イクイノックス単語

イクイノックス

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曖昧さ回避

イクイノックス(英:Equinox)とは、「分点」または球上の太陽が分点を通過する日を表す英単

「分点」とは、が交わる点のこと。球上に2つ存在し、に通過する方をを春分点(Vernal equinox)、の方を分点(Autumnal equinox)という。これが通過する日を「春分」「分」と呼び、この日は太陽東から昇り西に沈み、の時間がほぼ同じになる。

  1. 日本競走馬本記事で記述。
  2. ヨーヨージャム・イクイノックス - ヨーヨージャムが販売していたヨーヨーの名。

イクイノックスとは、2019年生まれの日本競走馬である。青鹿毛

な勝ち
2021年東京スポーツ杯2歳ステークスGⅡ
2022年天皇賞(秋)GⅠ)、有馬記念GⅠ
2023年ドバイシーマクラシックGⅠ

概要

血統背景

イクイノックス
Equinox
生年 2019年3月23日
サラブレッド
性・毛色 青鹿毛
生産 日本JPN
生産者 ノーザンファーム
(北海道町)
馬主 (有)シルクレーシング
調教師 木村哲也(美)
名意味 の長さがほぼ等しくなる時
初出走 2021年8月23日
抹消 (現役)
戦績 7戦5勝[5-2-0-0]
獲得賞 12億6549万2100円
(2023年4月現在)
受賞歴
JRA賞
年度代表馬2022年
最優秀3歳2022年
競走馬テンプレート

キタサンブラックシャトーブランシュ、キングヘイローという血統。
言わずと知れたGⅠ7勝の2010年代を代表するアイドルホース。イクイノックスはその初年度産駒である。
2015年マーメイドステークスGⅢ)の勝ち
は11度GⅠ挑戦で高松宮記念を勝った不屈の良血としてピクシーナイトディープボンドなど2021年重賞を多数輩出して注を集めている。
2021年ラジオNIKKEI賞GⅢ)を勝ったが4歳の予後不良となってしまったヴァイスメテオールがいる。

2019年3月23日ノーザンファームで誕生。オーナー一口馬主クラブシルクレーシング、募集価格は1口8万円×500口(=4000万円)だった。

名の意味は、上記の通り「の長さがほぼ等しくなる時」。

イクノディクタス等の「イクノ」冠名がいるためか「イクノイックス」とよく間違われるが、イクイノックスである。たまにスポーツネット記事とかでも間違えられている。後述の東スポ杯2歳Sではテレビ東京「ウイニング競馬」の矢野アナウンサーが「イクノイックス」と連呼してしまっていた。

キタサンブラックが頑丈でタフな先行押し切りタイプだったのに対し、イクイノックスはやや体質が弱く末脚のキレ味が武器の差しであるため、よりもそのライバルだったドゥラメンテに似ているとよく言われている。

昼と夜とを分かつ時

2歳・超新星登場

木村哲也厩舎に入厩したが、デビュー前に木村師がパワハラ調教停止処分を受けてしまったため、7月末から同厩のオーソリティファインルージュジオグリフなどともども、一時的に岩戸孝厩舎に転厩。

そんな人間側のゴタゴタはさておき、デビュー8月28日新潟新馬戦(芝1800m)。上はクリストフ・ルメール。先頭集団につけて好位で先行し、直線残り200mから他一気に置き去りにして6身差の圧勝デビューを飾る。
ちなみにこの新馬戦、3着には後に阪神ジュベナイルフィリーズを制するサークルオブライフがいた。

木村師の処分解除に伴い11月から木村厩舎に戻り、2戦GⅡ格上げ初年度の東京スポーツ杯2歳ステークス。単勝2.6倍の1番人気に推される。今度は後方からのレースになったがしっかり折り合い、直線入口で外に進路が開くと、残り300mから抜群の加速で一気に差し切り、レース史上最速タイの上がり3F329叩き出して2身半差の快勝。キタサンブラック産駒重賞初制覇となった。上のルメールも「が自分でリズムを見つけて走り、直線で加速して、すごく良い脚を使ってくれました。楽勝でした」と絶賛。

2歳GⅠには進まず、年内は放牧で休養。

3歳春・不運と惜敗のクラシック

東スポ杯2歳Sでの圧巻のパフォーマンスで一躍クラシックの本命補となり、クラシックへのローテーションが注されたが、体質的に背に疲れがたまりやすいそうで、なんとそのまま戦を一切挟まずGⅠ皐月賞へ直行コントレイルのように2歳GⅠからのクラシック直行もしくなくなったとはいえ、東スポ杯2歳Sから5ヶ後の皐月賞への直行は異例のローテである。

