ゲオルギー・ジューコフ

ゲオルギー・ジューコフとは、ソビエト社会主義共和国連邦（ソ連邦）の軍人であり、特に第二次世界大戦ではドイツ軍への反撃を指揮し、なおかつソ連を勝利へと導いた将軍として有名である。(1896~1974)

概要

1896年、貧農の家庭に生まれる。第一次世界大戦の時に徴兵され、騎兵部隊に配属された。
ロシア革命では、共産党員（ボリシェビキ）に加わる。ロシア内戦では赤軍の一員として騎兵を指揮する。
スターリン体制以降の際、下手に目を付けられて粛清されるのを恐れたため、スターリンへ近づこうとはせず、モンゴル国境付近で指揮を執る。

第二次ノモンハン事件のさいに軍団司令官に昇進、地形を上手く利用した砲兵の火力投射と機械化部隊による両翼包囲で関東軍を打ち破ることに成功する。
この功績によりソ連邦英雄の称号が与えられ、1940年には上級大将の位とキエフ特別軍管区司令官に任命される。 事実上ドイツへの警戒を任されたのである。

1941年には赤軍参謀総長兼国防人民副委員に任命される。同年6月にドイツがバルバロッサ作戦が発動。これによりドイツがソ連への進軍を開始する。（独ソ戦）
ドイツ軍の破竹の進撃の中、ジューコフはレニングラード方面軍司令官として派遣され猛攻撃を食い止め、カリーニン方面軍のコーネフとともに戦線の安定化を図る。
しかし、緒戦のドイツ軍の勢いはすさまじく、ソ連は早くも首都モスクワを脅かされるほどの脅威にさらされた。
そんなモスクワ防衛にあたってジューコフは呼び戻され、首都防衛のためにシベリアからの兵力転用や、各要地での消耗戦を行うことでドイツ軍の攻勢を防ぎきった。
スターリングラードの戦いではヴァシレフスキーとともに天王星作戦や小土星作戦を主導しドイツ軍を重囲下に置くことに成功したが、ルジェフにおいて火星作戦という大規模な攻勢を行い失敗した。
ルジェフでは失敗したものの、スターリングラードのドイツ軍も降伏間近になりジューコフはその功績を認められソ連邦元帥に昇進した。

1943年の春季攻勢により一進一退の攻防があり、クルスクにソ連軍の突出部が出来たことでクルスクの戦いが生起した。ジューコフらはここに十分な資材と兵力を投入し長大な縦深陣地を構築することでドイツ軍に出血を強いてこれを守り切った。
これ以後ドイツ軍は西部戦線への兵力転用もあり東部戦線では完全に劣勢に立たされ、ドニエプル川を突破されるとウクライナでは4個方面軍、バグラチオン作戦では6個方面軍による大攻勢を受けて潰走し、これによりジューコフらはドイツから奪われた領土が完全に回復するだけでなくワルシャワ正面にまで達したのだった。

その後ジューコフは第1白ロシア方面軍司令官に任命され、ドイツ軍の決死の抵抗にあうもののドイツ本土へ進軍しベルリンに入城した。
ソ連の勝利が確定したのであった。

以上のことから、ドイツからの猛攻撃を防ぎ、なお且つ勝利への道を飾った将軍として、ジョーコフは人民から英雄視されていた。
しかし、その人気さゆえにスターリンから疎まれ、戦後の彼の政治生命はけして平坦ではなかった。
終戦後、ジューコフはウラル軍管区司令官として左遷される。

スターリンの死後、マレンコフ体制が成立するが、わずか5日間で彼は政権をフルシチョフに譲歩する。（そのためつるふさの法則では、マレンコフのみ除外されている。）
国防大臣に就任したジューコフも再び政界復帰をはたす。
そこで、スターリンの後継者となる野望を抱いていたベリヤを逮捕する。

フルシチョフとそれに反感を持つグループとの派閥争いが生じた際。ジューコフはフルシチョフ派についた。 しかし彼もまた軍事費削減を提案するフルシチョフの姿勢に反感を持つようになり、政界追放を受ける。
しかし、そんなフルシチョフもブレジネフ一派の画策により失脚し、再び名誉回復を受ける。

政界復帰を果たすことはなく、1974年に死去。軍人としての名誉が与えられた。

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関連項目

• ソビエト連邦
• 赤軍
• 軍人の一覧
• ノモンハン事件
• 独ソ戦