「なぜぼくがいつも同じ顔を持つんだい?常に同じ個性でいるなんて、危険じゃないかね?ぼくの行動だけで十分独創的なのに」
「誰にだって『アルセーヌ・ルパンがここにいるぞ』と確信を持って言えないならなお結構。
大切なことは『これこそアルセーヌ・ルパンがやったことだ』と間違いなしに言わせることなんだよ」
アルセーヌ・ルパン(Arsène Lupin)とは、フランスの作家モーリス・ルブランの著作『アルセーヌ・ルパンシリーズ』の主人公。
作者はモーリス・ルブラン。初出は1905年発表の「怪盗紳士ルパン」。
最初のエピソード終盤でいきなり逮捕されているが、その後の奇想天外な活躍で世間をあっと言わせ、瞬く間に人気作品となった。
18作の長編と複数の短編による人気シリーズで、作品が進むに連れてルパンが年を重ねていくのも特徴的。20代の頃から最終作では49歳(推定)までと、まさに彼の人生を綴った書物のようだ。
最終作であり、ルブランの遺作でもある「ルパン最後の恋」は推敲不足のため未発表となっていたものを、作者の没後70年(2012年)に孫の意志により発表に至ったという、ある意味で史上最も衝撃的な最終作。
一般的に「冒険小説もの」として扱われることが多いが、推理小説の要素を含むものも多い。
多数のパスティーシュが創作されており、後世にも様々な作品に様々な形で登場している。
1874年、テオフラスト・ルパンとアンリエット・ダンドレジーの息子として誕生。本名はラウール。
父は体育教師だったが、ラウールが3歳の時、渡米した先で詐欺の罪に問われて獄死。母は貴族階級だったが、平民の夫を選んだ為に親族から絶縁されており、やむなく学友だったドルー・スービーズ伯爵夫人の許に小間使いとして置いてもらい、母子二人で慎ましく暮らしていた。
初めて犯罪を犯したのは僅か6歳の時。伯爵夫人が母と自分に辛く当たり続けた復讐として、彼女が大切にしていた『女王の首飾り』を盗み出し、事件は迷宮入りとなった。
伯爵家を追い出された後は首飾りの宝石をバラして売りながら、片田舎に隠棲した母の為に送金し続けた。しかし12歳の時、母が死亡。乳母のヴィクトワール・エルヌモンにより育てられる。
19歳の時、初めて「アルセーヌ・ルパン」を名乗って『マダム・アンベールの金庫』事件を起こす。これが犯罪の道を本格的に歩む第一歩となった。
その後は『怪盗紳士アルセーヌ・ルパン』として、世界的に有名になる。
特徴としては
といったところ。
また親日家でもあり、当時世間によく知られていなかった柔道(ジュードー)の使い手でもある。「古き神秘の国」である日本には絶対に行ってみたいと作中で語ってもいる(『怪盗紳士ルパン』所収『謎の旅行者』)。
よく「モノクル(片眼鏡)をつけたシルクハットと夜会服の男」としてイメージされるが、実は作中でそのような描写はなかったりする。原因は最初に出版された本の表紙のイラストで、以後ルパンのイメージとして認知されるようになってしまった。
ライバルとしてはガニマール警部とエルロック・ショルメ(シャーロック・ホームズ)がおり、何度か逮捕されては脱獄を繰り返している。
シリーズではアーサー・コナン・ドイル作の『シャーロック・ホームズ』とされる人物が何度か登場している。しかし大人の事情により(諸説あるが、一般的にはドイルからの抗議があったためとされる)『エルロック・ショルメ』と改名され、設定を変更されている。そのため、ホームズ本人との対決とは明確には言えないかもしれない。
なお、翻訳者によってはそのまま『シャーロック・ホームズ』とするものもある。
主人公・ルパン三世はアルセーヌ・ルパンの孫となっているが、設定が作品によって異なるため、一体誰がルパン二世にあたるのかは不明である。
ルブランの原作では、1893年に母親は不明だが長女のジュヌヴィエーヴ、1899年にクラリスとの間に生まれた長男のジャンと、二人の子供が登場している。しかし双方ともルパンが父親とは知らないはずである(ジュヌヴィエーヴについては、乳母のヴィクトワールが話した可能性はある) 。
そもそも作中ではジャンが泥棒をしている様子を苦悩している描写があるため、生存中に二世を名乗るものが居たとは考えにくい。
江戸川乱歩の代表作の一つ。少年探偵団シリーズの第一作目でもある。
アルセーヌ・ルパンをモデルとした敵役『怪人二十面相』が登場し、主人公である名探偵・明智小五郎と少年探偵団が彼に立ち向かっていくストーリー。
また少年探偵団シリーズではないが、明智小五郎が主人公の『黄金仮面』にはアルセーヌ・ルパン本人が敵として登場。ただし、設定は江戸川乱歩オリジナルテイストになっているので注意。
余談だが、この時日本に来ていたルパンとヒロインの子供が、上記のルパン三世の父という説もある。
掲示板
60 ななしのよっしん
2023/09/09(土) 10:06:08 ID: SMNdjRr2Ee
小説第1話「アルセーヌ・ルパンの逮捕」読み直してて感じた疑問。
(ネタバレになるので以後注意)
1:無線連絡「その船の一等船客にアルセーヌ・ルパンが乗っている、(中略)偽名R…」とここで雷で連絡不能に。
2:しかし挙げられた条件(一等船客・金髪・右手に傷・一人旅・イニシャルR)すべてに会う客はいない。
(一番疑わしいロゼーヌ氏も手に傷がない)
「3:実はルパンはベルナール・ダンドレジーという人間に成りすましていた。」
ベルナール・ダンドレジー(Bernard d'Andrésy)はイニシャル「R」じゃないんだけど・・・
劇中でもツッコまれて、ガニマールが「お前が使いそうな手だ」っていうけど、じゃあ最初の連絡はルパンかその手下がわざと伝えた誤情報なのか?だったら手の負傷(ルパンは本当に怪我している)とかいろいろごまかせそうなものをなぜ正直に伝えたんだろう?
61 ななしのよっしん
2023/10/21(土) 17:05:01 ID: ypXT8qkGH1
>>60
(以下ネタバレ注意)
ルパンの性格を考えるに、本当の情報の中に「1つ嘘を混ぜる」だけで人々を欺くことができるんじゃないか、というゲームを楽しもうとしたんだと思う。
そもそも安全策を取ろうとするのなら、全て嘘の情報を流す以前に、無線連絡自体しなければいいわけだからね。
「1つだけ嘘」というのがすごく絶妙で、乗客の立場からすれば、ルパンの存在をわざわざ知らせてくれた無線連絡にわざと嘘が混ぜてあるとは考えにくいだろうし、「無線連絡自体が自分たちを惑わすルパンの手なのでは…?」と思えたとしても、まさか本当の情報が入っているとは思いにくい。
さらにルパンは、自分から「条件に合う人間を探そう」と乗客たちに持ちかけ、一緒に「ルパン探し」をすることで、乗客の無意識に「全ての条件に当てはまる人を探さないといけない」と刷り込んでいる。
こういうスリルを楽しむようなやり方と心理誘導こそルパンの常套手段だから、ガニマールは「お前が使いそうな手」と評している。
62 ななしのよっしん
2023/10/23(月) 00:12:33 ID: OLnaHzB7hv
性格に根っからの泥棒ってところも付け加えてほしいなあ
ジャイアニズムそのものな理論語ってそれで相手の刑事か誰かにドン引きされてた話あったはず
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最終更新:2025/01/17(金) 16:00
最終更新:2025/01/17(金) 16:00
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