…霊槍の如く閃々と光りつつ、首長の脾腹を、クトネシリカ、首長の脾腹を真っ直ぐに刺したりけり
…ipeop-kunne,ninke kane,ainu chupolo,Kutune-shirka,ainu chupolo,aepekare
クトネシリカ(Kutune Shirka)とは、アイヌ民族の叙事詩ユーカラの1つ、またその叙事詩に登場する宝刀の名称である。
アイヌ民族の叙事詩ユーカラはおおよそ「カムイ・ユーカラ」と「人間のユーカラ」の2つに大別されるが、「クトネシリカ」はその中でも「人間のユーカラ」に分類される物語である。
話の大筋は少年英雄ポイヤウンペが宝刀クトネシリカを携え、獸退治、合戦などで数々の功を立てるという典型的な英雄譚。ただ、ポイヤウンペの最初の功績が黄金のラッコ(Kane rakko)討伐であったりするなど、アイヌ民族ならではの独特なモチーフに満ちたユーカラである。
「人間のユーカラ」の中でも特に知名度の高い作品の1つで、「ユーカラの中のユーカラ」と称賛されることもある。
アイヌ語「クトネシリカ(Kutune Shirka)」の意味は諸説あるが、「シリカ(Shirka)」は「刀鞘」の意味であって、刀身そのものではなく刀鞘を含む刀の装飾具に大きな力を秘めた武具である。
クトネシリカの刀鞘には4つのカムイの彫物が刻みこんであり、危急の際には彫刻に憑依する4つのカムイが力を発揮する:
アイヌ民族は基本的に自ら刀剣を製作しなかったため、主に本州の和人から日本刀を輸入し武器として用いていた。
といっても日本刀をそのまま用いていたわけではなく、日本風の拵えを外した刀身とアイヌが自作した鞘・柄などを組み合わせたものをエムシ(太刀)として用いていた。
エムシ(太刀)は儀礼用にも用いられるため、アイヌが自作する鞘や柄は複雑な彫刻・装飾が施されるの常であった。クトネシリカの伝説も、アイヌの刀鞘制作に対する情熱から生まれたものと考えられている。
現代においても北海道の博物館の多くで現存するエムシを見ることができる。ただ、シャクシャインの戦い後に多くの武器が没収された経緯から、現存するエムシには刀身がなくアイヌが制作した鞘などだけが残されている場合が多い。
伝説上の武具の1つとして、クサナギやエクスカリバーなどと同様にゲーム・漫画に登場することも多い。
PS2専用ゲーム「大神」では、オキクルミが扱う宝刀として登場する。
物語終盤の舞台である極北の国カムイにて、クトネシリカは宝剣としてウエペケレの祭壇に安置されていた。しかしヤマタノオロチの死骸から飛び立った怨霊がカムイに流れ込むと、エゾフジに封印されていた双魔神が復活し、ウエペケレに猛吹雪を浴びせて人の住めない地にしようとしてきた。このままではカムイそのものが氷漬けになりかねないとして、ウエペケレの戦士であるオキクルミや村長のサマイクルが双魔神討伐に赴いたが、圧倒的な力を見せ付けられて敗退。
カムイには「クトネシリカが青鈍色に輝く時、氷壁は砕かれ天への道は拓かれん」という救世の予言が伝わっており、その予言にすがる形でオキクルミが無断でクトネシリカを持ち出して村を離れた。氷壁とは押し寄せる猛吹雪の事だと彼は考えており、クトネシリカを光らせて双魔神を討伐するために妖怪(ケムラム)を斬っては血を吸わせ続けた。ところが一向に光を宿さず、焦燥したオキクルミはやがて雑魚妖怪では満足しないようになり、より大物を狙うようになる。強い妖怪を倒すため横暴になり、村の仲間ですら見捨てるほど非情な男になっていく。
より強大な妖怪を求め、ヨシペタイの森の奥にある幽門扉を通って100年前の神木村に移動。全盛期のヤマタノオロチに戦いを挑んだが、クトネシカの刃は簡単に結界に阻まれ、オキクルミの命に危険が迫っても光ろうとしなかった。それは戦いの最中に黄金色の輝きを宿したイザナギの剣とは対照的であり、思い悩んだ彼は隠れるようにして現代へ戻った。
追い詰められて精神的に余裕が無くなったオキクルミは、双魔神が鎮座するイリワク神殿に単身殴り込みを行う。深部にて双魔神の片割れモシレチクと遭遇し、顔に張り付いてガムシャラにクトネシリカを振るう。双魔神を倒す事で頭が一杯なオキクルミはイッスンの制止を無視して双魔神に斬りかかるが、それは敵の罠だった。双魔神の眼前で時間停止を喰らって無防備な姿を晒してしまう。動けないオキクルミにトドメの一撃が繰り出されようとしたその瞬間、時間停止を強引に破った白野威が介入し、オキクルミを突き飛ばして代わりに一撃を受ける。とっさの反撃で双魔神にダメージを与えて退却させる事に成功するも、白野威は致命傷を負って崖から転落しそうになっていた。今追撃すれば双魔神を倒せる。しかしその横では自分をかばって重傷を負った白野威が落ちかけている。オキクルミは悩んだ。更に枯れ木が白野威を掴んでいるアマテラスとイッスンの方に倒れそうになっており、2匹とも気付いていない。短い逡巡で彼が出した答えは…。
振るわれたクトネシリカは枯れ木を真っ二つにした。オキクルミは白野威の命を優先したのだった。その時、クトネシリカは青鈍色の輝きを宿す。クトネシリカは今まで輝かなかったのは、仲間を見捨てるほどの非情な考え…オキクルミの心が曇っていたからだった。クトネシリカに仲間を想う気持ちを教わった彼は自身の過ちに気付き、改心。双魔神を倒してカムイを救うべく、改めてアマテラスに協力を求める。そしてアマテラスとともに双魔神に挑み、見事撃破に成功。カムイを蝕んでいた猛吹雪は止まり、ピリカの祈祷によりエゾフジが噴火した事でカムイの国は救われた。
役目を終えたクトネシリカはオキクルミの手で祭壇に戻された。その時、クトネシリカより伸びた一条の光がラヨチ湖の氷壁を砕き、箱舟ヤマトを浮かび上がらせた。箱舟ヤマトは天への道、タカマガハラに通じる箱舟であった。
沙村広明による漫画「無限の住人」では、ヒロインである浅野凜の祖父が道場主であった頃から宝刀として奉られていた。しかし道場に押し入った逸刀流の凶戴斗が戦利品として持ち去り、後に凛はこの刀を取り戻すために凶と対峙することとなる。
この作品では他に「ウルカラカンナスイ」というアイヌの短刀も登場する。
掲示板
5 ななしのよっしん
2017/10/04(水) 23:01:54 ID: DkTs6WGolP
>>3
実は自分がクトネシリカに興味を持って調べるようになった切っ掛けは記事作成依頼スレなので、こちらこそ面白い題材を教えてもらってありがたいです
>>4
加筆ありがとうございます!
6 ななしのよっしん
2017/12/08(金) 23:05:10 ID: CRFjUyi5uB
7 ななしのよっしん
2022/02/08(火) 04:11:46 ID: 4hhCEqtQKm
ボダブレで初めて見た名前。
ニュード属性の大型ソードでブースト節約テク兼コア凸時の敵轢き殺しの為に使われる印象。
急上昇ワード改
最終更新:2024/04/19(金) 21:00
最終更新:2024/04/19(金) 21:00
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