カスパー(Kaspar)とは、「銀河英雄伝説」の登場人物である。
カスパーの名を持つ銀河英雄伝説の登場人物は二名いるが、ここではゴールデンバウム朝銀河帝国の皇帝カスパーについて記述する。もう一人のカスパーについては「カスパー・リンツ」を参照のこと。
銀河英雄伝説第5代皇帝(在位R.C.123-124)第4代オトフリート1世の皇子。OVA版での容姿は狩野英孝に似ている。
同性愛指向者であり、かつて同性愛者を弾圧した初代ルドルフ大帝の子孫として誕生した事で「歴史の皮肉」と表現されている。
彼の治政下では皇帝政務秘書官エックハルトが権勢を極めており、1年の在位の間は政治的に傀儡のままであった。だが後述する政変によりエックハルトは暗殺され、カスパーも「同性愛」を貫く為に退位した。その後の行方は不明であり駆け落ち同然であったが、その為暗殺説もくすぶる。
「灰色の人」と評される皇帝オトフリート1世の息子として生まれる。幼少期には水準以上の知性を示していたとされ、エックハルトが父を傀儡にして専横を極めている事に「反発」し、その後はあえて才気を隠すようになったと原作では記されている。後のエックハルト暗殺にも関わっており、長らく彼に対する「反発」を隠し続けていた可能性もある。
彼は皇太子時代から異性にまるで関心を示さず、この頃には既に合唱隊のカストラート(去勢を受けた少年歌手)を寵愛しており、母皇后や重臣達の眉をひそめさせたとされている。その後母后はカスパーに縁談を勧めているがいずれも拒否されている。
またカスパーは芸術や音楽を愛しており、その点第3代皇帝、祖父リヒャルト1世に似ていると評される。とはいえ、父になぞらえ「灰色の韻文」と揶揄されていた事からも、エックハルトが政治的実権を握る情勢下では次期皇帝である彼も軽んじられていたと言わざるを得ない。
カスパーは26歳で第5代皇帝に即位する。先述のように実権はエックハルトが掌握していた為、彼も父と同様政治上傀儡に留まり、エックハルトの方が「準皇帝」であるとの風聞が飛び交うようになる。
しかし、皇妃の選定を巡って彼とエックハルトとの間に対立が起きる。エックハルトは自身の娘を皇帝に嫁がせる事を迫ったが、カスパーは拒否。説得や脅迫を受けながらもカストラート隊のフロリアン少年(当時14歳)との交際を公然と続けた。その為、エックハルトはフロリアン少年の排除を考え、自ら兵士を連れて皇宮内「野イバラの間」に踏み込んだが、リスナー男爵によって阻まれ、逆に暗殺されてしまった。リスナー男爵の行為は皇帝の意を受けた物であったとされ、いわばカスパー自身の決断もあり、国庫を私物化しつつあったエックハルトは排除される事となった。
エックハルト暗殺後、突如カスパーは退位宣言書を残しフロリアン少年と失踪してしまう。在位期間は1年。突然の退位によって後継皇帝の選定に140日を要し、先々帝オトフリート1世の弟ユリウス(カスパーにとっては叔父にあたる)が第6代皇帝に即位した。その後、皇帝ユリウスの暗殺と皇太曽孫カールの廃太曽孫(?)を経て第7代ジギスムント二世の即位、そして彼によって引き起こされる財政の大混乱と、これまで比較的安定していたゴールデンバウム王朝は混乱期を迎える事となる。
先述の通りカスパーは皇太子時代からカストラートを愛好し、フロリアン少年との交際を行うなど、その関係を半ば「公然」と行っていた。少なくとも重臣以下宮中には知れ渡っており、「劣悪遺伝子排除法」がまだ有名無実化していないゴールデンバウム王朝初期の振る舞いとしては甚だ勇気のある行為と言わざるを得ない。
にも関わらずカスパーは無事即位でき、エックハルトは最後まで「孫を誕生させて外祖父になる」事を目論んでいた。彼はカスパーの同性愛指向に対して「矯正可能な物(勧めれば妻帯(異性愛)も可能)」といった程度にしか捉えていなかった可能性がある。無論、晩年のエックハルトは政治的な責任感及び手腕が「磨滅(擦り減る)」していたともある為、単に判断力の低下から「自分が命じれば若い皇帝でも従う」といった認識しかなかったのかもしれない。
エックハルトを排除した事で晴れて自由の身になったにも関わらず、なぜカスパーはその後退位してしまったのか。無論作中の謎の一つであり、真相究明は後世の歴史家に託すしかない。
しかしカスパーが即位できたのはエックハルトが後ろ盾となっていたからであり、その結果当初は「同性愛」も取り沙汰されず長らく不問とされてきた。しかしエックハルトと対立し彼を排除した結果、カスパーは自分で権力を振るう必要に迫られた。カスパー自身が皇帝として指導力を発揮し、200年早い晴眼帝(マクシミリアン・ヨーゼフ2世)として同性愛解禁(劣悪遺伝子排除法の一部有名無実化)を目指す道もあっただろうが、そのような「野イバラ」の道よりも目の前の「愛」を選択したのではないか。
案外、子孫のフリードリヒ4世とは気が合うかもしれない。
掲示板
6 ななしのよっしん
2014/07/06(日) 18:02:44 ID: uo5TdNthCH
※2ですが、別に作者のBL否定等について悪くいったわけではありません…。
>>5
二代目のジキスムント帝で男子系統は途絶えてますね。すみません。ただ、現皇帝の子孫が帝位を継ぐという考えで、直系と考えてました。
>>白人的な差別意識
うーん、実にわかりやすい例えですね、ありがとうございます。現在のアメリカのWASP層やパプテスト派あたりの保守・人権思想を更に煮詰めたのが、ルドルフなのかなぁ。
7 ななしのよっしん
2015/01/04(日) 18:03:15 ID: 40u7Yt3pIS
>>5
そういえば婿を取って産まれた孫が二代皇帝だから女系スタートなんだなゴールデンバウム王朝
8 ななしのよっしん
2020/01/26(日) 09:50:39 ID: Ahnj3oro50
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最終更新:2024/04/25(木) 22:00
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