アムトラック 単語

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アムトラック

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全米鉄道旅客公社
National Railroad Passenger Corporation
基本情報
本社所在 アメリカ合衆国アメリカ合衆国
1 Massachusetts Ave, N.W., ワシントンD.C.
設立 1971年5月1日
従業員数 --
事業概要 鉄道事業
法人 株式会社
(アメリカ合衆国連邦政府出資)

鉄道旅客National Railroad Passenger Corporation、通称アムトラック(Amtrak)は、アメリカ都市間旅客鉄道運営する公共企業体。

概要

かつては鉄道とも称されたアメリカであったが、旅客面においては、モータリゼーションや航空路の整備等により、輸送量が減少し始める。
かつてEmpire Builder(帝国をつくった男)と呼ばれた鉄道James J. Hillは「旅客列車は男の乳房と同じだ。実用にならなければ飾りにもならない」という言葉を残した。これは、アメリカ土があまりにも広大であり、鉄道は貨物輸送には適していても旅客輸送には適していないことを示している。それでも鉄道各社は貨物輸送による収益を元手に会社の広告としての役割を旅客列車に託し、さまざまなサービス内容で各社で競い合っていたが、他の交通機関の発達によりとうとうその維持も難しくなっていたのである。

1960年代にその動きは加速し、旅客列車が危ぶまれたことから、これらを維持するため、鉄道会社の旅客部門を切り離した上で統合して発足したのがアムトラックである。発足当初の輸送シェアが1だったといえばアメリカの旅客鉄道の惨状が多少は理解しやすい。

とはいえ、こと貨物輸送については相変わらず好調で、同様の理由で貨物輸送を的とする半官半民の組織になったコンレールは再び民営化されている。これは、米国本土があまりに巨大であり、地形上船舶による輸送に頼ることができず、トラック航空機には一度に輸送できる量に限界があるためである。

ここで、アムトラックは鉄道であると勘違いされやすいがそうではなく、アムトラックはあくまでもの各貨物鉄道会社の線路を借り、その上でアムトラックの車両を走らせているのが特徴である。日本では第二種事業者と呼ばれる事業者である(日本における逆JR貨物)。北東回廊の全面電化の成立で登場した高速列車「アセラ」などもあるが状況は芳しくはない。
※一応、ボストンニューヨークワシントンD.C.ミシガン州の一部の線路はアムトラック所有。

以上の背景より、ビジネス需要のあるボストンワシントンD.C.間と一部短距離列車を除けば、列車1日1本だったり、下手すれば3日ほど列車かったりと、シベリア鉄道もびっくりの過疎っぷりである。

経営も万年赤字で、しばしばアムトラックの存続そのものが取り沙汰されている。

しかしながら列車での北大陸横断の旅もまた一であろう。往年と変わらない雄大色の中を走る優列車の旅に、機会があれば是非行ってみてはいかがだろうか。まあ、私はおそらく飛行機で行くが。

特徴

アムトラックは日本の鉄道のように、輸送手段としての存在意義を第一に置いていない。また広大土など諸条件が余りに違うこもあり、日本の鉄道のそれとは多くの違いがある。

1.運転本数の少なさ

前述のとおり、 アムトラックの長距離列車はせいぜい一日一往復である。中にはロサンゼルスニューオーリンズを結ぶSunset Limitedのように一部毎日運転ですらないものもある。これはアムトラックの設立的として「どうにか旅客列車を残したい」という強い的意識があるためで、輸送人員などからも、どうしても本数増というのは難しいところがある。

もっとも、アメリカはあまりに広い。鉄道での大陸横断にも最低3泊4日かかるのだ。おまけ西部には今も人の疎らな荒野が点在しており、輸送上の効率は極めて悪いと言わざるを得ない。
なにせ、急ぐ旅客は飛行機に、そしてお金のない旅客はさらに安い長距離バスに流れてしまう。アムトラックは、基本的には鉄道旅行をしたい」という意思を持った旅客のためのものなのである。
もっとも、深夜にしか列車の来ない小さなでも大体乗降はあるので、これらの小さな町々にとって公共輸送機関としての使命を果たしているという側面もある。

これを勘案すると、たとえ本数は少なくとも、現在でも複数系統の大陸横断特急が存続していることは非常に重といえる。これもアムトラックが発足し、今まで残してくれたからこそである。日本では、このような毎日運転の夜行列車は、とうとうサンライズエクスプレスを残して絶滅してしまったのだから。

