オオタルマワシ(学名:Phronima sedentaria)とは、深海のエイリアンである。
端脚目クラゲノミ亜目オオガシラ下目ナガヒゲウミノミ上科タルマワシ科に分類される甲殻類。広義のヨコエビの仲間だが、「クラゲノミ」と呼ばれるグループに属する。エビの仲間(十脚目)ではない。
オオタルマワシはタルマワシ科の中で最も大きくなる種で、メスは体長3cm程で最大4.2cmになるがオスは1.5cm程[1]。
普段は外洋で暮らしており、水深1,000mの深海でも見られるが、表層にも出現しダイビングでも観察できる。
特筆すべきは大きな頭や長い脚を持つ異形の姿と、透明な樽や袋のようなものを被っている所。この「樽」は獲物であるサルパなどのプランクトン生活を送るホヤの仲間の亡骸である。オオタルマワシはサルパを襲って中身を食べた後外壁だけを残し、中に入り込んで自身の住処にしてしまうのである。このサルパを被って泳ぐ様子が、まるで樽を回しているように見えることから「タルマワシ」の名がついている[2]。
また、メスのオオタルマワシは「樽」の中に卵を産み、孵化した後もその中で子育てをする。「樽」はマイホームであり、外敵から子を守る揺りかごなのだ。母親がまるで乳母車のように外側から「樽」を押して泳ぐこともある[3]。見た目によらず(?)子供思いのお母さんである。
「クラゲノミ」の名の通りクラゲも捕食する。ここでも「樽」が活躍するようで、「樽」を巧みに使い、頭部を保護したままクラゲを自慢のハサミで削り取るという[4]。
色の付いた小さい複眼だけが目と捉えられがちだが、後頭部にあるのも巨大な複眼だったりする。どちらに着目するかで顔の印象が随分変わってくる。また、頭の中の赤く見える部分は網膜である[5]。
その姿や生態からしばしばSF映画『エイリアン』に出てくる宇宙生物(ゼノモーフ)に例えられ、「深海のエイリアン」と紹介されることも。「エイリアンのモチーフになった」と噂されることもあるがソースが無くデマである[6]。
タルマワシの仲間にはタンソクタルマワシ(学名:Phronima colletti)のように、フタツクラゲ科(クダクラゲの仲間)などの泳鐘[7]を「樽」にする種もいる[8]。また、属の違うタルマワシモドキ(学名:Phronimella elongata)は「樽」にほぼ入らずに外に出て泳ぐ[9]。
オオタルマワシは沖縄美ら海水族館が長期飼育に成功しており[10]、過去に複数回展示されている。
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最終更新:2024/04/25(木) 17:00
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