皐月賞当日は混戦ムードの中、大外818番で、単勝5.7倍の3番人気東スポ杯で見せたポテンシャルの評価の高さに対して、右回り中山2000mも初体験、おまけに大外かつレース自体5ヶぶり……といった不安要素に皆が半信半疑だったことがえるオッズである。ルメールは同厩のもう一頭のお手ジオグリフがいたが、イクイノックスを選択。ジオグリフ福永祐一となった。
レースは前の5番手という好位先行を選択。そのまま直線に入り、前にもいない絶好のポジションからするりと抜け出すが、そこに外からぴったりとつけてきたのが同厩のジオグリフ! 同僚との叩き合いに突入したが最後のひと伸びで振り落とされ2着ルメールは「前にを置いて、慢ができなかった。その差がでてしまった」とコメントした。
惜敗とはいえ、上述した数々の不安要素がありながらも1番人気ドウデュースら後続は寄せ付けない2着という結果に、めてそのポテンシャルを見せ付けるレースとなった。

続く日本ダービーはなんとまたしても818番が不安視されたか、ダノンベルーガに次ぐ単勝3.8倍の2番人気キタサンブラックキングヘイローとも14着に惨敗した舞台1番人気の呪いを回避し栄冠をしたが……。
レースはデシエルトがハイペースで飛ばす中、ドウデュースらを見ながらじっくりと後方3番手に構える。直線で外に持ち出し、逃げ先行勢がハイペースで潰れる中、上がり最速で前を行くドウデュースを猛然と追いかけるも、最後までドウデュースぎきられ、レコード決着に僅かに及ばず悔しいクビ差の2着上のルメールも「直線でドウデュースの外へ出した時は勝てると思いましたが、ドウデュースもまた伸びました。いい競馬はできたがしようがない」と悔しさを滲ませるコメント
レース後、左前脚の腱に相当のダメージがあることが判明。レコード決着の代償は大きかったようだ。放牧で英気を養い、に備える。

3歳秋・覚醒の時

2022年天皇賞(秋)・沈黙を打ち破る天才の一撃

の勝った菊花賞には向かわず、直行で天皇賞(秋)へ参戦。2022年の中央GⅠはここまで1番人気が一度も勝てておらず16連敗中という状況の中、47番というん中のを引けたこともあってか、単勝2.6倍の1番人気に支持される。相手どころは同期ジオグリフダノンベルーガ、古勢ではドバイGⅠを勝ったシャフリヤールパンサラッサ札幌記念パンサラッサを下したジャックドールなどが人気を集めた。
パンサラッサジャックドールバビット逃げ3頭のハナ争いが注されたレースは、大方の予想通りパンサラッサハナを奪って逃げる態勢。そのまま後続をどんどん突き放し、1000m通過574というとんでもない大逃げになる。理に追うはおらず、残りの面々はスローで直線末脚勝負の構えとなる中、イクイノックスはシャフリヤールを見るように中団に構えた。
4でもじっとタイミングを待ち、直線で外に持ち出すと脚一。前から先頭に追いすがろうとするジャックドールも振り切って猛然と追い込み必死逃げパンサラッサを狙い澄ましたように差し切ったところがゴールだった。

残り200を通過している、さあ! 届くのか!? 届くのか!?
逃げ切るのかパンサラッサ
外からイクイノックス! イクイノックス届くか!
そして、ダノンベルーガ届くのか!
イクイノックス! 届いた届いたー!!!!
最後は、天才の一撃!!!
大逃げパンサラッサを、ここで捕らえた!
クラシックの悔しさは、ここでらした天才の一撃!!!

