カール・ブラッケ(Karl Bracke)とは、「銀河英雄伝説」の登場人物である。
CV.藤城裕士(石黒監督版OVA)、こぶしのぶゆき(Die Neue These)
銀河帝国の貴族・政治家。帝国きっての開明派の政治家であり、貴族の身分を示す「フォン」の称号を自らはぶいて名乗っている。開明派の同志オイゲン・リヒターとくらべ、やや教条主義的で悲観的なきらいがある。石黒監督版OVAでは、茶髪に口ひげを蓄えた中肉中背の中年男性として描かれた。
ゴールデンバウム王朝末期から帝国内「開明派(改革派)」の領袖として知られ、ラインハルト・フォン・ローエングラムによって登用された。ローエングラム王朝では民政尚書として民生政策に大きく貢献し、ローエングラム王朝の特質と評される「専制下の社会的公正」を実現させたが、同時に皇帝ラインハルト専制体制への強硬な批判者でもあった。
もともとリヒターとならび、守旧的なゴールデンバウム朝銀河帝国における「改革派」あるいは「開明派」といわれる一派の指導者と目される人物であった。
帝国暦488年3月、クラウス・フォン・リヒテンラーデ公爵と連係して帝国の実力者となったラインハルトによって呼びだされ、リヒターともども「きわめて進歩的な“社会経済再建計画”」の立案を委ねられる。同年のリップシュタット戦役後、ラインハルトが帝国宰相として独裁体制を布くと、開明派の要人として“改革者”ラインハルトの改革政治に協力することとなる。
帝国暦490年(新帝国暦1年)には、ローエングラム王朝への移行にあわせ新設された民政省に初代の長たるべく任じられ、民政尚書として入閣。以降、王朝初期における民生面の向上に注力し、退役将兵(とくに傷病者)年金や戦死者遺族育英制度の充実強化、犯罪被害者に対する政府拠出金制度の新設など、ゴールデンバウム王朝では等閑視されていた社会政策の拡充や社会的不平等の是正に大きく貢献した。
ブラッケは、皇帝主権のもと平民に認められた権利が弱く、社会的制度的に門閥貴族が圧倒的に優越していた末期ゴールデンバウム王朝にあって、珍しく自由主義的な傾向を持つ人物のひとりだった。しかし、ラインハルトに登用されるまでは、その理想と政策を実現する権力を持っていなかった。
ラインハルトに登用された際には、彼が民衆の支持を得るための道具として利用されていると察して不本意さを見せ、またラインハルトが権力を固めたのちに専制的独裁者となることを危惧した。ただし、当時のラインハルトが対立していた門閥貴族は帝国社会を反動化させることが明らかであり、カウンターとしてラインハルトを利用して政治と社会の改革を推進すべき、というリヒターの言にも同意している。
ラインハルトの独裁体制下で帝国の政治が啓蒙専制的に革新され、財政・法体系・行政の改革と平民の権利拡張、民生政策が急速に進められたことについては、民衆に対する人気とりであることを指摘し「民衆の自主性によらない前進が、前進の名に値するだろうか」と疑念を呈している[1]。
長年にわたり民衆支配の象徴的存在であった内務省社会秩序維持局に対しても当然ながら強く反対していたようで、その解体後には責任者ハイドリッヒ・ラングの処罰を主張するひとりだった。
上記したように、ブラッケはラインハルトの政治に全面的に賛同していたわけではなく、戴冠後のラインハルトによる「皇帝専制の枠内での上からの革命」ともいうべき統治志向に対しても批判を隠すことはなかった。皇帝ラインハルト批判をはばからないという点では、パウル・フォン・オーベルシュタインに次ぐほどだったとされる。
特に軍人皇帝ラインハルトの武断主義・好戦性に対しては、幾度も強い批判をくわえている[2]。王朝初年から行われた“大親征”のような大規模遠征に対しては、「戦役をやめ内治につとめ、国庫のさらなる安定を求めるべき」といういわば内治優先論の立場をとった[3]。酒の場で「連年みだりに兵をうごかし、戦役に国費を費やし、死者をふやすこと度がすぎる」とレンネン批判皇帝批判をこぼした件では、王朝中枢の軍人に(個人的な食事の場でではあるが)「反皇帝派を利する不用意な発言」と不安視されてもいる。
新帝国暦3年に旧同盟領全域で生じた交通・流通の混乱(惑星ハイネセン動乱の前兆)に際しても、その原因としてイゼルローン共和政府を討つべしと主張する強硬論に反駁し、「武力は万能ではない。皇帝陛下の武威によって、領土はたしかに拡大された。だが、新領土で叛乱や紛争が絶えぬというのでは、拡大も空洞化にひとしいではないか」と痛烈に批判している。この批判は不当でも無責任なものでもなく、批判された軍部でも彼の言にも理があることは認められていた[4]。
掲示板
16 ななしのよっしん
2024/02/04(日) 12:07:03 ID: eJqcVFgQwH
何だかんだでラインハルトが亡くなったときはかなりショックを受けてそう
下手したら内線のきっかけになるかもしれないし
17 ななしのよっしん
2024/03/02(土) 19:39:38 ID: jzb7Emxok7
カイザーに対して「とっとと死ねよシスコン戦争屋」とまでは流石に思ってなかったろうしね。
それに、カイザーが自分たちの望んだ開明政策を実施するための土台となる権力を提供してくれていたという認識もあるだろうし、カイザー崩御はその前提の瓦解となりかねないと恐れてもいそう。
あるいはそこで、必ずしも開明派とは言えないヒルダ=ミッターマイヤー連合との協調ができるようになるかも。
18 ななしのよっしん
2024/04/05(金) 10:12:17 ID: AAu9Hh3KlI
設定的にみれば「軍事はミッターマイヤー、民政はブラッケ」と並び称されてもいいくらいの傑物のはずなんだけどなぁ
ラインハルトがいくら直言を嫌わないタイプだって、およそ自分の思想に合わない奴を長く登用させたりはしないだろうし
銀英伝自体が軍人視点で作られてる被害者とも言える
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最終更新:2024/04/23(火) 18:00
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