クロップサークル(crop circle; crop formation)とは、主に英国の畑地に出現する成因不明の巨大文様の総称である。国内ではミステリーサークルという名称がよく通っている。
・クロップサークルの主な特徴を列挙すると以下のようになる。
クロップサークルに描かれる幾何学的形状そのものは単純なものから複雑なものまで様々だが、基本的にはいずれも人類に知られている図法幾何学の知識によって作図可能なものである。こうした理由もクロップサークル人為説が支持される1つの理由になっている。
現在の人類の技術ではこれ程のスケールで、しかも畑地の作物を利用した短時間での製作が不可能なものを多く含んでいる事は事実だが、宇宙人など地球外生命体の仕業であるとすれば、このような人類が既に知識として持っている幾何学的手法を態々用いているという点で果たして何がしかの「メッセージ」を持たせてあるのかは疑問の残る所である。つまりクロップサークル製作に用いられている技術は、人類には未知の物が含まれているのは確かであるものの、それらの技術を用いて描かれるパターンそのものは、作図法などが人類にとって既に馴染みのあるものであるという較差がここに存在することになる。
この点に関してはオカルティストの間でも意見が割れており、単に宇宙人がイタズラ目的で作成したものであるという説から、これらのパターンには人類や地球・宇宙に関する重大な秘密が隠されており、それを図示する形で人類に通達しているのだという説まで様々である。
ICCA(The International Crop Circle Archive)によると、イギリスおよび世界各地で製作されたクロップサークルの数は1995-2012年の間だけでも約3000箇所に達し、例年150-250程度のサークルが新たに生成されているという。
場所はイギリスが圧倒的で、その次にイタリアなど欧州各国が続いているが、近年は米国で発見される数が頓に増えており、特にオハイオ、アイオワの2州が抜きん出ている。
記録されている中で人類によって発見された最古のクロップサークルとされるのが、815年にフランスのリヨンで発見されたクロップサークルである。キリスト教化以前の現地の人々によってマゴニアと呼ばれる伝説の地が語り継がれており、その中でテンペスタリイという雹や稲妻を含んだ嵐を巻き起こす人々が登場する。これについてカロリング朝時代のリヨン大司教アゴバルドゥス (Agobardus Lugdunensis; 769-840) が『雹と雷に関する民衆の謬信』 (Liber Contra Insulsam Vulgi Opinionem de Grandine et Tonittruis. Patrologia Latina CIV, 147-158)で言及している。また資料では大司教がキリスト教へ改宗した地元民に対し、クロップサークル跡から採集された種子を用いて豊穣を願う儀式を執り行うことを禁ずる布告を発したことなどが記録されている。
17世紀にはモーイング・デビル(mowing devil; 草刈悪魔の意)と呼ばれる木版画によるパンフレットが配布されており、その中には鎌で穀物を刈り倒す悪魔の姿が描かれている。
クロップサークルに製作者は居るのか、誰の手に拠るものかについては多くの議論が交わされてきた。中でもUFO/宇宙人説は、オカルティズム的な観点から挙げられたものとしてはは最も広く噂に上っている。
一方人為説も以前から有力であり、特に1991年、イギリスのダグ・バウワー(Doug Bower)とデイブ・チョーリー(Dave Chorley)という老人2人組が製作者として名乗りを上げ、簡単な道具と人力によって一定規模のクロップサークルが比較的短時間で作れることを実演して以来、彼らが製作したと告白した物は固より、それ以外の対象についても人の手によりイタズラ等を目的として造られたのではないかという論説が強まった。
また企業広告等を意図して社章や製品類を象ったクロップサークルが突如現れることもあり、こうした事例は社有地を用いているか、事前に農場主の許可を得て関係者が行っているものと考えられる。
先述の通り、国内ではクロップサークルの発見例は極僅かで、発見された物も後に人の手によるイタズラである事が発覚している。クロップサークルが制作されにくい理由としてまず考えられるのは、生育されている作物の違いが障壁となっている、というものである。日本の農地は稲作を中心とする水田地帯が多くを占めているが、クロップサークルは作物の茎部を途中から直角に近い角度で折り倒すもので、こうした手法を人の手で行えば稲を水に浸からせる羽目に陥り、作物に被害を齎す事は避けられない。またUFOなど超常的存在による仕業であった場合も製作にあたって何らかの困難が生じるものと推測できる。
一方で、ミステリーサークルブームに触発されてか田んぼアートや稲アートと呼ばれる水田地帯を利用した巨大アートを制作する取り組みが日本では90年代から盛んである。これは異なる色の苗を予め植え付ける事で成長時に色版画のような絵を水田に浮かび上がらせる、といったある種のエンターテイメントで、ボランティア活動として各地で行われている。
ICCRA(Independent Crop Circle Association) … 米国の有志が設立したクロップサークルに関する協会。
cropcirclecenter.com … クロップサークルに関する各種最新情報を記載。
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最終更新:2024/03/29(金) 03:00
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