キングコング(英:kingkong)とは、1933年に作られた世界一有名なアメリカの怪獣映画である。またはその作品を原作とした派生作品やそれらの作品に登場する巨大なゴリラのような怪物のこと。
怪獣映画の元祖とも言うべき名作として知られる。
恐竜や巨大昆虫が生息する秘境に王として君臨する巨猿「キング・コング」が、ジャングルやニューヨークで暴れる姿を描く。
1925年に公開された『ロスト・ワールド』が大人気となったのを受けて、同様の大冒険映画をもう一度作ろうと言うことで企画がはじまった。後の『ゴジラ』などと違い、人形をコマ撮り撮影して特殊撮影を行い、人間の役者と合成することで製作された。そのため、製作期間は1年以上と、当時としては異例の長さとなった。
当時の観客が「あんな大きな猿をどこで捕まえて来たんだ」と製作元に問い合わせたと言われるほど、優れた特撮技術が観る者に衝撃を与えた。のみならず、潤沢な予算の下、ジャングルや大都会を舞台に展開される大迫力の冒険活劇が、観客の心を掴み、世界中で大ヒットとなった。
また、巨大怪獣が暴れまわるだけの映画ではなく、コングを軸に物語が展開し、彼がヒロインに好意を抱きながらも悲痛な死を迎えるという悲恋の物語であったことが、現在まで続く高い評価の理由になったことは、淀川長治をはじめ多くの映画評論家が指摘するところである。
興行的な人気に留まらず、「怪獣映画」というジャンルを築き上げ、世界の映画業界に影響を与えた。
日本の、『ゴジラ』に始まる一連の特撮映画文化も、今作がなければ生まれていなかったかもしれない。
野心家の映画監督デナムは、大作冒険映画を作るために、撮影隊を引き連れ、未知の島「ドクロ島」へ向かう。
島に到着した彼らは、何か重要な儀式の途中であった原住民と衝突。女優のアンが、何者かへの生贄として原住民に浚われてしまう。
果たして、怪しげな儀式の末に密林から現れたのは、巨大なコングであった。
生贄として捧げられてしまったアンを助けるため、コングを追ってジャングルに入った撮影隊は、絶滅した筈の恐ろしい巨大生物に遭遇し、次々と命を落としていく。
からくもコングから逃げ延び、アンの救出に成功した撮影隊だが、もはや映画など撮れる状況ではない。
するとデナムは、コングを捕獲し、見世物として大々的に公開することを思いつく。
「世界八番目の不思議」と題してニューヨークでお披露目されたコングは、観客達の度肝を抜く。
しかし、コングは拘束を解いて脱走してしまう。人間達の仕打ちに怒り、アンを求めて巨体で暴れまわるコングによって、ニューヨークは大混乱に陥る。
とうとうアンを連れ去ったコングは、故郷の岩山の姿を見たか、エンパイアステートビルによじ登る。
しかしそこへ、人類の複葉機が襲い掛かる。激しい空中戦を繰り広げたものの、近代兵器の前にとうとう力尽きたコングは、アンを解放し、自らは地上へと落下して死亡する。
大ヒットしたため、なんと同じ年に『コングの復讐』という続編が製作された。
コングの息子がジャングルを舞台に活躍すると言う内容で、初作のスタッフがほぼそのまま参加しているが、予算が半分に減らされた上に突貫工事であったため、余計な続編という立ち位置を抜けられない微妙な作品となった。
1976年、2005年と、2度リメイクされた。2017年にはモンスターバースに属する作品としてコングのオリジンが描かれる『髑髏島の巨神』が制作された。
コングの表現方法は、それぞれ着ぐるみ、フルCGとなっており、リメイクされた時代ごとに最新の特撮表現方法が用いられている。
1976年版は、時代背景に合わせて、映画監督→石油会社、撮影→油田調査に置き換えられている。エンパイアステートビルも世界貿易センタービルに変更され、複葉機も武装ヘリコプターに変更されている。代わりに、巨大生物が殆ど出ない。
大ヒットはしたものの、これらの変更がことごとく不評を買い、現在では失敗作として主に知られている。ただし、コングのドワン(ヒロイン)への好意と思いやりがよりクローズアップされ、ドワンの方もコングの心情に理解を示す描写があり、これらは好評で後の2005年版にも受け継がれた。
こちらには『キングコング2』という続編がある。
前作で死んだコングが、精密な人工心臓で蘇り、その手術のための輸血提供者となった雌のコングと恋に落ちる。二匹をもろとも抹殺しようとする人類と戦うコングだったが、雌の胎内には新しい命が……というカオスなあらすじ。
特撮技術はさらに進化していたが、擁護しようのないどうしようもない内容から、今度こそ酷評を浴びた。
ちなみに、サラ・コナー役でおなじみリンダ・ハミルトンが主演だった。
2005年版は、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズで高い評価を獲得し、今作の大ファンでもあったピーター・ジャクソンによって製作された。
33年版にかなり忠実なリメイクで、最新のSFX技術を投入しているものの、舞台は1933年である。76年版でカットされたジャングルでの冒険がしっかり描かれているばかりか、巨大昆虫のシーンなど、原作でカットされたシーンも豪勢に復活させられている。また、コングの表情が非常に豊かになり、野獣でありながらヒロインを必死で守るヒーローとしての親しみやすさも持ち合わせるようになった。
こちらは76年版と違って内容的にも高評価となった。ただし、興業的には『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズに比べるとやや期待はずれで、特に日本においては宣伝不足も手伝い不振といえる結果に終わってしまう。
『ゴジラ』のヒットと高評価で勢いづいた東宝が、1960年代にキング・コングの製作権を獲得したことで、日本版キング・コングシリーズが生まれた。
ちなみにこの製作権の価格は、大作映画3本分で5年間というずば抜けて高価なものであった。
1962年、日米のスター怪獣が対決する夢の映画『キングコング対ゴジラ』が公開された。
