLS)に対応したアスロック。垂直発射式なのでランチャー標へ向けることが構造上不可能なため、本体に誘導装置が取り付けられ、発射された後は域に向かって自分で進路を変えて飛翔するようになったので、ようやく「対潜ロケット」から「対潜ミサイル」へとジョブチェンジを果たした。全長は約5.1m、重量は約0.8トン。射程は約17kmに及ぶ。
漫画ジパング」でアスロック米倉が発射したのはコイツ

07式垂直発射魚雷投射ロケット(07VLA)

太平洋戦争でのトラウマのためか、潜水艦狩り狂気に近い執念を燃やす海上自衛隊の願いをえるべく、防衛省技術研究本部が開発した産の新アスロック。「音速アスロック」とも呼ばれていた。

従来使われていたアスロックより「より遠くへ」「より速く」「より強魚雷を」デリバリーするために開発され、射程は30km以上と倍近く延長、飛行速度音速(詳細な速度は不明)にまで向上している。飛行速度と射程の向上により、より遠くの潜水艦を見失う前に素く攻撃することができるようになった。弾頭には産の「97式魚雷」またはその「12式魚雷」を搭載する。発射機はお染みMk41 VLS。産の新魚雷は従来より性向上した分大化しており、07VLAの開発理由の一つにもなった。

開発段階では音速飛行からのパラシュートによる減速について問題が発生し、その解決に手間取ったので予定より完成が遅れたものの、あきづき型護衛艦の2番艦「てるづき」から搭載が開始されている。

全長約6.5m、重量約1.3トンと、なんとトマホーク巡航ミサイル(全長約6.3m、重量約1.5トン)並みに大化している。ここまで来るとMk41 VLSの搭載限界に挑むレベルであり、海自の本気が伺いしれる。その性への追求は「まるで海自の精が形となったようだ!!」な仕様といえよう。

ちなみに海自的には「もっと射程が欲しかったな」というもあるとかないとか。何処をすんだ海自

K-ASROC(「赤鮫」日本語読みで「ホンサンオ」)

韓国科学研究所が開発したアスロック。弾頭には韓国魚雷である「K745 LW」()を使用する。発射機は新開発の韓国VLSを使用し、Mk41 VLSでの発射はできない。

搭載魚雷産短魚雷K745で、この魚雷韓国が輸入していたMk46を発展させる形で開発したため要諸元も近い。ブースターは2段式。中間誘導は慣性誘導に加えGPSも併用、飛翔経路修正は偏向ノズルとサイドラスター併用しているなど、日本のVLAにべ独自性がより強い。有効射程は30kmと従来のVL-ASROCを駕し、日本の07VLAにも匹敵する立な性ではあるのだが、戦化後に行われた試験発射で魚雷が着後起動しないというトラブルが発生したため調されたところ、開発中に十分な試験発射を行っていないことが発覚した。

なお、韓国では「世界で2番に実用化された垂直発射アスロック」と開発元が発表したが、実際は日本の07VLAの制式化の方が2年ほど先である。07VLAの事を、米国VLAのただの日本ライセンス生産品制式名と勘違いしたか、故意に無視した喧伝かは不明。 

他の同種の兵器(一部)

アスロックではいものの、同じような構造・的を持った兵器が開発されている。

ちなみに現在ヨーロッパでは対潜戦闘は艦載ヘリコプターとする考え方が流である上、冷戦終結でソ連ロシア潜水艦の活動が低調になっていることもあり、アスロック及び同種の対潜兵器は装備されず対潜ヘリコプターなどの航空機に全部任せる傾向にある。

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関連項目

脚注

  1. *兵器戦略」江謙介 朝日新聞社 1994
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最終更新:2023/06/04(日) 21:00

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