獣との決戦を控え、膨大な内政に追われるウルク賢王は書類仕事の合間、暫しの休みを取った。そして目覚めると、景色はかつて不老不死の霊薬を取りに赴いた冥界であった。
(過労で)死んでおるではないかーーー!
かくして、魔獣戦線を維持すべく欠かせない王様を助けるべく、カルデア一行は冥界への救助作戦を敢行する。そんな一行に最後に立ちはだかったのは、冥界において超越的な権限を持つ女王である彼女だった。
エレシュキガル(Fate)とは、スマホゲーム『Fate/Grand Order』に登場する女神である。
メインストーリー第1部第7章『絶対魔獣戦線バビロニア』(2016年12月実装)にて初登場した女神で、紀元前30世紀頃の古代メソポタミア文明の地下深くに位置する死後の世界の管理者。ただし実装当初はプレイアブル化されておらず、巨大ゴーストとして登場した。アッカド語でエレシュは女主人、キガルは冥界を指す。一人称は「私」。クラスはランサー。
遠坂凛を依り代にした女神(神霊サーヴァント)。このためエレシュキガル本来の性格である陰湿でワガママな面は消失しており、竹箒日記によると「生真面目な秀才、恋にも真剣な少女」という依り代の性格が色濃く表れている。「優秀だが詰めが甘い」部分も忠実に再現。ギルガメッシュ曰く「勤勉で努力家。他者への気配りと責任感のかたまり。プライドは高く冷徹だが、なぜか自己評価が低い」「人前では弱音を見せず、冥界の主として気位高く振る舞うが、その内面はつねに自分へのダメ出しに満ちている。自分の能力に不安を持つが故に努力するタイプだな」「エレシュキガルは蜜蜂の営みと雷雲、そして少女の純粋さ、それらが何故か両立する女だ」との事。金の長髪をなびかせた少女の姿をしており、生まれた時から冥界の管理人を宿命付けられた束縛の人生を歩んできた女神。草木一本も生えない暗闇と静寂が支配する冥界に1000年間も居続けた影響で性格と能力がやや陰気なものになっているが、勤勉で真面目な性格をしていて何だかんだで世話を焼いてくれる。冥界の管理においてはガルラ霊という手下を使役する。カルデアに召喚されて地上で暮らすようになってからも向上心旺盛で、マスターたちの営みから学んで地上に負けないくらい立派な街を冥界に作ってみせると意気込む。最終再臨させると地上に出かける用の礼服を新調。再臨するたびに露出が増えるサーヴァントが多い中、エレシュキガルは逆に減るという珍しい現象が起きている。
ひとたび姿を現すだけで周囲の気温が急激に下がり、気圧500ヘクトパスカル、外気温-6℃という標高5000m以上の山頂に匹敵する環境が作り出される。まさに天変地異。神霊サーヴァントだけに霊基グラフはA級オーバーであり、魔力感知のレベルを最大まで引き上げると南半球を数秒で調べられるというキャスターも真っ青な能力を発揮。『冥界のメリークリスマス』では「病魔」の権能を使って冥界からカルデアに攻撃を仕掛け、人間の職員はおろかサーヴァントですらほぼ全員が病床に伏し(ダ・ヴィンチとホームズも含む)、廊下の至る所でサーヴァントが倒れている異常事態に発展。パラケルススの腕を以ってしても治療薬を作れず「カルデア壊滅まであと半日」という絶望的状況にまで追いやった。マスターへの好意が残っていなければここで物語終了も十分ありえた訳である。恐ろしい事に、この攻撃は世界を跨いだ超長距離攻撃のため感知すら出来ず、気力で体を引きずっていたギルガメッシュの助言で偶然冥界からの攻撃だと突き止められた。
妹のイシュタルがそうであったようにエレシュキガルも多くの権能を獲得できる存在規模を持っていたが、無欲な彼女は多くを望まなかったため、女神としての権能は弱い部類に入る。そんな彼女でも権能を獲得する事があったが、決まって周りの連中が騒いだ末の後始末という望まぬ形であった。現状彼女が持っている権能は「病魔」「災厄」「蛇とガゼルへの変身能力」「太陽」。ドゥムジ曰く蛇とガゼルに懐かれているらしい。マスターのサーヴァントとなってからは冥界を飛び出して地上で戦うようになる。彼女曰く地上での戦闘は疲れるみたいだが、冥界の加護が無くても戦闘能力は高い。檻のような槍を自在に操って敵を串刺し、冥界の赤雷を迸らせ、魂を捕らえる。宝具「霊峰踏抱く冥府の鞴」は地の底の女主人から下される裁きの鉄槌。その威力は地殻変動によりエビフ山脈を崩壊させるほどだが、その真価は地形を一時的に冥界にして共に戦う仲間に即死無効などの加護を与える点にある。最終再臨させるとネルガルから授かった太陽の権能を内包する発熱神殿「キガル・メスラムタエア」に得物を持ち替える。メスラムタエアとはネルガルの別名を指し、直訳するなら「冥界のネルガル」という事になる。彼女なりの敬意の表しである。
彼女が管理する冥界は死者の魂が最後に行き着く霊安室。冥界に落ちた後、魂はエレシュキガルが用意した槍檻(そうかん)に入れられて満足するまで自我を持ち続けるか、悔いを無くして深淵へ還るかを選ぶ。冥界での衣食住はエレシュキガルによって保障されており、本人がその気なら永遠に留まる事も可能。彼女は魂の来歴や死因が分かる死者記録を持っているため、炎のようにしか見えない魂でも、どのような人生や末路を辿ったのかが手に取るように分かる。シュメルの神々は揃いも揃って自制心が無い一方、エレシュキガルの生真面目さは冥界を統べるに相応しい素養だった。地上への出口があるにも関わらず、自分が離れたら冥界が崩壊するからと強い責任感を背負って、始まりから終わりの時まで一歩も外に出なかった。「そんなエレシュキガルだからこそウルクの冥界は清潔であり、穏やかなのだ」「辛いからと言って自らの責務を放棄しない――それがあの女神が持つ、最大の権能である」「どこまでも冷え切った冥界を統べる行いは、あの女でなければ成し得なかった偉業なのだ」とギルガメッシュは評した。
冥界においてはエレシュキガルこそが法であり律である。たとえ神であろうと冥界に踏み入れば、その絶対的権能に逆らえず彼女のおもちゃに成り下がる。実際7つの対エレシュキガル用権能を携えたイシュタルが冥界へ殴り込むも、7つの門によって権能を全て剝ぎ取られ、しまいには衣装まで剥ぎ取られた状態でエレシュキガルの前に出され、槍で刺殺されるという完全敗北を喫した。彼女のクラスがランサーなのはこの事に由来している。『冥界のメリークリスマス』では主神クラスのケツァルコアトルにも完勝。また冥界では神性が逆転する特徴があり強い者は弱くなり、弱い者はそのままという地上への脱走を防ぐシステムが組み込まれ、他にも許可無く冥界に踏み入った者には防衛機構によりイシュタルの宝具に匹敵する超火力が降り注いで身を焼かれる。ただし侵入者であっても、7つの門の試練を受けるのであれば防衛機構は働かない。死者に対しても絶対的優位を誇り、彼女と対等に相対するには生きたまま冥界を下っていかなければならない。だが生者は冥界ではありえざる存在のため、その場に留まるだけで運命力とバイタルを奪われていく。彼女と謁見するには7つの門を突破する必要があり、どの門でも二択を迫られるが、どちらの選択肢を選んでも試練という名の戦闘が始まる。どのような質問が投げかけられるかは試練を受ける者次第で、作中で登場した二択はイシュタルとエレシュキガルの優劣を決めるものだった。エレシュキガルが喜ぶような選択肢を選ぶと出現する敵が弱くなる。
天の女神イシュタルの姉であるがFGO時空では表裏一体とされており、より関係性が強調されている。同じ依り代を使っているため寝ている彼女の体を乗っ取る事も可能。
原典では太陽の神ネルガルを夫としていたが、FGO時空では夫婦関係どころか、ワクワク太陽ランド建設という身勝手な考えを持って冥界へ侵略してきた完全な敵対者であり、エレシュキガルに返り討ちにされた事で冥界を奪う野望は潰えた。その後、結婚(偽装)の名目で半年間ネルガルを冥界に収監して反省させ、罰として権能の半分を没収したが、指定しなかった事が仇となって「病魔」と「厄災」という厄介な権能を押し付けられてしまった。だがネルガルは自身を倒したエレシュキガルに敬意を抱いており、冥界で反省している時にちゃんと太陽の権能を譲渡している。第三再臨ではその太陽の権能を宿した発熱神殿「キガル・メスラムタエア」を使用する。ネルガル本体は西暦へ移行した時に他の神々と消滅しているが、冥界に残った彼の悪意が恨みを募らせながらエレシュキガルの立場を虎視眈々と狙っており…。
水着霊基の実装を常に望まれ続けるなど、実装から数年を経ても根強い人気を維持し続けているが、(自身が主役級となった『冥界のメリークリスマス』を除けば)イベントでの出演がかなり少なく、せいぜいチョイ役程度に留まっている。そのような背景から『メリークリスマス』から約4年後の『水怪クライシス』で同行サーヴァントの一人に選ばれた時には驚きの声が上がった。本人も出番の少なさを自覚しているらしく、マスターに良い所を見せようと躍起になっている。雌伏の時を経て第2部第7章『黄金樹海紀行ナウイ・ミクトラン』にて久しぶりの本編登場を果たした。
エレシュキガルの立ち絵自体は2016年12月22日実装の『絶対魔獣戦線バビロニア』の時点で存在していたがバトルグラまでは用意されておらず、彼女と戦う時は巨大ゴースト型エネミーで代用された(一応エレシュキガルの王冠は被っていたが)。イシュタルやギルガメッシュ等はカルデアに記録されていて正式な召喚が可能なのに対し、エレシュキガルは記録された個体が消滅の末路を辿ったため召喚不能になったと思われる。約1年後に配信されたイベント『冥界のメリークリスマス』にてようやく正式実装されて召喚が可能になった。
古代メソポタミア神話に登場する冥界の女主人エレシュキガルが元ネタ。別名はイルカルラ、ニンキガル、アルラトゥ。即死技「死の眼差し」を持ち、その名は「大いなる地(冥界)の女主人」「日が没するところの女主人」を意味する。メソポタミアにおける最高神アヌとニップル市の守護神エンリルの間に産まれた女神で、死後の世界である冥界の管理を任されている。
