夢よ、何度でも。
クロノジェネシス(Chrono Genesis)とは、2016年生まれの日本の競走馬である。芦毛の牝馬。
栗東・斉藤崇史厩舎所属、安平町・ノーザンファーム生産、馬主はサンデーレーシング。
主な勝ち鞍
2019年:秋華賞(GI)、クイーンカップ(GIII)
2020年:宝塚記念(GI)、有馬記念(GI)、京都記念(GII)
2021年:宝塚記念(GI)
父*バゴ(Bago)、母クロノロジスト、母父クロフネという血統。
父のバゴは現役時代凱旋門賞他フランスのGIを計5勝した一角の優駿であり、近親にも仏GI馬Maxiosや名種牡馬Machiavelian、5代母はノーザンダンサーの母Natalmaに突き当たる筋金入りの良血馬。そんな彼は日本にやって来て菊花賞馬ビッグウィーク他重賞馬を何頭か出してはいたものの、種付け数自体は多い方ではない。数年に一度活躍馬が出る度にちょいちょい増えるが。
母クロノロジストは現役時代ダートで1勝。因みにクロノロジストはクロフネとフサイチエアデールの全妹との間に生まれたため、朝日杯FS勝ち馬フサイチリシャールとは母馬の名が違うだけの同血統である。
本馬の1つ上の半姉にヴィクトリアマイル勝ち馬ノームコアがいる。
サンデーレーシングにて1口35万円×40口の総額1,400万円で募集され、競走年齢となったクロノジェネシスは2016年に開業したての斉藤崇史厩舎へと入厩することとなった。
当初2歳夏の新潟デビューの予定だったが、丁度ワールドオールスタージョッキーズの開催により騎手の調整が付かなかった事により1週スライドし、9月頭の小倉で北村友一を背にデビュー。ここを1番人気に応えるように好位から鋭く抜け出して新馬勝ちを収める。
次走に東京競馬場のアイビーSを選択し、スローに落ち着いた展開も好位から3F32秒5という強烈な末脚で牡馬混合戦を制し2勝目を挙げる。
そして阪神JFへと歩を進め、ここを2番人気で迎える。1番人気はダノンファンタジー。ここでは前2走好位からの抜け出しを図っていたが、行き脚がつかず最後方からの競馬となる。直線を大外から入ってダノンファンタジーとの追い比べに持ち込むものの半馬身及ばず2着と、初の敗戦を喫する。
明け3歳初戦はクイーンCから始動。少頭数かつ落ち着いたペースを中団から進め、直線外から抜け出してビーチサンバ(何気に親戚だったりする)の急追を抑え重賞初制覇を飾る。
迎えた桜花賞ではダノンファンタジー、グランアレグリアに次ぐ3番人気に推される。しかし中団からよく伸びたもののグランアレグリアには突き放され、ゴール前でシゲルピンクダイヤにも交わされて3着。3コーナーでトモを落としてリズムを崩してしまった、と鞍上の北村友一は語る。
続くオークスではグランアレグリアがNHKマイルカップへ行った為、3戦無敗でやって来たラヴズオンリーユーと人気を分け合い、僅差で2番人気となる。クロノジェネシスは内目の好位からレースを進め、直線では内から伸びるもののラヴズオンリーユー、カレンブーケドール2頭の競り合いには加われず、速いペースの為か最後若干甘くなってしまったものの3着は確保する。
オークス後は休養に充て、ぶっつけで秋華賞へと挑戦。ここではオークス以来の実戦で20kg増という体重が心配材料となったか4番人気で迎える。相手はトライアルを勝ってきたダノンファンタジーとオークスで穴を開けたカレンブーケドールなど。鞍上は勿論北村友一である。
レースが始まるとビーチサンバとコントラチェックがハナ争いを演じ、前半1000m58秒3とハイラップを刻み続ける。クロノジェネシスは先団を伺う好位につけ、直線では内にいたカレンブーケドールよりも先に抜け出して先頭に立つと後は差を広げて1着に入線。GI初勝利となった。斉藤厩舎はノーヴァレンダ(こちらも北村友一鞍上)で全日本2歳優駿を勝っているが中央のGIは初制覇である。
その後エリザベス女王杯へ出走。中団の前目からレースを進めていたが、直線もいつもの伸びがなく5着と初めて複勝圏を外してしまった。クロコスミアがスローで逃げるものの坂の下りで一気にペースが速くなった事が影響し、クロノジェネシスが戸惑ってしまった、と北村友一は語った。
この年GI含め重賞2勝、複勝を外したのは1度と安定感ある走りを見せたが、最優秀3歳牝馬は桜花賞、阪神カップを圧勝したグランアレグリアへと渡った。
古馬となり京都記念から始動。ここでは前走ジャパンカップ2着などミスシルコレの道を歩みつつあるカレンブーケドールとの再戦となる。カレンブーケドールと人気を分け合い最終的に本馬が1番人気になった。
重馬場で行われた京都記念は3番手を追走し、直線で外に持ち出せば快調に伸び、追いすがるカレンブーケドールを2馬身半突き放して勝利。重賞3勝目を飾った。
