カセットデッキとは (カセットデッキとは) [単語記事]

カセットデッキとは、カセットテープを再生・録音させる物である。

概要

カセットデッキは、カセットテープ(米フィリップス社が開発した記録媒体)を再生、録音させるデッキである。一般的にラジカセと言われるものと異なり、ほとんどの機種がカセットテープを単独で扱っている。

各社とも高音質化を追求し、様々な工夫を凝らしてノイズ低減や安定化を図っていた。そのため、カセットデッキを扱う動画では見慣れない語句が多く見られる。
そこで、以下にカセットデッキを扱ううえでよく用いられる語句をまとめている。

2ヘッド/3ヘッド
　カセットデッキには記録内容の消去や録音・再生を行うためにヘッドと呼ばれるものが搭載されている。
　中・低価格帯のカセットデッキには、消去を行う消去ヘッドと、録音・再生を兼用する録再ヘッドの2つが搭載されているため、2ヘッド(デッキ)と呼ばれている。
　一方、高級デッキになると、録音を行うヘッドと再生を行うヘッドが分かれており、消去ヘッドと合わせて3つのヘッドが搭載されているものが多く、これが3ヘッド(デッキ)と呼ばれている。
3ヘッドの利点は、録音しながらその音をモニターできるため、キャリブレーション(テープに合わせた補正)ができる点、録音と再生とでそれぞれのヘッドに最適な調整が行われている点などが挙げられる。
　
ベルトドライブ/ダイレクトドライブ(DD)
　テープの録音・再生時、テープがたわむことなくヘッドに接触するように、送り側の端(または両端)にローラー(ピンチローラー)と棒(キャプスタン)が取り付けてある。
このキャプスタンをゴムベルト経由で駆動させているものがベルトドライブ、モーターで直接駆動させているものがダイレクトドライブと呼ばれている。
高級機はダイレクトドライブのものが多い。これは、ダイレクトドライブの方がワウフラッター(再生時に生じる音揺れの度合い)が抑えられるためである。また、経年でベルトが劣化してしまう心配がない(代わりに別の部分がダメになってしまうことが多い)。
　
クローズドループデュアルキャプスタン
　上記のダイレクトドライブの項で紹介したピンチローラーとキャプスタンが両端に配置されているデッキで、両方のキャプスタンをベルトで繋いだものがクローズドループデュアルキャプスタンである。
これも高級機ではよく見られ、テープ走行の安定化に貢献している。
　
ノイズリダクション(Dolby, dbx, …)
　カセットテープを再生すると「シーーーーー」というホワイトノイズのような音が聞こえる(特に無音部では顕著)。これをヒスノイズといい、これを低減するための仕組みがNR(ノイズリダクション)システムで、一般的にDolby社のものが有名。民生用のカセットデッキにはDolby B・C・Sの3種類が見られる。基本的には録音時と再生時で同じ設定でないと音が変わってしまう。
　Bはもっとも一般的で、カセットデッキ以外に一部のラジカセやカーステレオにも搭載されている。機器同士の互換性もそこそこあるが、ノイズの低減レベルは10dB程度である。
　Cも多くのカセットデッキに搭載されており、簡単に言えばBを2回通したものである。そのためノイズの低減レベルも20dBと2倍で、B以上にヒスノイズを低減できる。しかし機器同士の互換性が低く、別の機器で再生すると音が変わった、ということも多くなる。また、NRの副作用である音質の変化も多くなる。
　Sは主に後期の高級デッキに搭載されている(Sの登場は1990年と遅いため)。もともと業務用であったSRを民生向けに改良したもの。B/Cタイプを凌ぐ性能だったが、登場が遅いこと、回路が複雑で高価なことなどがあり、搭載されたデッキはあまり多くない。Bとは聴感的に互換があるため、Sで録音したものをS非対応の機種で聴く場合はBで再生する。
　一方で、一部のデッキやカセット MTRなどはdbx社の開発したNRシステムを搭載していることがある。こちらもノイズ低減効果は大きいが、S同様搭載機種はあまり多くない(Dolby NRとの互換はない)。
　さらに、Aurex(東芝)やVi ctorは独自のNRシステムを搭載していた時期もあった。