ゴルギアス 単語

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ゴルギアス

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ゴルギアス(Gorgias、紀元前487年~紀元前376年)とは、古代ギリシア哲学者である。「ソフィスト」とも呼ばれる。

生涯

チリアのレオンティノイ(現レンティーニ)に生まれる。エンペドクレス子であったとされる。

紀元前427年に使節団を率いてアテナイ派遣される。アテナイで弁舌を振るい、人気を博した。

著作

  • 『パラメデス弁明
  • 『非存在、もしくは自然について』(現存しない)
  • 『ヘレネ頌』

ゴルギアスの思想

ゴルギアスの思想を述べた本『非存在、もしくは自然について』は現存せず、セクストス・エンペイリコスの『数学者に対して』にその一部が引用で残っているのみである。

その本によれば、ゴルギアスは次のようにしたとされる。

  1. 何も存在しない
  2. 仮に何かが存在したとしても、人間はそれを知ることも思考することもできない
  3. 仮に何かの存在を知ることができたとしても、人間はそれを他者に伝達することはできない

まず、1番については次のような論がされている。

  • 何かが存在すると仮定する。
  • その場合、その「存在」とは、既にある存在から生成されたか、非存在から生成されたかのいずれかである。
  • 前者の場合、既にある存在が何から生成されたか……と考えると循環論法になり、矛盾する。後者の場合、存在は存在からしか生成されえないので矛盾する。
  • よって何かが存在することはありえない。

この論は、パルメニデスが「あるものはある、ないものはない」とした存在論と非常によく似ている。そして、パルメニデスとは逆の結論を導いている点が特徴的である。

次に2番の論である。

  • 思考することができるものは存在すると仮定する。
  • この命題対偶は「存在しないものは思考することができない」である。
  • 前者については、人間はは「飛ぶ人間」といったものを思考することができるが、飛ぶ人間が存在するわけではない。
  • 後者については、キマイラやスキュラなどは現実には存在しないものだが、人間はそれらを思考することができる。
  • 以上の矛盾により、仮定は棄却される。

少し分かりにくい論だが、上記の論により二つの可性が棄却され、「存在するものは思考することができない」の可性だけが残ることが分かる。

この論も、パルメニデスの「思考できるものと存在するものは同一である」という議論逆の結論である。

次に3番の論である。

  • 人間は存在するものを他者に伝達することができると仮定する。
  • 人間が他者に伝達する場合、それを言論の形で表現する必要がある。
  • しかし、表現されたものは、存在そのものとは異なるものである。
  • つまり、人間は表現されたものを伝達するのであり、存在するものを伝達することはできない。

この論は、存在=クオリア、言論=色や匂い、と置き換えると、「クオリアの伝達」という現代でも解決困難な問題に繋がっている。

後世への影響

以上のから、ゴルギアスは相対義・懐疑論の祖ともいわれる(ゴルギアスの議論を踏まえ、懐疑論を体系化したのは後世のピュロンである)。

ゴルギアスはプロタゴラス同様、プラトンに「詭弁」と非難され、対話篇『ゴルギアス』において論駁の対となった。

しかし、ゴルギアスは、パルメニデス逆の結論を導くことによってどちらにも明ができることを示したという点で、後のカントの「アンチノミー」を先取りしているともいわれる。

レトリック

ゴルギアスはレトリック大家でもあり、『パラメデス弁明』や『ヘレネ頌』では、レトリックや弁論術の重要性について論じている。

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