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イブプロフェン

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※ご自身の健康問題に関しては、専門の医療機関に相談してください。

イブプロフェン(Ibuprofen)とは、非ステロイド性抗炎症薬である。先発医薬品名はブルフェン®

概要

有機化合物
イブプロフェン
イブプロフェン
基本情報
英名 Ibuprofen
化学 C13H18O2
分子量 206.28
化合物テンプレート

イブプロフェンは、プロオン系の非ステロイド性抗炎症薬NSAID)である。NSAIDsステロイド構造をもたない消炎鎮痛薬であり、ステロイド系抗炎症のような多かつ重い副作用が少なく、副作用への対処も較的容易とされ汎用されている。中でもイブプロフェンは抗炎症作用に優れており、広く炎症性疾患の消炎・鎮痛に用いられる。子宮移行性がよく、月経痛(生理痛)にも使われる。

イブプロフェンは、1961年イギリス企業Bootsの研究チームによって開発された。日本では科研製株式会社研究を進め、1971年からブルフェン®錠およびブルフェン®顆粒を製造販売している。現在、90か以上で医薬品として承認されており、WHO必須医薬品モデルリストにも収載されているエッセシャルドラッグである。

効能・効果

イブプロフェン(ブルフェン®など)は、炎症や術後の消炎・疼痛に用いられる。ピコノール(2-ピリジルカルビノール)とのエステルであるイブプロフェンピコノール(スタデルム®など)は、軟膏剤またはクリーム剤として湿や皮膚炎の治療に用いられる。イブプロフェンの注射剤イブリーフ®)は未熟児動脈管開存症の治療に用いられる。ブルフェン®イブ®の効・効果を例示する。

ブルフェン®

イブ®

  • 月経痛(生理痛)、頭痛、痛、咽喉痛、関節痛、筋肉痛、神経痛、痛、肩こり痛、抜後の疼痛、打撲痛、痛、骨折痛、ねんざ痛、外傷痛の鎮痛
  • 悪寒・発熱時の解熱

用法・用量

年齢 1日量
5~7歳 200~300mg
8~10歳 300~400mg
11~15歳 400~600mg
16歳以上 600mg

関節リウマチや神経痛などの消炎・鎮痛、術後や外傷後の消炎・鎮痛では、1日200~600mgを3回に分けて経口投与する。ただし、用量は年齢や症状に応じて適宜増減し、できるだけ空腹時を避けて投与する。

急性上気炎の解熱・鎮痛では、頓用で1回200mgを経口投与する(原則として1日2回まで)。年齢や症状に応じて適宜増減し、1日量は600mgまでとする。頓の場合も、できるだけ空腹時投与を避ける。

一般用医薬品には、医療用医薬品とは成分量の異なる製品やイブプロフェン以外の成分を配合した製品があり、製品によって効・効果や用法・用量が異なる。また、一般用医薬品の場合15歳未満の小児には投与できない。詳しくは、PMDAや製造販売元のウェブページ、製品に添付されている文書を参照すること。

作用機序

炎症は生体に有な刺が加わった際の防御機構であり、血管の拡や透過性進、免疫細胞遊走などが起こる。炎症では4つの徴(発、熱感、腫、疼痛)がみられるが、過剰な炎症反応は強い痛みや発熱を伴い、正常な組織も傷される。この過剰な炎症に起因する痛みや発熱を抑えるために、ステロイドNSAIDsなどの抗炎症が使用される。

イブプロフェンなどのNSAIDsは、炎症に関与する酵素シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻する。COXによるプロタグランジン類(PGE2など)の生合成を抑制することで、抗炎症(消炎)作用、鎮痛作用、解熱作用を示す。

デキシブプロフェン

イブプロフェンは不斉炭素をもち、販されている製品に含まれるイブプロフェンはラセミ体である。生理活性の強いユートマーはS体(デキシブプロフェン)であるが、生理活性の弱いディストマーのR体も、体内に存在する異性化酵素によってS体に変換される。海外ではデキシブプロフェン製剤(Seractil®など)が医薬品として承認されているが、日本では製造販売されていない。

禁忌・副作用

消化性潰瘍や重篤な腎機障害のある患者への投与は、悪化させるおそれがあるため禁忌である。NSAIDsによる気管支喘息の経験がある患者に対しても、喘息発作を誘発する可性があるため投与禁忌。胎児の動脈管閉鎖を招くため、妊娠末期女性への投与も禁忌。AIDS治療のジドブジンレトロビル®)との併用なども禁忌とされている。

副作用として、腹痛の不快感、食欲不振、悪心・嘔吐、むくみ、かゆみなどがある。そのような症状に気づいたら、医師薬剤師に相談すること。重大な副作用として、ショックアナフィラキシー、消化性潰瘍、中毒性表皮壊死融解症、急性腎不全、菌性髄膜炎などの報告があるが、発現頻度は不明である。

同種同効薬

イブプロフェンは非ステロイド系抗炎症薬NSAID)である。アスピリンバイアスリン®)、ジクロフェナクボルタレン®)、インドメタシンインシン®)、ロキソプロフェンロキソニン®)などが知られる。バイアスリン®は血栓の形成を抑える抗血小板として使用されるが、イブプロフェンを併用すると血小板凝集抑制作用が減弱するため併用注意。

また、イブプロフェンはプロオンNSAIDsに分類される。ロキソプロフェンロキソニン®)、フルルプロフェン(フロベン®)、ケトプロフェンモーラ®)、ザルトプロフェン(ペオン®)、ナプロキセン(ナイキサン®)、オキプロジンアル®)、イブプロフェンピコノール(ベシカ®)、フルルプロフェンアキチル(ロピオン®)などがある。

オリーブオイルに含まれるオレオカンタールは、イブプロフェンなどのNSAIDsと似た構造をもち、抗炎症作用と抗化作用をもつ。

NSAIDs全般の概要は、非ステロイド性抗炎症薬の記事を参照。

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最終更新:2024/03/28(木) 18:00

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