2.運賃体系

アムトラックの運賃体系の特徴として、以下の3点が挙げられる。

まず、アムトラックの列車すべて特急扱いである。そのため日本のような特急券という概念はない。座席の料金がベースとなるが、これにはもう特急料金が含まれていると考えてよい。車両は大柄で、フットレストなども整っているので日本特急車両より快適である。

次に、寝台料金などが定まっていないことが特徴として挙げられる。これは飛行機の座席のようにその時々の輸送需要に応じて弾力的に決定されるためである。なので時刻表を見ても、日本のような細かな運賃制度を説明したページはない。ウェブサイト検索すれば利用したい日時における料金はすぐわかるので、あまり困ることはない。

最後に、寝台料金は部屋あたりの値段で決まるということである。アメリカの寝台車は大体において最低2人で使えるようになっている。これを2人で使っても1人で使っても料金は同じである。一人旅には不利な制度だが、逆にいえば連れを見つければ割安で使えるということ。これはアメリカホテルなどでも同様である。 

3.列車の遅れ

列車遅延が多いこと、 これはアムトラック利用者からの大きな不満としてしばしば取りざたされる。

これは、線路を貨物鉄道会社から借りて使っており、貨物列車が運行上優先されてしまうというのが最大の理由である。
中の事故で何時間も足止めを食らうこともあるが、数十分の遅れが積み重なって大きな遅延に至ることもある。
場合によっては、運転を打ち切りバス代行となることもある。あるいは、線路工事の都合ではじめから代行バスで運転されることもある。これらの情報は逐一アムトラック公式サイトアナウンスされるので、これをマメチェックすることが重要である。
何より大切なのは、足止めを食らっても慌てない心の余裕である。もともと鈍足な列車で行く旅なのだから、のんびり風景を眺めたり本を読んだりして待てばよい。あまりに酷い遅れの場合は食事サービスなどもされるし、たとえ乗り継ぎ列車が待ってくれなくても、アムトラック乗車券の最終的地まではアムトラックのスタッフ責任をもって最後まで対応してくれる。

なおアムトラックでは、列車の乗り継ぎの際に4時間の乗り換え時間を用意することがめられている。

車両のいろいろ

なにぶんアメリカ全土をアムトラックが一手に担っているので、使われている車両の種類は限られている。以下、その車両紹介する。

ヘリテイジ

ヘリテイジ」とは「遺産」のこと。その名の通り、アムトラック成立以前の私鉄各社から譲り受け、引き続き使われている車両。さすがにアムトラック成立より40年を経た近年では数を減らしているが、食堂車や乗務員用車両などでまだまだ現役のものもある。特に旅客の大きな荷物を運ぶ荷物は、いまもだいたいこれ。

しかし、ニューヨークワシントンD.C.など都市を結び旅客需要の高い北東回廊線での高速化のため、これらの生き残りを置き換えるために後述のビューライナーの増備として新しく荷物食堂車が製造されており、これらの歴史的なヘリテイジ車両も先が見えてきた。

スーパーライナー

アムトラックといえばまず思い浮かべるであろう、ステンレス製の巨大な2階建て車両。前述のヘリテイジ車両の置き換えによるアムトラックのサービス向上を図って、1970年代の末ごろ製造された。最近座席のモケットをくするなど更新工事をしたので、まだまだ使うようだ。1990年代初めに増備された車両Superliner IIと呼ばれるが、アメリカの名所・地名を使った称がついていることと、台車くらいしか違いがなく、体や内装設備はそっくり。

シカゴから西の区間はだいたいこの車両が使われているので、大陸横断の旅をするなら必ず乗ることになる。逆に、その巨大さゆえに、東部の電化区間には入れない。

座席、寝台車食堂車、展望の4種類がある。

座席車

新幹線グリーン車並のゆったりした座席で、レッグレスト、フットレス全装備なので長旅も快適に過ごせる。ただしリクライニングともども段があるので、適当に動かすとガチガチャうるさいので注意。

距離夜行列車ならも貸してくれたのだが、経費節減により2013年7月限りでこのサービスはなくなった。現在は後述の内売店で"Passenger Comfort Kit"exit$8で売られている。これは長さ15cm、直径10cmくらいのアムトラックロゴの入った巾着袋に、空気耳栓ブランケット、アイマスクが収められたもので、お土産にもなる。後述のアムフリートでも扱いがある。ちなみに自前の大きなを持ち込んでいる人も意外と多い。

