オトフリート5世とは、「銀河英雄伝説」の登場人物である。
ゴールデンバウム朝銀河帝国第35代皇帝(在位?~R.C.456)。フリードリヒ4世の父。
帝国が誇るドケチの塊で、とにかく国庫に金を貯めこんだ。
金を集めたがるという点ではジギスムント2世痴愚帝に似た傾向だが、オトフリート5世の場合はその金を自身のためにすら使う気がなかった点で痴愚帝にはるかに優る。おかげさまで、国家予算の赤字はまったく解消されたという。
オトフリートが帝位についた時、おりから同盟との戦争が激化していたこともあり、国家財政は赤字の一方であった。そんな中で皇帝オトフリート5世となった彼は、専制政治的な果断さをもって極端なまでの緊縮財政を実施する。とはいえ、これらの緊縮財政・国庫貯蓄は、皇帝として必要に迫られての政策というよりはほとんど彼の趣味であったらしい。
彼は公共事業などの国費はもちろんのこと、宮廷費に至るまで削りに削った。このため、放蕩息子であった次男フリードリヒなどは遊興費の工面に困って酒場の亭主にロイヤル土下座する羽目になるほどであった。
帝国暦452年、オトフリート5世は帝国と同盟を繋ぐ回廊に、壮大な宇宙要塞を建設しようと思い立った。イゼルローン要塞である。しまり屋の彼には珍しく多額の出費を必要とする事業であったが、おそらく同盟方向に軍事拠点を置くことによる軍事費の削減を期待したものではないかと思われる。そして彼は、建設責任者として軍事土木と補給に優れた伯爵セバスティアン・フォン・リューデリッツを指名した。
しかしこの建設事業は、国庫に予想以上の出費を強いることとなる。後悔したオトフリートは途中で幾度も建設中止を考えたが結局イゼルローン要塞の建設事業は続き、足掛け5年、オトフリート5世が崩御する帝国暦456年になってようやく完工した。建設責任者リューデリッツはこの出費の責任を取る形で自殺を余儀なくされており、せっかく貯めこんだ金をやたらと使わされたことにオトフリートも激おこだったことが窺える。
彼には三人の息子がいた。長男はリヒャルト、次男は先ほど触れたフリードリヒ、そして三男クレメンツ。
このうち次男フリードリヒは前述の放蕩ぶりによってほとんど勘当されており、次代の帝位は皇太子である長男リヒャルトと三男クレメンツとの間で争われることとなった。
彼らとその派閥どうしの抗争は次第にエスカレートしていき、帝国暦452年、ついに皇太子リヒャルトがクレメンツの陰謀によって弑逆未遂の濡れ衣を着せられ、自死を命ぜられることとなる。しかしこうして得たクレメンツ皇太子の天下も長くは続かず、同455年、リヒャルトを陥れた陰謀がついに父帝にバレてしまう。クレメンツは亡命を図ったが、「偶然の事故」という超怪しい理由によって命を落とした。
その結果、残ったのは放蕩息子フリードリヒしかいなくなった。
帝国暦456年、オトフリート5世は心臓病に倒れ崩御し、帝位は勘当息子のフリードリヒに受け継がれることとなった。新帝となったフリードリヒ4世は以前ロイヤル土下座した酒場のツケを20倍にして返し、さらに父へのあてつけのように土木事業のような浪費を乱発していくこととなるが、その浪費は幸いにして父の立て直した国庫を崩壊させる程にはならずに済んだ。もっともこれは、国庫を心配しての自重ではなく、単にフリードリヒがただの凡人に過ぎなかった、という程度の理由であろうが。
第38代カザリン・ケートヘンの先祖であるとされる「先々帝ルードヴィヒ3世」という謎の皇帝に当たるのが彼オトフリート5世である。このため、OVAの台詞では「先々帝オトフリート5世」に直されている。
この場合の続柄は、オトフリート5世の第三皇女の息子ユルゲン・オファー・フォン・ペクニッツ子爵とボーデンドルフ伯爵夫人の姪との間の娘、ないしはオトフリート5世の第三皇女とボーデンドルフ伯爵夫人の兄弟との間の娘とユルゲン・オファー・フォン・ペクニッツ子爵との間の娘ということになる。
掲示板
12 ななしのよっしん
2020/02/27(木) 21:40:53 ID: nA3OawH0Pa
>>10
実は、『イゼルローン要塞』のスレッドで関連する内容を記載し参考になるレスも貰っていたので、それらを踏まえて追記したい。
オトフリートⅤ世(以下皇帝)が、建設費を「軍令&軍政の関連諸経費」と定義し、宇宙艦隊司令部との連携で効果的に防衛(星域確保)艦隊を運用していれば…と憤懣を抱いたなら、また新たな辻褄合わせのネタになりそうだ。
もう少し掘り下げると、同盟はフェザーン自治領辺りの情報で建設計画を察知したにせよ、自らに取って距離が防衛に寄与する障壁のみならず攻撃を掣肘する暴虐としても機能するので、暫くは傍観するかも知れない。
皇帝もそう皮算用したかも知れないが、結局は嫌がらせの積もりでちょっかいを出したに過ぎないにせよムキになり、完成に近付く有様が攻略作戦化に至らせたと思われる。
その際に、リューデリッツ伯に墨俣の一夜城的な手際を期待していたが当てが外れたとすれば、冗費に及んだと感じるかも知れない…
13 ななしのよっしん
2020/02/27(木) 21:49:47 ID: nA3OawH0Pa
>>11
更新を忘れて見落としてしまった。
確かに、戦略的な重要性を再評価した後付けの可能性もあるかも知れない(730年マフィアの構成員が未だ現役司令官だった頃は、建設計画は存在しなかった印象だが)。
戦術的に重要性を評価する上では、トールハンマーがいつ実戦投入されたかが大問題の筈だが、民政部分に限らず完成途上でも可能かも知れない…
14 ななしのよっしん
2022/10/15(土) 20:49:02 ID: dEl8ZJpeeY
ノイエ版の皇帝誘拐のエピソードで、オーベルシュタインが「先々帝ルードヴィッヒ3世」と発言したのはガッカリしたなあ。そして、パンフレットにも「ゲオルク二世の時代に密かに建設された地下道」と書かれていた。
製作陣は、原作通りに作ったと主張するのかもしれないが(実際は結構変更されている)、修正可能なミスや間違いを、そのまま放置するのは、「原作に忠実」とは違うと思う。
ノイエ版のスタッフには、単に原作をなぞるだけでなく、「原作をベースに、より良いものにしよう」という意思は無いのか、と疑いを持ってしまった。(石黒版OVAは、このオトフリート5世のように、明らかなミスは修正しようという意思が感じられた)
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最終更新:2024/04/20(土) 02:00
最終更新:2024/04/20(土) 02:00
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