イニシャルキャップ 単語

イニシャルキャップ

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ニシルキャップInitial caps)とは、活字の文章組みにおいて段落や単一文字頭文字イニシャル)を大きくするタイポグラフィデザインの手法である。正式名称をイニシャルキャピタルレターInitial capital letters)と言い、単にイニシャルInitial)とも呼称される。

概要

テン文字アルファベット)圏における宗教的な書物の「装飾写本」としての装飾技法の一つとして発明された。
かつての古代ローマで用いられていたラテン文字文字組みでは、スペーシング(品詞の間に配置される空白)すら存在しなかったため大文字等の区別も存在しなかった。しかし古代ローマ末期にスペーシングが使用されるようになったところ、読みやすさが考慮され、文章の左に設けられた空白に本文の2倍ほどの大きさのイニシャルが配置されるようになった。これがイニシャルキャップの始まりであった。

ランドの装飾写本では、イニシャルキャップ以降の文字も強調し、徐々に小さくするという手法も現れた。ケルズの書やリンディスファーン福音書などの装飾写本の例が有名で、「徐々に弱く」という意味の音楽から取ってディミヌエンド効果と呼称されるようになる。


れは時代が進むにつれてどんどん肥大化していき、色がつけられたり、動物植物幾何学模様などの装飾や独自の合字・略字が形作られるまでになる。
この書体インシュラー体と呼ばれ、アイルランドの宣教師などによってイングランドなど諸で広がったが、イニシャルキャップはそれを徴する特徴の一つであった。
特に植物に形をとった螺旋で表され動物人間などの図が描かれたイニシャルキャップは、インハビテッドイニシャルと呼称された。

の後、オストン美術アングロクソ美術、ロマネスク様式を経てゴシック様式に至ると、イニシャル植物系の装飾を残しながらも再び小さく落ち着くようになった。
活版印刷が登場してもイニシャルキャップは用いられた。ごくごく初期には、活字職人がイニシャルキャップのためのスペースをあらかじめけたところに、レタリング師や細密画が後からイニシャルを書き加えていたが、やがて木版画や版画などの技法によって組版の一部として印刷が行われるようになった。

代でも多くの用例がある。歴史的に示されるような大胆な装飾は減ったものの、例えばで囲ったり、色を反転させたり、文字凹みなどに合わせて本文の文字を入れ込んだりなどの装飾の例が存在する。Microsoft WordPages、一太郎などの要なワードプロセッサソフトウェアの大抵にはイニシャルキャップ機が備わっている。Webにおいても2003年よりW3Cで勧告されており、CSSでの利用が可となっている(ただし、当記事ではニコニコ大百科の制約上span等を用いて擬似的に表現をしている)。

イニシャルキャップの種類

一行目の他の文字と同じベースラインに置く例

レーズドキャップRaised caps)と呼ばれる。コンピューター上において最も実装が容易なイニシャルキャップである。CSSfirst-letter擬似要素を用いるか、単に、文字の大きさを変えて、必要に応じて行間などを調整すればよい。

ョバンニが学校の門を出るとき、同じ組の七八人はへ帰らずカムパネルラをまん中にして校庭の隅のの木のところに集まっていました。それはこんやの祭にあかりをこしらえてへ流すを取りに行く相談らしかったのです。

 けれどもジョバンニは手を大きく振ってどしどし学校の門を出て来ました。すると町の々ではこんやの銀河祭りにいちいの葉の玉をつるしたりひのきの枝にあかりをつけたりいろいろ仕度をしているのでした。

左の余白に配置して、本文をインデントする例

最も古典的なイニシャルキャップ。ハンギンキャップ(Hanging caps)と呼ばれ、ウェブ上ではtableなどを使って実装するのがベター。

ョバンニが学校の門を出るとき、同じ組の七八人はへ帰らずカムパネルラをまん中にして校庭の隅のの木のところに集まっていました。それはこんやの祭にあかりをこしらえてへ流すを取りに行く相談らしかったのです。

 けれどもジョバンニは手を大きく振ってどしどし学校の門を出て来ました。すると町の々ではこんやの銀河祭りにいちいの葉の玉をつるしたりひのきの枝にあかりをつけたりいろいろ仕度をしているのでした。

ベースラインを一行目より下げて回り込ませる例(ドロップキャップ)

下に落ちているためドロップキャップDrop caps)と呼ばれる。ウェブの場合はfirst-letter擬似要素やfloat:leftなどで実装できる。

ョバンニが学校の門を出るとき、同じ組の七八人はへ帰らずカムパネルラをまん中にして校庭の隅のの木のところに集まっていました。それはこんやの祭にあかりをこしらえてへ流すを取りに行く相談らしかったのです。

 けれどもジョバンニは手を大きく振ってどしどし学校の門を出て来ました。すると町の々ではこんやの銀河祭りにいちいの葉の玉をつるしたりひのきの枝にあかりをつけたりいろいろ仕度をしているのでした。

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