オーブメントとは、日本ファルコムのRPG『軌跡シリーズ』の世界において、《導力》と呼ばれるエネルギーによって作動する機械の総称である。
導力器とも呼ばれる。
シリーズ第一作『空の軌跡FC』の時代から約半世紀ほど前、C・エプスタイン博士によって発明された機械。
七耀石(セプチウム)と呼ばれる鉱石の持つ《導力》と呼ばれるエネルギーを用いるもので、文字通りのエネルギー革命(化石燃料による内燃機関から導力機関へのパラダイム・シフト)を引き起こした。
現実世界のエネルギーと大きく異なる点は、時間経過によってエネルギーが自然回復するという点である。とはいえ一度に大量のエネルギーを使用する場合は不足するので、大規模工場がある地域では別途ジェネレータを設置などの対策が採られている。
数千年前において、高い文明を誇りながらも崩壊した古代ゼムリア文明時代の遺物《アーティファクト》から機構を解明したもの。その後アルバート・ラッセル博士を始めとする彼の弟子達によって各国に普及し、様々な技術に用いられ人々の生活に欠かす事の出来ないものとなっていった。
オーブメントは、照明や暖房といった日用品の他、通信機器、あるいは自動車や鉄道、飛行船の動力源として幅広く用いられており、軌跡シリーズの世界において、生活に必要不可欠な基幹インフラとして位置付けられている。また、戦車や軍用飛行艇のエンジンや火砲など、軍事的用途でも用いられる。
なお、軌跡シリーズで使用される銃火器の多くは火薬ではなく導力を用いて弾丸を射出するものであり、作中登場する火薬式の銃器は、基本的に骨董品かあるいは導力銃を上回る化物級の代物である(前者はティータ・ラッセルが使用したガトリングガン。後者はランディ・オルランドが用いたベルゼルガー等)。
それ以外の戦闘目的でのオーブメントの需要としては、所有者の身体能力強化及び魔法(オーバルアーツ)使用のための戦術オーブメントがある。プレイヤーにとってはオーブメントと言えばむしろこちらを指す事の方が多く、本項目でも基本的にその方向で記述する。
軌跡シリーズの世界には七耀石(セプチウム)と呼ばれる鉱物があり、七耀石から生み出されるエネルギーでオーブメントは作動する。このエネルギーの事を《導力》と言う。
七耀石には地・水・火・風・時・空・幻の全七種類の属性があり、鉱山から採掘される。先述の通り七耀石はエネルギー資源としての価値を備えているため、リベール王国の様に七耀石の産地であると同時に高水準の導力技術を要する国家は、それを外交カードとして扱いうる。
また、七耀石の欠片はセピスと呼ばれ、魔獣や魚はそれを好み、体内にため込む性質がある。ゲーム内の戦闘で魔獣を倒したり、魚を釣るとセピスが手に入るのはこのため(機械系の敵の場合は導力機関に七耀石が用いられているため、残骸からそれを回収しているものと考えられる)。
セピスから作られた回路の事。結晶回路とも。
クオーツを組み込む事でオーブメントが作動する。セピスを街のオーブメント工房に持っていけばそれを素材にクオーツを合成出来る。
クオーツにもその種類によって七つの属性があり、さらに属性値という値を持つ。
例えば「攻撃1」のクオーツは属性が「火」で属性値が「火×1」。「EP1」は属性が「空」で属性値が「時×1、空×1、幻×2」である。
ゲームバランスの都合上のためかオーブメントの世代が変わるとクォーツの仕様も変わる上に下位互換がないため、新世代へと切り替えると旧世代のクォーツが一切使えなくなる。
この切り替えに関しては、空の軌跡SC序章でのエステルがロランス少尉が使用したみたことがないアーツ(シルバーソーン)に対抗するために一時的に利便性が失われるものの旧世代を捨て切り替えることを決意したり、碧の軌跡序章でのロイドが急なバージョンアップに対する対応の遅れに対する不満をぼやいていたりと、毎回スムーズに世代交代が進んでいないようだ。
一方工房への機材の方は復旧が早いのか、新バージョンのクォーツ製作、戦術オーブメントのクォーツスロット開封及び強化は問題なく対応できる。
ちなみに形状は第四世代(空の軌跡 the 3rd)までは球体、第五世代からは立方体に変化している。しかしARCUSでは再び球体に戻っている。これはラインフォルト社が製作に関わっていることが関係している可能性がある。
既存クォーツとの違いが成長することである(ウインディ曰く元の力を取り戻している)。成長すると属性値が上がり、使用者の能力を高め、マスタークォーツが持つ特殊能力が強化されたり、新たに能力が追加される。
たとえば序章で手に入るシールドは初期こそ戦闘開始2ターンDEF/ADF+25%だが、成長するごとに持続ターン数が増加し、Lv3になるとHP20%以下時4ターンDEF/ADF+25%アップ、そしてLv5になるとアップ率が50%に強化され、マスターアーツが使用可能となる。
ただ希少品であるため、各種1個しか入手できない。
戦術オーブメントにはクオーツをセットする為のスロットがあり、それらは個々にラインで結ばれている。クオーツをセットする事で、所持者は様々な力を手に入れる事が出来る。「体力」や「攻撃力」など能力強化の他、攻撃に毒を仕込んだり、シンボルエンカウントに於いて敵と接触しても戦闘が発生しないといった様々な効果がある。
オーブメントにセットしたクオーツの組み合わせでアーツが使用出来るようになる。正確に言うとクオーツが持つ属性値の合計が規定値を満たす事でそれに応じたアーツが使用可能となる。威力の高い上位アーツ程必要属性値が複雑になってくる。
アーツの作成例:
・「ストーンハンマー」は属性値が「地×1」なので「防御1:地×1」を一つセットすれば使用可能。
・「ストーンインパクト」は属性値が「地×3、空×2」なので「防御2:地×3」と「範囲1:空×3」の二つをセットする必要がある。