2戦目には大阪杯を選択。ここでは自身以外にGI馬が4頭おり、1番人気は同期のダノンキングリーで本馬と言えばさほど差の無い4番人気に推される。ここでは若干押し出され気味に逃げるダノンキングリーを外目の好位からマークして外から捉えにかかる。が、ダノンキングリーこそ交わすものの豪快に間を割ってきたラッキーライラックにクビ差抜け出され惜しくも2着に敗れた。
そして春3戦目に宝塚記念へ出走。例年少頭数傾向のある宝塚記念であるが、2020年の当レースは18頭フルゲートとなり、面子もサートゥルナーリアやラッキーライラックなどGI馬8頭が集まった。ファン投票では6位の票を集め、サートゥルナーリアに次ぐ2番人気(単勝4.1倍)に支持された。稍重発表となった芝コースも、10レース前に一雨きた事もあり馬場は非常に渋っていた。
レースでは16番枠から五分のスタートを決め、中団の外目を追走する。4コーナー前でまくり上げるようにポジションを上げ、直線入口を先頭で迎えると重馬場を利して伸びる、伸びる、伸び続ける。結果同じようにまくり上げてきた筈のキセキを6馬身突き放してゴール。GI2勝目は圧巻の勝利となった。
秋シーズンは天皇賞(秋)より始動。ここでは現役最強格のアーモンドアイがGI8勝目を賭けて挑戦し、それに対抗する1頭としてクロノジェネシスが2番人気に支持された。レースではスタートで若干後手を踏み、11頭立ての8, 9番手を追走する展開となる。ダノンプレミアムがペースを握るが1000m通過が60秒5と緩めのペースになり、直線に入って外に持ち出したクロノジェネシスは力強く脚を伸ばすが、好位から進めていたアーモンドアイには届かず、更に後方にいたフィエールマンにも交わされ3着。クロノジェネシスの上がり3ハロンが32秒8、最速のフィエールマンがコンマ1秒差と極限の瞬発力勝負になった。
ジャパンカップはパスしてグランプリ有馬記念へ出走。JCに出走したアーモンドアイと当年の牡牝三冠馬コントレイル・デアリングタクトがいなかったとはいえ、ラッキーライラック、フィエールマン、ワールドプレミアなど強力なメンバーがそろう中1番人気に支持される。レースでは人気各馬を見るように中段の後ろにつけて競馬を進める。前が1000m62秒2とスローに落ち着く中でタイミングを待ち、残り1000mから仕掛けコーナーで外をマクり加減に進出。ラスト2ハロンで先頭集団に躍り出ると、直線で一足先に抜け出していたフィエールマンを競り落とし、自身のさらに後方大外から突っ込んできた伏兵サラキアをクビ差振り切りゴールイン。前年のリスグラシューに続き牝馬として2頭目の春秋グランプリ連覇を果たした。
明けて5歳となり、ドバイシーマクラシックへ出走する為ドバイへ遠征。日本からは本馬の他に同期のオークス馬であるラヴズオンリーユーが参戦し、海外馬には前年仏ダービー馬でサウジカップを勝ってきたMishriffや、香港ヴァーズ勝ち馬Mogulなどが出走。鞍上の北村友一も一緒に遠征した。
レースでは道中5番手のほぼ中団に位置取り、直線の入口で外に持ち出してラヴズオンリーユーと競り合いながら前へと進むが、外から被ってきたMishriffにクビ差及ばず2着となった。
その後帰国し、宝塚記念へ出走を予定。しかし好事魔多し。5月2日に北村友一が落馬し椎体骨折、右肩甲骨骨折と診断され復帰に1年以上かかる事が発表された。間もなくクリストフ・ルメールが鞍上を務める事が発表され、ファン投票では堂々の1位。当日は無敗で大阪杯を制したレイパパレ、同期のカレンブーケドールを抑えて単勝1.8倍の1番人気に支持された。
台風5号の影響も心配されたが、一時小雨が降ったくらいでレース本番を良馬場、晴れ発表で迎えた。ゲートの駐立が難しい馬と知られていたが五分にスタートを決め、前に行くユニコーンライオン、レイパパレを見る3番手から追走。レースは淡々と進み、直線に入って進路が開けると追い出し左鞭を一発。するとまだ前で粘っていた2頭を並ぶ間もなく交わし、最後は2着ユニコーンライオンを2馬身半突き放す快勝であった。この勝利で鞍上のルメールは宝塚記念初勝利となり、クロノジェネシスはというと宝塚記念の連覇はゴールドシップ以来7年ぶり2頭目、グランプリ競走3連覇はスピードシンボリ、グラスワンダーに続く22年ぶり3頭目と快挙尽くしである。
この勝利を機に、サンデーレーシング陣営は満を持して凱旋門賞への挑戦を表明。フォワ賞などの前哨戦を挟まずに直行で挑む。相手にはアイリッシュダービーや英セントレジャーを制したHurricane Lane、同年のエプソムダービーとキングジョージを制したAdayar、英オークスを16馬身差で圧勝したSnowfallなど3歳馬に有力馬が多く、本馬はブックメーカーで単勝10倍の5番人気相当であった。鞍上にはオイシン・マーフィーを迎えた。
雨の影響もあって重馬場となったパリロンシャン競馬場。レースではスタート後馬群から離れて外に持ち出すが次第に合流。先頭のAdayarを見る位置から進め、直線に入って手応えは残っていたものの伸びを欠いて7着となった。
