アヘンとは、ケシ(芥子)の実の果汁を干して採取した物質である。麻薬の一種。 鎮痛薬にもなる。
究極的には、印欧祖語の*sokʷos 「果汁、樹脂」に遡る。ここから語頭の子音弱化と語中子音の唇音化を経て、初期古代ギリシャ語*ὁπός (*hopós)、古代ギリシャ語ὀπόςとなた。さらに、この語から派生した語がὄπιον(oppion)でこれがアヘンを指す。
この語は東方に向かってペルシア語に入りapiyōn、唇音弱化してafyūnとなり、ここからアラビア語に入って、 أَفْيُون (ʾafyūn) となり、更に東方へ向かって、中国語で阿芙蓉と当てられることとなった。
片や西方では、希:on ⇔ 羅:umの対応から、opiumとしてラテン語に導入され、西欧各国の語に入っていった。大英帝国が世界の海を巡るとともに、英語opiumも世界各地に広まり、それぞれの地域でそれぞれの語に会う形で入っていった。これを中国で再受容したものが鴉片、阿片であり、これの音読みがアヘンである。
語源にも示した通り、その利用は相当古く、紀元前三千年紀の古代メソポタミアに始まり、紀元前二千年ごろには中東、欧州で普及。その後の商圏確立で紀元5世紀ごろには中国へ到達。とはいえ、この時点では、量も少量、貴重、高価であり、鎮痛薬、睡眠薬、麻酔薬などの医薬品としてが主であった考えられる。
ところが、大航海時代を経て、商業圏の拡大、販路拡大から需要が見込まれると、資金を得るために生産が拡大し、医薬品としてだけでなく嗜好品、つまり麻薬としての使用も拡大する。特に、イギリスは植民としたインドで販売したアヘンを清王朝で売りさばくことで、茶葉の輸入による銀の流出をとめ、むしろ貿易黒字の拡大に成功する。ところが、この結果、清王朝は4億の人口のうち、最大一割ともいわれる阿片中毒患者を抱えることとなる。このため、輸入制限を試みた清朝とそれを輸出拡大を狙った英国の間で阿片戦争、次いでアロー戦争が勃発。かつて栄華を誇った清王朝は没落を始めるのである。
一方、日本も同時代に栽培が広まっており、同じ状況になる可能性は有ったのだが、幕末時点で国内でも一定数が海外情勢に興味を持って情報収集にあたっており、この戦争の経過を概観ながら知っていた。そのため、明治維新後の法整備の中で、国家による統制がなされていった。
現在では、国際的にも、国内的にも、その製造、販売に統制がとられている。
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最終更新:2025/03/18(火) 10:00
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