キズナIIとは (キズナとは) [単語記事]

概要

馬主は日本人の和泉憲一氏。名字でピンと来た人もいるかもしれないが、ナカヤマフェスタなど「ナカヤマ」の冠名で知られた和泉信一氏の息子である。

フランスのセールで購入された後、トニー・クラウト厩舎で現役生活を送るが、ここはナカヤマフェスタが凱旋門賞遠征時に滞在していた厩舎であり、彼女も将来はフェスタの交配相手となる予定だった。「キズナ」の名は、こういった日仏間の縁をオーナーが感じてのものだったという。

競走成績は3歳～4歳時にフランスで走って

以上2000～3200mを出走して12戦2勝である。
これだけなら大レースに出走していないし特筆すべきことでもない。

しかし、日本の競馬ファンならすでにお気づきであろう。
偶然にも、同い年の日本馬が「キズナ」という競走名で登録されていた。

和泉オーナーがそれを知ったのは2013年秋頃であったといい、すごいと思っていたらダービーに出走したので応援していたという。ご存じの通り、彼はダービー馬となり、凱旋門賞へ出走することになる。

つまり、一時的にフランスに「キズナ」が2頭いることになり、スポーツ紙には「同名対決もあるか」と書かれた。日刊スポーツのインタビューで、和泉オーナーは苦笑いしながら「よほどのことがない限り厳しい」と答えている。こちらのキズナは初勝利が2013年夏であり、同年10月の凱旋門賞にはよほどの快進撃が必要だっただろう。

もちろん、2頭はこの時点では相まみえることはなく、日本の方のキズナはニエル賞1着、凱旋門賞4着の成果をお土産に日本へと帰っていった。

引退後は、当初の予定通り、ナカヤマフェスタの待つ日本へ繁殖牝馬としてやってきた。
さすがに紛らわしいので、日本の血統表では「キズナⅡ」と表記されることが多い。

そうなるとこの馬は牝馬なので日本のほうのキズナとの配合が気になるわけであるが、2019年に本当に実現してしまった。2020年 2月9日にはキズナ(日本)×キズナⅡの牡馬が誕生した。どのような馬名になるのか気になるところであったが、2022年の5月29日のジャパンスタンドブックで確認できる情報で、馬名はオールアイズオン（All Eyes On)で意味は「みんなの注目、衆目」と確認ができる。同馬は2022年の9月にデビューした。

産駒は持込馬のSiyouni 産駒の牝馬・ローズギフトを産んで以降、当初の予定通りナカヤマフェスタを2回の後、*マクフィ、キズナ(日本)、ナカヤマフェスタを種付けしている。なおローズギフトは未勝利のまま2019年に引退したが、その直後にナカヤマフェスタを種付けして2020年に出産しており、オーナーのナカヤマフェスタを全力でバックアップするという強い意志を感じられる。

2021年 9月には、三番仔ボーンジーニアス(父ナカヤマフェスタ)が産駒初勝利を挙げたが、ネットでは「キズナ産駒初勝利」「母キズナのボーンジーニアスが初勝利」という見出しが躍ったので、事情を初めて知った競馬ファンが「何言ってんだ！？」と思ったのは言うまでもない。