ウインカーネリアン(Win Carnelian)とは、2017年生まれの日本の競走馬である。栗毛の牡馬。
主な勝ち鞍
2022年: 関屋記念(GⅢ)
2023年: 東京新聞杯(GⅢ)
2025年: スプリンターズステークス(GⅠ)
父スクリーンヒーロー、母コスモクリスタル、母父*マイネルラヴという血統。
父のスクリーンヒーローは現役時代、9番人気から2008年ジャパンカップを勝ったことで知られるグラスワンダー産駒。現役引退後はレックススタッドで種牡馬入りを果たすも、唯一のGⅠ勝利が低人気からの大金星ということもあって、供用当初は期待薄であった。
しかし、初年度産駒からモーリス、ゴールドアクターといった超大物を輩出。その後もコンスタントに重賞馬を輩出し続けており、この馬が生まれた2017年には種付け料700万の人気種牡馬にまで成り上がっていた。
残念ながらキャリア後半には受胎率の低下が見られており、ウインカーネリアンが現役中の2023年シーズンを最後に種牡馬としても引退。現在は功労馬として余生を過ごしている。
母のコスモクリスタルは初勝利まで11戦を要しながらも短距離戦で4勝を挙げた遅咲き。
4代母Reprocolorから広がる牝系には欧州での活躍馬が多く、日本でテイエムオペラオーやメイショウサムソンの父として知られる*オペラハウスも同じ一族である。
母父のマイネルラヴはGⅠを含む短距離重賞3勝を挙げたシーキングザゴールド産駒(外国産馬)。最も有名な活躍は、1998年スプリンターズステークスで引退レースのタイキシャトルを破ったことだろうか。
種牡馬としても散発的ながら重賞馬を送り出したほか、母父としてはJBCスプリント馬ドリームバレンチノを輩出している。
2017年4月16日、北海道新冠町のコスモヴューファームで誕生。その後、傘下の一口馬主法人「ウインレーシングクラブ」(ウイン)の所有馬として総額2600万円(=6.5万×400口)というそこそこの価格で募集を受ける。
最終的には、開業初年に父・スクリーンヒーローを管理したほか、この馬の後では2021年年度代表馬のエフフォーリアなども手掛ける関東のベテラン、美浦・鹿戸雄一厩舎に入厩する運びとなった。
馬名の由来は「冠名+宝石名」。
この馬に名付けられた「カーネリアン」とは、勝利・勇気・友情などの意味を持つ宝石・紅玉髄のことである。
ちなみにウインの2020年クラシック世代は屈指の当たり年であり、カーネリアンの同父同牧場生まれで香港ヴァーズを制したウインマリリンを筆頭に、ウインキートス(2021年目黒記念)・ウイングレイテスト(2023年スワンS)・ウインマイティー(2022年マーメイドS)と複数の重賞馬が輩出されている。
2歳6月の東京芝1800m戦で松岡正海騎手を背にデビューしワーケアの2着。中2週で福島未勝利戦に転戦し、鹿戸厩舎所属の三浦皇成騎手が背を任されて初勝利を挙げる。
松岡騎手に戻って新潟2歳S(GⅢ)で重賞初挑戦となるも6着に跳ね返され、続く芙蓉S(OP)も逃げ粘れずオーソリティの2着。その後休養に入り、この4戦で2歳を終える。
3歳2月に条件戦セントポーリア賞で始動するが6着、当時来日していた短期外国人騎手フィリップ・ミナリクに手綱を任せた弥生賞ディープインパクト記念(GⅡ)も7着と賞金加算に失敗。一縷の望みをかけて再び三浦皇成騎手を背にして中2週で3歳1勝クラスに出走し勝利。ギリギリでクラシックへの出走に成功する。
しかし、田辺裕信騎手を迎えた皐月賞(GⅠ)こそ17番人気ながら粘って4着と見せ場を作るものの、続く東京優駿(日本ダービー)(GⅠ)ではあっさり潰れてブービー17着に惨敗。
同年秋は自己条件に戻り、札幌芝2000mの2勝クラスへ横山武史騎手で打って出るも5着。
続く茨城新聞杯で三度、三浦皇成騎手を背にして3勝目を挙げる。それまで騎手は流動的だったが、以降単発騎乗ながら3勝全てを挙げていた三浦皇成騎手に固定、彼を主戦とする。
3勝クラス初戦の常総Sは4着。年をまたいで5歳初戦の若潮Sでは初勝利以来のマイル戦に出走しカラテの2着、続く同条件の幕張Sで勝利しOPに昇格する。この勢いでダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ)に出走予定であったが、直前に跛行をきたし出走取消。その後の検査で蹄葉炎が判明。競走馬としては伸び盛りである4歳期の半ばから長期休養を余儀なくされてしまった。
