イセッタ 単語

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イセッタ

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イセッタとは、イタリアのイソ社およびドイツBMWなど複数社(ライセンス生産)がかつて生産していた自動車である。
名前の意味は「小さなイソ」。

概要

もともとイソ社は第二次世界大戦中の1939年に創業され、冷暖房器具を生産していた会社であるが、戦後になってよそのライセンスを取ってスクーターを生産していた。

その後すぐにオリジナルスクーター開発に手をかけるようになり、そこから生してバイクオート三輪開発も行った。
そして、「これだけノウハウ貯まったら4輪もいけるんじゃね?」ということで開発を始めたのがこのイセッタである。
構造は250~600cc1気筒エンジン+後輪駆動1ドア

こいつが1953年ショーでお披露された時のインパクトは凄まじかったという。
というのも、こいつの特徴は全長2.3m、幅1.4mという自動車にしてはあまりにも小さすぎる外見と体前方から乗り降りする」ということで、それまでの自動車常識を覆すスタイルが皆の度肝を抜いたからだ。これでも大人二人と子供一人が座れる設計なのだからなお驚き。
え?事故ったらどうやって脱出するかって?ほれ、上にキャンバス製のサンルーフがあるじゃろ?
ちなみに当初は3輪の予定だったそうだがすっ転びやすかったため4輪になったらしい。この点では英国の某三輪よりは利口。
だが、後輪のトレッド(左右の輪の間隔)は極めて狭く、横転を防ぐための最低限のものであり、乗用車モデルには内輪差を吸収するデフすらなかった(商用バージョンには搭載されていた)。そのため、知らない人が前方から見ると3輪と勘違いしてしまうことだろう。

こいつやメッサーシュミット開発したKR220など移動手段として最低限の性を持ち、なおかつお手頃価格で購入できたものは「バブルカー」と呼ばれ、戦後のゴタゴタで経済的に立ち直れていなかったヨーロッパの大衆にウケて爆発的に広まっていった。
最終的にイソはライバルであり、イタリア内で圧倒的シェアを誇っていたフィアット・トポリーノ(500C)のに負け、2年で生産を取りやめ、イソ・イセッタとしては1955年までで1000台程度が世に出回ったとされる(その後はスペインで細々と生産)。
その後BMWなどイタリア外の企業ライセンス生産していたが、特にBMW・イセッタとしては16万台近くが世に出たという。そのせいでイセッタというとBMWとして認識されることが多い。

ところで、なぜドイツメーカーライセンス生産を引き受けたかという疑問が湧いてくると思う。
当時BMW戦後の中501というモデル開発したのだが、何をトチ狂ったのか高級として販売した。503やエルビス・プレスリーが愛した507同様米国市場を狙った製品で、モノは決して悪くはなかったのだが、敗戦後間もなく経済的に立ち直れていなかったドイツ内では当然ながら大失敗に終わり、借で首が回らなくなってしまった。
当時の四輪部門担当はモーターショー会場でこのイセッタにをつけ、イソに話を持ちかけた。上記の通り販売が頭打ちになっていたイソは、ライセンス許可ばかりか工作機械の譲渡まで認めた。
こうして、オリジナル2ストローク単気筒エンジンからBMW製の256cc4ストローク単気筒エンジンに替え、若干デザイン変更を経て1955年にイセッタ250の名で売りだされた。

この賭けは成功し、初年で1万台の生産を記録パワーアップ版のイセッタ300も売りだされ、使い勝手の悪かったウィンドウりを善するマイナーチェンジをした。ちなみに英国にも輸出されたが、後輪1輪にし、3輪とすることで税金を安くしていた(後のリライアント・ロビン同様、「3輪だからこれはバイクだ」となり、バイク免許で運転できた上、自動車ではなくバイクの税制が適用された)。
しかし所詮付け焼きであり、ある程度売れてくると乗人員が少ないこと等が不満点として出てきた。
そこで1957年にボディを前後に延長、後部ドアを付けて大人4人が乗れるようにした上でリアサスペンションを新設計、エンジンも582ccモーターサイクルフラットインエンジンパワーアップ、トレッド普通に広げられたことからデフも装備。これで一応のリアエンジン・リアドライブ乗用車と呼べるものになった。これが600である。

ここからは余談となるが、BMWはさらに経営の安定を図るために本格的な大衆を作ろうとした。
当然カネはかけられないので600のシャシーをそのまま流用、エンジンも手持ちのモーターサイクル用を使って、いっぱしのセダンを作り上げてしまった。これが700であり、販売台数7万台をえる大ヒットシリーズとなり、BMWなんとか経営を立て直すことに成功した。
さらに、600の為に作ったトレーリングアームと呼ばれるリアサスペンションは、セミトレーリングアームに良の上でノイエ・クラッセと呼ばれた新シリーズ1500に引き継がれている。イセッタはBMWにとってまさに救世主であり、その後のモデルの礎ともなったパイオニアなのである。

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最終更新:2024/04/24(水) 21:00

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