帰国後、彼女の次のレースにして引退レースは前年に制覇した有馬記念と発表された。前人未到のグランプリ4連覇が懸かる最後の大舞台となり、皐月賞と天皇賞(秋)を制した3歳馬エフフォーリアが1番人気となり、続いて本馬。離れてステラヴェローチェ、タイトルホルダーと3歳馬が人気を集めていた。
レースが始まると大方の想定通りパンサラッサが逃げ、次いでタイトルホルダーが馬群の先頭に立つ。クロノジェネシスはほぼ中団に位置取り、パンサラッサは離して逃げるもペースはさほど速くなく淡々と進む。残り800mから真後ろのエフフォーリアが先に仕掛け、クロノジェネシスはじっと構えていたが、終始馬群に包まれ、直線でエフフォーリアとステラヴェローチェに蓋される厳しい展開となるも最後まで脚を伸ばし3着に入線した。
凱旋門賞のダメージが残っていた中でのレースだったが、それでもグランプリ3連覇の女帝の意地を見せたラストラン。同日行われた引退式にはリハビリ中の北村も駆けつけ、ファンとターフに別れを告げた。
12月28日に競走馬登録抹消。今後は故郷のノーザンファームで繁殖牝馬になる。
ちなみに前述の通り、彼女の募集価格は1400万円とかなり格安だった(参考までに、同期のグランアレグリアは7000万円、ラヴズオンリーユーは2億4000万円)。それが最終的に稼いだ賞金は12億474万円。なんと募集価格の86倍稼いだ計算になり、回収率8605%はクラブ馬史上歴代1位である。
引退後、初年度である2022年はエピファネイアをつけ、2023年2月15日に牡馬を出産。早ければ2025年にデビュー予定である。
*バゴ 2001 黒鹿毛 |
Nashwan 1999 栗毛 |
Blushing Groom | Red God |
Runaway Bride | |||
Height of Fashion | Bustino | ||
Highclere | |||
Moonlight's Box 1996 鹿毛 |
Nureyev | Northern Dancer | |
Special | |||
Coup de Genie | Mr. Prospector | ||
Coup de Folie | |||
クロノロジスト 2003 芦毛 FNo.20-a |
*クロフネ 1998 芦毛 |
*フレンチデピュティ | Deputy Minister |
Mitterand | |||
*ブルーアヴェニュー | Classic Go Go | ||
Eliza Blue | |||
インディスユニゾン 1997 青鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo | |
Wishing Well | |||
*ラスティックベル | Mr. Prospector | ||
Ragtime Girl |
クロス:Mr. Prospector 4×4(12.50%)、Halo 4×5(9.38%)
JRA賞特別賞 | |
優駿賞時代 | 1973 ハイセイコー(大衆賞) | 1978 テンポイント(マスコミ賞) | 1982 モンテプリンス(ドリーム賞) | 1983 アンバーシャダイ |
---|---|
JRA賞時代 | 1989 オグリキャップ | 1993 トウカイテイオー | 1995 ライスシャワー | 1998 サイレンススズカ | 1999 グラスワンダー、スペシャルウィーク | 2001 ステイゴールド | 2004 コスモバルク(特別敢闘賞) | 2007 ウオッカ、メイショウサムソン | 2009 カンパニー | 2016 モーリス | 2020 クロノジェネシス |
競馬テンプレート |
掲示板
270 ななしのよっしん
2023/02/16(木) 18:55:27 ID: l44e6ADcQO
クロノちゃんの初仔見たけど、可愛すぎてヤバい
お母さんと同じ芦毛っぽいね
271 ななしのよっしん
2023/04/18(火) 18:55:24 ID: L7ywrVE8jz
昔の強豪牡馬みたいな戦績がかっこいい
グランプリに良績が集まってるけど、東京の極限の切れ味勝負に対応したかと思えば凱旋門賞でもしっかりレースに参加できる総合力の高さ
父がバゴという異質さもかっこいい
独特な存在感があった名牝だったな
272 ななしのよっしん
2024/02/20(火) 21:59:33 ID: A9ZhrGxPO9
今年産まれるのはサートゥルナーリアの仔だそうで。
キタサンブラック、コントレイルを付けて立て続けに不受胎だったのは残念だが
同期の皐月賞馬との配合はこれはこれでなかなか楽しみ。
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最終更新:2025/02/08(土) 07:00
最終更新:2025/02/08(土) 06:00
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