神話における冥界は地下の淡水アプスーの更に下層にある陰鬱な地下世界(FGO時空では地上から2000m地下にあるとしている)。そこではホコリがご馳走で粘土が食べ物であり、陽射しは一切差さず、草木一本も生えない冷たく乾燥した地。『バビロニアの神議論』によるとフブルという川が流れており、シュメル神話では人間を喰らう川と表現され、死者は必ず渡らなければならない難関。エディンやアラリと呼称される荒野、墓所、東の山脈などがある冥界の中心地は、七重の城壁に囲まれた堅牢な城塞都市。門を超えた先にある中庭を通り抜けるとエレシュキガルが鎮座する宮殿が見えてくる。七重の城壁は「カンジィルの門」「エレシュキガルの門」「不帰の門」と呼称され、それぞれの門に1人ずつ門番が控えていて、彼ら門番を束ねるのが大門番ネティである。中庭は法廷も兼ねていて勿論エレシュキガルが裁判長を務める。アヌンナキ神団と呼ばれる7人の裁判官兼行政官が死者の魂を出迎え、書記官ベーレット・セリが女主人の前でひざまずいて献上された贈り物を大声で読み上げる。法廷と言っても生前の行いを裁くための場所ではないようだ。ただしイシュタルのように生者が殴り込んで来た場合は「死の眼差し」や即死トラップによって侵入者を殺害する。
彼女は冥界から一歩も出る事が許されず、誕生から消滅の時まで地下世界に留まり続けた影響か、原典にあまり登場しない。冥界から出られない自身に代わって冥界と地上を自由に行き来できる冥界の宰相ナムタルを送り込み、60種類の病気を操って人間を苦しめ、魂を冥界へ誘っていたとされる。信仰の中心地はクタであり、そちらでは都市神としても祀られていた。
FGOでは7人の裁判官は喋る粘土板、七重の城壁はストーンヘンジみたいな石門、門番はガルラ霊、宮殿は建造未着手と大幅にスケールダウンされてしまっている。ナムタルに相当する部下もいないが、エレシュキガル自身が病魔の権能を持っているため、どうやら統合されたようだ。
『ネルガルとエレシュキガル』では、エレシュキガルの名代でナムタルが天界の宴に出席するが、宴の場で太陽の神ネルガルに貶められたため、エレシュキガルが激怒して大喧嘩に発展。ネルガルは冥界へ侵攻する事を決意し、事前にエア神から冥界の禁忌を教えてもらって攻略法を熟知。14匹の悪霊を引き連れて冥界へ乗り込んだ。本来であれば7つの門をくぐるたびに衣装が剥がされていくのだが、悪霊を2匹ずつ離す事で権能を死守。何ら被害を受ける事なく玉座の前まで辿り着いた。攻略法を知っていたネルガルはエレシュキガルが仕掛ける即死トラップを全て回避、追い詰められたエレシュキガルは衣服を脱いで湯浴みを始める。さしものネルガルも誘惑に負け、6日間に渡って彼女と交わる。このままでは殺られると我に返ったネルガルは隙を突いて冥界から逃走していったが、交わっている間に彼女の心に変化が生じてネルガルの事が忘れられなくなってしまった。
エレシュキガルは神々にネルガルを戻すよう懇願するも、エア神が彼を匿ったため、ブチギレたエレシュキガルが「冥府の死者を地上に解放して、人間が生まれる以上に死者を出させる」と脅迫。すると再びネルガルが冥界へ侵攻してきてナムタルを倒し、エレシュキガルを床へ押し倒して引きずり殺そうとした。命の危機を感じた彼女はネルガルに結婚と共同で冥界を支配する案を示し、この条件を飲んだ事で二人は結婚。医術神ニアンズが誕生した。FGO時空とは対照的に実質ネルガルの勝利だった。原典では冥界においてもエレシュキガルは無敵ではなかった。
アッカド神話の『イシュタルの冥界下り』では、天界だけでなく冥界をも支配しようと妹イシュタルが殴り込んで来た。一方でエレシュキガルの夫グガルアンナの葬儀に参列するためとも言われており、本当の理由は判然としていない。門番のネティがこの事を報告するとエレシュキガルは「7つの門を全て閉じ、イシュタルに開けさせて衣服を1枚ずつ剥ぎ取れ」と指示。異説ではナムタルを迎撃に向かわせ、60種類の病気でイシュタルを動けなくしたとも。ネルガルと違って事前に攻略法を知らないイシュタルは門をくぐるたびに衣服を剥ぎ取られていき、何かの罠と疑うもネティにはぐらかされる。最後の門をくぐった時には全裸となって無力化されていた。エレシュキガルは玉座から立ち上がるとイシュタルを玉座に座らせ(実はこれが即死トラップ)、7人の裁判官が「死の目」「怒りの言葉」「罪の叫び」を浴びせると死亡。資料によってはエレシュキガルの「死の眼差し」を受けたとも言われる。ともかく彼女の死体はムッソリーニの如く吊るし上げられた。
イシュタルの死により農作物が獲れなくなって地上が混乱。困ったエア神は自らの爪から垢を取り出し、クルガルラとガラトゥルを作って冥界へ向かわせ、生命の水と命の食物を死体にふりかけてイシュタルを蘇生。イシュタルは地上へと向かうが、既に彼女の魂を我が物としているエレシュキガルは身代わりとなる魂を要求し、大小のガルラ霊を監視役につける。その後、妻の死を喜んでいた夫ドゥムジにキレたイシュタルは彼を身代わりに指定。ドゥムジはイシュタルの兄にあたる太陽神ウトゥに泣きついて手足を蛇に変身させる能力を授かり、ガルラ霊の追跡を逃れながら実姉ゲシュティナンナに匿ってもらう。しかしガルラ霊に見つかって打ち殺され、結局冥界まで連行された。不憫な弟を嘆いたゲシュティナンナは弟の身代わりになるとエレシュキガルに申し出たところで物語は終了した。
続編の『ドゥムジの夢』によると無事地上へ戻されたドゥムジであったが、ガルラ霊に追い回された末に殺害されたとの事なので、再びエレシュキガルのもとへ送られたと思われる。ちなみにこの逃避行の合間にウトゥからガゼルの変身能力を授かっている。『ドゥムジの死』ではエレシュキガルの神殿に仕掛けられたギシュブル罠に引っかかって飲食が出来なくなって死亡、埋葬されている。何回死ぬんだ。
『ギルガメッシュ エンキドゥと冥界』というお話ではエレシュキガル自体は登場しないが、冥界での禁忌や魂の暮らしぶりが明かされている。ギルガメッシュはフルップの木で作られたプックとメックーを冥界へ落としてしまい、途方に暮れていた。そこへ部下のエンキドゥが冥界の大門ガンジィルに行って取り戻してくると進言。そんなエンキドゥにギルガメッシュは「綺麗な衣服を着てはならない」「上品な軟膏を付けてはならない」「足にサンダルを履いてはならない」「愛する妻に接吻をしてはならない」など冥界での禁忌を教えたが、言いつけを守らなかったためエンキドゥは冥界に囚われてしまう。たまらずギルガメッシュはエア神に相談し、太陽神ウトゥに命じて冥界に穴を開けさせてエンキドゥを救い出した。ギルガメッシュから冥界での暮らしはどうだったかと聞かれると、エンキドゥは子供が多い方が幸せに暮らせると答えた。というのも息子が1人しかいない場合は嘆き悲しむ羽目になり、7人いると神々と同等の待遇を受けられるからだった。まさに富国強兵の時代である。また死因によっても待遇が変わり、戦死者や浮浪者のようにしっかりと供養されていない場合は冥界でも惨めな生活が待っている。冥界に生者が降りてきた時、その者が近親者であっても死者は応答してはならないルールも存在する模様。この物語は『バビロニア』の第14節でも語られており、FGO時空では楽器を発明して三日三晩騒ぐギルガメッシュに腹を立てたエレシュキガルが冥界の門を少し開けてプックとメックーを紛失させたとしている。エルキドゥ(エンキドゥ)が冥界へ来た際にエレシュキガルとも会っていて、礼を尽くした態度から彼に対しては悪感情を抱いておらず、彼が神々に殺された時にはその遺体を引き取っている。
また、2017年度クリスマスイベント「冥界のメリークリスマス」にて補足された内容を要約すると…
冥界の管理者として自分の国を作ろうと頑張ったのだが、木の一本もないネザー開始minecraft状態で死者の魂の管理に忙殺される結果となった。色々と役立ちそうな権能を得る機会はあったのだが、その尽くが思惑通りにゆかず、冥界に自分の神殿も立てられぬままに神代が終焉し、事実上の消滅を迎えた一柱。
その半生はあの英雄王が『表舞台に殆ど現れなかったがゆえに、神代を清廉に終えた偉大な努力家』と賞賛するほど。
冥界の女主人として冷徹に振る舞う一方、管理人としての強い責任感と誇りを持ち、勉学も欠かさない真面目な女神。彼女でなければ冥界の行き届いた管理は出来なかったとギルガメッシュは評する。冥界にいる限りは死者の魂の衣食住を保証し、永遠に留まるか深淵へ還るかは魂本人に選ばせる他、今にも消え入りそうな魂に対しては槍檻に入れて消滅を防ぐなど良き支配者ぶりが窺える。毎日ひっきりなしに魂が冥界に来るため槍檻の製作に時間を取られて自身の神殿すら造れない多忙な日々であったが、自由奔放なイシュタルとは対照的に辛い職務を最後までやり通した女神の鑑。冥界には一輪の花すら咲かないとエレシュキガルが嘆く中、ドゥムジは彼女こそが冥界の花と評している。『水怪クライシス』第3節では「土耕しは得意技です。」と胸を張っており、土いじりも行っていたと思われる。しかし、その代償に神代の終わりまで一歩も冥界から出られなかった。カルデアに召喚されて地上の光景が見られるようになると「疲れる以上に面白いものが沢山ある」「楽しい事ばかり」と目を輝かせ、地上用の礼服まで用意する一方、冥界にも地上に負けない街を作って見せると意気込む。趣味は登山と槍檻作り。英霊礼装では山登りに興じる彼女の姿が描写されている。真面目な彼女は暇さえあれば槍檻に魔力を注いでおり、戦闘時に解放する。まるで凛みたいだぁ(直球)
『冥界のメリークリスマス』では敵対しているにも関わらず何故かショップの店員をしており、冥界の女主人として厳しく接してくるも、何だかんだで励ましの言葉をかけてくれる辺り優しい。ショップは冥界に開かれているらしく「今まで冥界にショップとか無かったから」と発言している。
天を自由に駆ける妹とは対照的に高い知性と誇りを持つばかりに冥界の管理人に殉じたが、それ故に神話の時代から「嫌われ者」「日陰者」と呼ばれ、人知れず苦しんだり憎んだりしていた。そんな境遇によって「イシュタルみたいに自由に生きてみたい」「冥界の主人の地位とは関係なしで見てくれる相手に出会いたい」という乙女チックな願望を抱く。一方で自身が悪である事は受け入れているものの、「悪は悪でも人の役に立てる」とも考えており、根の優しさが見え隠れする。神としての役職と自分の感情で雁字搦めにしてしまう内向さに常々悩んでいる。浮世のことを何も知らないゆえの無垢な面もあり、語尾に「~なのだわ」が付くなどかなり天然。絵師の森井しづき氏の配慮で多めに表情差分が用意されているためか、赤面からはわわ顔、涙目までコロコロ表情の変わる愛らしい姿が印象的。
