エスペラント 単語

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エスペラント

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エスペラント(Esperanto)とは、ルドヴィコ・ザメンホフが提案した人工言語である。

概要

言語であることを明示して「エスペラント語」とも呼ばれるが、エスペラントでは Esperanto 単独でこの言語を意味するため、日本エスペラント学会などは「エスペラント」(Esperanto)と表記している。したがって、この項でもそれに準じるとする。

エスペラントの話者はエスペランティスト(Esperantist)と呼ばれ、高度な意思疎通が可な話者の人口は約160万人ぐらいである。これは非常に少数だと感じるかもしれないが、アイスランド公用語(30万人)の約5倍であることから、誕生してから約120年ほどしか経っていない人工言語としては前代未聞であるといえる。

話者の大半はヨーロッパに住んでおり、特に中欧ドイツ周辺)に多い。ある欧州在住エスペランティストへのアンケートによれば「ドイツ語ロシア語の複雑な文法を覚えるよりは楽であり、英語より簡素」との回答が得られている。

アルファベート (Alfabeto)

ラテン文字から構成され合計28文字から成る。子音文字は全て「-o」を付けて読まれる。

文字 名称 音価 文字 名称 音価 文字 名称 音価 文字 名称 音価
A a アー /a/ G g ゴー /ɡ/ K k コー /k/ S s ソー /s/
B b ボー /b/ Ĝ ĝ ヂョー /dʒ/ L l ロー /l/ Ŝ ŝ ショー /ʃ/
C c ツォー /ts/ H h ホー /h/ M m モー /m/ T t トー /t/
Ĉ ĉ チョー /tʃ/ Ĥ ĥ ホー /x/ N n ノー /n/ U u ウー /u/
D d ドー /d/ I i イー /i/ O o オー /o/ Ŭ ŭ ウォー /w/
E e エー /e/ J j ヨー /j/ P p ポー /p/ V v ヴォー /v/
F f フォー /f/ Ĵ ĵ ジョー /ʒ/ R r ロー /r/ Z z ゾー /z/

字上符(スペルスィグノ supersigno )の付いた6つの文字( ĉ, ĝ, ĥ, ĵ, ŝ, ŭ )があるが、これらはそれぞれが独立した1つの音価を示す文字であって、字上符が音韻変化やアクセント等を表しているわけではない。
前5つが折音符号「 ^ 」(チャペーロ ĉapero, テグメント tegmento, ツィルクムフレクソ cirkumflexo )なのに対し、 ŭ (少々ややこしいが、 u と違って子音である)のみが短音符号「 ˘ 」(ロンダ・ホケート ronda hoketo, Uホケート u-hoketo, ブレーヴォ brevo, ドゥオンルーノ duonluno )であるのはに、折音符号付きの û が手書きタイプされたものでは o と取り違えられる惧れがあったため。

また、非エスペラントの固有名詞や外来語専用として以下の4つの文字も使用されている。基本的に元の言語に近く発音されるが、不明な場合は安として以下の読み方が推奨されている。

文字 名称 音価
Q q クーオ(quo /k/ ( k と同じ発音)
W w ドゥオーブラ・ヴォー(duobla vo)
ヂェルマーナ・ヴォー(ĝermana vo)
ヴァーヴォ(vavo)
/v/ (ドイツ語オランダ語ポーランド語
/w/ (上記以外、 ŭ と同じ発音)
X x クソ(ikso) /ks/ ( ks と同じ発音)
Y y イプスィローノ(ipsilono) /i/ (前後に音がい場合)
/j/ (上記以外、 j と同じ発音)

代用表記

先述の字上符付き文字は通常の日本語キーボードには存在しないが、近年ではUnicodeの普及により大抵の場所で普通にこれらの記号を入出力する事ができる。ニコニコ動画においても全面的にUTF-8が使用されているので、文字化けする事なくこれらの文字を入力する事ができる(うまく表示できるかどうかは出力環境による)。
Windowsの場合はキーボードの言語をカナダマルチリンガル等に設定したり、EspSpain(無料)などのソフトウェアインストールする事で入力できるようになる。MacintoshLinuxの場合は、OSの設定により、エスペラント文字の入力が可なようである。

しかし、タイプライターや一部の文字コードにおいて字上符が利用できない環境であったり、外部ツール等を導入せず簡便に済ませたい場合には、以下のような代用表記法を使う事が認められている。

H-方式(H-Sistemo)

u 以外の文字に h を後置する方法。ザメンホフ方式(Zamenhofa Sistemo)とも呼ばれ、彼の著した公式教科書「エスペラントの基礎」において唯一定られている方式である。

例: ch gh hh jh sh u

ただし h はすでにエスペラントに存在するアルファベットであるため文字の並びによっては紛らわしく、また u の書き分けがいためにアクセントの位置等が解らなくなってしまう場合があるという欠点がある。

X-方式(X-Sistemo)

外来語以外で使用せず、また外来語中でも子音と続けて書かれることの少ない x を後置する方法。

例: cx, gx, hx, jx, sx, ux

H-方式のような紛らわしさがなく、また一でエスペラント文であることが判るため、インターネット上においては使用者が多い。

キャレット方式

似た形の挿入符号キャレット「 ^ 」あるいは u のみチルダ「 ~ 」を後置する方法。

例: c^, g^, h^, j^, s^, u^/u~

にでも元の形が分かり理解しやすいが、字面が間延びして見えてしまい、上2つにべると格段にダサいという欠点がある。

エスペラントのルール

エスペラントはしもが覚えかつ使いやすく、更に幅が利くようにとの利点から、文法を簡素化し、不規則変化(たとえば英語で go の過去形が went になる)などを底的にくそう、と考え始めた。そして大幅な量の文法ルールを定めた。

