アーサー・リンチ(Arthur Lynch)とは、「銀河英雄伝説」に登場するキャラクターである。
CVは小物キャラに定評のある広瀬正志(石黒監督版)。広中雅志と間違えた人はぜっふるぜっふる。
Die Neue Theseではフレーゲルに定評のある二又一成が担当。
自由惑星同盟少将、”エル・ファシルの戦い”における同盟軍司令官。
石黒監督版OVAにおける旗艦は標準型戦艦<グメイヤ>。
後世卑怯な逃亡者として扱われるリンチだが、その前半生はさほど問題のあるものではなかった。
士官学校時代は二級上のドワイト・グリーンヒルに将来を嘱望されていたし、彼が少将の地位を得たのは40代と一部の特段有能な人物に比べれば確かに遅かったものの、それでも将官まで昇進した事自体が、リンチが前線での戦闘にせよ事務仕事にせよそれなりの能力を有していたことを示していた。妻と二人の子もおり、私生活の面でも特に問題ない人物だったようである。
その転機が訪れたのは、彼がエル・ファシル星系で艦隊を指揮していた時であった。
宇宙暦788年、エル・ファシルを巡り、警備艦隊同士の小戦闘が勃発した。同盟帝国の境界線の近くではよくある小競り合いで、その規模も1000隻ずつ程度のものだった。両軍はいつも通りひとしきり砲火を交え、二割程度の損傷艦を出していつも通り撤退しようとした。だが、帝国軍の後退を見て自らも帰路についた同盟艦隊は、いつも通りでなく後背に急襲を受けたのである。奇襲を受け恐慌状態に陥った司令官リンチは、撤退命令も忘れ惑星エル・ファシルまで逃げ戻ってしまったのだった。
なんとかエル・ファシルまで逃げ帰れた艦は200隻ほどだった。どうやら帝国側の司令官はなかなかにアグレッシヴだったらしく、大勝利に続いて艦隊を三倍に増強し、エル・ファシルそのものを占拠せんとする。エル・ファシルの300万市民は戦慄して脱出を求めたが、リンチはその辺でひなたぼっこ参謀を決め込んでいた幕僚ヤン・ウェンリー中尉に脱出計画を任せると、なんと部下たちとともに市民を見捨て、逃亡を試みた。
当然ながら、この不名誉な逃亡はうまく行かなかった。帝国軍の追撃を受けたリンチとその艦は更に不名誉な降伏を余儀なくされ、不名誉にも市民を見捨てて逃げた不名誉極まる叛乱軍捕虜として扱われた。彼は収容所に送られたが、後の戦いで収容所に送られてきた捕虜がアーサー・リンチという不名誉な名とその由来を伝えると、収容所でも立場がなくなった。彼とその部下は他の捕虜から卑劣漢と蔑まれ、リンチは酒に溺れるしか無かった。本国の妻にも離縁された。
それが9年間続いた宇宙暦797年、帝国暦488年のことである。
一隻の帝国軍駆逐艦によってオーディンに引き立てられたリンチは、思わぬ相手と出会うこととなる。その人物は、帝国軍元帥、宇宙艦隊司令長官ラインハルト・フォン・ローエングラム侯爵であった。
20以上も年下のラインハルトはリンチに対し、同盟軍内でクーデターを起こさせるよう命じた。成功報酬は帝国軍少将の座、計画書も準備済み。それでも失敗すれば死ぬと恐れるリンチに、ラインハルトは冷酷に言い放った。
「そのときは死んでしまえ!」
「いまのお前に、生きる価値があると思っているのか。お前は卑怯者だ。
まもるべき民間人も、指揮すべき兵も捨てて逃亡した恥知らずだ。
誰ひとりお前を弁護しはしない。そんなになっても、まだ生命がおしいか」
この金髪の若者の言葉は、9年間の恥辱と酒気に埋もれた彼の鋭気を確かに蘇らせる。
「そうだ、おれは卑怯者だ……」
帝国軍少将の座など、彼にはもはやどうでも良かった。「自己の正しさを信じてうたがわない人間に、弁解しようのない恥をかかせてやりたかった」という思いに突き動かされた彼は同盟に潜入すると、旧知の人物で良き先輩であったドワイト・グリーンヒル大将らに接触し、救国軍事会議を結成させてクーデターを実行した。救国軍事会議はハイネセンを抑え、クーデターは成功するかに見えた。
だが、全ては再びヤン・ウェンリーによって覆される。イゼルローン要塞司令官、大将となっていたヤンはラインハルトの陰謀を見抜き、各所の叛乱を速やかに鎮圧するとハイネセンを包囲したのだった。そして彼はバグダッシュを通し、同盟市民にクーデターが帝国の陰謀であることを知らしめた。
それでもなお、グリーンヒルはリンチを信じていた。しかしリンチは自ら計画がラインハルトによって考えられたものであることを暴露し、その信頼を裏切る。当の本人に「見る目がなかった」と指摘されたグリーンヒルは激昂してリンチを射殺しようとしたが、逆にリンチがグリーンヒルを射殺した。彼は直後に救国軍事会議のメンバーたちに射殺されたが、死の直前に「おれはグリーンヒルの名誉を救ってやったのだぞ」と嘯き、果てた。
掲示板
58 ななしのよっしん
2022/08/08(月) 18:16:40 ID: RJMAcJ4jyk
59 ななしのよっしん
2022/11/08(火) 18:40:55 ID: GwsUAHSFRL
>自己の正しさを信じてうたがわない人間に、弁解しようのない恥をかかせてやりたかった
これは原作でも言ってるよ。
60 ななしのよっしん
2022/11/11(金) 09:49:54 ID: 0qamQ4ZozW
いくら何でもあんな書類如きで計画が実現するとは思い辛い
クーデターが成功したのはリンチの並みではない才覚があったからだろう
人格はアレだが才能は本物という人物は現実世界には大勢いる
急上昇ワード改
最終更新:2024/03/28(木) 23:00
最終更新:2024/03/28(木) 23:00
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