アフターコロナ

アフターコロナとは、主に日本語圏のインターネットで2020年に使用されるようになった、新型コロナウイルス（SARS-CoV-2）に関連する俗語である。

「あぁ、『新機動戦記ガンダムW』のアレね……」と思ってこの記事を開いた人、申し訳ないがソレは「アフターコロニー」。

概要

「アフターコロナ」は単独の意味を持つ言葉ではなく、大きく分けて以下の2つの異なった意味合いで使用されているようだ。

1. 新型コロナウイルス感染症（COVID-19）が蔓延した後の世の中を指す用法。
   「コロナが蔓延している現在」も含む。
   「このアフターコロナの世の中じゃ、海外旅行なんて夢物語になってしまったわ」
   　
   
2. 新型コロナウイルス感染症の蔓延が終息した未来を指す用法。
   「コロナが蔓延している現在」は含まない。
   「全てが落ち着いたアフターコロナの日が来たら、きっとみんなで海外旅行にいきましょうね」

2.の例がなんとなく縁起が悪いと思った人、気持ちはわかる。「俺、この戦争が終わったら恋人と結婚するんだ」みたいだもん。

でもリアルの世界はフィクションと違って、「死亡フラグ」的な台詞を語っても死亡率が上がるわけじゃありません。

「俺、コロナが終息したら○○するんだ」といった楽しみな予定をバンバン立てて、辛い時期を乗り切ろう！

初出

2020年4月7日にウェブ検索やTwitter検索を行ってみたところ、「アフターコロナ」という言葉を新型コロナウイルスに関連して使用した初めての例はどうやら、2020年2月14日のTwitter投稿であるようだ（既に消えてしまったページ/ツイートや検索にヒットしないディープウェブのページ/ツイートなどはこの方法では見つけられないが）。

• until:2020-02-14 アフターコロナ - Twitter検索 / Twitter

ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/argentange_1121/status/1227997550155681792

このツイートは新型コロナウイルス感染症が船内で蔓延してしまった豪華客船「ダイヤモンドプリンセス号」を引き合いに出したジョーク投稿であり、数万の「いいね」や「リツイート」を集めた。

この投稿内ではこの「アフターコロナ」は「未来のディストピア社会に暮らす、コロナウイルスを知らない世代」を指す言葉であったようで、上記の1.や2.の意味合いは持たなかった。

落合陽一

その数日後の2020年2月19日、研究者/アーティスト/実業家である「落合陽一」氏が、ウェブサービス「note」に「「アフターコロナ」の世界で / #時事と抽出」と題する記事を投稿した。

• 「アフターコロナ」の世界で / #時事と抽出｜落合陽一｜note

ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/ochyai/status/1229802090815311873

その後も落合氏は「アフターコロナ」をタイトルに含む記事を数回投稿していた。

• 自動運転になったらなにが変わりますか？　と聞かれて「全人類がタクシーを気軽に使える/渋滞解消社会」以上の価値って何か考える（アフターコロナⅡ）｜落合陽一｜note
• アフターコロナ３：日本の悪習：「集って意味のない時間を過ごす美徳」の崩壊，リモートとイベント中止だらけの世界に何をするべきか考えていた．｜落合陽一｜note
• オンラインでの人の距離：テレカンで生まれるラジオみたいな関係性 / アフターコロナ4｜落合陽一｜note
• 現状からの希望的跳躍を見出すために． /アフターコロナ５｜落合陽一｜note

落合洋一氏はTwitterのフォロワー数41万人（2020年4月7日現在）を数える影響力の強い人物であるので、彼が「アフターコロナ」をタイトルに冠した記事を投稿していたことは、この言葉が世間に広まる大きな一助になっていたと思われる。

なおその落合氏自身は、2020年3月末ごろからは「アフターコロナ」ではなく「ウィズコロナ」というフレーズをよく使用するようになっている。

ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/NewsPicks/status/1243885552274939906

• アフターコロナというよりは，あと数年「ウィズコロナ」で生きていくための世界観に移行し始めた．未来ガジェットに夢を託すほどの能天気さは僕にはない．｜落合陽一｜note
• 【ウィズコロナ】ウイルスの訪れと共に優しいディストピアの足音が聞こえる｜落合陽一｜note
• 【ウィズコロナ】身体性のない計算機上の自然へ｜落合陽一｜note
• 【ウィズコロナ】希望を見出しながら，既存の世界観を維持しようとする人々との認識のずれに違和感を感じつつある．【カームワークカームライフ】｜落合陽一｜note

ユヴァル・ノア・ハラリ

海外でも、日本語の「アフターコロナ」と類似したキーワードを語る人々はいる。世界的なベストセラーとなった『サピエンス全史』の著者である、イスラエルの歴史学者「ユヴァル・ノア・ハラリ」もその中の一人。

彼は2020年3月20日に、イギリスの経済紙「フィナンシャル・タイムズ」のウェブサイトに「the world after coronavirus」（「ザ・ワールド・アフター・コロナウイルス」、「コロナウイルス後の世界」）と題する記事を寄稿している。

• Yuval Noah Harari: the world after coronavirus | Free to read | Financial Times

ハラリ氏曰く、政府がテクノロジーを使用して国民の動きや健康状態をモニタリング/監視することによって感染の制御を達成する、という実例を複数目にしているという。人々はプライバシーと健康を天秤にかけるならば健康を選ぶであろうから、そういった監視を受け入れていくかもしれない、とも。アフターコロナの世界は進んだテクノロジーによる監視社会になりうるというわけだ。

だがハラリ氏は続いて「いや、プライバシーと健康を両立する道もあるはずなのだ」などと論じていく。

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関連項目

• 新型コロナウイルス / SARS-CoV-2 / COVID-19
• 新型コロナウイルス関連用語
• ディストピア
• 落合陽一