危険を顧みず救って貰った恩義から、プレイヤーの分身である藤丸立香に明確かつ強い好意を抱く非常に希少な存在。運営からもヤンデレの清姫や源頼光に匹敵すると認知されているほど。溶岩水泳部の準部員とする声も聞こえる。絆Lv4ボイスでは「戦いが続く限りは一緒にいられる」としながらも、マスターが傷つく事に耐えられず冥界へ閉じ込めて自分の庇護下に置く考えを見せ、絆Lv5ボイスでは「あなたの喜びが私の目的」「この先どんな女神が出てきても、あなたを守る事に関してだけは負けないから」とまで言い切る。リア充爆発しろ。バレンタインイベントではマスターのためのチョコレート作りに1ヶ月もの練習期間を置き、精神統一に2日も費やすというガチ勢ぶりを見せる。しかし1ヶ月使って成功作と言えるチョコレートは一つだけ(チョコ礼装「冥界のスイートホーム」の説明文によると形は上手く出来たが、味はまだまだらしい)、2日も精神統一したのにマスターと顔を合わせた瞬間から顔を赤らめて声が裏返るというギャグのような展開となってしまった。フォウ君には普通に対応出来ていたため、それほどまでにエレシュキガルの恋慕が強いという事になる。また、描写的にフォウ君の言葉が理解できるようだ。ちなみにエレシュキガル入魂のチョコレートには人間一生分のエネルギーが含まれているらしく、食べたら雪山で遭難しても生きられるんだとか。
ちなみに絆Lv5までの要求ポイントは多めだが、特筆すべき点はそれぞれのLvアップに必要なポイントが他のグループに属さないエレシュキガル専用。大半のサーヴァントが何かしらのグループで一括りにされている中、彼女だけのグループがわざわざ用意されている訳である。
妹であるイシュタルと同じタイミングで、表裏存在として七章に依り代のある神性が疑似サーヴァントとして現れた。依り代は妹と同じ人物であるのだが、金髪であったり一部が豊かであることを考えると『Fate/EXTRA』の方のムーンセル内部用のアバターではない地上の彼女が肉体のベースとなっている可能性もある。
第1節「神話にて」より登場。
神や怪物と呼ばれた存在が日常的に闊歩し、今より濃い魔力に覆われた地球最後の幻想紀――紀元前2600年の古代メソポタミア文明シュメル紀。人理の焼却を企む魔術王ソロモンはこの時代に聖杯を送り込んで特異点を作り出すも、この時代のウルク王に回収されてしまい計画が進まなくなる。そこでキングゥを通じてゴルゴーンをウルクにけしかけ、彼女の子供たる魔獣の群れが北部に出現し始めた。これに対抗するためウルクの巫女所では王に無断でウルクの都市神こと女神イシュタルの召喚儀式が試みられる。この時代が特異点になる兆候が見られた影響で違う時代と接触できるようになり、そこから女神に適合する魂を召喚し、その魂を触媒にしてイシュタルを疑似サーヴァントとして現界させる事に成功するが、その際に姉であるエレシュキガルも連鎖召喚されて人知れず現界。元となった少女の善性と悪性が綺麗に分かれた。二柱の神を召喚する予想外の結果により魔力を使い果たして巫女長は死亡。マーリン曰く本来メソポタミアの神々は金髪らしく、イシュタルは元になった少女がいたため黒髪となったが、エレシュキガルは金髪のままだった。
ゴルゴーンによってもたらされる危機を見たエレシュキガルは独自の方法で人間を救おうと考え、ソロモンの甘言に乗ってギリシャ神話のゴルゴーン、南米神話のケツァルコアトルとともに三女神同盟を締結。「ウルク王を殺害して聖杯を手にした者が人理焼却後の世界を支配する」条件のもと、それぞれの女神が自分なりの方法で人間を殺し始めた。まず手始めに自身を信仰していたクタ市へガルラ霊を送り込み、体力が落ちた者から魂を連れ去って全住民900名を眠るように安らかに殺害。突如連絡が途絶えたクタ市を不審に思ったウルク市は調査隊を派遣したが、遺体には争った形跡が無く、原因不明の衰弱死として片付けられた。次に気まぐれで人間に貸し与えていたウルク市の奪還を掲げ、地下空洞を通じてガルラ霊を送った。こうして三女神同盟により12あった城塞都市のうち8割が壊滅し、生き残った者もウルク市に身を寄せて絶望的な抗戦を強いられる。一方、むごたらしく人間を殺すゴルゴーンに対しては「どこもかしこも生々しくて吐き気がする。本来、死は清浄なものなのにね。」と苦言を呈していた。
殺害方法が自然かつ静かなものだった事、天駆ける女神イシュタルの傍若無人ぶりによりカルデア軍団やマーリンはイシュタルこそが三女神同盟の一員だと疑っており、エレシュキガルには容疑が向かなかった。異変に気付いたアナやマシュたちによって一部のガルラ霊や巨大亡霊「冥界の呼び声」が討伐されるも彼女の仕業だとは誰一人気付かず、徐々にウルク市民を蝕んでいく。賢王ギルガメッシュがクタ市に置いてきたという「天命の粘土板」を回収するためカルデア軍団が無人と化した同市を訪れた際、突如足元が崩れてマスターが冥界に転落する。生者が現れた事でガルラ霊に殺されかけるも謎の老人ジウスドゥラの助力で地上へ生還。ジウスドゥラの存在からマーリンは冥界の主人も現界していると推測した。
第10節「おはよう、金星の女神」にて、カルデア軍団はエビフ山に神殿を構えるイシュタルの懐柔に成功。下山して放棄された家で夜営する事となった。あのイシュタルを味方に付けたカルデアのマスターに興味を持ったエレシュキガルは寝ている彼女の体を乗っ取り、一人見張りをしているマスターに接触を試みる。だがイシュタルは薄着なのと夜風が冷たかった影響で思わずくしゃみをしてしまい、本来の姿に戻って
しまうが、怖気付かないマスターの態度を認めて会話を続行。生まれてからずっと一人で冥界の管理をしてきたエレシュキガルにとって、初めて対等に言葉を交わした瞬間だった。その事を内心嬉しく思いつつも、「人間だけで世界を作ろうとする今のメソポタミアを許さない」と宣言し、人間だけではなく人と神の世界へ戻すために三女神同盟へ加わったと心情を吐露した。生死の恐怖から人間を解放し、多くの理不尽や無慈悲を神のせいして生きられる世界にするという元を辿れば人間を慮った考えで動いていた訳である。こうしてマスターにだけ考えを明かしたのも、彼女の敵は人間ではなく人間たちの世界という意思表明であった。
第12節「太陽の神殿」では、ケツァルコアトル対策でウル市に進出して夜営中のマスターのもとに再びイシュタルの体を乗っ取って現れ、よく冷えた果実水を差し入れた。密林という牢屋の中に収監されて気力を失っている住民を「これが本来正しいのよ」と評し、「強い者、輝かしい者たけが認められる世界になったら、弱い者、暗い者の立つ瀬がないわ。」「弱い視点だからこそ見えるものがある。私はそれをないがしろにはしたくない。すべてを平等に考えたいの。」と引き続き自身の考えを明かす。またジャガーマンを仲間に引き入れた事に少しばかり嫉妬心を見せた。夜風に当たって冷えたのか、またしてもくしゃみで姿が元に戻ってしまうも、これから対峙するケツァルコアトルに向けて「アイツは善なる神、善性の頂点よ。逆説的に善なるものでは敵わない特性なの。アイツに有効打を与えられるのは悪性のもの。だから、戦闘になったら悪性のサーヴァントで挑みなさい。」と重要なアドバイスを授けた。生まれた時から冥界の管理人をやらされてきたエレシュキガルにとって、マスターはまともに言葉を交わした初めての友人であり、放っておけない存在だったのだ。
第13節「天命の予言」で三度目の邂逅となるが、遂にマスターに登場する前から存在を見破られる。ケツァルコアトルを仲間にした事に対して称賛を贈るとともに他の女神と仲良くなった嫉妬心からマスターの頬をつねった。これまでの過労が祟ってマスターが体調不良を起こしたため、マスターに代わって見張りを引き受け(その際にエレシュキガルの別名である「イルカルラ」の名をうっかり出している)、退屈な見張りに華を添えようとマスターから第1から第6までの特異点の話をしてもらって表情を輝かせた。夜明けとともにエレシュキガルは去り、カルデア軍団は魔獣に包囲されたウルクへ出発した。
エレシュキガルがマスターと親交を深める中、ウルクに忍ばせたガルラ霊は着々と魂を集め続け、実に300名のウルク市民が衰弱死していた。その中にはたった一人で業務を捌いて過労死したギルガメッシュも含まれており(これは当のエレシュキガルも予想外だったらしい)、ウルク市からすっかり活気が失われてしまった。カルデア軍団がウルクに帰還するとギルガメッシュの国葬準備が執り行われていたが、ここでケツァルコアトルからイシュタルは三女神同盟に与していない事、エレシュキガルこそが三女神同盟最後の女神であると告げられた。ちなみに古代メソポタミアでは体から魂が連れ去られる事を「死」ではなく「眠り」と解釈していて、冥界の檻から魂を取り戻せばギルガメッシュ王の蘇生も可能だった。こうしてカルデア軍団は地下深くの、エレシュキガルが支配する冥界へ赴く。
第14節「さよなら冥界の女神」においていよいよ冥界へ乗り込む事になる。クタ市に来たカルデア軍団は、イシュタルの宝具により強引に地面を掘削して冥界へ侵入。エレシュキガルによって造られた槍檻と中に閉じ込められた青白い人魂が出迎える。通常魂は次第に消滅していくのだが、彼女に気に入られた場合は槍檻に入れられて何万年も手元に置かれる。しかし魂だけの状態になると手足から凍り付いていき最終的には生きる氷となってしまうという。
冥界の主エレシュキガルと謁見するには7つの門を突破しなければならず、門をくぐり抜けようとするたびに試練という名の二択と戦闘を迫られる。途中で合流したギルガメッシュを加えたカルデア軍団は7つの門の先にあるエレシュキガルの宮殿へ辿り着いた。華美なものが一切ない冥界では主の宮殿すら例外ではなかった。最奥まで到達した侵入者を迎え撃つべく、巨大なゴーストの姿となって厳然と姿を現すエレシュキガルであったが、ここで図らずもマスターと四度目の邂逅を果たし狼狽える。どうやら今までの邂逅で自身の正体を見せていた事に気付いていなかったようだ。恥ずかしさのあまり頭を抱えて座り込むなど威厳も何も無い状態になってしまうが、「地上の人間は全て冥界に招いて自分の所有物にする」という譲れない想いを掲げてカルデア軍団と対峙。
