イノエ

イノエとは、主に東方ＰＲＯＪＥＣＴの絵を描く人である。

概要

イノエが最近私に冷たい気がする。目も合わせてくれないし、何を聞いても適当に切り上げて。

私達、別に付き合ってるってわけじゃない。

けれど、嫌だ。このままじゃいけないと思う。

 

私が何かしたのだろうか。鈍いところがあるのは自覚している。

知らずイノエを怒らせてしまったのではないか。傷つけてしまったのではないか。

わからない。わからない。赤く錆付いた思考の鉄格子の中で、私はただうずくまっている。

 

”自分の中だけで解決出来ないときはさ、人に頼ればいいんだよ”

 

そう言ってくれたのはほかならぬイノエだ。

 

”とりあえずホラ、俺もいるしさ”

 

ねえイノエ、私、悩んでるよ？相談に、乗ってくれるんじゃなかったの？

何で、こっちを見てくれないの・・・？

赤く錆付いた思考の鉄格子の中で、私はただうずくまっている。

涙が止まらない。

 

---

 

泣いて泣いて、気がつくともう夜の１０時。食欲は無い。暖かい布団にもぐっても、

心が冷え切って眠れない。

 

こんなとき私は、ニコニコ動画を見るようにしている。

ニコニコは面白い。ありとあらゆるエンターテインメントが双方向にぶつかって、交じり合って、炸裂する。

その衝撃は笑いだとか、感動だとか、喜びだとか、そういった人間そのもののエネルギーに置換されて、

私の心に刺さった杭を吹き飛ばしてくれるのだ。

･･･このサイトを教えてくれたのも、またイノエなのだけれども。

 

マイリスト「元気出せ自分」に登録されている動画を開いていく。修造が私を勇気付ける。

陰陽師が私の心の陰を払う。･･･元気、出てきたみたい。うん、私はがんばれる。

 

 

---

 

 

そろそろ、新しい動画でも発掘しようかな。と思ってマイページから移動しようとしたら、

間違えて生放送のリンクをクリックしてしまった。

生放送は今まで見たことが無かった。特に理由は無いんだけれど。

まあ、試しに見てみるのもいいかもな。現在放送されているリストを見ようと、番組表を表示した。

 

「え？」

 

放送中の枠に、見慣れた名前がある。

イノエ。

 

「生放送、やってたんだ…」

 

放送名は”/=L= ＼イノエお絵かき配信”。そっかイノエ、絵を描くもんね。

絵を描いている様子を配信しているのだろうけど…それ、面白いの？

戸惑ったが、放送の残り時間も少ない。リンクにマウスカーソルを合わせ、カチリ、と左クリック。

 

イノエが絵を描きながら、ひたすらしゃべり続ける、そんな配信だ。

あはは、めちゃくちゃ噛んでる。話にもぜんぜんオチがないし。

 

･･･なんだか、イノエの声を聞くの、久しぶりのような･･･

 

けれど、軽快にしゃべり続けるイノエの声。私はいま、その声だけは絶対絶対聞きたくなかった。

だって、その素っ頓狂な笑い声も、元ネタ不明のお喋りも、私に向けられたものじゃない。

ああ、だめだ、だめだ。このまま聞いていては、私は押しつぶされてしまう。

やがては脳に届き、心を砕くであろう鼓膜を揺らす振動を切り払うように、

私はカーソルをブラウザのＸボタンまで移動させる。もう、嫌だよ、駄目だよ、イノ

 

「それでね？俺の友達が最近ぜんぜん俺のこと見てくれなくってさ」

 

 

え？

 

---

 

「なんかさ、冷たい気がするんだよ。目も合わせてくれないし、何を聞いても適当に切り上げて」

 

私はすっかり忘れていた。

 

「俺達、別に付き合ってるってわけじゃないんですけど、でも、嫌なんです」

 

自分が鈍いのは自覚しているが、イノエは、

 

「このままじゃいけないと思うんだけどねえ・・・」

 

私以上のニブチンなのだ。

 

一斉にコメントが流れる。そのコメントは応援で埋め尽くされていて、イノエはありがとうと笑った。

 

ニコニコは面白い。ありとあらゆるエンターテインメントが双方向にぶつかって、交じり合って、炸裂する。

その衝撃は笑いだとか、感動だとか、喜びだとか、そういった人間そのもののエネルギーに置換されて、

私の心に刺さった杭を吹き飛ばしてくれるのだ。

 

だから私もまた、イノエがうずくまっているであろう赤く錆付いた思考の鉄格子を壊しにかかろうと思います。

 

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”自分の中だけで解決出来ないときはさ、人に頼ればいいんだよ”

 

”とりあえずホラ、私もいるしさ”

 

 

 

 

 

 

 

 

ってなーれ。

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