結局ほぼ丸一年休養し、5歳3月のリステッド競走六甲Sで復帰。国分優作が代打騎乗したこのレースこそ6着に敗れるが、三浦に手が戻ると谷川岳S、米子Sとリステッド競走を連勝。
さらに関屋記念(GⅢ)で2番手から逃げた伏兵シュリとの叩き合いを制し、5歳にして念願の重賞タイトルを獲得する。
しかし、肝心の秋大本番マイルチャンピオンシップ(GⅠ)は先行策が取れず12着に大敗。しかも、ここでゲート内で思いっきり立ち上がってしまったために、ゲート再審査を課されてしまう。
当然、鹿戸厩舎ではゲートの訓練が行われたが、出されることを察知して暴れる。ゲートに縛ったら出れないことを分かって何もしない、極めつけにはゲートの中で寝るとやりたい放題。
再審査そのものでも1度目は不合格となってしまい、ホライゾネットを付けた2回目でなんとかの合格であった。鹿戸師の苦労が忍ばれる……。
6歳初戦の東京新聞杯(GⅢ)は逃げの手を打ち、直線で後続馬の猛追に遭ったが、コンマ2秒内に5頭がひしめく大接戦をアタマ差でしのぎきり重賞2勝目を挙げる。
この後、この馬にとっては初海外・初ダートとなるゴドルフィンマイル(GⅡ)に出走するも6着[1]。安田記念(GⅠ)8着、毎日王冠(GⅡ)5着、ブリーダーズカップマイル(GⅠ)11着と、6歳にして国内外への果敢なチャレンジを選んだが、やはりどうにも結果には結びつかず。
7歳初戦も東京新聞杯で始動。やはり逃げを打ち、直線でサクラトゥジュールとの同期対決に屈したが2着。
ウインカーネリアンのターニングポイントとなったのは、7歳にして初めてのスプリント戦となる高松宮記念(GⅠ)。これまで1600~1800mのマイル戦を主戦場にしてきたこの馬としては、大幅な距離短縮。結果、11番人気の支持に留まるものの、重馬場の中を番手から粘って4着と皐月賞以来のGⅠ入着で見せ場を作った。
一方で、安田記念は14着と前年を下回る結果に終わってしまう。
こうした春GⅠ2戦の結果を考慮して、秋は本格的に短距離路線にシフト。スワンステークス(GⅡ)は6着に敗れたが、京阪杯(GⅢ)は逃げ粘ってビッグシーザーのクビ差2着と距離への適性を示した。
もう競走馬としても相当な高齢になる8歳になっても現役を続行し、シルクロードステークス(GⅢ)に出走。3番手から踏ん張り3着に粘り込む。
次走には2年ぶりの海外遠征となるドバイのアルクオーツスプリント(GⅠ)に出走。
逃げてゴール板直前まで先頭に立っていたが、最後の最後で英国馬Believingの強襲に屈しコンマ1秒差の2着。惜しくも初GⅠ勝利とはならなかったが、同競走における日本馬の歴代最高着順を記録した。
帰国初戦は夏競馬のキーンランドカップ(GⅢ)。僅差の1番人気に支持されたが、2番人気の3歳馬パンジャタワーら後輩の末脚に飲み込まれ5着に敗れた。
こうして迎えた秋のスプリント王決定戦、スプリンターズステークス(GⅠ)。
春の王者サトノレーヴ、2年前の勝ち馬で復調気配のママコチャ、長年GⅠで安定した成績を残すナムラクレアら人気が集める中、ウインカーネリアンは大外8枠16番を引いたこともあり、11番人気の低評価だった。
しかし、三浦騎手はこの馬の騎乗経験から、むしろ大外は好機と捉えていた[2]。抜群のスタートを決め、レースに切り込んでいくウインカーネリアンと三浦。内から鞍上の予想通り、武豊のジューンブレアが主張してきたので先に行かせ、2番手を確保して先行策へと持ち込む。
前半3ハロン33秒7と、このレースとしては遅めの流れでレースは進んでいき、前2頭が後続を離して引っ張る形のまま直線を向いた頃には、もう後続は付いていけない。
結果、内のジューンブレアとのマッチレースに突入。両者一歩も譲らない壮絶な叩き合いとなったが、残り50mで僅かに前に出たウインカーネリアンがそのリードを守り切り、アタマ差で振り切ってゴール板を通過。齢8歳、33戦目にしてGⅠタイトルを掴み取った。
8歳で国内調教馬がJRA・GⅠ初勝利を挙げるのは2009年天皇賞(秋)のカンパニー、2018年JBCスプリント(京都競馬場開催)のグレイスフルリープに次ぐ3頭目の快挙。なお2着に7番人気ジューンブレア、3着には3年連続3着の2番人気ナムラクレアが入り、三連単1,301,150円と大荒れになった。
