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この記事は第648回の今週のオススメ記事に選ばれました! よりニコニコできるような記事に編集していきましょう。 |
米国軍歌『Yankee Doodle』の替え歌。
日本では、登山家の間で外国民謡の替え歌が歌われていたらしく、他にもこのような歌が散見される(例えば『Oh, My Darling Clementine』の替え歌である『雪山讃歌』)。
この「アルプス」は日本アルプスのこと。飛騨山脈の代表的な山々の情景を歌っている。
一方、もとはむさ苦しき山の男たちの歌だけあって、もてない男の愚痴やシモネタも含まれる。
基本的に「七七七五」の甚句形式の歌詞となっており、実際に古い甚句や都々逸から取られたと思しき歌詞も散見される。また、3・21・27・29番は、大正時代に成立した新民謡「安曇節」から取られている。
29番まで存在する。
この手の歌には各種バリエーションがあることが普通で、舞台となっている場所が異なったり、同じような歌詞の番が2つあることを考えると、伝わっている歌詞を全て書くとこの量になる、というだけだと考えられる。
概ね、1-7番は一般的な登山の情景を、8-14番は女っ気のない登山家の愚痴を、15-20番は剱岳の情景を、22-29番は穂高岳~槍ヶ岳縦走ルートの様子を歌っている。
児童向けの楽譜などでは、「小槍の上で~」「一万尺にテントを張れば~」「昨日見た夢~」の3番までが紹介されることも多い。
歌詞はWikisourceから(橙字注釈および下線の解説リンクは引用者による)。
- アルプス一万尺 小槍(こやり)の上で アルペン踊りを (さあ)踊りましょ(う)
- 昨日見た夢 でっかいちいさい夢だよ のみがリュックしょって 富士登山
- 岩魚(いわな)釣る子に 山路を聞けば 雲のかなたを 竿で指す
- お花畑で 昼寝をすれば 蝶々が飛んできて キスをする
- 雪渓(せっけい)光るよ 雷鳥いずこに エーデルヴァイス そこかしこ
- 一万尺に テントを張れば 星のランプに 手が届く
- キャンプサイトに カッコウ鳴いて 霧の中から 朝が来る
- 染めてやりたや あの娘の袖を お花畑の 花模様
- 蝶々でさえも 二匹でいるのに なぜに僕だけ 一人りぽち
- トントン拍子に 話が進み キスする時に 目が覚めた
- 山のこだまは 帰ってくるけど 僕のラブレター 返ってこない
- キャンプファイヤーで センチになって 可愛いあのこの 夢を見る
- お花畑で 昼寝をすれば 可愛いあのこの 夢を見る
- 夢で見るよじャ ほれよが浅い ほんとに好きなら 眠られぬ
- 雲より高い この頂で お山の大将 俺一人
- チンネの頭に ザイルをかけて パイプ吹かせば 胸が湧く
- 剣(つるぎ)のテラスに ハンマー振れば ハーケン歌うよ 青空に
- 山は荒れても 心の中は いつも天国 夢がある
- 槍(やり)や穂高(ほだか)は かくれて見えぬ 見えぬあたりが 槍穂高
- 命捧げて 恋するものに 何故に冷たい 岩の肌
- ザイル担いで 穂高の山へ 明日は男の 度胸試し
- 穂高のルンゼに ザイルを捌いて ヨーデル唄えば 雲が湧く
- 西穂に登れば 奥穂が招く まねくその手が ジャンダルム
- 槍はムコ殿 穂高はヨメご 中でリンキの 焼が岳(やけがたけ)
- 槍と穂高を 番兵において お花畑で 花を摘む
- 槍と穂高を 番兵に立てて 鹿島めがけて キジを撃(う)つ
- 槍の頭で 小キジを撃てば 高瀬(たかせ)と梓(あずさ)と 泣き別れ
- 名残つきない 大正池 またも見返す 穂高岳
