グリムの法則単語

グリムノホウソク

3.2千文字の記事
掲示板をみる(1)
  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • LINE
  • ほめる(4)
  •  
  •  
  •  
  •  
  • その他

グリムの法則独:Grimmsches Gesetz、英:Grimm's Law)とは、印欧語族において、ゲルマンと他のに対して見られる音韻対応法則で、印欧祖における破裂音がゲルマンにおいて規則的に変化していることを摘したもの。加えて、これから類推される先史時代における音の推移についても言うことがある。

名称はグリム童話で有名なグリム兄弟、ヤーコプ・グリムJacob Grimm)の Deutsche Grammatik の記述で知られたことに由来する。最初の発表者であるラスムス・ラスクRasmus Rask)と合わせて、ラスク・グリムの法則とも。また、高地ゲルマン群(高地ドイツ語)において起こった子音推移との対応、較から第一次子音推移(第一次ゲルマン子音推移)とも呼ばれる。

経緯

ローマ帝国崩壊以後も、キリスト教カトリックが信仰されていた西欧において、聖書を含めた古典によって権威付けられたラテン語が支配的な言であったことで、勉強のために各ではラテン語と自ごとの較が為されていた。こうした中で、ドイツ語などのゲルマンラテン語及びそのイタリア語フランス語)などとは対応関係があることが知られていた。但し、この時点では、単ごとに知られているのみであり、系統的なものではなく、言葉遊び的に使われるのみであった。

1818年になって、ラムスク・ラスクによって摘されたが、論文の言デンマーク語であったため、広まることはなく、1822年になってグリムによってドイツ語で発表されたことで定着した。

この法則においては例外が一定程度存在するが、極めて規則的であり、また、後にグリムの法則の例外もヴェルネル法則や他の法則によって補されていったことで、歴史言語学比較言語学、再建のを切り開いた。

概要

IEは印欧祖Gmcゲルマン、A.Gは古代ギリシャ、L.はラテン語、E.は英語省略

印欧祖を話す集団の内、現在の北ドイツに進んだ一によって話された言葉が紀元前500年ごろから被った変化であるとされる。印欧祖ゲルマンが以下のような対応関係となる。

唇音 歯茎 軟口蓋音 円唇軟口蓋音
帯気破裂音
>有気破裂音
IE */bh/
> Gmc */b/[1]
IE */dh/
> Gmc */d/[2]
IE */gh/
> Gmc */g/[3]
IE */gwh/
> Gmc */g,w/
破裂音
>破裂音
IE */b/
> Gmc */p/
IE */d/
> Gmc */t/
IE */g/
> Gmc */k/
IE */gw/
> Gmc */kw/
気破裂音
>摩擦音
IE */p/
> Gmc */f/
IE */t/
> Gmc */θ/
IE */k/
>Gmc */x,h/ 
IE */kw/
>Gmc */xw,hw/

[1abc]なお、実際の音は[β], [ð], [ɣ]のような摩擦音となっていた可性がある。 (例)E. give⇔L.habeo

[2]これは当初、/ɸ/だったが、/ɸ/という子音は安定性がなく、より安定した/f/へと変化したとされる(日本語安自体当初ハ行が全て/ɸ/となっていたと推測されるが、院政期までに中の/ɸ/は全てア行、ヤ行、ワ行へと移行し、江戸時代には頭の/ɸ/も/ɸu/を除いて変化した)。

対応例

以下に対応例を紹介する。他には可な限り英語において借用、生したを載せる。

印欧祖 ゲルマン
IE */bh/ > Gmc */b/ *bʰer- L.fero,fertilis
(E.ferry, fertile)
E.bear
*bʰeh₂- A.G.φς (phôs)
(E.photograph)
E.beacon
IE */b/ > Gmc */p/ *būs- A.G.βύρσα(bursa)
(E.bursary)
E.purse
IE */p/ > Gmc */f/ *ph₂tḗr L.pater
(E.paternal)
E.father
*peth₂- L. penna
(E. pen)
E. fether
*péu L.pecu
(E.pecuniary)
E.fee
*pértus L.portus
(E.port)
E.ford
*pṓds L.pes
(E.pedal)
E.foot
*kʷetwóres L.quattuor
(E. quadrangle)
A.G.τέσσαρες
(E.tetra-)
E.four
*pénkʷe L.quinque
(E.quintet)
A.G.πέντε(pente)
(E.pentagon)
E.five
*per- L.primus
(E.prime)
E.first
*péh₂wr̥ A.G. πρ (pûr)
(E. pyro-)
R. пы́рей (pýrej)
E.fire
*peys- L. piscis E. fish
*septḿ̥ L. septem
(E.septet, september)
E.seven
IE */dh> Gmc */d/ *eh₁- L. faciō, factum
(E. fact)
E. do
*eʰ- L. foveō, febris E. day
IE */d/> Gmc */t/ *dwóh₁ L. duo, bis
(E. duo, bi-)
A.G. δίς(dis)
(E. double)
E.two
*dé L. decem
(E. decede, december)
E. ten
*deywós L. deus
(E. deus, devine)
Skt. dēva-
E. Tiw, Tuesday
*h₁édti L. edō
(E. edible)
E. eat
*sed- L. sed
(E. sedate)
E. sit
IE */t/ > Gmc */θ/ *tréyes L. tres
(E. triple)
E. three
*teng- L. tongeo E. think
*(s)tenh₂- L. tonō, tonitrus, tonitruum E. thunder
*tén-
*ténh₂-
L. tenuis
(E. tension)
E. thin
IE */gh/ > Gmc */g/  *gʰed- L. prehen
(E. apprehend)
E. get
*ǵʰans- A.G. χήνα(khḗn) E. goose
IE */g/ > Gmc */k/ *gerbʰ- O.G.γράφω(graphō)
(E.graph)
E.carve
*gned-, *gnod- L.nodus
(E.node)
E.knot, knit
*ǵenh₁- L.genus
(E.gender, genious)
E.kin, kind
*gel- L. gelū
(E. gel)
E. cold
*ǵr̥h₂nóm L. grānum
(E.grain)
E. corn
IE */k/ >Gmc */x,h/ *káput- L.caput
(E.cap, capital)
E.head
*keh₂p- L.cap
(E. capture)
E.have
*m̥tóm L.centum
(E.cent, century)
E.hundred
*otṓw L.octo
(E.octopus, october)
E.eight
*ḗr L.cor
(E.core, record, discord)
E.heart
*erh₂- L. cor
(E. corn, cornet)
E. horn
*wṓ L. canis
Ir. Cú Chulainn(クー・フーリン)
E.hund
IE */gw/ > Gmc */kw/ *ṓws L. bos(proto-Ita. *ōs)
(E. beef)
E. cow
IE */kw/ > Gmc */xwhw/ *kʷékʷlos L.cyclus
(E.cycle)
E.wheel
*kʷód L. quod
(E. quiz)
E. what

[3]**sefenとならないのは、古英語における音韻規則からである。

関連項目

この記事を編集する

掲示板

  • 1ななしのよっしん

    2019/01/13(日) 12:30:42 ID: LOQUKXNTiA

    表の解説が欲しい

頂上決戦 大百科グランプリ記事

急上昇ワード改

最終更新:2021/09/25(土) 12:00

ほめられた記事

最終更新:2021/09/25(土) 12:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP