きっと そうしたら――
もう 嘘をつかないで生きよう
アドルフ・ラインハルトは、漫画『テラフォーマーズ』の登場人物のひとりである。
そのキャラクター性と熱い生き様、そして悲劇性から、屈指の人気を誇る。以下、記事に単行本7巻までの大きなネタバレを含むので注意。
第2部「アネックス1号編」(単行本2巻以降)から登場するキャラクター。
アネックス1号に6名いる幹部乗組員(オフィサー)の一人であり、アネックス計画第5班(ドイツ・南米班)のリーダー。既婚者であり、愛妻家。マーズ・ランキングは2位で、5巻までで判明している中では最も上位のランカーである。
金髪のイケメンだが、普段は襟を高く立てたコートで口元を隠しており、表情をあまり伺うことは出来ない。
感情をあまり表に出さず、部下たちに対しても「名前を覚える気などない」ときつい口調で当たる。だが、それは「危険な任務の中で、部下たちに情を移すと辛くなってしまう」という想いゆえの言動であり、実際には部下の名前やプロフィールは全員分を余すところなく把握しているなど、幹部の中でも屈指のツンデレにしてスーパーいい人。そんな彼の本心を班員たちもちゃんとわかっており、第5班は他の班に比べても非常にアットホームな雰囲気で、強い絆を持っていたことが伺える。
イッヒ・リーベ・ディッヒ!
建物の影でこっそり自宅に電話をかけるアドルフ。その背後には小町小吉とシーラが偶然居合わせており、小吉に口真似をされてビクリとする微笑ましいシーンである。
彼の人生は悲劇の連続である。
両親をバグズ手術の実験により失った後、自身もドイツ軍の実験台となり、8歳にしてモザイク・オーガン手術を受ける。当時M.O.手術は開発の初期段階であり、実験の中で何度も重度の火傷を負う。彼の体には今でもこの頃の実験による火傷の跡や傷が痛々しく残っており、襟で顔を覆っているのもこの傷を隠すためである。
延々と実験動物扱いを繰り返され、人生に絶望していた彼を救ったのは、高校時代に出会った後に妻となる女性だった。醜い傷が残る顔を「イケメン」と言ってくれ、愛情を持って接してくれる彼女によって、アドルフは初めて人間らしい感情を取り戻す。
ところが最愛の妻は、他の男と不倫をしていた。
産まれてきた子供にモザイク・オーガンどころか自分のDNAすら遺伝していなかったことでその裏切りに気付いたアドルフだが、やっと手に入れた人間らしい居場所を失うことを恐れ、彼女を追求できず懊悩する。
自暴自棄のままアネックス計画に参加した彼は、苛立ちをぶつけるように次々とゴキブリどもを倒していくが、やがて力尽き、一時は絶望の中で死を覚悟する。だが、非戦闘員でありながら必死で自分を助けようとする部下たちの姿を見て奮起。安全装置を解除し、圧倒的な力でゴキブリを殲滅。一時は敵幹部ゴキブリにも致命傷を与えた。
………悔しい……
悔しいよなぁ… お前ら……
待ってろ…ッ 今助ける…!!道(そこ)を…… 退け!!