- まめで逢いましょ また来年も 山で桜の 咲く頃に
なお、原曲の「Yankee doodle keep it up~」の部分は「ランラランラランラランラ~」である。
ヨーロッパのアルプス山脈は最高峰モンブランが4810mなので、全然足りない。したがって、日本アルプスの歌であることがわかる。
槍ヶ岳頂上付近にある尖った岩。極めて急角度で屹立しており、登ること自体が困難である(ロッククライミングの技術が必要)。ましてや踊るなどさらに無茶であり、よい登山家は真似してはいけない。あくまで、「小槍なんて怖くないぜ! 上で踊ったりもできちゃうもんね!」という登山家の強がりである。
YouTubeを始めとする動画投稿サイトでは「小槍の上でアルペン踊り」をしている動画がいくつかあるが、頂上より少し下の安定した場所で踊っている場合がほとんどである。
「アルペン踊り」がどんな踊りなのかは伝わっていない。作詞者の冗談であり、そもそもそんな踊りはないのだろう。先述の動画では、めいめいアドリブで踊っている。
イワナ。サケ目サケ科イワナ属の淡水魚。渓流釣りで人気であり、塩焼きや唐揚げにして食べる。
谷や沢の、雪が溶けずに残っている場所。「溶けずに残っている」なので、夏の季語である。
ライチョウ。キジ目キジ科ライチョウ属の鳥。
本作に歌われる飛騨山脈にも生息する。国の特別天然記念物。
セイヨウウスユキソウ。エーデルワイスともいう。
キク目キク科ウスユキソウ属の高山植物に対する通称。
『The Sound of Music』の劇中歌『Edelweiss』に表れているように、セイヨウウスユキソウはヨーロッパアルプスを代表する花であるが、日本にも近縁種が生息している。
古都々逸「夢で見るよじゃ惚れよが足りぬ 真に惚れたら眠られぬ」から取っている。
ドイツ語のZinne(鋸壁/城壁の軒下にあるノコギリ状になっている部分のこと)より。
大きな岩壁を持つ尖峰のこと。
クライミングロープのこと。「ザイル(Seil)」はドイツ語での呼び名。
岩壁の段差があるところで、座るなどして小休止できるような場所のことをいう。
岩壁の割れ目にハンマーで打ち込むくさび状の金具。この穴にカラビナをかけ、ザイルを通して使う。
「ハーケンが歌う」は文学的表現ではなく立派な登山用語で、ハンマーを打ち込んだときに甲高い音が聞こえることを言う。これがあるとハーケンが効いているとされる。
穂高岳は日本でも有数の危険な山として知られ、登山家の憧れの山である。
この山に登ること自体が「度胸試し」ともいえる。
詳しくは「穂高岳」の記事を参照。
なお、ここから28番までの歌詞はおおむね連続しており、焼岳~槍ヶ岳の縦走コースを往復しているように読める。
ルンゼ(Runse)とは岩壁が水の浸食作用でえぐられた部分のこと。
「ルンゼ」はドイツ語で、英語のガリー(gully)に相当する言葉だが、日本の登山家は「ルンゼ」「ガリー」を大きさによって使い分けることがあるので話を聞くときは注意が必要。
「西穂」「奥穂」は西穂高岳と奥穂高岳のこと。奥穂高岳は主峰で、地図では単に「穂高岳」と表記される。奥穂高岳は北・南西・南東に3つの稜線を持ち、それぞれ北穂高岳・西穂高岳・前穂高岳に続く。
西穂高岳から奥穂高岳へ向かうルートは日本有数の難所として有名で、ジャンダルムはその途中にそびえ立つ峰。フランス語で「憲兵」の通称を持つ峰の危険な手招きに、登山家は誘惑されるのだ。
槍ヶ岳と穂高岳は同じ稜線の北と南に位置し、遠くから見れば隣同士。一方、焼が岳(焼岳)はそのはるか南にあるので、仲のいい二峰に嫉妬しているように見える。「リンキ(悋気)」とは嫉妬心のこと。