  • 品詞語尾については名詞は -o 、形容詞は -a 、副詞は -e 、複数は -j- とする。
  • 動詞の場合、不定形は -i 、現在形は -as過去形は -is 、(以下省略)とする。
  • 冠詞英語の the )は全て la とし、不定冠詞英語の a )は存在しない。

まだまだあるが、割愛する。

発音に関しては、アクセント(日本語のような高低アクセントではなく、英語等のような強弱アクセントである)は常に後ろから2番の音節にくる。特にその音節の終わりが子音でない場合等は音が長めに発音される。例えば「落雷」を意味する fulmobato の合は後ろから4番の「ba」を強く長めに発音し「フルバート」となる。

また子音が連続する場合でも1文字1発音が原則であり、連続した子音も一つ一つ発音される。が、dz や kv は1音のように発音されたり、同じ子音の連続は区切らず1つの長い子音のように発音されることもあるなど、実用上は若干のヴァリエーションがある。

単語

選定方法

ザメンホフしもが単語制作に関与できるよう、また簡単にマスターできるように上記のルールを定めた。さらに、ザメンホフは身近にある単語(、石など)は実際に使われているラテン語ドイツ語などの共通点からりを抜き出して制作しようと考えた。

たとえば「」という単語は以下のとおりだった。

ご覧のように、どの言語でもかなりの共通点があることが判るだろう。実はこれらの言語は全てインドヨーロッパ語族という大きな組に属していて、インドヨーロッパ祖語という共通の祖先から枝分かれしたものと考えられている。つまりこの「」のように、同じ単語から生して変化を遂げつつも、その跡を意味や形態に強く留めている言葉はヨーロッパ諸言語間で非常に多い。

このようにしてザメンホフは共通点を抽出し、名詞の接尾詞「-o」を付けて salo (サーロ)という言葉を作った。

ザメンホフの発見

またザメンホフは、「息子」という単語をイタリア語の figlio (フィッリォ)などからエスペラントでは filo (フィーロ)にすることにした。そして次は「」という単語を何にするか考えていたが、ここでひとつ気づいたことがある。

息子も、も、どっちも『の子』であって性が違うだけだ。それなら女性接尾辞(-in-)を作って、それに付ければいいんだ」

これで「」という単語、filino(フィリーノ)を生み出した。

そして単語に幾つもの関連性を生み出し、その関連性ごとに単語を作るので単語制作の作業は相当、楽になったという。接辞は重要なのである。

単語制作

今日、エスペラントで使われる多くの単語のうち、コンピューターkomputilo コンプティーロ)などの新語は、多くのエスペランティストたちの提案と世界エスペラント協会の許可をもらった上で、新語として認定されたものである。しかし、それ以外のほとんどはザメンホフ自身が長年にわたり生み出したものである。

単語制作にはザメンホフ自身の言語力と、辞書の力を頼りにこの作業を1人で行った。つまり1つの単語を作るのに欧州系の10数語から調べ上げ、かつできるだけ中立に作らねばならなかったのである。しかし、アジア系言語からはさすがに本人の力量で調べられなかった。このため「所詮は欧人の言語だ」と言われることは仕方のないことである。

ザメンホフ自身は「それまでの言語とまったく関係ない新語(単語)をつくると幅が広がりすぎてまとまりに欠けるので、できるだけ既存の言語から選定し、なおかつ中立にした」と述べている。

彼は15歳の頃から単語制作の作業を行い、19歳になる頃に900語近くを作った。そして大学卒業後、眼科医となった後にエスペラントの教科書を発表したのである。

文例: 簡単な挨拶など

世界エスペラント大会

現在では毎年、各都市で「世界エスペラント大会」というエスペランティスト会議が開催される。これはエスペランティスト同士の交を中心とした内容である。芸術的演、開催文化紹介初心者のためのエスペラント講座など際交流的な意味合いが強いが、経済科学の面においての討論など各の参加者による会議も行われる。

1905年の第1回世界大会はフランスのブローニュで行われ、途中中断をはさみ2009年現在では第94回となる。2009年ザメンホフ生誕150年を記念して、生まれ故郷であるポーランドのビャウィストクで開催された。

日本ではエスペラントの振のため「財団法人日本エスペラント学会」が存在しており、機関などを発行している。世界大会へは日本代表のエスペラント機関として参加し、東京1965年アジア初開催)と横浜2007年)に招致したこともある。

著名なエスペランティスト

日本人

宮沢賢治
明治時代の童話作家。作品中に「岩手」をエスペラントに呼んだ楽園「イーハトーブ」を生み出した。また自らのをエスペラントに翻訳した。
新渡戸稲造
農学者兼教育者で、かつて5000円札で使われた人物として有名。エスペラントに出会い、国際連盟総会の作業語をエスペラントにする提案に賛同した。
井上ひさし
小説家。代表作は『吉里吉里人』。エスペラントの学習歴が確認されるが実力については不明である。

その他

レフ・トルストイ
ロシア人の小説家友人ウラジーミル・マイノフを通してザメンホフ交を結ぶ。またマイノフに自身の作品のエスペラント版の発行を許可する。

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