銀河英雄伝説の戦闘 | |
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リップシュタット戦役 ガイエスブルク要塞の戦い |
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基本情報 | |
時期 : 帝国暦488年 8月前後 | |
地点 : 銀河帝国 ガイエスブルク要塞近傍 | |
結果 : 銀河帝国正規軍の勝利 | |
詳細情報 | |
交戦勢力 | |
ゴールデンバウム朝銀河帝国軍 | リップシュタット貴族連合軍 |
総指揮官 | |
帝国軍最高司令官 ラインハルト・フォン・ローエングラム元帥 |
貴族連合盟主 オットー・フォン・ブラウンシュヴァイク公爵 |
動員兵力 | |
ミッターマイヤー艦隊 ロイエンタール艦隊 ケンプ艦隊 メックリンガー艦隊 ミュラー艦隊 ビッテンフェルト艦隊 キルヒアイス艦隊 |
リップシュタット貴族連合軍 |
損害 | |
不明 | ガイエスブルク要塞の陥落 主要門閥貴族多数の死亡 リップシュタット貴族連合の崩壊 |
リップシュタット戦役 | |
オーディン制圧 - アルテナ会戦 - レンテンベルク要塞攻防戦 - キフォイザー星域の会戦 - シャンタウ星域の戦い - ガイエスブルク要塞の戦い - ヴェスターラントの虐殺 - ローエングラム侯暗殺未遂事件 - オーディン再制圧 |
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シャンタウ星域の戦い | ヴェスターラントの虐殺 ローエングラム侯暗殺未遂事件 |
ガイエスブルク要塞の戦いとは、「銀河英雄伝説」の戦闘の一つである。
帝国暦488年8月前後、リップシュタット戦役の最終戦として、銀河帝国正規軍(討伐軍/リヒテンラーデ=ローエングラム枢軸)とリップシュタット貴族連合軍とのあいだに生起した戦闘。
この戦闘についての明確な名称は存在せず、また要塞をめぐっての攻防戦も行われなかったため、当記事では便宜的に「ガイエスブルク要塞の戦い」と呼称している。
貴族連合軍の本拠地であるガイエスブルク要塞の周辺宙域において、約一ヶ月にわたって断続的に戦闘が交わされた結果、戦闘力と求心力とをともに失った貴族連合軍が完全に敗北し、リップシュタット貴族連合は消滅した。リップシュタット戦役における実質的な戦闘はこの戦闘をもって終結した。
帝国暦488年7月、シャンタウ星域の戦いにおいてリップシュタット貴族連合軍が初の勝利を挙げたものの、戦役の全体的な勝敗の天秤は討伐軍の方向に大きく傾いていた。
7月末、討伐を指揮する帝国軍最高司令官ラインハルト・フォン・ローエングラム元帥は、ガイエスブルク要塞の連合軍に対して”古典的な決戦状”を送付し、その無礼な内容によって連合軍を挑発。さらにミッターマイヤー艦隊をガイエスブルク要塞近辺に展開させ、連合軍の出撃を誘った。
これに対し、連合軍の総司令官ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ上級大将は出撃の禁止を命じていたが、青年貴族の一団が命令に反して出戦したことから、ガイエスブルク要塞近傍宙域における戦闘が開始された。
討伐軍の戦力は、帝国軍最高司令官であるラインハルト・フォン・ローエングラム元帥の麾下、ウォルフガング・ミッターマイヤー大将、オスカー・フォン・ロイエンタール大将、カール・グスタフ・ケンプ中将、エルネスト・メックリンガー中将、ナイトハルト・ミュラー中将、フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト中将らの艦隊で構成された。戦闘後半では辺境星域の平定を終えたジークフリード・キルヒアイス上級大将がその兵力とともに合流している。総参謀長はパウル・フォン・オーベルシュタイン中将が務めた。
貴族連合軍側では、キフォイザー星域の会戦をはじめとする度重なる敗戦によって兵力を減じてはいたが、ガイエスブルク要塞それ自体をふくめいまだ相当の艦艇を残していた。これらの艦艇を指揮するのはほとんどが軍務経験の少ない門閥貴族であり、その統率力に大きな懸念があったものの、総司令官メルカッツ上級大将やアーダルベルト・フォン・ファーレンハイト中将といった練達の高級軍人も健在であった。
ガイエスブルク要塞の戦いは約一ヶ月にわたったが、その戦闘は三次に大別される。ミッターマイヤー艦隊の接近によって発生した最初の戦闘、これを受けて8月15日に開始された両軍の総力戦闘、ヴェスターラントの虐殺を挟み、貴族連合軍の起死回生を目して行われた最後の戦闘の三つである。