21番の歌詞と地理状況を合わせて考えると、槍ヶ岳が向かって左、穂高岳が右、その真中手前に焼岳が見えるどこかにいると考えられる。Google Earthで照合させると、奥飛騨温泉平湯方面、またはアカンダナ山の付近か。
「花を摘む」「キジを撃つ」は両方とも「トイレ」の隠語。前者は女性、後者は男性が使うのが一般的。
穂高~槍縦走ルートは危険な稜線が続く場所で、立っているのもやっとの場所である。
「鹿島」は鹿島槍ヶ岳のことと思われるが、このルートからははるか北にあり、見えるかどうかも怪しい。
これらを踏まえれば、「小槍の上でアルペン踊り」と同じく登山家の虚勢であり、こんな危険な場所でもウンコができるし、はるか遠くの鹿島までオシッコ飛ばせるもんね、と言いたいのだと思われる。
この2番はほぼ同じ意味なので、実際にはどちらかを選択して歌ったのだろう。
25番から続くシモネタ。
槍ヶ岳は高瀬川と梓川の分水嶺であり、北が高瀬川・南が梓川流域となる。
そのため、ここで立ち小便をしたら一方が高瀬川、もう一方が梓川に流れていくだろう、という歌詞。
「安曇節」の一節「槍で別れた梓と高瀬 巡り合うのが押野崎」から取られたもの。
源流を同じくする2つの流れは押野崎(現在の安曇野市明科)で合流する(梓川は犀川と名を変える)ので、長野県内で「泣き別れ」は終わる。
焼岳の麓にある池。
槍穂高縦走ルートを往復し、スタート地点である上高地を過ぎた帰り道にあたる。あれだけ苦労した道のりも、終わってみれば名残惜しい。
「まめで」は長野県の方言で「お元気で」の意。「山で桜の咲く頃」は、平地では初夏に近いだろう。
「安曇節」の一節「まめで逢いましょ また来る年の 踊る輪の中 月の夜に」から取られている。
以上のように、本曲は日本有数の峻険な山に登る雄々しき歌であるが、現代では主に女の子が手遊びしながら歌うことになっている。慣れれば超高速でやることもできる。
2人が向かい合わせになって行う。
振り付けは以下の通り。最初に「せっせっせーのよいよいよい」から始める方法もある。
韓流アイドルグループ「TWICE」のサナと同じくK-Pop歌手のKangNamが、韓国のバラエティ番組で「アルプス一万尺」を披露したところ大受けし、2017-2018年頃まで韓国内でブームになった。
韓国では全く知られていなかったので、初対面の2人が打ち合わせもなしに超高速でやり始めたことに驚いたようである(サナもKangNamも日本人なので当然できる)。
主に、日本各地において小学生くらいの子供たちの間で歌われたようだが、どのくらいの時期に成立したものなのか不明。口伝で伝わっていったもののようで、歌詞は微妙に異なっており、地域性もあるらしい。
例えば
「田舎のじっちゃんばっちゃん 芋食って屁こいて パンツが破れて空飛んだ じじいは殺さればばあは自殺 破れたパンツは博物館」
とか
「隣のじっちゃんばっちゃん トイレに入って ペーパーないので手で拭いた じじいは殺され ばばあは自殺 孫はトイレに流された」
など。シモネタかつ、他殺や自殺を歌う不謹慎な歌詞になっていることが多いようだ。
野沢直子による替え歌。『アルプスの少女ハイジ』のキャラクターを使ったシモネタソング。
タイトルを見ても分かる通り、本曲をヨーロッパアルプスと誤認して作詞されている。
ニコニコ動画では、「明るい歌を歌ってほしかったシリーズ」のBGMとして使用される。
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最終更新:2025/04/24(木) 13:00
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