エレシュキガルは第14節のボスとして対決する。ボス戦直前の選択肢によってHPが増減。ジウスドゥラの助言通り冷たく突き放すと弱体化、同意を示してしまうとハッスルして前者より約7万ほどHPが増加する。戦闘では常時3回行動を行い、このうち1回は毎ターン権能「冥界裁判」を使用してスキルと宝具を封印、HP回復量を減少させる。よって礼装などで対策しない限り宝具とスキルが全く使えない苦しい戦いを強いられる。この戦いでは冥界の支配者が誰であるかをイヤと言うほど思い知らされる。チャージは4、全て貯まると宝具のクル・キガル・イルカルラを全体に放ち、NPを20%減少。
冥界という地の利を活かしても生者であるマスターには敵わず、戦いに敗れたエレシュキガルは魔術王の甘言に乗ってシュメルの敵となった自身を処刑するよう求める。そこへジウスドゥラが現れてエレシュキガルを切り裂く――厳密には三女神同盟の契りだけを切り裂いた。彼女が同盟に与したのは、ゴルゴーンがもたらす世界の破滅から人間を冥界で保護するためだった。またギルガメッシュが衰弱死した者1200体の遺体を保管していたためエレシュキガルが魂を解放すれば生き返る事も可能であり、実質被害は皆無と言えた。そしてマスターから共闘を持ち掛けられ、三女神同盟を離脱して味方化。カルデア軍団に出国許可を出して無事地上へと送り出した。その際、地上との連絡用に冥界の鏡を貸し与えている。
鮮血神殿における戦闘でアナと相討ちになる形でゴルゴーンが討たれた事で、マーリンが夢の檻に閉じ込めて目覚めを先延ばしにしていたティアマトが覚醒。それと同時にペルシャ湾方面から地平線を埋め尽くすほどの黒き異形ラフムが出現。黒い津波となってウルクに押し寄せる。全ての生命の源であるティアマトは地球上に人間がいる限りそれが存在証明となってしまい、不死性を突き崩す事が出来ない絶望の象徴だった。しかし生命が皆無のエレシュキガルの冥界へ落とせば、その不死性を無効化する事に出来るとマスターとギルガメッシュが同時に思いつき、早速エレシュキガルに助力を乞うた。無茶を承知でウルク全土の冥界の門を開く覚悟を決めてくれたが、それには3日の時間が必要だった。ティアマトがウルクに到達するまで後2日、是が非でもティアマトを1日足止めしなければならなくなった。ケツァルコアトルや弁慶、キングゥ、ギルガメッシュの活躍によりウルクが火の海に包まれながらも足止めに成功。滅亡より先にエレシュキガルの仕込みが間に合った。イシュタルの宝具がティアマトの足元を穿ち、大地が崩落してティアマトの巨体を冥界へと沈めた。如何なる存在であっても冥界に踏み入ればエレシュキガルのおもちゃになる。たとえ相手が人類悪であっても例外ではなかった。すかさず冥界の防衛機構が働き、イシュタルの宝具に匹敵する超火力が絶え間なくティアマトを焼き続ける。ダメ押しにエレシュキガルの宝具とガルラ霊の総攻撃が叩き込まれ勝負がついたように見えたが…。
ティアマトは冥界の絶対的ルールを捻じ曲げて逆にケイオスタイドで汚染し始め、体内からラフムを放出してエレシュキガルの領域を侵す。これにはさすがのエレシュキガルも絶望の表情を浮かべてしまった。だが冥界にいる事でラフムやケイオスタイドは生命にカウントされずティアマトの不死性は失われたままであり、今度は本物のマーリンによってケイオスタイドの生命力を、花を芽吹かせる事に浪費させて無効化、更にはグランドアサシンの山の翁まで参戦し、冥界から脱しようとしたティアマトの両翼を切り落として死の概念を付与した。ラフムを大量生産して壁をよじのぼろうとするティアマトに最後の決戦を挑むマスターたちへエレシュキガルは冥界での行動権利と全能力強化を与え、「冥界の女主人、エレシュキガルが願い請う!地上の勇者よ、あの魔竜に鉄槌を!」と望みを託した。彼女の加護でマシュとマスターは空中歩行まで可能となっていて、カルデア軍団は母体を守るラフムごとティアマトを打ち破った。しかし何の見返りも無しに冥界の加護を与える行為は彼女自身が定めた誓約に違反するものであり…。
戦闘後、禁を破ったエレシュキガルは消滅が間近に迫っていた。姉の今際に駆け付けたイシュタルに「私は冥界の女主人。冥界を守るために、一番可能性の高い方法をとっただけ。」と強がってみせるが、膝は消滅の恐怖で震えていた。心を通わせたマスターとの別れを心残りにしながらも「あの子が私を覚えてくれるなら、必ずまた会えるわ。」と自分が手に掛けた人間と同じように安らかな死を遂げた。
『バビロニア』で縁を結んだ女神やゴルゴーン等とともに時間神殿ソロモンのバトルに参加する。相変わらずマスターへの好意は健在で、マスターに声を掛けられると顔を赤面させながらクールに取り繕おうとした。彼女の力により『バビロニア』で消滅したレオニダス1世、弁慶、牛若丸を解放して戦線に投入。どうやら霊基が消滅した後、エレシュキガルの冥界に囚われていたようで英霊の座へ退去する条件として修復作業に従事させられていた様子。作業を終えた後は退去するだけだったが、牛若丸がエレシュキガルに「マスターに謝罪出来なければ腹を斬る」と駄々をこねた事が弁慶に暴露された。ブチギレた牛若丸から弁慶を譲渡を提案されるも「え……困るわ、こんな暑苦しいのもらっても。冥界の美観を損ねるし。」と辛辣な返答をした。冥界の囚人を生命院サブナックにぶつけた後、エレシュキガルは戦闘に参加しないまま退去した。
『バビロニア』の後、禁を破ったエレシュキガルは冥界の深淵へ落ちたが、マスターに助けられた事で復活した事が彼女の口から語られている。おそらくイベント『冥界のメリークリスマス』の出来事を指していると思われるが、『冠位時間神殿ソロモン』実装時にはまだイベントが開催されていなかったため時系列が前後あべこべになっている(『ソロモン』は2016年12月22日実装、『メリークリスマス』は2017年12月15日~25日)。
イベント『冥界のメリークリスマス』では若き頃(?)のエレシュキガルが描かれている。
生まれた時から冥界の主人を宿命付けられた彼女は、荒涼とした寒々しい土地である冥界を良い世界へ作り変えようと躍起になっていた。しかし1000年が経過しても他の神様は応援には来ず、毎日ひっきりになしにやってくる死者の魂を入れるための槍檻を造るだけで手一杯となり、自分が住む神殿の建設にすら着手できない多忙さから冥界は不毛の地のままだった。それでも地上で増え続ける人間のため職務を続け、書物で勉強にも励むなど真面目に取り組んでいた。とはいえ彼女は自分の物にならない生者を嫌っており、「私は個人の為に力を振るう事はありません!」「ましてや代償なしの加護なんて以ての外!」「だーれが、地上の人間なんかに味方してやるもんですかーだ!」とこぼしていた。
そんな中、おごり高ぶった太陽の神ネルガルが「より多くの死を扱うのは冥界にあらず!」と叫び、冥界を封鎖したのちワクワク太陽ランドを建設しようとエレシュキガルに宣戦布告してきた。これは天空を支配するイシュタルへの意趣返しでもあり、半身のエレシュキガルを貶める事で間接的にイシュタルの評判を落として天空の支配権を得ようとした目的も含まれている。ネルガルは強い神であったため人間は手出しせず、エレシュキガルは泣き寝入りするだろうと思われた。だがエレシュキガルは冥界から「我が地下冥界において太陽の恩恵はなく、神々もまた不測の事態で死に行くもの。」「具体的に言うと、100万回苦しんで死ね!」と通達して徹底抗戦の構えを見せる。ネルガルは自分が生きているうちに冥界を攻略しようと、エア神から14の病魔を護衛として借り受けて侵攻を開始。だが冥界はエレシュキガルの天下。7つの門によって権能を剥ぎ取られ、最後にはイナゴほどに体躯が小さくされていた。無残にも敗れ去ったネルガルは敗北を受け入れ、彼女の玉座の前で謝罪。エレシュキガルも命までは取らないと温情を見せつつ、反省した証として権能の半分を置いていく事、1年のうちに半分は冥界に来て反省する事を命じた。ネルガルは渋々命令に応じ、エレシュキガルは彼が持つ太陽の権能を手に入れられると喜んだ。これで寒々しい冥界を少しは暖められる。ところがここで彼女の詰めの甘さが露呈してしまう。要求する権能を指定しなかったばかりに、エア神から借り受けた「病魔」と「災厄」の権能を押し付けられてしまったのである。かくしてエレシュキガルはネルガルから権能を取り上げたが、その大部分は疫病にまつわる迷惑なもので、冥界の女神としてますます暗黒属性が深まってしまった。
その後、今度は傲慢な妹イシュタルが冥界下りをしてきてエレシュキガルに刺殺される。イシュタルは豊穣の権能を持っていたため彼女の死によって地上は大混乱に陥ってしまった。やむなくエンキ神が生命の草と生命の水で肉体を蘇生させるも、既に魂はエレシュキガルのものになっていて、返して欲しいければ代わりの魂を納めるよう求めた。紆余曲折を経て、イシュタルの死を喜んでいた夫ドゥムジが懲罰がてら冥界へ差し出されそうになり、ドゥムジは逃亡。姉ゲシュティンアンナ神に泣きついたが、ついに捕まって冥界送りとなった。弟を不憫に思ったゲシュティンアンナは自ら身代わりを申し出、エレシュキガルの許可を得た事でドゥムジは解放される運びに。その際に彼女はドゥムジにも権能半分没収と半年間冥界での反省というネルガルと同様に罰を与えたが、手に入れた権能は「蛇とガゼル(鹿)への変身能力」という何とも役に立たない能力だった。
冥界にはエレシュキガルに敗れてから何千年もの間、ネルガルの悪意が滞留して恨みを募らせていた。『絶対魔獣戦線バビロニア』終盤でエレシュキガルが禁を破った影響で冥界の規律が失われ、時間の概念を始めとして様々な要素が曖昧となった時、ネルガルの悪意は弱体化したエレシュキガルを見て冥界を我が物にしようと最後の賭けに出る。一方のエレシュキガルは禁を破った時点で霊基が崩壊し、冥界のシステムの一部に還るはずだったが、カルデアにエレシュキガルの記憶を持つ者がいたせいで戻れず、また討伐に来るであろうカルデアの面々に迷惑をかけないよう『バビロニア』での「自分」を削ぎ落としていたため、かつての冷徹な女主人になって障害となるカルデアに攻撃を仕掛けた。しかし記憶を消してもなお外界を知った彼女の心は不安定であり、そんな自分を危険と判断した彼女はネルガルに後を譲り、自身は深淵の真水に身をひたして溶けようとした。結果、冥界の支配権はネルガルに渡り、彼は外部からの干渉を防ぐため冥界の門を閉めて籠城体勢を構築した。