しかし、ゴキブリどもは彼の全力の攻撃を受けてもなお生き残ってしまう。最後まで必死で部下を護り続けたアドルフだが、敵の投石によって頭を吹き飛ばされ、ついに絶命。だがその瞬間、彼自身も知らない間に埋め込まれていた体内の爆破装置が作動。最期はゴキブリどもを自爆により道連れにしつつ、部下とともに散った。
徹底的に裏切られ、利用され続けた彼の人生だが、最後の最後でようやく本当の「人間らしい居場所」を見つけられたのかもしれない。ドイツのオフィサーに、犬死にだけは決してなかった。
本編からは退場したアドルフだが、キャラクター人気ゆえか、番外編や回想シーンなどの過去編にはちょくちょく登場している。
特に単行本7巻で描かれた、オフィサー全員でラーメン次郎へ行った思い出のシーンでは、小吉、アシモフ、劉、ミッシェルといった男臭いおっさんども(……とレディ)がスープまで軽々と平らげ、こいつらに比べて細身のジョセフも何とか完食する中、アドルフだけは1/3も食べることが出来ず、真っ青になってプルプル震えるという萌えキャラっぷりを発揮。ファンを喜ばせた。
また、最期となった自爆シーンで描かれたのは閃光だけで、死の瞬間自体は描かれていないことから、「実は生きているのでは?」と予想する人も少なからずいる。まあこれに関しては自爆の前に頭を砕かれているし、妄想の領域ではあるが。
M.O.手術のベースは一属一種の電撃生物・デンキウナギ。
探索や威嚇程度にしか電気を使わない他の発電生物と違い、敵を殺傷するために電撃を用いる唯一の生物である。
アドルフの筋肉は、手術によってすべてがデンキウナギ同様の発電器官を兼ね備えており、凄まじい量の発電が可能。武器として避雷針を搭載した特殊な手裏剣を携帯しており、これを投げて相手に突き刺し、放電することで敵の急所へ的確な攻撃を行なう。普段は自身の感電を防ぐために身体に安全装置を埋め込んでいるが、薬を過剰摂取するこで安全装置を解除すると、天候や地形などの状況によっては数億ボルトの雷すら操れるようになる。
また、薬を使わない未変身の状態でも微弱な電流を発して敵を探知することが出来るほか、皮膚もウナギ状のヌルヌル状態になるようで、ゴキブリのパンチを粘液で受け流している描写がある。
ミッシェルやアシモフ、小吉といった(能力が判明している)他のオフィサーが、どちらかというとタイマンでの近接格闘戦に特化しているのに対し、アドルフの能力は「遠距離から攻撃できる」「一度に大量の敵を捕獲・殺戮できる」という点で突出している。ランキング2位はこの辺りが理由だと思われる。
単行本5巻で明かされた裏設定によれば、アドルフが受けた手術は最も初期型のもので、ツノゼミのベースを使っていない。通常のM.O手術は、まず高い適応力を持つツノゼミの能力をベースとして移植し、昆虫が持つ堅い甲皮や解放血管系を手に入れた上で、様々な生物の能力を移植する。だがアドルフはこれを行なっておらず、移植されているのはデンキウナギの能力だけである。そもそもツノゼミを使う技術自体が、アドルフを使った実験結果を元にして開発されたものらしい。
つまり、メインの生物に関係なくある程度の防御力や運動能力は確保している他のメンバーと違い、アドルフの防御力は生身の人間やウナギとそう変わらないことになる。それで2位にまで上り詰めるのだから、彼の能力と血の滲む努力が伺い知れるものである。
ウルトラジャンプにて連載されていたアドルフが主役を務めるテラフォーマーズスピンオフ作品。
軍研究所のM.O.手術実験体時代からアネックス1号出発直前までのアドルフを描いている。
掲示板
143 ななしのよっしん
2018/05/31(木) 00:16:24 ID: 7jTSPHtBbI
科学者の「あの家に我々の身内は一人もいない」というのは
逆に言うと少なくともあの婆さんにとってはアドルフは「身内」だったんだな
144 ななしのよっしん
2018/11/13(火) 04:18:01 ID: kwmBpVUdeP
作品が本格的に迷走する前にカッコ良く退場できたからある意味一番の
勝ち組でもある。
145 ななしのよっしん
2021/10/04(月) 17:07:25 ID: oERdRXe5C/
テラフォーマーの大群と戦い始めてから死ぬまでの流れが悲惨過ぎて「作者は人の心とかないんか?」と思ってしまう...
急上昇ワード改
最終更新:2024/03/29(金) 09:00
最終更新:2024/03/29(金) 09:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。