アベイ・ド・ロンシャン賞

アベイ・ド・ロンシャン賞(Prix de l'Abbaye de Longchamp)とは、フランスのパリロンシャン競馬場で行われるレースの1つである。毎年10月上旬の凱旋門賞ウィークの日に2歳・3歳・4歳以上混合で芝1000mで施行される。格付けはG1。

概要

ロンシャン競馬場(現：パリロンシャン競馬場)の100周年の記念にムーラン・ド・ロンシャン賞と共に創設されたレース。

レース名はかつてパリロンシャン競馬場の北側の位置にあった、聖ルイことルイ9世の妹である聖イザベルによって13世紀に設立されたロンシャン修道院(Abbaye de Longchamp)より名付けられた。ロンシャン修道院はフランス革命のときに破壊され、今はその一部が城跡として残るのみである。

レースの特徴としては、イギリスのナンソープステークスと並び、2歳馬が3歳以上の馬と同レースに出走可能な所である。2歳馬54kg、3歳以上62kg(牝馬1.5kg減)と斤量差による調整はもちろんあるが。それでもここ近年は2歳馬の優勝が見られなかった。しかし、2022年にはThe Platinum Queenが2歳馬として44年ぶりの優勝を果たしている。

また、このレースはヨーロッパのスプリント路線を締めくくる位置付けのG1とされる。

歴史

• 1957年 - ロンシャン競馬場(現パリロンシャン競馬場)の100周年記念として設立。当初から2歳以上混合1000mで施行。
• 1971年 - グループ制の導入によりG2に指定。
• 1976年 - G1に昇格。
• 1999年 - 日本調教馬のアグネスワールドが優勝。
• 2001年 - 騸馬に開放。
• 2016～2017年 ロンシャン競馬場の改修工事によりシャンティイ競馬場で代替開催。
• 2022年 The Platinum Queenが2歳馬として44年ぶりの優勝。

歴代優勝馬

※日本語読みの前の「*」は競走・繁殖を問わず日本に輸入されたことのある(=JRAないしJAIRSの公式な日本語表記が存在する)馬。太字は大百科に個別記事のある馬。回数にリンクが付いている回はニコニコに個別動画あり。

