グローリーヴェイズ(Glory Vase, 耀滿瓶)とは、2015年生まれの日本の競走馬である。黒鹿毛の牡馬。
美浦・尾関知人厩舎所属、洞爺湖町・レイクヴィラファーム生産、馬主はシルクレーシング。
主な勝ち鞍
2019年、2021年香港ヴァーズ(GⅠ)
2019年日経新春杯(GⅡ)、2020年京都大賞典(GⅡ)
名前は「栄光のつぼ、母馬メジロツボネからの連想」
「グローリーウェイズ」と間違えられやすい。正しくはヴェと濁る。
父ディープインパクト、母メジロツボネ、母父*スウェプトオーヴァーボードという血統。
父は言わずと知れた三冠馬で、種牡馬としてもリーディングをひた走る日本を代表する大種牡馬。母は現役時代短距離を中心に4勝。母父は基本的に頑健な短距離馬を出す一方で、何故か長距離馬やダートの王者を出したりする種牡馬。ここまで見ればもって中距離の血統に見える。
しかし本馬を語る上で欠かせないのは母方の血統。曾祖母はかの牝馬三冠馬メジロラモーヌ、更に祖母メジロルバートはメジロラモーヌにメジロライアンを掛け合わせて生まれたメジロ血統である。母方にはアンバーシャダイや*モガミや*ネヴァービートなどの名が躍る。
2011年にメジロ牧場は解散となったが、設備や繋養馬をメジロ牧場専務の岩崎伸道が引き継ぎ、ノーザンファームの支援を受けて再出発したのが、グローリーヴェイズの生まれ故郷であるレイクヴィラファームである。レイクヴィラファームは馬主業を行わず、生産のみを主眼に置いたマーケットブリーダーとして活動し、以後ショウナンラグーンやトリオンフなど活躍馬を送り出している。レイクヴィラファーム以外にもメジロの血をひく馬としてモーリスが大活躍を収めている。
幼駒のグローリーヴェイズは1歳セレクトセールで5200万円で落札され、シルクにて7000万円(1口14万×500口)で募集された。シルクの同期にはアーモンドアイ(1口6万)やブラストワンピース(1口4万)、インディチャンプ(1口7万)がいて、グローリーヴェイズは2015年世代の中でも5番目の高額馬である。
2歳になったグローリーヴェイズは美浦の尾関知人厩舎に入厩。尾関師はメジロドーベルをはじめ多くのメジロ馬を手がけた大久保洋吉厩舎に調教助手として所属していた事があり、厩舎開業後にメジロの馬で障害戦初勝利を挙げていたりする。
2017年スプリンターズステークス同日の中山競馬場でデビューし、ミルコ・デムーロを背に単勝1.7倍という支持に応え新馬勝ちを収める。浜中俊に乗り変わったこうやまき賞を2着に入り、年明け2月のきさらぎ賞では再びデムーロを背に番手で進めるも逃げ馬を捕らえきれず2着。
体質が弱い事から陣営は春のクラシックを諦め、菊花賞を視野に入れ京都新聞杯に挑むが4着に敗れる。
7月に自己条件である1600万下の佐渡Sを快勝して本番の菊花賞へ挑む。菊花賞では12番人気(単勝75.4倍)と低人気であった。レースでは後方に構えていたグローリーヴェイズも良く脚を伸ばすもののレースが非常に落ち着いたスローペースとなり、先頭を捉えるに至らなかったが5着に健闘する。
明けて4歳となり、年明け京都の名物日経新春杯へ参戦。レースでは中段後方を追走し、直線で内を突いて抜け出すと追い込むルックトゥワイスを半馬身押さえて重賞初制覇。日経新春杯の関東馬制覇は2000年以来の19年ぶりであった。
続けて天皇賞(春)に参戦。日経新春杯に乗っていたデムーロがエタリオウへ騎乗し、騎乗予定の川田将雅が騎乗停止となり、シャケトラの急逝で手の空いた戸崎圭太が鞍上となった。当日は前年菊花賞組が人気を集めていたが、グローリーヴェイズは単勝11.3倍の6番人気と低めの人気。
レースでは終始菊花賞馬フィエールマンをマークする形で中段後ろ寄りに構え、2週目からフィエールマンがポジションを上げるとすかさずその外から進出。直線入口でグローリーヴェイズとフィエールマンが先頭に立つと2頭が馬体を併せて競り合い、残り300mから完全に一騎討ちとなる。手に汗握る激闘となったが、クビ差制したフィエールマンに軍配が上がり、グローリーヴェイズは惜しい2着となった。
天皇賞(春)終了後、宝塚記念へ出走予定だったが疲れが見られた為に回避し休養となった。
