コモドオオトカゲとは、トカゲ亜目オオトカゲ科に分類され、現生するトカゲ中で最大級のものである。
コモドドラゴンとも呼ばれるが、本記事ではコモドオオトカゲで統一する。
インドネシアのコモド島と近隣の島々に分布するオオトカゲで、全長3m、体重100kg程になる。
全長で言えばハナブトオオトカゲの4mに負けるが、その記録が残っておらず、同じ体長であればコモドオオトカゲの方が重くなる事から最大種として扱われる。
高いスタミナと何㎞先の臭いも嗅ぎ分ける嗅覚、どんな相手にも襲い掛かる凶暴性を持ち、同島の食物連鎖の頂点に立つ。発見当初は伝説上の生き物であるドラゴンと同一視され、火を吐くなど様々なデマが流れた。寿命は50年ほど。
食性は肉食であり、子供の頃は小動物や昆虫を、成獣になるとヤギや牛など生息地に居るほとんどの動物を捕食する。性格は獰猛で自分よりも大きい相手であろうと獲物と見なし襲い掛かる。時には同種の子供すら捕食するため、幼体にとっては大人のコモドオオトカゲは最大の天敵である。
積極的に狩りを行うこともあれば、動物の死骸を漁ることもある。
一度の食事で体重の80%ほども食べることができ、腹を満たせば1ヶ月は余裕で絶食を乗りきれる(これは変温動物なら不思議なことではない)。
しばしば人家の近くに現れ、過去に何度か人間が犠牲になったこともある。最近は人を恐れなくなり島内の村落に頻繁に出没するようになった。
コモドオオトカゲの狩りは至って効率的かつ恐ろしいモノである。獲物を探して徘徊し、目ぼしい標的が見つかったら先ず獲物に近付いて何度か噛みつく。この時の攻撃で毒と細菌を注入する。その後一度獲物から距離を置き、必死に逃げる相手が弱って動けなくなるまで血の匂いを頼りにひたすら追いかける。優れた嗅覚のお陰でどんなに離れていようとも相手を見失う事は無い。数日して獲物が動けなくなると、いよいよ食事にありつける。この際には血の匂いを嗅ぎつけた他の個体も集まってきており、食事は多数のコモドオオトカゲが群がり肉を貪り奪い合う恐ろしい光景が繰り広げられる。
変温動物は恒温動物に比べて持久力が無いはずだが、コモドオオトカゲは数日にわたって獲物を追いまわす驚異的な持久力を持っている。
なおこれは大型の獲物相手にする狩りであり、中~小型の獲物(ヤギなど)であればその場で噛み殺して丸呑みにしてしまう。
卵から孵ったばかりの子供は体長30cmほどで、体に黄色のラインが入った鮮やかな体色をしている。
生まれるとすぐさま樹上での生活を開始する。これは、天敵である成獣のコモドオオトカゲから逃れるためとされている。
5~7年すると性成熟し、その頃には巨大化した体の関係で木には登れなくなり完全に地上での生活に移行している。
性成熟した雄は、繁殖期になると雌をめぐって取っ組み合いの力比べを始める。この力比べは「コンバットダンス」と呼ばれ、「優劣は決めたいがお互い余計なケガはしたくない」という思惑の結果出来た戦い方である。お互い立ち上がって組み合っての戦いは相撲やレスリングのようであり、その迫力ある様はまさに怪獣映画。
戦いに勝った者が雌と交尾を果たし、雌はツカツクリという鳥の巣に産卵をする。
こうしてまた新たなコモドオオトカゲが誕生するのだ。
近年まで、コモドオオトカゲは口内に食べ残しを餌とする細菌を蓄えていて、獲物を敗血症に至らしめることで狩りを行うと考えられてきた。
しかし近年になって歯茎に毒管があることが判明。強靭な顎で獲物に噛みつき、かみ傷から出血毒(ヘモトキシン)を注入して獲物を弱らせる。
ヘビと違い、この構造を持つことで牙の強度を保ちつつ毒を注入することを可能とした。
(ヘビの牙は細く、中空または溝のある構造のため強度はあまり無い)
これはドクトカゲにも同じ事が言える。
じゃあ細菌は?と言えば、細菌ももちろん存在する。そもそも生物の口の中と言うのは細菌の温床であり、人間の口腔内ですら細菌まみれである。マウスエチケットなんてするはずも無く、腐敗した肉すら食すコモドオオトカゲの口腔内に細菌が生息していないワケが無いのだ。つまり毒と細菌のダブルパンチという事になる。
もう一つコモドオオトカゲの特徴とも言えるものに単為生殖がある。
イギリスの動物園で飼育されていた雌のコモドオオトカゲが、雄との交尾経験が無いにも関わらず産卵し、その卵から雄のコモドオオトカゲが孵ったという記録がある。
トカゲ全般からすれば単為生殖は珍しいことでは無いのだが、ここまで巨大なトカゲが単為生殖をするということは大発見である。雄の個体数が減った際に応急処置として子供を産むのか、研究結果が待たれる。
日本では札幌の円山動物園にて唯一飼育展示が行われていたが、今はインドネシアに返却されてしまった。
実物を見たいのであれば、海外の動物園に行くか、インドネシアで野生下のものを観察するしかないだろう。
飼育個体に関しては、野生下で見られるような凶暴性は薄れて人によく慣れ、飼育員に呼ばれると歩み寄ってくることもあるそうだ。
もしペットとして飼育できたなら、コンパニオンアニマルとして十分な役割が持てそうではある。
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最終更新:2024/04/24(水) 20:00
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