ウィルバート・オードリー(Wilbert Vere Awdry, OBE)牧師とは、聖職者として人々に教えを説く傍ら、児童文学作家としてイギリス中、また世界中の子供たちを蒸気機関車の虜にした世界屈指の鉄オタ鉄道ファンである。
映像作品「きかんしゃトーマス」の原作「汽車のえほん(原題:The railway series)」の著者として知られる。「きかんしゃトーマス」のオープニングでは「レブランドWオードリー(Rev W オードリー)」とクレジットされているが、「レブランド(Reverend)」は聖職者の敬称として用いられる言葉である。
ウィルバート・オードリーは、1911年6月15日イギリスハンプシャー州のロムゼーで生まれた。代々国教会の牧師を務める家庭だった。
ウィルバートの名前はウィルバートの父、ヴェア・オードリーの二人の兄、「ウィリアム」「ハーバート」の名前から取られたとされる。ウィリアム・オードリーは、宣教師として日本に滞在したこともある。ハーバート・オードリーは、熱心な鉄道ファンであり、ヴェアもその影響で鉄道ファンだった。ウィルバート・オードリーは鉄道好きの父と叔父の影響を受け、彼自身も鉄道に興味を抱くようになった。
幼い頃からオードリー牧師は父親の鉄道模型や、牧師館付近のグレート・ウェスタン鉄道の路線で列車を眺めたりしながら、鉄道に親しんでいた。ウィルバートが幼少期を過ごしたウィルトシャー州ボックスには、英国でも有名な「ボックス・トンネル」が存在した。
ボックス・トンネルは全長3kmと、当時としては長大なトンネルであった。また、傾斜地に作られていたため走行には補機が必要だった。
幼き日のオードリー牧師には、貨物列車を後押し機関車が押す蒸気の音、連結器の音、その他様々な音が「『無理だよ!無理だよ!』『出来るさ!出来るさ!』」という機関車の会話に聞こえたという。
きかんしゃトーマスのファンならお気づきだろう。汽車のえほん2話「エドワードとゴードン」また、きかんしゃトーマス2話「エドワードのおてがら」はオードリー牧師のこの体験がヒントとなって作られた物語なのだ。
このように、オードリー牧師の幼い頃の体験は、「汽車のえほん」のストーリーの基礎となっている。
オードリー牧師は高校卒業後、オックスフォード大学文学部に進む。その後牧師を志すようになり、大学院では神学を学んだ。
一旦イスラエルにて教職に就いたが、そこで同じくイギリスから来た教員のマーガレット・ウェイルという女性と出会った。二人は恋愛関係となり、イギリスに帰国後の1938年に結婚。1940年には長男のクリストファーが誕生した。
オードリー一家は当時バーミンガム近くのキングス・ノートンという街に住んでいた。当時は第二次世界大戦の真っ只中で、工業都市のバーミンガムは兵器の製造が盛んだった。工場からは真っ黒な煤煙が立ち上り、その影響でクリストファーは喘息持ちだった。病弱で、寝込むことが多かったのである。
ある日クリストファーは麻疹にかかってしまった。オードリー牧師はクリストファーを元気づけようと、機関車を登場キャラクターとした物語を創り、クリストファーに聞かせた。クリストファーはこの話に惹き込まれ、もっと新しい物語を作るようにせがんだ。同じ話を繰り返ししているうちに、クリストファーは「前おはなししてくれたことと違うよ」と物語の矛盾点を指摘するようになった。そこで、オードリー牧師は物語をノートに書き留めておくようになった。これが「汽車のえほん」の元となった物語である。
妻マーガレットはこれを出版社に持ち込んだ。出版社はこの物語を1945年に「3だいの機関車(原題:The Three Railway Engines)」という絵本として出版した。挿絵は専門の挿絵画家が描いた。この絵本は好評を博し、「汽車のえほん(原題:The railway series)」として続編が出版されることになった。
1946年、オードリー牧師がクリストファーにクリスマスプレゼントとして贈った手作りの機関車のおもちゃ「トーマス」を主人公とした物語「機関車トーマス(原題:Thomas The Tank Engine)」が第2巻として発売された。その後もおよそ1年ごとに続刊が1冊づつ出版され、「汽車のえほん」はイギリスでも著名な絵本の一つとなった。
しかし、1972年、オードリー牧師は「井戸が干上がった」(要するにネタ切れ)として第26巻「わんぱく機関車(原題:Tramway Engines)」をもって汽車のえほんシリーズの執筆を終了した。どうやら、出版社との軋轢から相当創作へのプレッシャーがあったようである。
シリーズ終了後も汽車のえほんは人気を博していた。1980年代になり子供向けTV番組制作会社社長、ブリット・オールクロフトが、映像化の話を持ち込んできた。汽車のえほんシリーズも復活することになり、続編は息子のクリストファー・オードリーが筆を執ることになった。1983年、クリストファーの続編、第27巻「Really Useful Engines(本邦未訳)」が出版され、1984年には「汽車のえほん」の映像化作品「きかんしゃトーマス」の放送が開始された。
オードリー牧師は今までの創作活動の集大成として1987年に、汽車のえほんの舞台、「ソドー島」に関わる設定をまとめた「THE ISLAND OF SODOR(本邦未訳)」を出版する。「THE ISLAND OF SODOR」は、図書館司書の兄「ジョージ・オードリー」と共に今まで創り上げられた設定の数々が書き綴られていた。
ところが1988年頃から妻、マーガレットの体調が悪くなってきた。療養生活を送るも1989年にマーガレットはこの世をさってしまう。追い打ちをかけるように1994年兄のジョージが死去。オードリー牧師は二人の大切な家族を失い、すっかり意気消沈してしまう。
1995年、ブライアン・シブリーによってオードリー牧師の伝記「The Thomas the Tank Engine Man」(本邦未訳)が出版され、1996年には大英帝国4等勲士を授与される(オフィサー(将校)の位。名前の末尾に「OBE」という称号をつけることが出来る)。しかし授与式にオードリー牧師の姿はなかった。すっかり体調が悪くなり、授与式への出席には無理があった。
1997年3月21日。鉄道を愛した男、ウィルバート・オードリー牧師はグロスターシャー州ストラウドの自宅で静かに天に召された。85歳だった。
掲示板
7 ななしのよっしん
2017/06/19(月) 02:02:27 ID: iUi63V1EFi
牧師さんかなりのアメリカ嫌いだったらしいけど今のきかんしゃトーマス見たらどう思うんだろ
原作の面影がないのは今に限った話じゃないけどね
8 ななしのよっしん
2017/12/31(日) 15:01:43 ID: 8F1Qip/x4/
>>7
アメリカ嫌いかどうかは知らないけど、人形劇版すらもあまりお気に召していなかったみたいだから、今のCGのやつは怒り狂って版権引き上げるとかやりそう。
「ヒロ」とか、ガニマタってレベルじゃ(ry
9 ななしのよっしん
2020/12/06(日) 23:10:13 ID: JhWH/0NIPH
ケンジとか見たら何言うんだろ
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最終更新:2024/04/23(火) 22:00
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