2017年12月23日、人理修復を成し遂げて退去が迫るカルデアに異常事態が襲った。気温42℃にまで上昇してスタッフの大半が熱病を訴えて欠勤、人間より頑強であるはずのサーヴァントも大半が病床に臥し、暑さのあまりフォウ君は気絶してしまう。その中において唯一マスターのみが影響を受けておらず、気力で何とか耐えていたギルガメッシュから「このままではカルデアは全滅する」と告げられ、謎の異常気象の正体は神さえ避ける「夏のシュメル熱」だと明かした。「夏のシュメル熱」はメソポタミアにおける死因ナンバーワンの災厄であり、別名冥界の誘い…つまりカルデアは冥界からの攻撃下にあった。問題解決のため彼の力でマスターは冥界へ送られた。一方、謎の羊ドゥムジも唯一ピンピンしていたアルテラを無理やりサンタにしてプレゼントを授け、冥界に送り込んだ。
マスターとアルテラサンタは冥界で合流し、いつもより縦深化している冥界を下りながら7つの門を突破していく。第三の門に辿り着いた時、エレシュキガルが姿を現す。だが彼女の様子は『バビロニア』の時と比べて冷徹であり、マスターが名前を呼んでも彼女は何も知らない様子だった。とうとう会話は破綻しバトルに発展。冥界で戦ってはエレシュキガルには勝てず、やむなくアルテラサンタは撤退を決意。何かと親しみやすいマスターを見て、忘れてしまっている事に何か関係があるのではと考えるように。第六の門で出会ったマーリン曰く「ネルガルが冥界を治める事になったら酷いよ?魂は苦しみながら消え去り、大気は淀み、蛆と蠅と腐敗がはびこる、ただの墓場になってしまう」との事で、カルデアを救うにはエレシュキガルを倒さなければならず、冥界を救うにはエレシュキガルを消滅させてはならなかった。まさに究極の選択と言える。
『バビロニア』での記憶が無いエレシュキガルは何故女神の誓約を破ったのか理由が分からなかったが、責任を取るために深淵に溶けようとしていた。何もない虚無の世界である深淵にカルデアから救助に来たマスターとアルテラサンタが降り立つが、待ち伏せていたネルガルの悪意が襲い掛かる。冥界に根付いたネルガルの悪意はエレシュキガルでなければ倒せず、マスターたちは追い詰められていく。是が非でもエレシュキガルを救うため、ギルガメッシュから託された深淵の要石を重しにマスターは深淵へ潜航し、危険を承知で奥底に沈んでいる彼女のもとへと向かった。深淵の底にて遂に探し求めたエレシュキガルを発見。深淵によって既に顔は腐り落ちていた。彼女の体内に宿したネルガルの権能を依り代とした悪意がエレシュキガルを唆し、マスターを攻撃。冥界の絶対的ルールは深淵においても変わらずマスターは敗北へと追いやられる。
最期の最後までエレシュキガルを救おうとするマスターの姿勢に、彼女は「私には、貴方の厚意を受けとる資格がない。だって私は、自分の手で捨ててしまった。」「私には、その『大切な理由』がなくなって――」と謝絶するが、「大切」と聞いたアルテラサンタはドゥムジから預かっていたクリスマスプレゼントの「記憶」を取り出した。さすがのネルガルの悪意もこれには焦燥し、記憶の譲渡を妨害しようとアルテラサンタに攻撃を仕掛けるが、そこへドゥムジが現れてエレシュキガルに記憶が戻される。その瞬間、太陽の輝きとともにエレシュキガルが復活を遂げ、手には太陽の権能によって象られた槍こと発熱神殿「キガル・メスラムタエア」が握られていた。実はネルガル本体がエレシュキガルに敗北した時、敬意を表して疫病だけでなく後でちゃんと太陽の権能を渡しており、戦いの最中に生まれた悪意はその事に気付いていなかったのである。冥界を魂が苦しむ屈辱の土地へと変えようとしたネルガルの悪意に後を譲ろうとしていた自分の過ちに気付き、マスターとともに悪意を討ち滅ぼした。
エレシュキガルを救い出す事に成功したのも束の間、ドゥムジから12月23日が終われば冥界から二度と脱出出来なくなる事を告げられ、残された時間はあまりに少なかった。だが『バビロニア』でエレシュキガルが禁を破ってマスターを助け、今度はマスターが彼女を救った事で対価が支払われ、今度こそ縁を結ぶ。自分が消えても世界は何事も無く続いていくのに、助けに来てくれたマスターに礼を述べ、急いで地上へと脱出する彼らを手を振って見送るのだった。異変解決に伴って曖昧になっていた時間の概念が元に戻り、カルデアは2017年12月に、冥界は1年前の2016年12月になった。よってエレシュキガルが召喚可能になるまで1年のタイムラグが発生し、その間彼女はひたすら待ち続けた。1000年よりも長い1年間を…。「アナタがピンチになったら必ず助けに行くわ。」「とびっきりの格好いい私で、とびっきりの勝利の女神になってあげる。」と約束を結び、その約束は終局特異点で果たされる事となる。
冥界の異変を解決したのが12月23日23時30分、ソロモン王の居城である時間神殿への道が開いたのが12月25日とギチギチスケジュールであり、カルデアスタッフやサーヴァントは病み上がりの状態で最終決戦に挑んでいた事になる。もし時間神殿侵攻とエレシュキガルの攻撃が被っていたら詰んでいたと言える。
物語の冒頭に登場。
妹のイシュタルとともにマスターの部屋を訪れるが、既にマスターは突然現れた謎の存在・スペースイシュタルによって拉致された後だった。マシュから事情を聴いた二人は他の神霊に怒られるのを覚悟の上で魔力感知の術を使い、エレシュキガルは南半球を瞬時に調査するという離れ業を見せる。しかしイシュタルと合わせて地球全土を調べてみたが魔力反応は見当たらず、マスターは地球上に存在しない結果が弾き出されるのだった。
数分後、部屋に留まっていた彼女らの前に聖杯を伴ってマスターが帰還。ユニヴァース世界で羽織っていた服を見て「地上ではあり得ないほどのセンス……いえ、珍しさを感じるんですけど。」「いったい、どこでそんなカッコイイ服を?」と評した。マシュがお茶を淹れ直すという事でそのままお茶会をする流れとなり、イシュタルだけ残すと不安なのでエレシュキガルも参加する。マスターの土産話に耳を傾けながら――。
マスターの同行サーヴァントとして登場。主役級の出番が与えられたのは『冥界のメリークリスマス』以来、約4年ぶりである。
聖杯を起点とした座標不明の微小特異点を観測したカルデア。特異点解決と聖杯回収のためマスターと、適性値の高いエレシュキガル、武則天、ラムダリリスの3人からなる護衛サーヴァントがレイシフトで送り込まれた。ロリンチ曰くカルデアの機器による探査では仔細が掴めず、南国風の島としか分からない不気味な場所であったため、所感を求めたところエレシュキガルは「念のために言っておきますが冥界の気配もありません。」「地下は……そうね。空洞とはまた違った、スカスカな感じがします。」と述べた。同時に「ずいぶん久しぶりに頼られた気もするし、手伝ってほしいことがあったら何でも言うのだわ!」とマスターの力になれる事に心を躍らせていた。部下のガルラ霊を引き連れてきたようで武則天から「そこな冥界の女主人よ、妾に霊は近付けるでないぞ!絶対じゃぞ!」と念を押される。真面目な彼女は到着してすぐにガルラ霊を四方八方に散らせて警戒にあたらせ、チラッと島の原生生物らしき存在を確認。この地の情報が得られるかもしれないとエレシュキガルは追跡を進言した。
追跡した先で謎の半魚人に襲われている島の怪生物を発見。マスターの指示で怪生物を助ける事になり、半魚人を撃破して救出。気が付くと周囲に怪生物が集まり始め、彼らから感謝の言葉を投げかけられた事で危険生物ではないと判断。ガルラ霊たちを追いかけて遊ぶ怪生物を「少なくとも霊ではありません。とはいえ尋常な生き物とも思えない」と評した。すると謎のサーヴァント徴姉妹が現れ、この怪生物を便宜的に故郷の言葉で子供を意味する「コン」と呼称している事、コンたちを束ねて謎の敵から守っている事が伝えられた。彼女らが拠点としている水上村へ移動する途上、ラムダからライバル視されて「どちらが上手くコンを導けるか」という勝負を始める。辿り着いた水上村にて喋るウミガメこと長老と出会うが「金髪は、ちょっと……老いぼれたワシにはハイカラすぎるかのう?」「もちっと清楚が好みじゃな、ワシ。黒髪ロングとか……」と言われ、「ハァー!?守銭奴のイシュタルなんかよりはよっぽど清楚で通ってるんですけど!?」と声を荒げた他、長老のマイペースっぷりに青筋を立てていた。長老の話によるとこの島は巨大な亀の甲羅の上に出来ているらしく、長老は素材となった亀の分身であり、本体の亀は長い眠りに就いているのだという。
長老曰く、少し前から海の向こうや霧の向こうから恐ろしい怪物の群れが現れ、逃げ回るコンを捕食して島の各所を占拠している様子。種類こそばらばらだが共通点としていずれも水辺に棲まう敵、水怪であった。全てが奪われかけた時に召喚されたのが徴姉妹なのだという。かろうじてコンの全滅は避けられたが、逆に言えばコンの生存が許されているのは水上村のみと非常に追い詰められた戦況と言えた。徴姉妹が召喚されたのはコンを守るためだと推測され、コンを守る事こそが特異点解決の道だと判断。水怪の占領地を一つずつ解放していく運びとなった。しかし水怪には厄介な特徴があり、そのまま倒しても消滅させるには至らず、最後は必ずコンにトドメを刺させる必要があった。コンに倒させる事で水怪にトドメを刺し、今まで捕食されたコンも全員戻ってくるが、逆にコンを全て食べられてしまうと打つ手が無くなる事を意味していた。今回もまた薄氷を踏む戦いを強いられる訳である。攻勢に出る前に、徴姉妹の提案で急ごしらえの水上村を本格的に拠点として使用できるよう改良を進める方針が決まり、カルデアからの増援であるセミラミスに土木工事を行わせた。地盤を固めた後、最初の攻勢へ出るにあたって島の立地や怪物の分布など仔細が分かっていないのでエレシュキガルは具体的な作戦の立案を徴姉妹にお願いした。