寝台車

1階はファミリー寝台(なんとベッドが4つもある)と体の不自由な方のための個室と共用のトイレ、シャワールームになっており、2人用個室は1階と2階の両方にある。

2階の2人用個室はん中の階段をデラックス寝台とルーメットに分かれている(一部例外あり)。
ルーメットは一番狭い部屋で、通路の両側に個室が並んでいる。上の段が跳ね上げ式のベッド、下の段は日中は折りたたんでソファー状の座席にできるベッドになっている。日本583系電車を個室にしたような感じ。一番狭いといっても、かなりゆったりしたサイズ問わずくつろげる。
デラックス寝台は車両のを幅ほとんどいっぱいに使った大きな部屋で、室内にシャワーとトイレがある。

食堂車

1階がまるごと厨房で、一般利用者は立ち入れない。2階が通路兼食堂になっていて、4人がけのテーブル席が両側にずらりと並んでいる。なので2人以下で来るとほぼ確実に相席になる(これはスーパーライナーに限らず、食堂車連結されている場合はだいたいそうなるようだ)。

展望車

でも使える共用のスペース。その昔日本近鉄ビスタカーに強いを与えた、ビスタドーム進化形といえる。

1階部分に売店があり、アムトラックグッズジュースお菓子ホットドッグのような軽食が買える。ちなみに車内販売はない。

2階はん中の階段をに、半分が食堂車同様の4人がけテーブル席、もう半分が外を向いた12人がけの回転ソファーになっているのが一般的なスタイルん中の階段にちょっとしたカウンターがあり、ガイドさんが沿線風景の案内をしていることもある。がつき、の大きさも他の車両より大きくなっているので、アメリカ雄大色を楽しむのにもってこいの車両

販のガイブックには「席が埋まっていても後から来た人に譲ってくれる」と書いてあったりするが、事実い者勝ちで、先に来た人がいつまでも使っている光景がしばしば見受けられる。

アムフリート

同じくヘリテイジ車両の置き換えを的に製造された車両。こちらは電化区間に対応した1階建てで、丸に近い断面をした、独特のステンレス車両。アムトラック発足時に、北東回廊線で疾走していたメトロライナー電車が元になっている。

座席と、座席の他にビュッフェコーナーを設けたカフェカーがある。座席は、片側2ドアシートピッチの狭い中近距離列車用の「アムフリートⅠ」と、片側1ドアでレッグレストを備える長距離列車用の「アムフリート」の2種類がある。

ビューライナー

アメリカ東海に残っていたヘリテイジ車両の寝台車を置き換えるために、1980年代半ばから増備されている車両。小柄ながらも2段寝台で、なんと全客室にトイレ備している。

2014年より、前述のヘリテイジ荷物および食堂車の置き換えのために、ビューライナー荷物食堂車の製造が始まった。荷物内には自転車ラックを設けるなど、時代の要請にあった設備を備えている。

アセラ・エクスプレス

2000年に登場した、アメリカ東海の、いわゆる北東回廊を走る高速列車。営業最高時速は150マイル(約241キロ)。アメリカにおいて、ペンシルバニア鉄道新幹線に対抗して開発しアムトラックに引き継がれた「メトロライナー」以来の高速電車である。名前AcelaはAcceleration(加速)とExcellent(優秀)をあわせた造語である。優秀を自称する割によく故障するけど。

体はボンバルディア(メトロライナーを製造したバッド社を吸収合併している)によるステンレス製で、の中を驀進する銀色ボディーは、かつての400系新幹線つばさを髣髴とさせる。

登場前には、ドイツICEスウェーデンのX2000を借り上げAmtrakロゴをつけて試運転を行うなどいろいろな方式が検討されたが、最終的にフランスTGVベースにした車両となった。そのため編成両端の車両機関車の動力集中方式となっている。

かつてのメトロライナーは貫通式の先頭で、2両単位での増解結ができたが、こちらはビジネスクラス4両、ファーストクラス1両、カフェカー1両、機関車計2両の8連固定編成を組んでいる。

活躍の舞台である北東回廊線は、ボストンニューヨークフィラルフィア、ワシントンD.C.と大都市較的近い距離に続けて存在するため、鉄道の優位性が高い。そのためこの区間はアムトラックの稼ぎ頭で、路線の自社所有という強みを活かし、毎時1本というアメリカ都市鉄道では稀な高頻度運転を行い、ビジネス客などを中心に好評を博している。しかしながら一部にまだ踏切が存在し、また地上設備の老朽化などで十分な実力を発揮できないでいる。

登場時から大小のトラブルに見舞われたものの、アムトラックのフラッグシップトレインとして10年以上が経過。好評を受けて増結や車両更新が検討されていたが、先日それに代わって新車両による置き換えが発表された。今後の去就はまだ明らかになっていない。

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