カールグスタフ 単語

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カールグスタフ

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カールグスタフとは、

  1. カール・グスタフ…スウェーデンFFV社が開発した無反動砲
  2. 購買力価説を提唱した著名な経済学者カール・グスタフ・カッセル
  3. 英雄と名高いフィンランドの軍人、カール・グスタフ・エミール・マンネルヘイム
  4. アニマとアニムスについて定義した心理学者、カール・グスタフ・ユング
  5. 銀河英雄伝説登場人物カール・グスタフ・ケンプ
  6. 小説機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に登場するMSグスタフ・カール

1.の概要

スウェーデンにて、小銃等で破壊できない標のために1946年から開発された携行式無反動砲である。名前の由来は開発に加わった会社の一つから。

初期M1、軽量化などを行ったM2、照準器を改良したM2-550、複合材料により大きく軽量化したM3の各モデルがある。ただその反面、寿命は特殊鋼製のM2以前として大きく劣る。

ちなみにカールグスタフを使い捨てにしたものがAT4である。

照準器は倍率3倍のスコープアイアンサイトが標準で付属。最新のM3は20mmマウントベースと3倍スコープセットとなっており、スコープマウントベースからはずせば様々なアクセサリーセットできる。

口径は84mm。クルップ式無反動砲、すなわち発射ガスをそのまま後部に噴出するタイプのため、発射の際は後方45度距離60mは危険域となる。そのため発射の際の安全確認は必須作業の他、建物内などの閉所からは使用できない欠点がある。発射口に無反動砲ではよく見るラッパ状の縁があるが、これは移動時などに口を変形させないための装備。基本的に発射前には取り外す。

弾薬HEAT弾、榴弾、照明弾など今までに9種がリリースされている。この中でも面いのが1段HEAT弾、2段に通常榴弾を装備し、建築物HEAT弾でぶち抜いた後に通常榴弾が建築物内で爆発するMT756爆発時に矢をぶちまけるフレシェット弾ADM401(FFV401)だろう。
なお弾薬の後端を回転させそこから装填する。

カールグスタフはその弾速の速さ、命中精度の高さ、射程距離の長さ、弾種の多様さが当時の対戦車兵器として優れていたためく間に各が採用、一躍ベストセラ無反動砲となった。しかし対戦車兵器として見れば現在では少々時代遅れとなっている。そのためドイツなどの対戦車兵器の座をパンツァーファウスト3に譲り、カールグスタフは照明弾発射機として扱われている。ただし純無反動砲としてみてば使い勝手が良いことには変わりないため、まだまだ各では使われることになるだろう。

M3[1]

M4

M3は鋼製ライナーを使用していたがM4ではチタン製に変更、外側の筒も炭素繊維複合材に変更した。重量は7kg未満にまで軽量化された。発射回数を記録するカウンタが搭載されており、寿命が余っているが何発撃ったかわからない身を棄する、という事態を避けることができ、1000発とされる寿命一杯に活用できる。[2]

日本の導入[3]

日本1984年からカールグスタフM2ライセンス導入に踏み切った。ところが生産が軌にのった後、メーカーFFV社はカールグスタフM3を発表、モデルチェンジの理由として「旧では進歩したソ連戦車の正面装甲には太刀打ちできない」と発表した。つまり防衛庁メーカーが「ソ連戦車効」と認める旧装備を「新装備」として調達したことになってしまった。しかし日本の防衛産業は10年以上あとになって生産ラインへの初期設備投資が回収できて利益が出始めるという気長なサイクルで成り立っているので、M2は生産され続けた。

その後自衛隊ではM2の貫通力を心配し始めたのか、パンツァーファウスト3の導入を検討している。パンツァーファウスト3の射程は移動標に対して300m、静止標に対して500mと、カールグスタフにはやや劣る。カールグスタフの対戦車威力が十分だったならパンツァーファウスト3は導入する必要はないわけで、明らかにカールグスタフ導入失敗の拭としての導入だろう。

日本での運用

84mm無反動砲の名でM2対戦車兵器として採用した。通称は84RR、ハチヨン、無反動砲カール君など。初期は輸入だったがその後は本体は豊和工業弾薬ダイキンによってライセンス生産されている。

運用としては普通科小銃小隊に一本が配備されている。手係と予備弾薬運搬係の2人で運用し、手は小銃を持たず9mm拳銃を持つ。普通科以外にも特科や機甲部隊などにも配備されている。

やはり対戦車兵器としては陳腐化し始めたため、01式軽対戦車誘導弾パンツァーファウスト3によって更新されることになった。とはいえ退役ではなく管理変えなどによって別の科に配備されるという状況である。

しかし01式は対戦車ミサイルとしては非常に優秀だが、熱を持たない地などには攻撃が困難であるうえに戦車以外の標にはちともったいないこと、パンツァーファウスト3はそもそも使い捨てであることから、よく当たり色々使えるカール君の有用性は見直されており、多用途ガン(現在は84mm無反動砲(B))としてM3を追加調達するという展開になった。ただすでにM2をたっぷり買い込んでるせいか、あるいは反動をぶっ放しまくる特性上、身命数の少なさを嫌ったのかM3の調達は少数である。

これからもカール君は普通科などの重な火力として活躍し続けることだろう。

余談だが、陸自中の人によるとよく当たるため訓練で撃っていてとても楽しいらしい。これは身にライフリングが施された歴とした「ライフル」であることに所以する。着弾も手だしその気持ちはわかる気がしないでもない。着弾が手というのは榴弾を火炸裂させられることもあるのかもしれない。

関連動画

関連コミュニティ


関連項目

脚注

  1. *FFV社の対戦車兵器」深孝行 PANZER 1988年3月
  2. *特別編・カール・グスタフ無反動砲exit 2017.6.3
  3. *日本の防衛力再考」兵頭二十八 銀河出版 1995 pp.155-158
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