ガイエスブルク要塞の主砲射程外を遊弋するミッターマイヤー艦隊に対し、連合軍の総司令官メルカッツ上級大将は、これを討伐軍側の策略であると認識し、要塞からの出撃を堅く禁じた。しかし挑発を受ける側である青年貴族たちは忍耐を欠き、わずか三日目にして激発同然の出撃に及んだことで戦闘が開始されることとなった。
青年貴族たちの襲撃を受けたミッターマイヤー艦隊は潰乱状態をみせ、多くの軍需物資を放棄して撤退した。これは連合軍の油断を誘うため擬態として行われたもので、連合軍では盟主オットー・フォン・ブラウンシュヴァイク公爵自身が戦果を絶賛したのをはじめ自軍の圧勝を疑わず、討伐軍を過小評価することとなった。
戦闘終了後、メルカッツ上級大将は、軍秩序の観点から禁令を破っての出撃を問題視し、出撃した青年貴族たちに軍法会議への出頭準備を通達した。男爵フレーゲル少将をはじめとする青年貴族たちは自殺をほのめかすなど強く抗議したが、盟主ブラウンシュヴァイク公は、事態を盟主自身の権限に属するものとし、具体的な対処を行わなかった。これ以降、メルカッツ上級大将の総司令官としての影響力は著しく低下し、門閥貴族たちはメルカッツ上級大将の命令を無視し、統率を欠くようになっていく。
連合軍を油断させた討伐軍は、機を見て麾下の各艦隊をそれぞれの戦区に配置するとともに、ふたたびミッターマイヤー艦隊をガイエスブルク要塞へとおくった。8月15日に来襲したミッターマイヤー艦隊は、前回と異なり長距離レーザー水爆ミサイルを撃ちこむなど積極的にガイエスブルク要塞を攻撃した。対する連合軍は盟主ブラウンシュヴァイク公の直接指揮のもと、統一された指揮系統をもたないまま要塞を大挙出撃して迎え撃つ。
両軍の戦闘は長くは続かず、後退をはじめたミッターマイヤー艦隊は連合軍の総力攻勢にそのまま敗走した。これも前回同様擬態であり、討伐軍の縦深陣に連合軍を誘い込むためのものだった。猪突追撃にうつった連合軍は、戦闘に参加していたファーレンハイト中将から深追いの危険性が呼びかけられたことで速度を緩めて再編成を試みる。しかし、ミッターマイヤー艦隊が時機を捉えて反撃と貴族連合軍側の再反撃に対する再後退を繰り返したため、戦列を前後に伸び切らせたままに縦深陣へと誘引されることとなった。
何度目かの反撃にうつったミッターマイヤー艦隊は、過去にない圧力と速度で猛反撃を加え、貴族連合軍の先頭集団を撃砕した。もともと無秩序だった連合軍は一挙に混乱を極め、ファーレンハイト中将が抗戦を断念して急速後退を指示したのに従って戦闘宙域からの撤退を開始する。しかし討伐軍の縦深陣はこれを予期したもので、左右側面からケンプ中将とメックリンガー中将の艦隊が迫り、両艦隊からのがれた先ではビッテンフェルト中将とミュラー中将の艦隊が両側面を衝いたため、連合軍は効果的な反撃もできないまま全面敗走を余儀なくされた。
敗走と追撃のなか、ロイエンタール、ミッターマイヤーの両艦隊は敗走するブラウンシュヴァイク公を捉えかけた。しかしその時、連合軍後衛にあったメルカッツ上級大将が近距離から猛烈な斉射を加え、突進中のために後退命令を徹底できず混乱する両艦隊に対して軽快艦艇からなる接近戦に優れた直属艦隊を投入したため、討伐軍先頭集団はひるがえって劣勢となり、後退と再編に集中せざるをえなかった。メルカッツ艦隊はブラウンシュヴァイク公を収容してガイエスブルク要塞へと撤退し、連合軍は危うく完全崩壊をまぬがれることとなる。
8月15日からの戦闘での敗北と、それにつづくヴェスターラントの虐殺による人心の離反は、リップシュタット連合に決定的な打撃をもたらした。失意の門閥貴族たちはのこる選択肢を模索し、自殺者も続出する。権威と人望を失墜させたブラウンシュヴァイク公は青年貴族たちとともに酒宴にふけり精神を鼓舞する有様だったが、いまだ戦意を失わないフレーゲル男爵らの楽観的な提言を容れ、残余の戦力をもって起死回生の決戦を挑む道をえらんだ。
要塞の利を活かして長期持久戦に持ち込むべし、と論じるファーレンハイト中将が出戦を拒否するなか、連合軍は要塞を出撃し、猛烈な砲撃を経て突撃にうつった。貴族たちは討伐軍の砲艦部隊による連続斉射にも怯まず、低からぬ戦意をもって六度にわたる波状攻撃を敢行したが、波状攻撃により疲労したそのタイミングで討伐軍がキルヒアイス上級大将の高速巡航艦隊を投入すると、強烈な逆襲を受けることとなる。あわせて討伐軍主力が全面攻勢を実施するに及び、貴族連合軍の敗北は確定的となった。
