クルーチーフ(MotoGP) 単語

クルーチーフモトジーピー

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クルーチーフ(MotoGP)とは、MotoGPにおける車両整備の最高責任者である。

ライダー1人に対してクルーチーフ1人が配されることが恒例となっている。

日本バイクレース業界では、クルーチーフに相当する人物を「チーフメカニック」「チーフメカ」と呼ぶ慣習がある。
 

クルーチーフの仕事の紹介

車両整備の最高責任者

MotoGPにおいては、MotoGPライダー1人を走らせるために数名の専任スタッフが配置される。

レプソルホンダ公式サイトのこのページexitを見ると、マルク・マルケスに9名の専任スタッフが付いて「マルク・マルケスチーム」を構成し、ダニ・ペドロサにも同人数の専任スタッフが付いて「ダニ・ペドロサチーム」を作り上げていることが分かる。

こうしたライダーごとのチームをまとめ上げるのがクルーチーフcrew chief)である。車両整備スタッフの中の最上位に位置し、物事を判断して決定を下し、作業を示する。

クルーチーフが決定する事項は多岐にわたる。エンジンギアボックス、サスペンションタイヤ、電子制御など。いずれも、ライダーの走行に決定的なをもたらす重要項である。
 

ライダーの精神を調整する

クルーチーフは、車両整備スタッフを代表する存在として、ライダーと膝をつき合わせて話し込むことが非常に多い。この画像exitこの画像exitのように、ライダークルーチーフが話し合う姿はしょちゅう見られる。

このため、クルーチーフライダーの精神状態が手に取るように分かる。熟練したクルーチーフになると、ライダーの精神を調整し、ライダーが落ち込んでいるとそれを励ますことができる。

中野真矢さんはライディンスポーツ2014年3月号において、クルーチーフの役割についてこう語っている。「カワサキワークス2年から組んだフィオレンツォ・ファナリexitとはすごく相性がよく、自分の力を最大限に引き出してくれました。エンジニアであり、時には頼れるのような存在で、メンタルトレーナーのようでもありました。経験豊富で、すごく落ち着いていて、予選で残り時間がなくてタイヤ交換でが焦っているときも『大丈夫だ、あと30後に出れば絶対に間に合う。1周だけ頑ってこい』と落ち着かせてくれたり、『さっきできたんだから今度はもっと行けるよ』と自分を奮い立たせてくれました。彼と組んだ2年間はサーキットへ行くことがすごく楽しくて、から、く走りたいといつも思うほどでした」

GPライダーにとってクルーチーフは精神的な支柱の1つとなっている。このため「クルーチーフライダーにとって重要」と語る人が多い。
 

団体名 + chief = 団体長

クルーチーフとは、crew chief という英語カタカナで表した言葉である。

crewは名詞で、「マシンを整備する団体」の意味。日本語クルーは団体に属する個人を意味することが多いが、英語crewは団体に属する個人をさすこともあるし、団体そのものをさすこともある。

chiefは名詞で、「団体の中で一番偉い人」の意味。


団体を表す名詞の後にchiefを付けると、「団体長」という意味になる。army chief は陸軍長官、navy chief は海軍長官、police chief は警察署長、fire chief は消防署長、branch chief は支店長という意味になる


MotoGPを報じる日本語記事において、「チーフクルー」と表記する例がある。(記事1exit記事2exit


英語の慣例から考えると、「クルーチーフ」の方が正しい。の各ニュースサイトを見ても、crew chiefという語順で表記している。MotoGP公式サイト英語版exitMotorsport.comexitCrash.netexitSPEEDWEEKexitGPOneexit、いずれもその語順にしている。
 

日本のレース業界用語「チーフメカニック」

において、車両整備団体の団体長をクルーチーフcrew chief)と呼ぶ。

ところが、日本オートバイレース業界においてはそうした存在を「チーフメカニック」「チーフメカ」と呼ぶ慣習が続いている。G+にやってくる解説者の多くが「チーフメカニック」「チーフメカ」という呼称を採用している。


においても、かつては「chief mechanic」という表記が使われていた。ところが、コンピュータが発達して車両整備団体の中にテレメトリースタッフや電子制御スタッフが混じるようになると、「crew chief」という表記を使うようになった。

の人たちの言語感覚だと、mechanicと読んで良いのは工具を手にして車両を組み立てる人のみであり、テレメトリースタッフや電子制御スタッフのようなコンピュータにらめっこする人はmechanicと呼ばず、engineerエンジニア)と呼ぶのである。

MotoGP公式サイトのこのページexitを見ても、mechanicengineerという言葉を使い分けている様子がよくわかる。

近年の欧MotoGP業界において、「chief mechanic」というと、工具を手にして車両を組み立てる人たち数名の間のリーダーをさすようになった。工具を手にして車両を組み立てる人たちだけでなく、テレメトリースタッフや電子制御スタッフを含んだ車両整備団体全体をまとめる人は、「crew chief」と呼ぶのである。


ところが、日本人の言語感覚だと、「メカニックと読んで良いのは工具を手にして車両を組み立てる人だけだ」という意識がそんなに強くない。「機械に関わる人間はすべてメカニックと呼んで良いんじゃないか」という潮があるように見受けられる。

このため、日本においては、テレメトリースタッフや電子制御スタッフ車両整備団体に混じるようになった現在においても、あまり気にせずに「車両整備団体のリーダーチーフメカニック」と呼ぶ傾向がある。
 

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