ただし、複数のクオーツを組み合わせる場合、同じラインに並んだスロットにセットしないと属性値が加算されないので注意がいる。一本のラインにスロットが全部揃っていれば容易だが、複数のラインに枝分かれしていると上位アーツを組むのに工夫がいる。
閃の軌跡のARCUSはこの仕様が異なり、属性値がなくなった代わりにクォーツそのものにアーツが備わっている(例:ファイアボルトというクォーツが存在し、これをセットすると同名アーツが使用可能となる)。これは属性値という縛りがなくなった反面、オーバルアーツのクォーツとセットしないとアーツが使用できないという欠点でもある。そのため従来のオーブメントより使用できるアーツの数が減少している。
マスタークォーツをLv5にすることにより使用可能となるアーツ。
これはマスタークォーツ自体が持つアーツであるため、オーバルアーツと違い属性値の組み合わせに左右されない。
また発動と継続の2種類があり、継続タイプを使用すると他の行動がとれなくなる。EPが不足すると効力がそこで切れる。継続タイプは誰かがマスターアーツを使用している場合は他のキャラは使用できない。
ただし閃の軌跡のマスタークォーツにはマスターアーツは備わっていないため使用できない。その代わりにLvアップすることによって使用できるオーバルアーツが追加されることがある。
ゲーム内で戦闘に参加するパーティメンバーは基本的に戦術オーブメントを一人一個ずつ所持しており、その構造は個人毎に異なる。
この構造の違いがキャラクターの個性にも繋がっており、全てのスロットが一本のラインで結ばれている者もいれば、何本ものラインに枝分かれしている者もいる。この時ラインが長い程、アーツを使用する為のEP(エネルギーポイント)容量も多い。また、基本的に一部の主人公以外の物は複数あるスロットの内、一つから三つのスロットに何かしらの属性制限がある。その場合はスロットと同属性のクオーツしかセット出来ない。
戦術オーブメントにクオーツをセットする際、キャラクターの能力強化を重視するか、上位アーツを出来るだけ複数持たせるかはプレイヤーの好みや戦略に任されている。
スロットの数は全部で六個。スロットを強化する事も出来ずシンプルなものであった。
戦術オーブメントが新型に変更。スロットの数が一つ増えて合計七個。各スロットに三段階のレベルが用意され、これを強化する事でアーツを使用する為のEP容量が増加する。また、上位クオーツはスロットを強化しないとセット出来ない。
新型アーツが追加された他、一部のアーツは作成する為の属性値条件が変更された。続く「空の軌跡 the 3rd」の戦術オーブメントも同じ型だが新アーツに加え、一部アーツの性能が変更されている。
今作に登場した新型は第5世代戦術オーブメント《エニグマ》と呼ばれ、通信機能を搭載している。
スロットの数は前作同様七個だが、スロットレベルは二段階までに変更。多くのアーツが新型と入れ替わり、従来アーツも広範囲型回復アーツの属性が水から風に変更される等、属性や属性値条件が変更された。
エニグマを改良した《エニグマII》が登場。最大にして唯一の新機能がマスタークォーツである。オーブメント中央に専用スロットが存在し、そこにはめ込む。それ以外はエニグマと同等である。
ラインフォルト社がエプスタイン財団と共同で開発した新型の戦術オーブメント《ARCUS》が登場。クォーツスロット構造は空の軌跡FC+マスタークォーツというもの(ただしクォーツスロット数は8個)でスロットの強化はできない。
クォーツセットの仕様変更があり、別ラインであれば刃・牙系のクォーツをそれぞれセットできるようになった。合わせてステータス強化系クォーツもランクが異なればセットできるようになった(攻撃3と攻撃2を同時にセットできる)。
登場時期はエニグマとエニグマIIの間。そのためエニグマで実装された通信機能を備え、エニグマIIと同様のマスタークォーツ機能を備えるほか、所有者同士での連携を可能とする戦術リンク機能を備える。
掲示板
1 ななしのよっしん
2012/03/08(木) 06:01:36 ID: i+Ov/gCKjW
記事乙
作られてから一年以上経ってるのか
2 ななしのよっしん
2014/04/12(土) 23:12:55 ID: fcMJTQjAvH
そういうえば、何で《導力》って呼ぶかはよく分からないな。
アルノサージュにも《導力》って単語が使われているけど、《導力》って結局どういう意味だ?
3 ななしのよっしん
2014/04/20(日) 15:38:45 ID: 3RkYxnUGDQ
【導】
名詞
1.(しるべ) 道の案内をすること。また、その人。
2.(しるべ) 助け導くこと。手引き。案内。
「動力」の同音異義語の造語だけど、魔導師(魔導力)にも掛けていると思われます。
導力が具体的に何かと問われると難しいけれど、私はGURPSのパワーストーン的なもの、もしくは自己充電能力付きの電池と考えています。
オーブメントはあくまで機械的なものですが、魔導アーマー的な「魔法と機械の融合」をイメージしやすいですし。
魔法的な不思議パワー(神のいる世界ですし、法術という魔法じみたものもありますし)を機械的に導き、万人が活用できるようにするのがオーブメントであり、その不思議パワーの源を「導力」と呼称しているのではないでしょうか?
という妄想だったのさ。
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最終更新:2024/04/25(木) 09:00
最終更新:2024/04/25(木) 09:00
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