敗走する連合軍各艦では、貴族将校に対し平民出身者が叛旗を翻し、内部抗争が酸鼻をきわめた。貴族将校を殺害して降伏する艦だけでなく、私刑行為に熱中するあまり降伏信号の発信を失念し破壊される艦、味方を撃って旗幟を鮮明にする艦もあった。フレーゲル男爵は諫言する参謀レオポルド・シューマッハ大佐を射殺しようとして部下に殺害され、前線に孤立したメルカッツ上級大将も自殺を試みたが、副官ベルンハルト・フォン・シュナイダー少佐の説得を受け自由惑星同盟への亡命を選んだ。ブラウンシュヴァイク公も戦場を脱出し、要塞へと帰還している。
以降、要塞内において散発的な抗戦をこころみる士官は存在したものの、貴族連合軍の組織的な抵抗は終結した。生き残った多くの貴族が降伏か逃亡を選ぶなか、貴族連合の盟主ブラウンシュヴァイク公が自殺し、リップシュタット貴族連合は崩壊した。
ガイエスブルク要塞は討伐軍によって完全に制圧され、9月9日の戦勝式におけるローエングラム侯暗殺未遂事件をむかえることとなる。
石黒版監督版OVAでは第22話「勇気と忠誠」後半において緒戦と8月15日からの戦闘を描写。
おおむね原作の展開に沿っているが、ミュラーの代わりにウルリッヒ・ケスラーがビッテンフェルトとともに討伐軍縦深陣の第二陣を構成し、原作にない第三陣としてミュラーとロイエンタールが戦闘に加わっている。貴族連合軍側では、第二陣と第三陣の登場の合間にファーレンハイトが他の味方と別進路をとって縦深陣を逃れ、フレーゲルらが追随する描写が追加された。終盤、メルカッツ艦隊と討伐軍との戦闘では、なぜかコルネリアス・ルッツの旗艦<スキールニル>が姿を見せている(これケスラーの<フォルセティ>と描き間違えたのでは?)。
最後の戦闘はつづく第23話「黄金樹は倒れた」で描かれるが、こちらでもケスラーが戦闘に加わった一方、キルヒアイスの本隊への合流が戦闘終了後に繰り下げられたため展開にやや変更が生じ、連合軍の第六次攻勢への討伐軍の反撃から一気に戦闘の決着がつくかたちとなっている。また、OVAオリジナルキャラクターであるヤーコプ・ハウプトマンが前もってガイエスブルク要塞に潜入していたため戦闘終盤に同期して要塞内でも戦闘が生じており、ハウプトマンらが要塞主砲の制御室を占拠、要塞へ強襲揚陸艦が降下する場面が存在する。
原作では野望篇第六章「勇気と忠誠」で8月15日からの戦闘まで、第八章「黄金樹は倒れた」で最後の戦闘を描く。
掲示板
11 ななしのよっしん
2019/12/01(日) 03:01:35 ID: Ujes9hk7Hi
具体的に言うとキルヒ艦隊が敵艦隊に突撃して要塞主砲を使われることを封じ、かつ前衛を崩して、その後他艦隊が波状攻撃をしかけることで一気に敵を崩した
まぁ要するに第五次イゼルローン要塞攻防戦で同盟軍が取った策と同じことをしたわけだね
12 ななしのよっしん
2020/08/12(水) 11:04:12 ID: iHDAg1JouD
フジリュー版だと、かなり変わったよな。
2回目の戦いでは、ブラウンシュヴァイク公爵が勝利後を見据えて箔を付けるために、旗艦にエリザベートを乗せたが、その結果旗艦が被弾した際にエリザベートが死んだ。
最後の戦いは行われず、ブラウンシュヴァイク公爵はすっかり心が折れた感じにやつれてる。
メルカッツは同盟に亡命。さらにはブラウンシュヴァイク公爵の元に一部の貴族が「アンタが自決して責任取れ」みたいな感じで詰め寄ってくる(原作でも「ブラウンシュヴァイク公爵の首を差し出して降伏しよう」と考える貴族はいたが、実行には移されなかった)。
フレーゲルは「滅びの美学」のために、叔父に毒入りワインを飲ませた後で、自分も同じワインを飲んで自決。
原作だと3回目の戦いを挑めたのは、希望的観測にしても「金髪の孺子を倒せば一発逆転ができる。現状は厳しいが、逆転できれば残った連中に回ってくるリターンもデカい」という希望があったからか。
そしてフジリュー版では、エリザベートが死んだのでその
(省略しています。全て読むにはこのリンクをクリック!)
13 ななしのよっしん
2022/10/30(日) 22:55:06 ID: 6FNRugDoCT
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最終更新:2024/03/29(金) 18:00
最終更新:2024/03/29(金) 18:00
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