第2節「問答する僧形」にて村から程近い大ヤシ林へ進攻。徴姉妹は既にこの地の水怪と交戦しているらしく、鱗も無いのにコンの攻撃が通用しない、謎の自己強化の術を使用してくる事から歯が立たず、大ヤシ林一帯を放棄せざるを得なかったようだ。これまでに得られた情報から和装の水怪だと分かり、何か手がかりになるかもしれないと弁慶ら日本出身のサーヴァントが同行していた。コンと会話する弁慶に対し「呑気なことやってないで、ほら、もう敵の勢力圏なんだから!」「警戒しながら進むのだわ!」と指摘するなど相変わらず弁慶に厳しいエレシュキガルであった。自分から前へ前へと進んでいく勇ましい姿をマスターに褒められると顔を真っ赤にして照れながら「別に貴方に褒められたくてやっているコトではないのだけれど!?本当なのだわ!?」と答えた。河の奥地にて僧侶の格好をした水怪を発見。水怪が問いかける質問に答えない限り自己強化の術が解けず、ダメージが与えられない厄介な敵であったが、弁慶が寄居虫(かむな)だと見破った事で撃破に成功。ところが正体を見破られて隠す必要が無くなったのか寄居虫が大挙して襲来。コンにトドメを刺させるには中身を傷つけずに堅い殻だけを砕く必要があるのだが、エレシュキガル含め火力極振りの女性陣には全員不可能であり、弁慶も力の槍であるため不可能。打つ手が無くなったので一時退却を強いられた。作戦会議の結果、堅い殻を破るための武器をコンに持たせる事となり、カルデアのサーヴァントの意見を取り入れて武器を開発する。
第3節「第一エリア奪還戦」で再び寄居虫の占領地へ進撃。以前の戦闘データから敵の体力とダメージを数値化するプログラムをロリンチが作り、エレシュキガルたちが堅い殻だけを破壊し、武器を持たせたコンがトドメを刺して殲滅。食べられたコンは全て解放されて最初のエリアは見事奪還された。感謝する徴姉妹に対し「冥界の女神がわざわざ地上に上がってまで協力してあげているのです。」「失敗などあり得ません。というか、もともと国造り、土地耕しは得意技です。」と返した。
第4節「インターミッション」では、勝った直後にこそ気を引き締めるべきという考えのもと、深夜に一人でガルラ霊を使役して敵勢力圏とコンの生存圏の境目を偵察させていた。その様子を偶然眠れずに夜風に当たっていたマスターに見られ、感謝の言葉を贈られる。「……ずるいのだわ。なんだか私の色々なものが、見透かされている。」と恥ずかしさとともに答えると『冥界のメリークリスマス』の回想が流れ、マスターとエレシュキガルの付き合いが長い事を演出する。生まれてからずっと冥界の管理しかしてこなかった彼女はマスターのために何が出来るのか明確な答えを得られず、色々考えた結果、自分にしか出来ない事をやろうと思い、効果が少ないと分かっていながらガルラ霊を偵察に向かわせたのだという。彼女は「この島の空気が少し気になるからかしら。いいところではあるのだけれど、何か……。」「この夜は少し冥界に似ているかもしれないのだわ。」と己の推測を述べる。そしてこの推測は的確に的を射ているのだった。マスターが寝に戻った後、エレシュキガルは一人顔を赤面しつつも満足げに笑顔を浮かべた。
第5節「喰らいつく怪」では、ロリンチが四方八方手を尽くしても島の正体や座標は一向に掴めなかった。夜になっても星は出ず、水質のデータは地球上のどこの水辺とも一致しない。何一つ尻尾を掴ませない奇怪な島の上にエレシュキガルたちは立っていた。そろそろ次なるエリアの奪還に向けて動きだす事になり、徴姉妹曰く今度の水怪はワニのような姿をした、単純に強い奴なのだと言う。一抹の不安を抱えながらも水上村の北東に位置する滂沱の滝へ進攻。前回の水怪が日本由来だったため長尾景虎が応援として同伴した。水場に出るとワニと犬が合体したかのような新種の水怪と遭遇、景虎が一番槍をつけようとした瞬間、水怪が転移レベルの瞬間移動した。すかさずエレシュキガルがマスターの心配をするが、敵の狙いはコンであり、瞬く間に数匹が捕食される。敵の瞬間移動はサーヴァントであれば迎撃可能だが、そのサーヴァントを無視してコンにのみ狙いを定めているため被害が拡大、マスターの指示で一時撤退を強いられた。長尾景虎の毘沙門天的直観とカルデアのデータベースを参照してみたところ、「見た相手を殺す」オーストラリアの水怪バンニップと判明。ロリンチの提案で襲われても時間が稼げるよう防具を製作する事になり、素材を集めてコン専用の防具を作った。第6節「第二エリア奪還戦」にて再度滂沱の滝へ進攻し、バンニップの群れと交戦。「とりあえず私はマスターを守って……」とエレシュキガルは率先してマスターの護衛に回った。コンに装備させた防具のおかげで食べられる事は無くなり、むしろ噛みついた際に一瞬動きが止まる副次効果でサーヴァントの攻撃が間に合って、バンニップは次々に討たれていった。ボスのヒュージ・バンニップの討伐を以って滂沱の滝の奪還に成功。安全な地域が増えたが、それは同時に監視しなければならない地域の増加も意味していた。武則天の「国土は広大であるほど守りにくい」という意見に「わかるわー。広い冥界を一人で管理するのって大変なのよね。」「いくらガルラ霊が使えると言っても、私の仕事が減るわけじゃないし。」と同意を示した。ともかく戦勝を祝してココナッツジュースが振る舞われて束の間の休息を得る。その後、広域を監視するための監視台を設営。
第8節「妖霧蠢動」にて遂に海の向こう側から妖しげな霧が流れてきた。微姉妹曰く外海から新たな水怪が出現する前兆との事で、間もなく侵攻が始まる事を意味していた。北の海岸線に近い水上村は水際防御しか取れる手段が無かったためすぐさま迎撃が決まり、「侵略者は撃退し、粛清します。冥界に押し入ってきた女神のように。」と意気込みを語ってみせた。海岸線のヒダリワキビーチには未知の水怪が上陸していて交戦、これを殲滅する。しかし数が少ない事に微姉妹が違和感を覚え、索敵してみたところエレシュキガルが内陸から注がれる川の上流に木切れや岩が山のように積まれて堰き止められているのを発見し、先ほどの水怪が確認された。戦闘してみたところ概念的な加護を受けているようで力が強大化していた。アナスタシアからの助言で敵の正体はロシアや東欧に伝わる水怪ヴォジャノーイと判明。「水門や水車の近くを好む」というヒントから「ひょっとして、あの部分を堰き止めてる、木と石で造られてるあれ!水門扱いになってるのかしら?」とヴォジャノーイの加護を見破る活躍を見せる。相手の特性が分かった事によりヴォジャノーイは殲滅されたが、水門を造られる前に破壊するには海岸線を見張る監視塔以外にも内陸用の防御施設が必要となり、大がかりな工事を行って内陸部を取り囲む城壁を築いた。間もなく新手のヴォジャノーイが上陸して水門を造り始めるも、防壁のおかげで迅速な迎撃が可能となり、第9節「水門に棲まうこと能わず」で完成する前に迎撃が間に合った。今回上陸したヴォジャノーイを殲滅すると妖霧も晴れて侵攻が終了。また一歩前進となった。
第10節「死のライド・オン・ミー」では反攻に転じて第三エリアことウハラ川の奪還に向かう。ここはスコットランド地方で語られる馬型の水怪ケルピーの縄張りだった。ケルピーはコンを誘惑する魔性を持っており、うかつに近づくとそのまま食べられてしまう危険な敵であった。その様相を「コンが引き寄せられてるっていうか……魅了されたみたいになってるのだわ!?」と評した。コンの戦意を奪うケルピーの対策を立てるため一時水上村へ撤退。コンの興味が移らないようケルピーより魅力的な乗り物を作る運びとなる。この対策は見事成功し、コンはケルピーを前にしても誘惑に乗らなくなり、「心が揺れ動いているような様子はまったくないのだわ。」と安堵。ケルピーは殲滅されて第三エリアの奪還に成功したのだった。島の半分以上を奪還したため救出したコンが増えてきて、人口爆発に対する案としてコンの収容施設が作られた。
第13節「水辺のうたは永久への誘い」で第四エリアのアシサキ岬奪還が始動。しかしケルピー同様精神攻撃を行う未知なる女性型水怪によって犠牲を出して撤退。精神攻撃に弱いコンに対し「素直な性格が災いしてる気がするのだわ。」とこぼした。アナスタシアの助言で敵は歌や踊りで誘って水に引き込むルサールカと判明。コンに敵の誘惑以上の楽しさを覚えて貰うため娯楽施設を作った。
第14節「第四エリア奪還戦」で再度アシサキ岬へ進攻。早速ルサールカが誘惑してきたが、娯楽施設のおかげでコンは平常心を保ち、今まで通り殲滅に成功。いよいよ次で最後のエリア奪還を目指す事に。長老の背中の甲羅を使って作戦会議を行う中、「指で触られるとくすぐったいのう。正直……もっとしてほしいのぅ。ひょー」と変態発言をされたため「猿ぐつわでも噛ましておくべきじゃない?」と侮蔑の視線とともに呟いた。アシサキ岬は海面が多くを占める戦場なので航行用の船が必要となり、急遽船を作って進攻の足掛かりを得た。
第17節「最終エリア奪還戦」で最後の陣取り合戦を迎える。敵は最初に出会った半魚人だが、敵側もここが最後の砦と知っているのか、膨大な数で守りを固めていた。「こちらも出し惜しみなしなのだわ。お互い総力戦ということね。」と評し、ガルラ霊を召喚して決戦の気運は高めていく。半魚人の群れと交戦してこれを撃破し、今度は群れのボスと思われる屈強な半魚人が出現するも無事撃破に成功。コンたちの勝利が決定するとともに水怪から島が解放された瞬間だった。「久しぶりに私が手伝ったときだけミッション失敗、にならなくてホントよかったのだわ……」と胸を撫で下ろした。
水上村で祝賀会を開く微姉妹やカルデア軍団。そんな中、一人浮かない表情をするエレシュキガル。心配に思ったマスターが声をかけたところ、「本来あるはずのない――でも、どこかで嗅いだことがあるような匂いがしてる、みたいな……?」と感じている違和感を打ち明けた。その直後に妖霧が発生。長老曰く海の向こうから大津波が来るらしく、それを証明するかのように水上村の水位がグングン上がりつつあった。瞬く間に全ての勝利を無にするかのような絶望的な状況へ叩き落とされてしまう。徐々に押し流される村、巻き込まれるコン、マスターの命の危険からレイシフトで帰還する選択肢も挙げられる事態に。水を操る能力で津波を押し留めるとラムダが提案し、それをマスターの令呪三画でサポートした事により周りの海水ごと津波を球状にまとめあげ、村を危機から救った。しかし海水を持ち上げた影響で島の真の正体が判然とする。巨大な肉の塊に眼だけが付いた奇怪な生物。それがこの島の正体――太歳と呼ばれるモノだったのだ。「この島の下にあるのは、何?カメではないように見えるのだわ。」と驚愕の表情を浮かべる。水怪をおびき寄せてコンを食べさせていた黒幕は長老、もとい歪神ダゴンであった。
