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エリアルール

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エリアルールとは、飛行機が音速をより容易に突破できるように考案された設計技法である。断面法則断面積分法則とも言う。

概要

音速飛行する機体の空気抵抗を減らすため、飛行機の胴体をコーラの瓶のようにくびれさせること・・・と書籍やサイトでは判で押したように記述されている。もうちょっと掘り下げてみよう。

ものすごく簡単に言うと、物体の形状がなめらかなほうが空気抵抗が少なくなるので速く飛べるというものである。

「当たり前じゃん」と突っ込みたくなるのが普通であろう。しかし、弾やロケットならともかく、飛行機ではそう簡単にはいかない。飛行機にはがある。

画像はジェット戦闘機としてもっとも有名であると思われるF-15である。じつにかっこいい。

こちらは最強戦闘機として蒼空に君臨するF-22

最後はソヴィエト/ロシア軍の多戦闘機Su-35

これら3種の戦闘機が、差異はあれどいずれも似通った形状をしていることにお気づきになられただろうか。があり、その後ろに垂直尾翼が立ち、最後部に平尾が配されている。さらに、、垂直尾翼平尾はそれぞれ微妙に重なっている。

飛行機を前から輪切りにしていくと、機首のあたりは断面積が小さく、後ろにいくにしたがって徐々に太くなっていく。断面積の増加率は非常になめらかである。

だが、にさしかかると、途端に断面積が大きくなる。それまでは胴体だけだったのが、胴体+になるからだ。つまり空気抵抗も急に跳ね上がる。で、を通り過ぎるとまた断面積は小さくなり、垂直尾翼の部分でまたも増大する。さらに平尾も待っている。

上記の3機種のように、飛行機は通常6枚(垂直尾翼が1枚の機種なら5枚)のがある。これが空気抵抗になって、なにも考えずに配置していると、抵抗が部位によって急に大きくなったり小さくなったりと不均一になってしまい、音速をえるときに非常に邪魔になってしまうのだ。断面積の急な増加はもちろん、急な減少もおなじくらいNGなのだ。だから、胴体+だった断面積がいきなり胴体だけになってしまわないよう、と垂直尾翼、垂直尾翼平尾をわずかに重ねているのである。

理想的なのは、機首から最後部まで、断面積が増えるときも減るときもなだらかにおさめることである。

コンベア社の苦悩

戦闘機ジェット化し、高速化していた1950年代初頭。コンソリデーテッド・ヴァルティエアクラフト社、通称コンベア社の設計者たちは悩みに悩んでいた。アメリカ軍から、核兵器を積んだソ連爆撃機を迎撃する新音速戦闘機の提案要戦闘機メーカー各社に出され(ようするにコンペ)、コンベア社はYF-102という戦闘機の案を提出、みごと契約を勝ち取った。YF-102は三角形、垂直尾翼三角形というデルタ機で、とうぜん音速を出せるものとして同社は売込みをかけていた。

どっこい、模型洞試験(ばかでかい扇風機をそなえたトンネルで機体の特性を確かめる試験。音速以上の突も出せる)をしてみると、あれ? これ音速えられなくね?」ということが判明した。

「いやいや、なんかの間違いでしょ。実機でやればきっとうまくいくって」

設計者たちは内心冷や汗ものである。なんせ、すでに生産ラインを組み、量産準備の生産をはじめていたのだ。もしマジで音速をえられないとなると、契約がフイになるどころか、「てめぇウソつきやがったな!」と軍から損賠償訴訟を起こされるかもしれない。そこまでいかなくとも次回からおがかからなくなる可性は大いに考えられる。

「なんでテストも済んでないのに量産体制に入ってんの?」と疑問に思われるのももっともである。現代では、四半世紀以上も前に初飛行したF-15F-4が、近代修というアンチエイジングを受けているとはいえまだ現役でを駆けていたりしているが、当時の航空機技術は文字通りの日進歩で、ひところの携帯電話のように、新機種もちょっと経てば旧式となるほど開発競争がしかったのだ。じゅうぶんなテストを繰り返し、問題をすべて洗い出してから量産していたのでは、配備されるころにはソ連がさらに新たな戦闘機を飛ばしてくる。そんなわけでコンベア社は、量産準備としてとりあえず生産をしつつ、テストで得られた結果を量産本格に反映させていく「クック・クレイギー・プラン」で、納期の大幅短縮を企図したのだ。リスキーギャンブルである。