――フジテレビ 立本信アナ

上がり3ハロンメンバー中最速、そして自己最速を更新する327。悲願のGⅠ勝利を極限の末脚でつかみ取ってみせた。

世代屈ポテンシャルを示しながらも、にも祟られ惜敗で終えたを越え、史上最短となるキャリア5戦での天皇賞(秋)制覇。キタサンブラック2017年に同レースを勝ったときと同じ番で産駒GⅠ勝利。3歳での天皇賞(秋)制覇は史上5頭、そのうち秋天GⅠ勝利シンボリクリスエス以来2頭1番人気の呪いを蹴っ飛ばし、世代の役から現役最強の一へ、天才が高らかに名乗りを挙げる勝利となった。
デビューからコンビを組んできたクリストフ・ルメールも「アンラッキーだったけど、ようやく本当のイクイノックスを見せられた」と笑顔を見せた。

11月に発表されたロンジンワールドベストレースホースランキングでは、124ポン123ポンドを獲得。これはタイトルホルダーに次ぐ日本2位の評価であった。

2022年有馬記念・天才少年の真価

ジャパンカップはパスし、年内の締めくくりは有馬記念。同年の天皇賞(春)宝塚記念を圧勝した、凱旋門賞帰りのタイトルホルダーとの対決となった。前述の通りイクイノックスはよりもそのライバルだったドゥラメンテタイプが似ているのだが、そのドゥラメンテ産駒であるタイトルホルダーはまさにキタサンブラックのようなタフでパワフル逃げであり、全盛期が重ならなかった同期ライバル産駒同士、お互いなぜか相手に似た子供同士の突と言う意味でも血と因縁のドラマを感じさせる一戦と見込まれた。
その他にもエリザベス女王杯GⅠ戴冠を果たした良血ジェラルディーナJCを勝ち底を見せていないヴェラアズール、前年の1,2着復活を期すエフフォーリアディープボンドなどグランプリにふさわしいメンツがった。その中でもイクイノックスは単勝2.3倍の1番人気に支持される。

59番から上手くゲートを出たが、ロケットスタートを切ったタイトルホルダーをつけようと周囲が押しているのをチラリと見やったルメールはスッと下げ、群のん中に入れる。1000mは612とやや緩く、タイトルホルダーの後ろはひとかたまり。イクイノックスはやや外にいたこともあってか向こう正面中間あたりから行きたがる素振りをみせ、ルメール理に押さえつけなかったため3から外を捲るように持ったまま進出。大外の3番手で直線を向き、ここでルメールがゴーサインを出すと別格の手応えで末脚炸裂。いつものりがないタイトルホルダーもろとも先行を一で抜き去り、後方から追ってきた菊花賞2着ボルドグフーシュも置き去りにして全な一人旅。最後は2身半差をつける大楽勝でGⅠ2勝を挙げた。

外から、持ったまんまで! ルメールとイクイノックスが迫ってきた最後の直線迎えました!
外に回してボルドグフーシュ福永祐一が追い込んでくる!
イクイノックス先頭!
イクイノックス先頭、2番手エフフォーリアボルドグフーシュが来ている、
そして、ジェラルディーナも追い込んできた、
しかし突き抜けた! めに突き抜けた!
天才少年! 中山でも強し!!!
イクイノックスーーーーーッ!!!!

――フジテレビ 青嶋達也アナ

これで天皇賞(秋)に続きキタサンブラックとの子制覇(シンボリルドルフトウカイテイオーディープインパクトジェンティルドンナサトノダイヤモンドハーツクライリスグラシューに次いで5例)。秋天に続き、キャリア6戦での有馬記念制覇は史上最短記録。そして2年連続で秋天を勝った3歳有馬も勝つという結果になった。なお有馬記念での3歳同士のワンツーは1994年の1着ナリタブライアン→2着ヒシアマゾン以来28年ぶりである。そして秋天に続いて古を撃破したことにより、最優秀3歳論の事、年度代表馬も十分に手繰り寄せられる勝利となった。

上のクリストフ・ルメール2005年ハーツクライ2016年サトノダイヤモンドに続き有馬記念3勝。実はこの3勝は全て12月25日の開催で、ルメールインタビューで「二度あることは三度あると思ってました」と笑顔を見せた。ちなみにゴール後も相当掛かり倒していたらしく、現役最後の有馬記念を2着で終えてハイタッチをしようとをかけてきた福永祐一に「ゴメン今ムリ!!」と返してしまうほど止めるのに必死だったらしい。

年度代表馬タイトルホルダーとの争いになったが、やはり有馬記念で直接対決勝利したのが大きく、288票中282票を集めて見事年度代表馬いた(ルール上当然だが最優秀3歳も同時受賞)。

2022年度のロンジンワールドベストレースホースランキングでは、有馬記念の走りが評価されて、126ポンを獲得。これはFlightline140ポンド)・Baaeed135ポンド)に次ぎ、Nature Stripに並ぶ世界3位で、日本の中では1位レーティングである。FlightlineBaaeed2022年限りで引退したため、現役として事実世界最強となった。