秋初戦に京都大賞典を選択。鞍上は再びデムーロに戻ったが、スタート後に折り合いを欠いて行きたがり、最後の直線でも他馬に寄られて不利を受け6着に敗戦する。
その後香港ヴァーズへ予備登録を行い、無事選出。日本からは前走エリザベス女王杯で久々の勝利を挙げたラッキーライラック、欧州行脚を続けていたディアドラと共に香港ヴァーズへと向かった。鞍上は香港の「マジックマン」、ジョアン・モレイラ。
戦前はブックメーカーでは単勝17-21倍の穴人気だったが、当日の香港ではかなり売れており香港の中距離代表馬Exultant、英ダービー馬Anthony Van Dyckに次ぐ人気に推されていた。ちなみに香港ヴァーズの「ヴァーズ」は瓶や壺を意味しており、グローリーヴェイズの「ヴェイズ」と全く同じ単語である。綴りは「Vase」で、かつて英国領だった香港では英国英語の「ヴァーズ」と発音するのである。[1]
閑話休題。レースでは1番人気のExultantがハナに立ち、中段の内目で追走。かかることは無くスムーズに追走する。直線入口に入ったところで前が壁となり、モレイラがグローリーヴェイズを躊躇無く内へと導く。進路が空くと一気に抜け出し、内で粘るExultantと外から追い込むラッキーライラックをあっという間に突き放し、最終的には2着ラッキーライラックに3馬身半差をつけて快勝。GⅠ初制覇を海外で達成した。それもExultantもラッキーライラックも破ってのものである。日本馬は2016年サトノクラウン以来、3年ぶり3度目となる香港ヴァーズ制覇、生まれ故郷のレイクヴィラファームはGⅠ初制覇、メジロ牧場時代まで遡っても海外GⅠ勝ちは初めてである。
明けて5歳となったグローリーヴェイズはドバイシーマクラシックへ出走する事となり、実際ドバイまで輸送されたものの、輸送後にドバイミーティングの中止が決定し、出走する事無く帰国。その後宝塚記念に向けて調整が進められた。
宝塚記念ではGⅠ馬8頭が出走する中、3歳になってから京都や新潟、沙田などの直線が平坦なコースを中心に使われ、重馬場適性も不明な事もあり5番人気。短期免許で来日中のダミアン・レーンを鞍上に迎えたが、後方から進めるもどうしようもなくブービー17着に敗れた。鞍上曰くゲートで落ち着きを欠いて発馬を決められず、馬場も合わなかったとの事である。
その後休養に入り、秋シーズンは京都大賞典から始動。秋の始動戦として他に実績馬キセキや4連勝中のキングオブコージなどが集まり、ここでは3番人気となった。前日の大雨から幾分回復した稍重馬場で行われたレースでは比較的縦長の展開の中終始5番手を追走し、直線に入って馬場の三分どころから抜け出しを図り、出遅れからのロングスパート追い込みをかけたキセキを3/4馬身封じ込めてゴール。重賞3勝目となった。
その後ジャパンカップへ出走。ここでは現役最強馬アーモンドアイと無敗の三歳三冠馬コントレイル、デアリングタクトの激突が注目され、本馬はその3頭から大きく離れた4番人気となった。レースでは道中2~3番手に付け、直線入口でキセキを追いかける2番手から脚を使ったが、最後は甘くなり5着となった。
6歳初戦は金鯱賞から始動。三冠牝馬デアリングタクトに次ぐ2番人気に支持されたものの、直線で伸びてはいたが逃げ粘るギベオンを捉えるには至らず、更に外から差されて4着となった。
続いて香港に遠征しクイーンエリザベス2世カップへ出走。ここではデアリングタクト、ラヴズオンリーユー、キセキと日本馬4頭が出走し、香港馬はExultantなど3頭が出走。流石に川田を連れてこれないので現地のK. ティータンに乗り替わった。香港実績もある為か、日本では2番人気であった。レースでは後方待機から直線で外に回すと伸び脚を見せ、先に抜け出したラヴズオンリーユーの2着に入線した。
夏を休養に充てた後にオールカマーへ出走。同年の大阪杯を制したレイパパレ、日経賞を勝ったウインマリリンの牝馬2頭に次ぐ3番人気となる。鞍上はデムーロが戻ってきた。レースでは若干出遅れて最後方から進め、残り800mを切ったあたりから一気に捲り上げる。直線に入ってレイパパレを目標に脚を伸ばしたが、間から突き抜けたウインマリリンと後ろから差してきたウインキートスに敗れ3着となった。