で、初号機が1953年10月24日の記念すべき初飛行で墜落し、10機用意された試作機は、洞試験のとおり、実際のにおいても音速をえることはできなかった。

さあ困った。ハイパワーエンジンがある現代ならともかく、当時の技術ではエンジンの推だけには頼れない。1947年にチャック・イェーガーX-1音速飛行をなしとげており、音速突破は理論上は不可能なことではないとわかっていた。だが、社運をに乗せたYF-102は、なにをどうやっても音速をえてくれない。

彼らのまえには文字通りのが立ちはだかっていたのだ。それはに見えないだった。

音速の壁

物体が空気中を動いたとき、音は発生を中心に同心円状に広がる。速く進むと、そのぶん、物体の進行方向に音が圧縮される。歩いたくらいの速度では気にならないが、たとえば時速60kmくらいで走っている自動車から手を出すと、女性乳房をもんでいるような感触を味わうことができる。この手に感じている圧がもっと大きくなったのが音速のと考えてよい。

飛行機の話に戻ろう。飛行速度が音と同じ速度に達すると、空気波紋飛行機より先に逃げられなくなって圧縮され、大きな抵抗となる。の前に不可視のが現れるようなものだ。このえねば音速より速く飛ぶことはできない。

音速のえるとき、飛行機の周囲には衝撃波が発生する。換言すれば飛行機がじぶんで衝撃波を作り出しているということだ。

衝撃波を生むため、飛行機は造波抵抗というかたちで運動エネルギーを奪われる。音速突破の間、飛行機には通常の1・5倍以上ともいわれる抗(動こうとしている、または動いている物体を逆の方向に引っろうとする。この場合は後ろに引っ)がかかるため、非力エンジンではえられないし、抵抗が大きいということは機体の負担も増大するということなので、剛性が足りないと空中分解してしまう恐れもある。

造波抵抗の大小は飛行機の外形にかなり左右される。空気抵抗の小さい形状なら造波抵抗も少なくてすむので、大推エンジンでなくとも音速を出せる。音速がえられないということは、つまり、コンベア社が心血を注いだYF-102はそもそものデザインが最初から音速機に適していなかったということにほかならない。

やばい事態である。デザインからやり直さなければならないとなると、稼動を始めている生産ラインもぜんぶ駄になるし、とても納期には間に合わない。八方塞がりである。

そこへ救世主が現れた。その名は・・・

救世主、エリアルール理論

NACA(のちのNASA)のリチャード・ウィットカム氏は、「流線空気の流れがスムーズだ。飛行機も、こういう形に近づければ遷音速域マッハ0・8ちょいくらいのことで、いちばん抵抗が大きく飛行が不安定になる速度域)での抵抗を小さくできるのでは?」「機体の断面積の変化をなだらかな曲線にすればいいんだ!」

というひらめきに着想を得て、52年初めごろからいろいろと実験し、その理論は、同年9月にはエリアルール理論の名で、秘密情報として内の航空機メーカーにのみ流された。窮地に立たされていたコンベア社はこれにをつけ藁にもすがる思いで飛びついた。

エリアルール理論にしたがい、をとりつける部分の胴体を「コーラの瓶のように」くびれさせたり、逆に断面積が急減する後部ではエンジンの左右を膨らませて断面積を稼いだりする改造を117日におよぶ突貫工事でおこなった結果、1954年12月21日、それまでの苦労はどこへやら、YF-102Aとして生まれ変わった試作機は試験域に向かう途中の上昇中にいとも簡単に音速を突破、めでたく制式採用の運びとなったのだった。

音速をえられなかった機体を音速機に変身させてしまう。これがエリアルールの髄なのである。

ちなみに、世界で初めて設計段階からエリアルールを取り入れた航空機グラマンF11Fタイガーで、修されたYF-102Aよりも5ヶ547月30日に初飛行を遂げている。同機はまた世界初の実用音速艦上戦闘機でもあったりする。

なお、九死に一生を得たYF-102AはF-102デルタダガーと名をあらため、晴れて実戦配備されたが、エリアルールを採用するまえのYF-102の生産用治具をすでに用意していたもんだからコンベア社が多大な損失をこうむったり、F-102のほうも加速と上昇に難があったり敵戦闘機ドッグファイトできなかったりと性が芳しくなく、就役々にさらなる新機の開発をうながすこととなり、60年代後半にはくも段階的な退役が開始、70年代には退役機が人標的機として使い潰されることになったりしたのは、また別のお話である。

ソ連がエリアルールを知ってた?