ここでエレシュキガルはずっと感じていた違和感の正体を掴んだ。ダゴンはメソポタミアの神霊であり、彼女と同じ出身地だった訳である。ダゴンは元々豊穣と穀物の神であったが、後世の解釈によって怪物の一部分のみが強調されて歪み、今では亡霊の如き忌まわしい姿となっていた。望まぬまま怪物にされたダゴンは、もう一度豊穣の神へ戻ろうと水怪を集めて自身を信仰させ、かつての力と姿を取り戻そうと画策。しかし微姉妹やカルデア軍団の活躍で呼び寄せた水怪が壊滅したため作戦を変更し、先ほどの津波で流された半数のコンを喰らって自力で神に戻ろうとする。同時に津波を押し留めるラムダを排除しようと海側から水怪を送り込むが、急いでラムダのもとへ向かって宝具を展開し、近付いた水怪を消し飛ばす。海より来る水怪の群れと、陸地から来るダゴン。「一度に前後は見られないと思うけれど、マスターは臨機応変に指示を!」と指揮を乞うた。マスターの指示とサーヴァントの機敏な動きで水怪とダゴンを同時に押さえようとするが、水怪の数は多く、ダゴンは精強とジリ貧に追いやられる。コンを食べれば力が得られるというがどうしても抵抗があって食べられないエレシュキガル。敗北への秒読みが始まる中、応援のマシュの到着。続いてロリンチの提案で島をベトナム付近に送って知名度補正による強化を狙う。微姉妹が強化されてもなおダゴンの優勢は揺るがず、万事休すと思われたその時、勝手にレイシフトしていたモルガンの助力でコンを触媒に太歳星君を召喚。彼を味方に付け、「同じメソポタミアの神性として――引導を渡してあげるわ、ダゴン!」と最後の戦いに挑む。
太陽が傾く頃、遂にダゴンが膝を折った。「あえて言いましょう。……憐れね。」という言葉に対しダゴンは「我を……憐れむか、エレシュキガル!貴様とて、そのような……木っ端の如き依り代に押し込められた、恥ずべき姿であろうに!」と言い放つ。エレシュキガルの慰めにも応じず、「正しき信仰を失い、歪み、けっして看過できぬ姿へと堕とされるやもしれん」と自身と同じ末路を辿る可能性を彼女に叩きつける。「そうね、私だって貴方のようにならないとは言えないわ。」「貴女とは比べ物にならないマイナーな神だから、今はただ見逃されているだけなのかも。」とダゴンの意見を肯定しつつも、「神の時代じゃないのよ、もう。」と神々の受け取り方についての主導権は人の方にあると説き、「だからこそ人と神が対等に触れ合えている奇跡を、大切にしたいと思ってるのだわ――」と満面の笑みを浮かべる。それでもダゴンは自身の考えを曲げずに逆上し、最期の力を振り絞って呪いを振りまいたため説得は失敗に終わった。結局、根暗な冥界の女主人じゃ救えないってわけ?消滅間際にダゴンは水を呪毒で汚染して現世に垂れ流そうとし、「人界に犠牲者が出てしまうのだわ!」と打つ手なしの現状を嘆く。だが微姉妹が入水自殺を図った事で神としての力が呪毒を浄化して大惨事は避けられた。
事件の黒幕は消え去った。聖杯を回収すればコンたちも消えてしまう事に一抹の悲しさを覚えるエレシュキガル。太歳星君の触媒となったコンはともかく、そうでない現住のコンは特異点とともに消滅を遂げたが、彼らは何も恐れず最後の時までのんびりしていた。
第2部第7章『黄金樹海紀行ナウイ・ミクトラン』で再登場。
最後に残った南米異聞帯を攻略するにあたってトリスメギストスⅡはサーヴァント4騎の召喚を推奨。一つ前に攻略したブリテン異聞帯では現地でサーヴァントを召喚出来なかった事もあり、突入前にストームボーダーで召喚される。しかしマスターと顔を合わせる前に謎の巨人から空手チョップを喰らってストームボーダーは墜落。マスターも穿たれた穴から転落死し、生き返るためにテスカトリポカに自らの令呪とマスター権を渡した。その後、カマソッソが現れてテスカトリポカとの交渉で令呪及びマスター権を入手。これによりストームボーダーで召喚された4騎のサーヴァントはカマソッソのモノになった。
第六層にある第三冥界線ソソアウワキに落下したエレシュキガルは、冥界線の管理人ドゥムジに「砂漠を一面の花畑と、羊で溢れる楽園にしろ」と命令。無理難題を押し付けられつつもドゥムジは砂漠地帯に一面の花畑を作り、ミクトランにいない羊の代わって砂虫を育てて要求に応えようとしていた。しかしある日、耳障りな羽音を立ててカマソッソが出現し、「オマエの望む姿になれ」とエレシュキガルに令呪を使ってオルタ化。彼女の理想の姿である『一つの間違いも犯さず冥界を統べる、敗北を知らない無敵の女神』ニンキガルと化す。冷徹な女神に変わり果てたニンキガルは恐怖の象徴たるカマソッソすら追い払い、花畑から魔力を吸い上げて元の砂漠に戻し、天鳴(てんめい)神殿を作り上げ、嵐で第三冥界を支配する恐怖の番人になった。思考回路がイシュタルと同じものになっていて自分だけが崇められる世界を冥界線に築こうとする。
ちなみに前編では全く出番無し。このためプレイヤーからは明かされていない4人目のサーヴァントが何者か考察されていたが、これまでのサーヴァントが冥界関係者ばかりだったため、大方エレシュキガルだろうと見当がついていた。
第13節「ソソアウワキ」にて、デイビットの足取りを掴むため第七階層メツィティトランを目指す事になったカルデア軍団は第六階層の冥界線に足を踏み入れる。そこは嵐が吹き荒れる砂漠地帯と岩塊が浮き上がる無重力が同居するという、これまでの冥界線を遥かに凌駕する奇妙奇天烈な魔境だった。一度入れば番人の許可なくして外へは出られず、気温は摂氏80℃とディノスですら干からびる過酷な環境、そして天鳴神殿と呼ばれるグガランナの脚が哨戒する地獄そのもの。カルデア軍団がグガランナの脚1本を撃破した事でニンキガルが侵入に気付き、番人自らが迎撃に現れる。霊基グラフに一致するA級オーバーの霊基を持っている事から『バビロニア』で縁を結んだエレシュキガルと同一個体なのだが、ニンキガルと化していた彼女に過去の記憶は無く、「従うのなら命だけは助けよう。だが、逆らうのなら粉砕し、大地の肥料にしてくれる!」と本物の敵意と威圧を向ける。ところがマシュから「この隠しようがない親近感、いつものエレシュキガルさんです!」とカルデア軍団やマスターからは一貫して友好的な態度を向けられ、調子を狂わされる(実際言葉の端々に優しさが残る)。
戦闘では最初こそ単身で挑んで来るが、ゲージ1つをブレイクすると本気を出してきて冥界中のグガランナの脚を集結。あっと言う間にカルデア軍団を四方八方に吹き飛ばして勝利を収める。ニンキガルは神獣グガランナを脚だけ召喚する節約で大量使役していのだ。すんでのところで逃走に成功したドゥムジ、ククルカン、マスター以外の軍団員はニンキガルに捕まって投獄される。
捕まった仲間の救助とニンキガルを倒すためククルカンを伴って上空からマスターが飛び降りてきた。あまりの危なさにハラハラしながらも、最後の賭けに出てきたマスターの蛮勇を認めて今一度挑戦を受けるニンキガルは六脚のグガランナを召喚して迎え撃つ。しかしククルカンのでたらめに強い宝具で脚は全て撃破され、ニンキガル自身も地面に叩きつけられる。敗北した事で「理想の姿」ではなくなりカマソッソが使った令呪三画目がマスターのもとへ戻った。これに伴ってニンキガルの名もエレシュキガル・オルタに戻り、彼女が作り上げた冥界ルールも消失して第三冥界を突破できるようになる。だが一度番人になった彼女は第三冥界線からは出られなくなっていてカルデア軍団との同行は叶わなかった。
そして彼女はより強い霊基を得るべく自分からカマソッソの提案に乗ってオルタ化した事を明かした。この先起こりうる大きな困難に備え、カルデア軍団を支援するために。
第21節「空想樹海決戦」では第九層で眠っていたORTがデイビットによって起動。ミクトランの生命を蹂躙しながら第一層に向けて進撃を始めた。カルデア軍団はシャドウボーダーでORTを追い抜かし、エレシュキガル・オルタがいる第三冥界線を最終防衛ラインに定めて待ち伏せる。冥界線であれば自由にサーヴァントを召喚出来る上、エレシュキガル・オルタからの支援も受けられる。また彼女が花畑を枯らした際、決戦に備えてドゥムジが花から抜き取った魔力をこっそり貯蓄していた。その貯蓄分を全て吐き出させ、グラガンナの脚1000本を召喚して防壁のように並べる。神獣の脚による防壁。通常であれば突破など不可能だが今回は相手があまりにも悪すぎた。ORTの行軍は容易くグガランナの防壁を蹴散らした。想定外の出来事に驚愕しつつも今度はマスターと共同戦線を張り、召喚に使う魔力を全て肩代わりしながら残ったグラガンナの脚996本を冥界中に配置して第六階層の領域を拡大、更に召喚されたサーヴァントに冥界の加護を与える。
彼女の加護はゲーム中でもしっかり反映。ボーダーからの魔力支援に加えて冥界の加護(威力アップ、NP獲得アップ、最大HPプラス)が付与されるため火力がありえないほど強化され、低レアであっても一気にHP50万前後を削り取れ、しっかり強化されたサーヴァントであればゲージ1本まるまる持っていく事も可能。ORT総力戦全体で見てもエレシュキガル・オルタが与える加護が最も強力である。
チチェン・イツァー近郊にあるストームボーダーが主砲の充填に入った影響でストームからの魔力供給が途絶え、サーヴァントの霊基維持に必要な魔力全てをエレシュキガルが負担する事に。だが既に限界ぎりぎりだった彼女は指先から消えつつあったが、それでもマスターの戦う意思が折れない限り自分も戦うと奮起。ドゥムジに横領した魔力をもっと寄越すよう命じる。そこにはかつてティアマトを討ったマスターへの全幅の信頼があった。無理を承知で猛攻を続けた結果、ダメージが蓄積してORTは遂に崩壊。力を使い果たしたエレシュキガル・オルタは既に退去の途上にあるが、カルデア軍団にお別れを言うだけの余力は残していた。シャドウボーダーでも功労者の彼女とともに勝利を祝おうとしていたが――。