こうしたイクイノックスの活躍もあって、キタサンブラックの種付け料は500万円だったところ、2023年からなんと1000万円に倍増。思えばキタサンブラックも3歳ゆい敗戦を重ねたあと、菊花賞を制してから古戦線の王者となった。同様、に戴冠を迎え孝行息子となった天才少年は、年が明けて天才青年へと成長した後、ここからどんな物語を紡いでいくのか。大いなる期待を持たせて3歳を終えた。

4歳春

2023年ドバイシーマクラシック・これほどまでに強いのか

4歳となって初戦は初の海外遠征となるドバイシーマクラシック。1歳上のダービーシャフリヤール引退レースとなるウインマリリンとともに挑むことになった。BCターフ勝ちレベルスロマンスなどが出走してきたが、前述の評価もあり、日本馬券発売はもちろん、海外ブックメーカーでも1番人気に支持される。

明確な逃げがおらず先行争いが注される中、レースが始まって日本ファンに飛び込んできたのは、ハナを切る青鹿毛体とシルクレーシング勝負服なんと差しのイクイノックスが先頭に立ったのである。おいおいここにきてキタサンブラックに倣い脚質転換か、とファンがどよめく中、前半を時速59km/h台のスローペースで先頭を走ったイクイノックスは、そのまま抜群の手応えで直線へ。ルメールすら入れることなく、軽く押しただけで65~66km/hに加速。このスピードに後続はついていけず、あっさりと突き放す。残り100mで後ろを振り返ったルメール勝利を確信し、ノーステッキのまま最後は流して、残り50mでレースが終わった合図を出して減速したにもかかわらず、ミシュリフコースレコードを約1更新するという、世界最強の評価に恥じない異次元の内容で3身半差の圧勝。逃げたというよりは、差しがただ最初から先頭を走っていただけというレースであった。

Here's the Titan of the World's Turf!!
He is Equinox!!

――Larry Collmus(現地実況アナ)

ルメール2006年ハーツクライで勝って以来のこのレース2勝。そのハーツクライも、後方からの追い込み一辺倒のだったのを、有馬記念で先行させてディープインパクトを撃破し、次いでこのドバイSCでは今回のように初めて逃げての勝利だった。勝利後のインタビュールメールは「ハーツクライから自分の第2の騎手人生が始まったと思っています」と2週間前に立った相棒を悼みつつ、「今回の相手でこんな競馬ができてうれしく思います」と胸をった。

世界の強が集まる海外GⅠ、1着賞348ドル(約4億5000万円)の大舞台で、まるきり公開調教のような内容での勝利には、日本ファン奮を通り越して然、戦慄、困惑。まさに「これほどまでに強いのか」と震えるしかない勝利であった。際的にも高い評価を受け、4/13にロンジンワールドベストレースホースランキングにおいて発表されたレーティング129ポン。この値は2013年有馬記念オルフェーヴル2014年ジャパンカップエピファネイア2016年末に下方修正される前のエイシンヒカリに並ぶものであり、この2頭の実質最終的なパフォーマンスに付けられた値である。そんな値を未だ完成前・発展途上と評される段階で叩き出してしまったのだから末恐ろしい。

後の次走は宝塚記念へ。グランプリ連覇をし、結果次第でには再び遠征に赴く模様。凱旋門賞には行かず、米国ブリーダーズカップ・ターフプランが有視されているようだ。一方で内専念となると連覇の懸かる天皇賞(秋)ジャパンカップといった注レースが多いだけに、今後の動向からが離せない。

血統表

キタサンブラック
鹿毛 2012
ブラックタイド
黒鹿毛 2001
*サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
*ウインドインハーヘア Alzao
Burghclere
シュガーハート
鹿毛 2005
サクラバクシンオー サクラユタカオー
サクラハゴロモ
オトメゴコロ *ジャッジアンジェルー
*テイズリー
シャトーブランシュ
鹿毛 2010
FNo.16-b
キングヘイロー
鹿毛 1995
*ダンシングブレーヴ Lyphard
Navajo Princess
*グッバイヘイロー Halo
Pound Foolish
ブランシェリー
鹿毛 1998
*トニービン *カンパラ
Severn Bridge
メゾンブランシュ Alleged
*ブランシユレイン

クロス: Lyphard 5×5×4(12.50%)、Halo 4×4(12.50%)

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最終更新:2023/06/02(金) 00:00

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