第二次大戦終結後、軍用機はことごとくジェット機となり、とくにソは戦闘機にしろ爆撃機にしろとにかく音速ジェットの開発競争にしのぎを削っていた。ソ連の代表的な爆撃機メーカー、ツポレフ設計局は、Tu-16“バジャー”や長距離爆撃機Tu-95ベア”を開発した1952年の末、前線爆撃機(西側でいう戦術爆撃機)Tu-98バックフィン”の設計に着手する。

競争相手のヤコブレフ設計局に負け、爆撃機としては成功しなかったTu-98であるが、同機には興味深い特徴がある。がとりつけられている胴体部分がくびれているのだ。まるでエリアルールを採用したかのように。

前述のとおりエリアルール理論国家機密に定されていた。機密定が解除されたのは1955年9月である。ウィットカムの論文が表されるよりだいぶ前にエリアルール理論情報をつかんでいなければTu-98の設計に適用するのはむずかしい。もしかしたらスパイに機密情報を入手させていたのかもしれないが、「ソ連はその前のTu-16の時点でエリアルールの存在を知っていた」という説もある。たしかに、Tu-16はが始まる部分のエンジンセルをくぼんだ形状に整えていて、いかにもエリアルールにしたがっているようにも見えるが・・・?

第二次大戦末期ドイツのディートリッヒ・キューヒマンは、

を後退にすると、なぜか抵抗が増えるな」→「の付け根部分で胴体との干渉により気流が乱れるせいか!」→「気流を整えてやるためには、のつく胴体部分をくぼませてやればいいんじゃね?

という理論を提唱していた。もしかしたら、ソ連のツアギ(中央研究所。Su-27MiG-29などの芸術的なフォルムはここから生まれた)とツポレフは、後退のTu-16の開発に際し、キューヒマンと同じ発想と解決法に至ったのかもしれない。断面積の急増がうんぬんというエリアルールとは似て非なるものである。胴体がくびれてりゃエリアルールってわけではないのだ。

とはいえ、Tu-16はナセルをくぼませたことで、空気の流れを整流できただけでなく、エリアルールよろしく断面積勾配もなめらかになり、予想以上の好結果をもたらしたので、続くTu-98でも同じ手法を用いたという可性は考えられよう。

爆撃機としては却下されたTu-98から発展した、世界最大の戦闘機としていまなお名を馳せるTu-128“フィドラー”は、表されたウィットカムのエリアルール理論を適用して胴体をくびれさせているが、そのくびれ方は、Tu-98とは似ても似つかないものであった。

旅客機にエリアルールが?

エリアルールが空気抵抗を減らすとはいっても、物を搭載するうえでいちばんおいしい部分である胴体を絞ることになるわけで、搭載量が命の輸送機旅客機などでは採用例はほとんどなきに等しい。ごく少数の例外が、音速旅客機コンコルドである。胴体前部より後部が細くなっている・・・のだが、かなり微妙なので、エリアルールを探すという意識のもとを皿のようにして観察しないとまったく気づけない。

ジャンボジェット称でおなじみ、ボーイングB747にもエリアルールが適用されている。

初期モデルB747-100の胴体を短くしたB747SP(スペシャルパフォーマンスの意)が設計標よりやけに高い航続性を見せたので、調べてみた結果、二階建てのためクジラの頭みたいに膨らんだ部分が、ちょうどの位置に若干被るまで続いており、断面積の変化が機首→胴体→でなめらかとなり、はからずもエリアルールの効果を発揮していたことがわかった。とくに意識していたわけではないらしい。結果オーライである。

画像はB747機。頭の膨らみが、なだらかに下降し、稜線が若干被っているのがわかる。この若干ってのがミソである。

SP以降に設計されたB747-300や、日本政府専用機にも採用された客用‐400は、意図的に二階建て部分をのついているやや後ろまで伸ばしてエリアルール効果を狙っている。

最近の戦闘機

近年は、エンジンパワーが非常に強いためエリアルールは視してもよいという論調も見受けられるが、視するよりは考慮したほうがよいのはYF-102の時代から変わっていない。

と胴体を緩やかな曲線でつないだブレンデッド・ウィング・ボディが特徴的なF-16も、中央部分の胴体はエリアルールを考慮して大きくくびれている。

ここでもう一度、F-22を見てみよう。

安定をまたぐようにして垂直安定が重なっているのは、機首からの断面積の急な変化を抑えるためであり、すなわち現代戦闘機にもエリアルールが取り入れられている左にほかならない。

出典

世界傑作機No113 Tu-22/-22M“ブラインダー”“バックファイア”(文堂)20ページ21ページ

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