アンテナ(antenna)とは、電波を送受信するために用いられる器具(設備)である。日本語では「空中線」と呼ばれる。
元々「antenna」という言葉は「昆虫の触覚」という意味で使われていた(現在も使われている)が、1895年にグリエルモ・マルコーニが長い導体線を用いた電波の送受信の実験を行った際に、この装置を昆虫の触覚に見立てて「antenna」と名づけたことをきっかけに、電波送受信器具のことをアンテナと呼ぶようになった。
実はマルコーニの実験時にも既に電波送受信器具の呼称として「aerial」という言葉が使われていたが、マルコーニが「antenna」と呼んで以降、すっかり「antenna」のほうが広く用いられるようになった(今でも「aerial」をアンテナの同義語として使うことはある)。
基本的には、電波を外部から受信したり電波を空間へ送信するための機器に外付けで取り付けられているものを指す。
送信用と受信用で用途を分けられる場合もあるが、送受信を兼ねて運用されている事も多い。
送受信する電波の種類や用途によって様々な形状のアンテナが存在し、大きさも異なる。
広く知られていると思われる、代表的なものを記述。
(こちらの分野に詳しい方がおりましたら、続々と追記・補完していって下さい)
魚の骨のような形状に定評がある、おそらく日本で最も有名と思われるアンテナ。
テレビの受信用に用いられていることで有名。現代でも大抵の一般家庭など建物の屋上(屋根)に設置されているさまを見かけられるだろうほどに、日常風景の一部として定着しているため、見た事が無い人はまずいないだろう。
最後部に反射器(一番長い棒)、その前に輻射器、そして前に導波器(短い棒)を並べた形状が特徴。
主にテレビ(VHF用、VHF/UHF共用)やラジオの受信用、及びアマチュア無線の基地局として運用される。
指向性のあるアンテナで、広範囲へ電波を送信できるほか、遠距離から電波を受信できる。
元は1925年、東北帝国大学工学部にて「実験中に電流計の針がおかしな振れ方をする」ことから、近くに置いてあった金属棒に原因がある事を突き止めたことからアンテナの基礎となる原理が確立。実験を行っていた八木秀次と宇田新太郎が共同でアンテナを開発、翌年に特許を取得したが、この時は「八木」の名だけで申請されたため、「宇田」の名は宇田の功績を知る人々の要望・訴えを受け、後年に付いた。そのため、多くは「八木アンテナ」という名前が定着していると思われるが、正式には「八木・宇田アンテナ」が正しい名称となる。近年の参考書などでも後者の名称で紹介されていることが多い。
この発明は欧米など海外では高く評価され、軍部でもレーダーが飛躍的な向上を遂げたため戦闘機や艦船などに幅広く配備されていったり、アメリカでは1930年頃にはこのアンテナが視界不良(夜間、悪天候など)の中で飛行機が空港へ着陸するための誘導システムにも利用された。
しかし一方、発表当時は国内では学会で見向きもされず、軍部でも「敵に居場所を教えるようなもの」と認識されたためさほど重要視されなかった。そのため日本では長らくこの発明の存在が知られず、やがて後年に第二次世界大戦が勃発した際はシンガポールの戦いでイギリスの植民地であったシンガポールを日本軍が占領、イギリス軍のレーダー関連の書類を押収した際、技術書の中に頻出する『Yagi』という単語の意味が日本軍の将校達に理解できなかった、という逸話もある。(当時の日本軍はこの言葉が日本語である事すら知らず、イギリス軍捕虜の技術者に『Yagi』の意味を尋ねたら「アンテナの発明者である日本人の名前だ」と返され、信じられなかったという。)
なお、1952年には八木・宇田アンテナの考案者・八木秀次がアンテナ及び周辺機器のメーカー『八木アンテナ株式会社』を創立。この企業は現在は『日立国際八木ソリューションズ』として、製品や保守サービスなどを提供し続けている。
御椀型のアンテナ。名前の「パラボラ(parabola)」とは『放物線』という意味で、その名のとおり曲線状の形をしている。球状に見える場合もあるが、反射鏡の部分は楕円形が正しい。
「ディッシュアンテナ」という別名もある。 (ディッシュ(dish)=皿、の意)
上述の八木・宇田アンテナと並んでこれいかにもアンテナ、といった感じの形状はメカ好き・機械好きの心をくすぐる。
「どの曲面からでも、ある一点(焦点)へ向かって反射する」という放物面(楕円)の幾何学的性質を利用し、焦点となる部分に一次輻射器を配置することでそこから放射された電波を反射鏡から一方向へ集束させ反射させる。外部から電波を受信する場合は真逆の経路となる。
電波望遠鏡や、衛星放送の受信に用いられる事で有名。
こちらのアンテナも用途によってサイズも多様で、家庭用の1m程度の大きさから、衛星通信や電波望遠鏡に用いる10~100m級という大きさまで様々である。
長野県佐久市(旧臼田市)に存在する「JAXA 臼田宇宙空間観測所」には、東洋一の大きさを誇る巨大なサイズのパラボラアンテナが存在する。その反射鏡は直径64m、重量1980tという代物。
その名の通り棒状のアンテナ。入れ子のように伸縮自在な形なのが特徴。
トランジスタラジオや自動車用ラジオなどに付いている。
中波帯の電波を利用している関係上長さが30mから240mと巨大。設置やメンテナンスで多額の費用がかかり問題になっている。
「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する妖怪アンテナをはじめ、漫画やアニメに登場するキャラクター達のアホ毛を指して用いられる。「細い棒が頭からピンと立っている(生えている)」さまは、時にアンテナと呼んでも違和感が無いものすらある。
また上記で紹介してきたアンテナから転じて、「情報を外部からキャッチする」機能を指してアンテナになぞらえる場合もある。(同様に、情報を収集することを「アンテナを張る」など。)
ニコニコ大百科的には、記事や掲示板の更新情報を知らせるウォッチリストの事もアンテナと言えなくもない。
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最終更新:2025/03/31(月) 11:00
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