コンコルド効果 単語

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コンコルドコウカ

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コンコルド効果(Concorde effect)とは、心理現の1つである。

概要

元は音速旅客機コンコルドの商業的失敗にまつわる話から由来する言葉。
簡単に言えば、「今まで投資したもの(銭、時間、努・苦労、etc)が駄になるからと、そのまま続けても損失にしかならないのが解っているのにやめたくてもやめられない状態」をす。

コンコルド錯誤」「コンコルドの誤り」(Concorde fallacy)とも呼ばれ、書籍『クソゲー2』でシェンムーの事を紹介された際にこの言葉が「コンコルド錯誤」として用いられたため、同書籍を読んでこの現を知った人の場合はこちらの呼称が定着していることかもしれないが。

また経済学世界では、「サンクコスト効果」「サンクコスト錯覚」などとも呼ばれている。
埋没費用』の記事も詳しいため、合わせて参照されたい。

コンコルド世界初の音速旅客機として、未来性を感じさせる造形や高性ぶりから人気を呼び、1960年代の開発当時は世界から注文が相次いだほどであった。しかし、

などの様々な問題点から受注キャンセルも相次いでしまい、このまま開発を続けても利益はもはや回収が望めないところまで難航した。

そして「このままプロジェクトを進めたら了までには一体どれほどの額がかかるのか?」を試算してみたところ、『今すぐにプロジェクトを中止して、旅客機会社に対して違約と賠償を支払った方がかに安く済むくらいの大赤字が出てしまうという結果が出てしまった。
かしここで開発を中止したら今まで投入した予算が惜しいこと、費やした時間や手間隙が全て泡に帰してしまうことに加え、計画中止の責任が取るんだという責任問題(既に個人の責任で何とかなる範囲をえていた程の、途方もない赤字額が出たとされたため、全員責任を取る事を恐れた)から、「今手を引けばこれ以上赤字が拡大せずに済む」とプロジェクトに関わる全員がわかっていながらを背け、プロジェクトは行き着くところまで進んでしまった、とされている。

これらの結果から、音速旅客機コンコルド250機で採算が取れるとされたところを僅か16機しか製作されず、大赤字で終わってしまった。

 

コンコルドに限らず、日常生活仕事の場でも度々見かける現であると思われる。わかっていてもやめられない現だけに厄介なもので、一人の問題ならばこれまで投資した全てのものをスッパリ切り捨てて未練も執着も断ち切る事で脱却できるだろう。
ただしこれが集団で進める仕事プロジェクトである場合は、今まで投資した銭や時間のみならず責任問題にも発展する事になるため、取り返しのつかない大損を被るまでやめるにやめられない、という状態に陥る事もありうる。

 

ちなみに、元々は動物行動学(さらには行動生態学、社会生物学)の分野で広まった用である。Triversという学者は経済学概念を取り入れて動物行動を捉え、1970年代前半にParental Investment(略してPI。和訳すると「の投資」)という用確立した。このPIの考え方においてTriversは、子供を守り育てるという一連の行動は、子孫(遺伝子)を繁栄させるという「利益」を得るための「投資」として説明できるとしたのである。

だがTriversのこのPIの考え方に対して一石を投じるような論文「Parental investment, mate desertion and a fallacy」がDawkinsとCarlisleの2名の学者によって著され、高名な科学雑誌「Nature」に1976年に掲載された。この論文の中でDawkinsらは、動物の子育てすなわち「の投資」においては、「将来の利益」よりも「過去の投資」を重視しているかのような行動が観察されると摘した。これを上記のようなコンコルドの建造計画に喩えて「Concorde fallacy(コンコルドの誤謬、コンコルドの錯誤)」と表現したのである。

その後Dawkins、つまりあリチャード・ドーキンスは同じ1976年に上した一般向け科学解説書籍「利己的な遺伝子」で名人になり、学者としても活発に活動する。その過程において、この「Concorde fallacy」(あるいはConcorde effect、すなわちコンコルド効果とも表現された)という言葉も広まっていった。

主なコンコルド効果の一例

  • 今まで費やした課金額を駄にしたくなくて、ネトゲソシャゲがやめようにもやめられない
  • コンプリートガチャが、5つのうち4つまでアイテムったのに最後の1つがえられず、何としてもゲットしたくなる
  • 見に行った映画が思いのほかつまらないけど、支払ったお金くて結局最後まで見る
  • 大学入試で2浪3浪しているが、これまでに費やした勉強時間が駄になるからと、偏差値的に合格が困難だとわかっていても「駄にしてたまるか」と意地になって後に退けなくなり、志望校のレベルも下げられなくなる
  • ある公共事業で数億円かけてリゾート地を開発し始めたが、途中に近場で違うリゾート地がオープンしてしまい見込まれる収入が大きく減少したにも関わらず、ここでやめたら今までの開発費が駄になる・・・とプロジェクトを続行
  • 今降すればこれ以上戦火が拡大せずに済むけど、戦争に費やした費用や補給物資が惜しくなる、散っていった戦死者に顔向けできない、敗戦の責任が取るんだ、と戦争を続行せざるを得なくなる
  • パチンコギャンブルで負けが嵩んでいるにも関わらず、「元が取れなければ」「今までの負け分だけでも取り返さないと」と意地になってゲームを続行する
  • 商売を続けていても利益が上がらないと解っているのに、投資したお金や時間がくて閉店の決断を下せない
  • 人と別れたいが、「もう数年付き合ってるしここで別れたら今までの時間が駄になる」と、本心では別れたいのに付き合いをやめられない

結局、コンコルド効果の状態に陥ったらどうすればいい?

ケースにもよるかもしれないが、一番は埋没費用(今まで費やしたお金、時間、手間など)を一切考えずに最善の結果を判断することであろう。後ろを引かれるだけに決断をわれるが、一度脱却してしまえば楽になる。
逆に「もったいないから」とやめずに進み続けると、どうしようもないほどの大損を被るまで脱却できなくなる事がどだと思われる。
こちらについてもやはり『埋没費用』の記事が詳しい。

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