カーボンナノチューブ(CNT:Carbon nanotube)とは、炭素の同素体の一つである。
カーボンナノチューブは、炭素を意味する「カーボン(carbon)」、10-9(10億分の1)を意味する接頭辞「ナノ(nano-)」、円筒を意味する「チューブ(tube)」の3つの言葉を合わせたもの。
カーボンナノチューブの直径は、人の髪の毛の約5万分の1。炭素原子が六角形に配置されたグラファイトシートを、円筒状に丸めた形をしている。
層構造の違いによって、単層のもの(SWNT:シングルウォールナノチューブ)、単層のものが入れ子になった多層のもの(MWNT:マルチウォールナノチューブ)の2つに分けられる。また、原子配列の違いによって、アームチェア構造(Armchair)、ジグザグ構造(Zigzag)、らせん構造(Chiral)に分けられる。
一般に電気伝導率・熱伝導率が高く、耐熱性である。立体構造の違いで半導体となる。
発がん性やアスベスト(石綿)様の毒性を有する可能性が指摘されている。
炭素繊維と同様に金属や樹脂と混合して強度を向上させる試みは早くから行われている。金属の場合は粉末状の材料を焼き固める「粉末冶金」で実現した。だが、樹脂とカーボンナノチューブは相性が悪い。液体中ではカーボンナノチューブが凝集してしまうため、溶かした樹脂に混ぜるという手法が使えない。なんとかむらを作らず分散させる方法を開発したものの、今度はナノチューブ表面で樹脂の分子が滑ってしまい、思ったほどの強度を発揮することができなかった。それでもテニスラケットや車のバンパーなどの応用品は存在する。
両者ともナノメーターサイズの細い針で試料表面を走査することで試料の原子サイズの凹凸を映像化する装置である。カーボンナノチューブの先端を加工すると、炭素原子が鎖のように連なった分子が発生する。これを針として利用することで解像度を向上することができる。
いずれも電極の表面積を増やすことで能力を向上させられる。カーボンナノチューブは単位体積あたりの表面積が極めて大きいので最適な電極材料となる。
一言で言うのならば「超薄型平面ブラウン管」。ブラウン管の電子銃は熱をかける必要が有るため、予熱による待機電力の消費が問題になっていた。カーボンナノチューブで作った電子銃は熱する必要がなく、低い電圧でも電子を放出するため、消費電力を小さくでき、コントラストもよく、応答速度の早いディスプレイを作ることができる。……はずのだが、開発は遅れに遅れ、その間に液晶ディスプレイが普及しきってしまったため、今更普及させるのが困難なのが現状である。
半導体性ナノチューブはそれだけで超小型・超高速トランジスターとなりうる。金属性ナノチューブはある距離までなら電子が炭素原子と衝突することなく極めて高速で流れる(バリスティック伝導という)ため最適な配線材料となる。2019年、MITは半導体ナノチューブを用いた16ビットRISC-Vプロセッサを制作、"Hello world"を出力する事に成功した。
バリスティック伝導の状態にある電子はスピン(コマの自転、光の偏光に相当する量子状態)が長期間にわたって維持される。これを利用してスピンを情報媒体にしたコンピュータを作れる可能性がある。高磁性半導体と組み合わせることで演算と記憶の両方の機能をもたせたスピン素子を作ることも可能で、将来的には量子コンピュータや、電源を落としても計算内容を保持できるスピンコンピュータの実現が期待される。
カーボンナノチューブを平面から垂直に高密度に生やした素材は極めて高い電磁波吸収特性を持つ。ナノチューブの「森」に一旦迷い込んだ光子は多数のナノチューブの間を乱反射してなかなか外に出られないからだ。こうして作られた新素材「ベンタブラック」は紫外線からマイクロ波までの広帯域の電磁波のほぼ全てを吸収する現在最も「完全黒体」に近い素材である。
掲示板
47 ななしのよっしん
2021/06/25(金) 23:29:55 ID: XwT5YbPbJP
この素材を使えば軌道エレベーターが作れるんだっけ?
早く完成しないかな。
生きている内に宇宙をこの目で直接見てみたい。
48 ななしのよっしん
2021/06/27(日) 15:15:46 ID: hkrk7B8gLC
↑多分無理。数万kmの長さの切れ目のないカーボンナノチューブが量子ゆらぎによる格子欠陥を起こさない可能性は限りなくゼロに近い。
49 ななしのよっしん
2022/07/22(金) 09:05:42 ID: 3jYXaQU5q5
格子欠陥のないCNT(CNF)を9万6000kmまで伸ばさなきゃならんからな
現在もCNTの連続線維化の研究も行われてるけど、強度や弾性率は既存の炭素繊維に遠く及ばず、高強度材料よりも機能性材料(各種フィラーや半導体、光学機器等)のほうがよっぽど有意義だってことでそっちの研究のほうが活発だったり
数年前にCNT連続繊維の研究してた教授と話す機会あったけど、CNTに見合った実用強度まで持ってく研究は正直乗り気ではないしオススメしないと言ってたな
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最終更新:2024/04/23(火) 23:00
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