オールドタイム(英:old time)とは、音楽のジャンルである。
オールドタイムという言葉が指す音楽には広義の物と狭義の物がある。
広義のオールドタイムは1920年代にレコードが普及して産業として形になるまでの特に古い時代のアメリカン・ルーツ・ミュージック全般の事で、マウンテンミュージック、ディキシーランドジャズ、スピリチュアル(霊歌)、ブルーズ、ジャグ、ケイジャン等が含まれる。狭義のオールドタイムはアパラチア山脈周辺で発達した「アパラチアン」、「ヒルビリー」または「マウンテンミュージック」等と呼ばれる音楽とほぼ同義である。ブルーズの中でも特に「ピードモントブルース」は発達した地域が同じであり、またミュージシャンにも交流があった事から狭義のオールドタイムに含まれる事が多い。世の中的には狭義の用法で用いられる事の方が多いためここでも狭義のオールドタイムについて述べる。
アメリカに移住した白人による民族音楽と言える物であり、ショー的な要素は薄くジャムセッションでもソロ回し等は行われない。ダイアトニックを基調とした比較的シンプルな旋律で調性の曖昧な楽曲はルーツであるアイルランド・スコットランドの音楽と共通する。短い曲を繰り返し演奏する点も同じだが複数の曲を繋げる事はしない。フィドルは他の音楽よりもよりリズムを強調したスタイルでダブルストップを多用する。中心を担うのはフィドルであるがこれに加わる特徴的な楽器としてバンジョーがある。この他にオートハープやハンマーダルシマー、マウンテンダルシマー、ギター等の弦楽器が加わるがケルト圏の音楽にあるような木管楽器は用いない。
ダンスミュージックであり、フラットフットダンスやクロッグダンス等のいかにもアメリカ的なステップダンスがそれである。また音楽のある場の生活感を重要視するためかフィールドレコーディング(一般家屋や飲食店等生活環境でのレコーディング)が盛んな事も特徴である。
オールドタイムはアパラチア山脈周辺に定住したスコットランドやアイルランドからの移民が持ち込んだ民族音楽が黒人音楽の影響を受けて発達した物とされる。黒人音楽の影響については実際にどのような影響があったかははっきりとは分からないが、バンジョーが奴隷貿易を介して伝わった楽器であるというのは定説となっている。楽器の発展に寄与したミンストレル・ショーは黒人文化の紹介する出し物を自称していたものの、ショーで演奏された曲は主として白人作曲家による書き下ろしであった。20世紀初頭には先述のピードモントブルースの様に黒人ミュージシャンとの交流があった事は確かである。
レコードの時代になると楽曲収集の形で各地方の曲が商業バンドにより演奏される様になるが、こうした様式を踏襲した商業音楽は後にフォーク、カントリーへと発展した。また何より切っても切れない関係にあるのがブルーグラスである。ブルーグラスの起源が明らかでマンドリン奏者ビル・モンローによるバンド"The Blue Grass Boys"にバンジョー奏者アール・スクラッグスが加入して以後の演奏スタイルである。この革新的な演奏スタイルは在野のミュージシャンにも取り入れられ、比較的曖昧な時期を経つつジャンルとして確立されるとともに古いスタイルの演奏と分化していった。
60年代以降のフォーク・リバイバル期には古いスタイルを踏襲したストリングバンドが現れ、これ以降は一層古いスタイルへの尊敬が集まる事となった。今現在オールドタイムと言うとブルーグラス以前のミュージシャンとフォーク・リバイバル期に活躍したミュージシャン達によるスタイルがジャンルのイメージとなっている。一方で現在でもアパラチア山脈周辺では現地ミュージシャンによる民族音楽としての演奏は盛んに行われており、各地で大小さまざまなイベントが開催されている。
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最終更新:2024/04/25(木) 21:00
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