崩壊したと思っていたのはORTの角質部分だけであり本体の円盤は全くの無傷だったのである。地球上で生まれた生命体では、宇宙の彼方から飛来した未知なる侵略者には勝てない。それは神霊でも例外ではなかった。円盤から発せられたスーパーセルを喰らってエレシュキガル・オルタは蒸発。消える寸前、「最後まで戦えなくてごめんなさい。でも、カッコ良かったでしょ?」という伝言と一輪の花をドゥムジに託し、彼を通じてマスターに手渡される。彼女の想いが詰まった花はマスターに引き続き冥界の加護を与え続けた。
ドゥムジの提案で「絆チャンネル」を開設し、YouTuberサバチューバーデビューを果たしたエレシュキガル。しかし「ごみ拾いしてみた」「朗読してみた」「朝のルーチンワーク」など当たり障りの無い動画ばかり投稿していたため再生数が伸び悩み、更に同業者の刑部姫に煽られた事でドゥムジに相談してみたところ、「ギリギリ感が足りない」と指摘される。
今度は「アキレウスの部屋にアマゾネスドットコムを送りつける」「サリエリの部屋をアマデウス仕様にする」「ナイチンゲールの前でケチャップを使って怪我したふりをする」「黒髭とコラボして黒髭危機一髪(物理)をする」といった地雷を踏みぬく超過激な動画を投稿。刑部姫から人気を奪うほどの莫大な再生数と高評価を獲得した。焦った刑部姫はエレシュキガルをにわかではなく強敵と認め、「【ひめごと】チャンネル」と「絆チャンネル」の画面越しの舌戦となる。ドゥムジの肩入れ投げ銭(1億QP)もあって戦況はエレシュキガル有利に傾く。追い詰められた刑部姫は水着に着替えて巨乳を強調。刑部姫捨て身の露出により最後の最後で逆転を許し、また女主人の誇りから自身は脱ぐ事も出来ないまま放送時間は終了。勝負は刑部姫の勝利に終わったが、その代償に垢BANを喰らった。
垢BANこそ免れたエレシュキガルであったが敗北によって取り乱し、「悔しいのだわ!あんなイベントポッと出のお子さんの姫に負けるなんて~!」とドゥムジを振り回していた。するとドゥムジの体毛から聖杯が飛び出してきて、もっと再生数を稼げる、マスターに認めて貰えると完全に理性の糸が切れ、「拾った聖杯使ってみた」という動画を投稿するのだった。
2022年9月現在、エレシュキガルの幕間は実装されていない。実装から約5年が経つというのに…。加えて他サーヴァントの幕間に顔を出す事も殆ど無く、唯一確認されているのは武則天の幕間『女帝VS』のみとツチノコレベルで見かけない。その幕間ですら出番が僅少のチョイ役に過ぎない。
オリオンによるとカルデアでは女神関係者による女子会が行われているらしく、おそらくエレシュキガルも出席していると思われる。
チョイ役として登場。冥界の環境に近い不気味な洞窟にて、ガルラ霊の運動不足を解消させるべく冥界の女主人として厳しく指導しようとしていた。そこへフォウ君と出くわして恐慌状態に陥った武則天が駆け込んできて、背後のガルラ霊を見て絶叫しながら明後日の方向へ走り去っていった。そんな彼女をエレシュキガルは唖然とした表情で見送るのだった。出番これだけ…。
7章実装時点ではサーヴァントとして実装していなかったため、巨大なゴースト型モンスターの姿で登場。
7章にて登場以降長らく音沙汰が無かったが、約一年の時を経て2017年クリスマス期間限定イベント「冥界のメリークリスマス」にて正式に実装された。レアリティはSSR☆5、クラスは7章と同じくランサー。カード配分はQQABBという標準型だが、長らく期待されていただけにスペックは高く、
・ ☆5のステータスかつ槍のクラス補正ので殴るBuster
・ 低めのNP回収力だが、4HITしてスター生成量が高いQuick
・ 1枚しかないが6HITする上にクラススキルも乗って1枚で20%近いNP増加が期待できるArts
・ 高いNP効率に加え、味方全体バフ効果を持つ全体Buster宝具持ち。
・ 自身に無敵付与 ・ NP回復&攻撃力強化 ・ 全体バフ という広汎なスキル
……と、宝具の回転率でガシガシ攻められる上にボス対策も抜かりない。
一方で育成難度が高く、実装時点の最新シナリオである「異端なるセイレム」でしかドロップしない素材をスキル1つにつき72個(計216個)、一つ前のシナリオである「英霊剣豪七番勝負」での新素材も24個(計72個)要求する高すぎるスキル強化のハードルのため、引き当てることが出来ても愛に見合ったスペックで運用できないという怨嗟の声が各所で響いたという。また☆5ランサーとしてはATK値が低く、前線で運用するためにはフォウくんで底上げすることが推奨される。
HP | (Lv1/Lv90/Lv100) 2356/16065/17600 |
ATK | (Lv1/Lv90/Lv100) 1598/10343/11322 |
COST | 16 |
コマンドカード | Quick/Quick/Arts/Buster/Buster |
所持属性 | サーヴァント、地属性、混沌属性、悪属性、人型、女性 神性、王、ヒト科のサーヴァント、霊衣を持つ者 |
保有スキル | |
---|---|
秘められた大王冠:A (CT8→6) |
自身に確率で弱体無効状態を付与[Lv.](1T) &確率で即死無効状態を付与[Lv.](1T) &確率で強化解除耐性をアップ[Lv.](1T) &無敵状態を付与(1T) |
魔力放出(檻):A+ (CT8→6) |
自身のBusterカード性能をアップ[Lv.](1T) &NPを増やす[Lv.](30→50%) |
冥界の護り:EX (CT8→6) |
味方全体に[冥界の護り]状態付与(3T) &防御力をアップ[Lv.](3T) &NP獲得量をアップ[Lv.](3T) &最大HPをアップ[Lv.](3T・2000→3000) |
クラススキル | |
対魔力:D | 自身の弱体耐性を少しアップ |
陣地作成:A+ | 自身のArtsカード性能をアップ |
女神の神核:B | 自身に与ダメージプラス状態を付与 &弱体耐性をアップ |
アペンドスキル | |
EX攻撃強化[Lv.]/NPチャージ[Lv.]/対アサシン特攻[Lv.] |
霊峰踏み抱く冥府の鞴(クル・キガル・イルカルラ) | |
---|---|
カード種別:Buster | ランク:A A+ |
自身のBusterカード性能をアップ(1T)〈OCで効果アップ〉 +敵全体に強力な攻撃[Lv.] +[冥界の護り]状態の味方全体の攻撃力をアップ(3T) |
|
自身のBusterカード性能をアップ(1T)〈OCで効果アップ〉 +敵全体に強力な〔地の力を持つ敵〕特攻攻撃[Lv.]▲ +[冥界の護り]状態の味方全体の攻撃力をアップ(3T) &被クリティカル発生耐性をアップ(3T)▲ &即死無効状態を付与(3T)▲ |
筋力:A | 耐久:B | 敏捷:D | 魔力:B | 幸運:B | 宝具:A |
霊峰踏み抱く冥府の鞴(クル・キガル・イルカルラ)
ランク:A / 種別:対山宝具 / レンジ:10~999 / 最大捕捉:1000人
イシュタルの表裏存在と定義されているエレシュキガルもまた、エビフ山を粉砕するほどの力を宝具として所有する。それは、地殻変動により地上の構造物を粉砕するアースインパクトであり、その地形を冥界へと作り替え、彼女の権能の有効範囲としてしまうため、彼女のスキル「冥界の護り」を地上にあって発揮させることが可能となる。
その力の原動力は「冥界のメリークリスマス」内で発現した槍、「発熱神殿メスラムタエア」であり、
それは彼女が生前、念願むなしく作れなかった冥界の神殿であると同時に、寒さに凍える霊たちを温めるという悲願の実現である地底の太陽そのものである。
たまに“山の翁”とニトクリスが見に来る。(ニトクリスのほうはなぜか水着の第一再臨姿。)
第一部七章であまりにも人気を獲得した割にサーヴァントとして実装されず、本編でも実装イベントを匂わせる描写があったため、何かイベントが開催される度に実装を要望する声が後を絶たなかった。少しでもエレシュキガルや依り代絡みの言葉が出ると「ついに実装か!?」と考察するユーザーが続出。この反応が担当声優である植田佳奈にも届いていたようで、彼女は実装を待ち望むファンを「エレちゃん警察」と呼称していた。実装されたことで解放されたものの、今度は別の人物が対象となった(こちらは実装まで3年以上を要している)。
シナリオ上は2017年12月24日の終わり頃からカルデアの召喚に応じるようになったのだが、第二部序章で2017年12月26日までにごく一部のサーヴァントを除いて契約を解除して英霊の座に帰されたことになっている。つまり長くても2日程度しかカルデアにいられなかったことになり、ファンからは一泊二日の女神とネタにされる事態になった。
2018年水着イベントで主人公たちが描いた同人誌の一冊に「ボクたちは召喚ができない!」がある。いわゆるハーレム系ラブコメものだが、このヒロインに清姫、源頼光と並んでエレシュキガルが登場している。前者2人はあの溶岩水泳部部員であり、カルデアで特に主人公へ重い愛情を向けている彼女らと同列に扱われたことから、ファンからは溶岩水泳部の準部員ともいわれている。またこの同人誌には前述の一泊二日ネタが使われている。この同人誌は本人たちも買っていき、自分をモデルにしたキャラクターが主人公と結ばれる続編を希望していた。
2017年年末に実装されたため、2018年以降のバレンタインイベントで彼女からチョコを貰うことが可能に。彼女のポンコツぶりとフォウくんの毒舌も相まって味のあるシナリオとなっていたが、翌2019年からはこのイベントがフルボイス化。破壊力を倍増させた。関連動画参照。
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最終更新:2023/06/02(金) 15:00
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