鞍上の三浦皇成は、騎手生活18年目で悲願のJRA・GⅠ初勝利。127度目のGⅠ出走での初勝利もJRA史上最長記録というあまりに長い道のりの先で掴んだ念願のタイトルに、インタビューでは開口一番「本当に長かった」と万感の一言。「最後はカーネリアン頼むと、それだけだった。もう勝てないんじゃないかと思った時期もあったが、こうやって叶うことができてよかった」と、スタンドからの万雷の拍手・三浦コールを受けながら、JRA通算1000勝を越えても叶わず、それでもなお願い続けていたGⅠ勝利への感慨を存分に吐露した。
管理調教師の鹿戸雄一は、エフフォーリアの有馬記念以来4年ぶりのGⅠ5勝目。同時に厩舎のGⅠ初勝利であった本馬の父スクリーンヒーローとの、実に17年越しの父子GⅠ勝利を成し遂げた。
弟子にあたる三浦騎手同様、長年難しい馬と向き合ってきた鹿戸師の感動もひとしおだったようで、「(自分がかつて手掛けた)スクリーンヒーローの産駒でGⅠを勝てて調教師冥利に尽きます」「昔、蹄葉炎という重い病気にかかって、なんとか復帰してくれただけでも嬉しかったのに本当に頑張ってくれた」と感極まったコメントを残している。
また、この年の8月には祖父にあたるグラスワンダーが亡くなっておりグラスワンダーが亡くなって最初のG1とあって天国へ旅立ったグラスワンダーに捧げた勝利とも言われた。
実はレースの数日前には10月より放送予定のドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』に武豊の出演が決まっておりその宣材写真にウインと似た柄の勝負服を着用した武豊が使われたことからもウインカーネリアンが勝つのではないかと言われた。結果的にはウインカーネリアンと武豊騎乗のジューンブレアとのワンツーフィニッシュとなった。
また生産者のコスモヴューファームは、なんと1996年の設立から29年目で初めての生産馬によるJRAGⅠ勝利となった[3]
この後は今期二度目となる遠征、香港国際競走は香港スプリント(GⅠ)へ挑む。ジ・エベレストを勝利し、名実ともに世界最強スプリンターの座を確固たるものにしたKa Ying Risingが待ち受ける舞台で、香港GⅠ2勝のウイン軍団の意地を見せられるか。
| スクリーンヒーロー 2004 栗毛 |
*グラスワンダー 1995 栗毛 |
Silver Hawk | Roberto |
| Gris Vitesse | |||
| Ameriflora | Danzig | ||
| Graceful Touch | |||
| ランニングヒロイン 1993 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo | |
| Wishing Well | |||
| ダイナアクトレス | *ノーザンテースト | ||
| モデルスポート | |||
| コスモクリスタル 2006 黒鹿毛 FNo.13-e |
*マイネルラヴ 1995 青鹿毛 |
Seeking the Gold | Mr. Prospector |
| Con Game | |||
| Heart of Joy | *リィフォー | ||
| Mythographer | |||
| *クリスチャンネーム 1993 栗毛 |
Cadeaux Genereux | Young Generation | |
| Smarten Up | |||
| Colorvista | Shirley Heights | ||
| Reprocolor | |||
| 競走馬の4代血統表 | |||
クロス:Northern Dancer 5×5(6.25%)、Hail to Reason 5×5(6.25%)
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最終更新:2025/11/14(金) 06:00
最終更新:2025/11/14(金) 06:00
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