日本国内では大ヒットし、1120万人の動員を記録した。これはゴジラシリーズ歴代最多である。ゴジラに合わせて着ぐるみで製作され、身長はだいぶ高くなり、設定も殆ど別物になった今作のコングは、海外のファンには苦笑でもって迎えられたが、唯一、大タコとの対決シーンは大変人気であった。
1967年には、大枚はたいて権利を買ったのだから期限までにもうひとつ作ろうと言うことで『キングコングの逆襲』が公開された。
2017年、ワーナー・ブラザーズとレジェンダリー・ピクチャーズの共同制作による新作『キングコング:髑髏島の巨神』が公開された。
ベトナム戦争終戦直後の1973年を舞台に、未確認巨大生物の調査のために南太平洋の孤島「髑髏島(スカルアイランド)」へ乗り込んだ人類と、そこで王として君臨するコングの戦いが描かれる。
ちなみに企画当初は、ピーター・ジャクソンが監督を務め、同氏が送り出した05年度版のプロローグとなる予定だった。
今作は、同じくワーナーとレジェンダリーによって製作されたあの『GODZILLA(2014)』と世界観を共有しており(特別研究機関モナーク(MONARCH)が登場するなど)、ディズニーの「マーベル・シネマティック・ユニバース」のような作品群の怪獣版とも言うべき「モンスターバース」を形成する一作である。
かねてよりゴジラとの共演が噂されていたが、2021年公開の第4作『Godzilla vs. Kong』にて、実に59年ぶりに対決し雌雄を決した。
2024年には更なる続編として『Godzilla x Kong: The New Empire』が公開された。
イタリアと香港で無許可で作られた独自リメイク(というよりパロディ)も存在する。
初代及びそのリメイク
タイトル | 年 | 登る建造物 | 備考 |
---|---|---|---|
キング・コング | 1933 | エンパイアステートビル | 初代 |
キングコング | 1976 | 世界貿易センタービル | 設定の大幅変更在り |
キング・コング | 2005 | 1933年当時のエンパイアステートビル | 初代当時の時代設定を再現 |
キングコング:髑髏島の巨神 | 2017 | 南の島を舞台とするため、なし | ワーナー・ブラザーズとレジェンダリー・ピクチャーズの共同制作。 『GODZILLA(2014)』と世界観を共有しているモンスターバースの1作 。 |
タイトル | 年 | 登る建造物 | 備考 |
---|---|---|---|
キングコングの逆襲 | 1967 | 東京タワー | 日本の東宝製作 コングは人間の味方として登場。 シナリオは別物だが、所々に本家のオマージュが含まれている。 キング・コングとメカニコングの死闘を描く |
クイーンコング | 1976 | ビッグベン時計台 | イタリア製作のパロディ映画。 全編コメディ調に描かれている。 大人の事情で長年封印作品とされていたが、最近になって解禁された。 |
北京原人の逆襲 | 1978 | 不明 (香港の高層ビル) |
香港製作。 色んな意味でアレな内容だが、完成度は高い。 |
続編、派生作品
タイトル | 年 | 備考 |
---|---|---|
コングの復讐 | 1934 | 初代本家の続編。 コングの息子が人間の味方として活躍する内容であり、復讐するシーンも存在しないが、何故このような邦題になったのかは不明である。 因みに原題を直訳しても「コングの息子」である。 |
キングコング対ゴジラ | 1962 | 東宝・円谷プロ製作。 日本の怪獣ゴジラとの夢の対決を実現。 本作のコングに限り、対決するにあたりゴジラサイズに合わせてゴジラ同等の巨体となっている。 |
キングコングの逆襲 | 1967 | 東宝製作。 『対ゴジラ』とは関りのない独立した物語で、正義の怪獣キングコングが、悪の科学者ドクターフーと、彼が作り上げたメカニコングと対決する。 |
アニメ キングコング |
1967 | 日本のテレビアニメ。 コングは人間の味方として登場し、ドクターフーや、ロボットのコングが登場するなど、『キングコングの逆襲』と共通した部分がある。 |
キングコング2 | 1986 | 1976年リメイク版の続編。 前作ラストで死んだコングを蘇らせる内容であり、造形もイマイチとの声が多く、評判は悪い。 ファミコンとMSXでゲーム化もされている。 |
Godzilla vs. Kong | 2021 | 『髑髏島の巨神』の続編。今作ではゴジラと対決する。 |
Godzilla x Kong: The New Empire | 2024 | 『Godzilla vs. Kong』の続編。2024年公開。 |
その他、関連作品として、猿人ジョーヤングとマイティジョーがある。後者は前者を大幅にアレンジしたリメイク版である。
掲示板
145 ななしのよっしん
2024/05/03(金) 13:36:50 ID: 6n6HmX1vA5
ゴジラ✕コングにおいては、歴史上最も幸せになったキングコングかもしれないな。
146 ななしのよっしん
2024/05/03(金) 22:37:09 ID: xBueDG8QXY
>>145
もう絶滅したかと思われた同族達の新たなリーダーになったと同時に、自分を慕ってくる舎弟や喧嘩友達、更にはヒロイン候補まで生えてくるという大盤振る舞いでしたね。
147 ななしのよっしん
2024/08/29(木) 16:05:51 ID: LwfzMnnRZI
キングコングの逆襲はモンバス版にかなり影響を与えてる作品なんで当時の東宝にありがちなトンチキSF活劇に忌避感が無いなら是非見てもらいたい
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最終更新:2025/02/09(日) 11:00
最終更新:2025/02/09(日) 11:00
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