次走は2年前に勝利した香港ヴァーズへ出走。日本からは本馬の他ステイフーリッシュが出走し、海外からは英GⅠ馬Pyledriverや前年勝ち馬Mogul、サンクルー大賞2着のEbaiyraが参戦。現地勢では前哨戦を逃げ勝ったReliable Teamなどが出走し8頭立てとなる。鞍上はやはり、ジョアン・モレイラ。
レースでは7番枠から発馬も一息。すかさず後方の最内を追走してじっくりと脚を溜める。前半800mが51秒かかるスローな流れとなるも落ち着き払い、直線に入って大外へと持ち出される。逃げたReliable Teamとステイフーリッシュを見る位置から進めたPyledriverが先に抜け出し、それを大外から追うグローリーヴェイズ。残り100m付近で並ぶと脚色は衰えず、そのままPyledriverを1馬身離してゴール。GⅠ2勝目は2年ぶりとなる香港ヴァーズとなった。
明け7歳も現役続行。シャフリヤールらと共にドバイシーマクラシックへ出走。レース前のプレレーティングでは最高値の123を有しており、国内では5番人気もブックメーカーでは3番人気ほどであった。
C・スミヨンに乗り替わったこのレースでは道中中団のインを追走。ペースは淡々とした流れで瞬発力と立ち回りが求められる展開となり、最後はグローリーヴェイズなりに伸びてはいたものの8着に敗れた。
帰国後は8月のスーパーGII、札幌記念から始動。鞍上はクリストフ・ルメール。初の洋芝コースとなるが、9歳馬マカヒキも出走する中でベテランの意地を見せれるかが期待されたが、パンサラッサとジャックドールが作り出した前残り展開の前に、中団に位置した彼ができたことは、ソダシにクビ差に迫る6着につけることまでであった。
次走は連覇と3勝目のかかる香港ヴァーズ。このレースを最後に引退し、種牡馬入りすると発表された。今回も変わらず後方からのレースを進める。4コーナーを抜け直線に入って一気に加速するが、先行するボタニクを捕まえることもかなわず、ウインマリリンにも最後方まで下がって一気になで斬りにされ1位の彼女の1と4分の3馬身差の3着ですべてのレースを終え、12月20日をもって競走馬登録を抹消された。今後は日高のブリーダーズ・スタリオン・ステーションで種牡馬として、母方から継いだメジロの血を伝えていくことになる。
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
*ウインドインハーヘア 1991 鹿毛 |
Alzao | Lyphard | |
Lady Rebecca | |||
Burghclere | Busted | ||
Highclere | |||
メジロツボネ 2008 芦毛 FNo.9-f |
*スウェプトオーヴァーボード 1997 芦毛 |
*エンドスウィープ | *フォーティナイナー |
Broom Dance | |||
Sheer Ice | Cutlass | ||
Hey Dolly A. | |||
メジロルバート 2003 鹿毛 |
メジロライアン | アンバーシャダイ | |
メジロチェイサー | |||
メジロラモーヌ | *モガミ | ||
メジロヒリュウ |
掲示板
87 ななしのよっしん
2022/12/15(木) 21:43:01 ID: zvgdMd8qN4
ディープ産駒の牡馬の中で6歳でもG1勝っているのと、ダービーと同じ2400mでの戦績が特に光ったのは割と強みだと思う
ノーザンファーム空港牧場で一緒だったフィエールマンとまた一緒のところに世話になるというのが腐れ縁感あって面白い
88 ななしのよっしん
2023/10/24(火) 19:11:33 ID: 71JHg47Mlc
初年度は51頭だってね
来年以降も頑張ってほしい
89 ななしのよっしん
2023/10/24(火) 19:13:52 ID: scoxVml6ua
初年度51頭かあ、勝ち上がり良くて重賞馬の一頭でも出れば
次年度は100頭以上に増えないかなあ
急上昇ワード改
最終更新:2024/12/14(土) 03:00
最終更新:2024/12/14(土) 03:00
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