回数 (開催年)	優勝馬 (日本語読み) 日本調教馬の着順(1着以外、参戦したときのみ)	性齢	タイム	優勝騎手	管理調教師(調教国) ※表記がない場合調教
第1回 (1957年)	Texana (テクサナ)	牝2			F.マテ
第2回 (1958年)	Edelic (エデリック)	牡3	0:58.4	M.ガルシア	F.マテ
第3回 (1959年)	Sly Pola (スライポーラ)	牝2			E.ポレ
第4回 (1960年)	High Bulk (ハイバルク)	牝2	1:01.5	J.マサール	E.ポレ
第5回 (1961年)	L'Epinay (レピネイ)	牡3	1:01.2	R.ポワンスレ	E.ポレ
第6回 (1962年)	Fortino (*フォルティノ)	牡3	0:59.1	Y.サンマルタン	F.マテ
第7回 (1963年)	Texanita (テクサニタ)	牝2		Y.サンマルタン	F.マテ
第8回 (1964年)	Texanita (テクサニタ)	牝3	0:59.6	T.グレノン	F.マテ
第9回 (1965年)	Silver Shark (*シルバーシャーク)	牡2	0:59.7	Y.サンマルタン	F.マテ
第10回 (1966年)	Farhana (ファラナ)	牝2	1:00.5	Y.サンマルタン	F.マテ
第11回 (1967年)	Pentathlon (ペンタスロン)	牡3	0:59.5	F.ヘッド	H.ダナー
第12回 (1968年)	Be Friendly (ビーフレンドリー)	牡4	1:00.2	G.ルイス	C.ミッチェル
第13回 (1969年)	Tower Walk (タワーウォーク)	牡3	0:59.0	L.ピゴット	G.バーリン
第14回 (1970年)	Balidar (バリダー)	牡4	0:58.4	L.ピゴット	J.ウィンター
第15回 (1971年)	Sweet Revenge (スウィートリヴェンジ)	牡4	1:02.0	G.ルイス	T.コーベット
第16回 (1972年)	Deep Diver (*ディープダイバー)	牡3	0:57.0	W.ウィリアムソン	P.デイビー
第17回 (1973年)	Sandford Lad (サンドフォードラッド)	牡3	0:59.2	A.マーレイ	H.プライス
第18回 (1974年)	Moubariz (*モバリッズ)	牡3	0:59.7	H.サマニ	F.マテ
第19回 (1975年)	Lianga (リアンガ)	牝4	0:59.2	Y.サンマルタン	A.ペンナ
第20回 (1976年)	Gentilhombre (*ジョンティオンブル)	牡3	1:00.3 (同着)	T.マキューン	N.アダム
	Mendip Man (メンディップマン)	牡4		A.ジベール	A.ポー
第21回 (1977年)	Gentilhombre (*ジョンティオンブル)	牡4	0:56.0	P.クック	N.アダム
第22回 (1978年)	Sigy (シジー)	牝2	0:59.1	F.ヘッド	C.ヘッド
第23回 (1979年)	Double Form (ダブルフォーム)	牡4	0:56.7	J.リード	R.ジョンソン・ホートン
第24回 (1980年)	Moorestyle (ムーアスタイル)	牡3	0:56.3	L.ピゴット	R.アームストロング
第25回 (1981年)	Marwell (マーウェル)	牝3	0:59.7	W.R.スウィンバーン	M.スタウト
第26回 (1982年)	Sharpo (シャーポ)	牡5	1:01.2	Pat.エデリー	J.ツリー
第27回 (1983年)	Habibti (ハビブティ)	牝3	0:54.3	W.カーソン	J.ダンロップ
第28回 (1984年)	Committed (コミッテッド)	牝4	0:59.8	S.コーゼン	D.ウェルド
第29回 (1985年)	Committed (コミッテッド)	牝5	0:55.2	M.キネーン	D.ウェルド
第30回 (1986年)	Double Schwarz (ダブルシュワルツ)	牡5	0:56.8	Pat.エデリー	C.ネルソン
第31回 (1987年)	Polonia (ポローニア)	牝3	0:56.7	C.ロシェ	J.ボルジャー
第32回 (1988年)	Handsome Sailor[1] (ハンサムセーラー)	牡5	0:57.0	M.ヒルズ	B.ヒルズ
第33回 (1989年)	Silver Fling (シルヴァーフリング)	牝4	0:59.9	J.マティアス	I.ボールディング
第34回 (1990年)	Dayjur (デイジュール)	牡3	0:58.7	W.カーソン	W.ハーン
第35回 (1991年)	Keen Hunter (キーンハンター)	牡4	0:59.4	S.コーゼン	J.ゴスデン
第36回 (1992年)	Mr Brooks (ミスターブルックス)	牡5	1:02.3	L.ピゴット	R.ハノン
第37回 (1993年)	Lochsong (ロックソング)	牝5	0:59.7	L.デットーリ	I.ボールディング
第38回 (1994年)	Lochsong (ロックソング)	牝6	0:57.2	L.デットーリ	I.ボールディング
第39回 (1995年)	Hever Golf Rose (ヒーヴァーゴルフローズ)	牝4	0:57.7	J.ウィーヴァー	T.ノートン
第40回 (1996年)	Kistena (キステナ)	牝3	0:59.3	O.ドゥルース	C.ヘッド
第41回 (1997年)	Carmine Lake (カーマインレイク)	牝3	0:56.9	J.リード	P.チャップル=ハイアム
第42回 (1998年)	My Best Valentine (マイベストヴァレンタイン)	牡8	0:58.9	R.コクレーン	V.ソーン
第43回 (1999年)	Agnes World (*アグネスワールド) ドージマムテキ 13着	牡4	1:01.4	武豊	森秀行
第44回 (2000年)	Namid (ナミド)	牡4	0:55.1	J.ムルタ	J.オックス
第45回 (2001年)	Imperial Beauty (インペリアルビューティ)	牝5	1:00.3	武豊	J.ハモンド
第46回 (2002年)	Continent (コンティネント)	騸5	0:57.2	D.ホランド	D.ニコルズ
第47回 (2003年)	Patavellian (パタヴェリアン)	騸5	0:59.3	S.ドローン	R.チャールトン
第48回 (2004年)	Var (ヴァー)	牡5	0:55.0	L.デットーリ	C.ブリテン
第49回 (2005年)	Avonbridge (エイヴォンブリッジ)	牡5	0:56.9	S.ドローン	R.チャールトン
第50回 (2006年)	Desert Lord (デザートロード)	騸6	0:54.8	J.スペンサー	K.ライアン
第51回 (2007年)	Benbaun (ベンバウン)	騸5	0:56.7	P.スマレン	M.ウォレス
第52回 (2008年)	Marchand D'or[2] (マルシャルドール)	騸5	0:54.4	D.ボニヤ	F.ヘッド
第53回 (2009年)	Total Gallery (トータルギャラリー)	牡3	0:55.1	J.ムルタ	J.ムーア
第54回 (2010年)	Gilt Edge Girl (ギルトエッジガール)	牝4	0:57.0	L.モリス	C.コックス
第55回 (2011年)	Tangerine Trees (タンジェリンツリーズ)	騸6	0:55.53	T.イーヴス	B.スマート
第56回 (2012年)	Wizz Kid (ウィズキッド)	牝4	1:01.17	G.モッセ	R.コレ
第57回 (2013年)	Maarek (マーレク)	騸6	0:57.50	D.マクドノー	B.ララー
第58回 (2014年)	Move In Tome (ムーヴインタイム)	騸6	0:56.42	D.タドホープ	D.オメーラ
第59回 (2015年)	Goldream (ゴールドリーム)	騸6	0:54.79	M.ハーレー	R.コーウェル
第60回 (2016年)	Marsha (マーシャ)	牝3	0:57.27	L.モリス	M.プレスコット
第61回 (2017年)	Battaash (バターシュ)	騸3	0:57.59	J.クロウリー	C.ヒルズ
第62回 (2018年)	Mabs Cross (マブズクロス)	牝4	0:57.11	G.モッセ	M.ドッズ
第63回 (2019年)	Glass Slippers (グラススリッパーズ)	牝3	0:58.04	T.イーヴス	K.ライアン
第64回 (2020年)	Wooded (ウッディド)	牡3	0:58.52	P=C.ブドー	F=H.グラファール
第65回 (2021年)	A Case of You (アケースオブユー)	牡3	0:58.02	R.ウィーラン	A.マクギネス
第66回 (2022年)	The Platinum Queen (ザプラチナムクイーン)	牝2	0:58.65	H.ドイル	R.フェイヒー

関連コミュニティ・チャンネル

関連項目

• 競馬
• 海外競馬
• フランス
• パリロンシャン競馬場
• ヨーロッパ競馬の平地G1のレース体系
• 競馬の競走の一覧

脚注

1. *Cadeaux Genereuxが1着入線失格、繰り上がり優勝
2. *ハンガリー調教馬のOverdoseが1着入線となるもゲートの故障により1頭の馬がスタートできずレースやり直し。