ゴールドシップ 単語


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ゴールドシップ

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黄金の航路

見る者の想像をかにえる仕掛けと
それを可にする剛脚で、
よりも先にゴールを駆け抜ける。
圧巻のロングスパートで、次々とライバルたちを抜き去る
ゴールドシップの辿った筋は、まさに黄金く航路。
それは、ただひたすらに勝利へ向かっている。

JRAヒーロー列伝 No.74 ゴールドシップexit

ゴールドシップとは、日本の元競走馬種牡馬である。馬主小林一、調教師は須尚介、生産は出口牧場愛称ゴルシシップゴシップ、金不沈艦苺大福いの、シロイアレ等々。

な勝ち
2012年:皐月賞(GI)菊花賞(GI)有馬記念(GI)神戸新聞杯(GII)共同通信杯(GIII)
2013年:宝塚記念(GI)阪神大賞典(GII)
2014年:宝塚記念(GI)阪神大賞典(GII)
2015年:天皇賞(春)(GI)阪神大賞典(GII)

曖昧さ回避 この記事では実在競走馬について記述しています。

このを元にした『ウマ娘 プリティーダービー』に登場するキャラクターについてはゴールドシップ(ウマ娘)を参照してください。

また、ゴルシは当記事にリダイレクトされています。香港のゴルシについてはゴールデンシックスティを参照してください。

概要

ゴールドシップ
Gold Ship
生年月日 2009年3月6日
サラブレッド
性・毛色 芦毛
生産 日本JPN
生産者 出口牧場
(北海道日高町)
馬主 (合)小林HD
調教師 尚介(東)
名意味 黄金(名より連想)
登録日 2011年6月2日
抹消 2015年12月27日
戦績 28戦13勝[13-3-2-10]
獲得賞金 13億9776万7000円
受賞歴
JRA賞
最優秀3歳 (2012)
ネット流行語100
5位入賞 (2021)
メモリアルヒーロー
皐月賞部門 3位
天皇賞(春)部門 5位
宝塚記念部門 3位
競走馬テンプレート

2009年3月6日生まれ。ステイゴールドポイントフラッグメジロマックイーンという血統。

この「ステイゴールド×メジロマックイーン」という組み合わせは、2010年代前半当時最強ニックス(黄金配合)と持て囃された俗にいう「ステマ配合」と呼ばれる配合であり、ゴールドシップはドリームジャーニーオルフェーヴル兄弟と並びこの配合の代表格であった。

ポイントフラッグ2001年チューリップ賞2着で星旗クレオパトラトマスから続く伝統ある下総御料牧場の基礎牝系なのだが最近はめっきり活躍が出ておらず断絶寸前、言っちゃ悪いが斜陽の血統という感じである。交配相手にステイゴールドが選ばれた理由はステマ配合を意識…した訳ではなく、が大柄なので産駒も大きい傾向があり、それ故の体質的な弱さがあったため小柄でタフステイゴールドが最適だっただけである(当時は値段も手頃だった事もあったのだが)。

要約すると「大柄でケガに弱い方の体質」を「小柄でタフ方の体質」で中和しようとしたといったところだが、生産者の意図に反して生まれてきた子デカかった。産まれたときから一筋縄では行かない片鱗を見せつけている。

ただ、2012年クラシック掲示板に入った11頭のうち、ダービーディープブリランテ含む4頭が菊花賞前に屈腱炎、4頭が翌春天前に屈腱炎、2頭が最終的に屈腱炎引退もしくは長期休養と軒並み大怪に見舞われた中、一ゴールドシップはその現役期間レースが出るような故障がかった[1]ため、タフという本来の的自体は達成したといえよう。巨体・ステイヤー・ストライド走法ロングスパート体と屈腱炎になりやすい要素全部乗せなのに恐れ入る。なお、後述のように体質だけでなく、マックイーンの賢さステイゴールド気性難も両方受け継いだ結果、フィジカルにも優れるインテリヤクザとでもいうべき傑となった。(なお、マックイーンの気性難も大概だったが)

ちなみに、さらにいうとメジロマックイーンから芦毛を継承しているのだが、この芦毛、「芦毛の祖」Grey Sovereignを介さないThe Tetrarch由来というレアな系譜だったりする。

2歳(2011年)

騎手時代はポイントフラッグにも騎乗していた[2]尚介厩舎に入厩し、2011年7月新馬戦デビュー。この時既にオルフェーヴル皐月賞ダービーの二冠を達成し、同配合のゴールドシップにも大きな期待がかかっており当然1番人気…ではなかった。同レースにはディープインパクト産駒のサトノヒーロー[3]も出走しており、そちらに人気が集中したため7.0倍の2番人気。このレースは後方から追い込みタマ差かわして勝利、次のコスモス賞も後方からの競馬で危なげなく勝利する。

3戦の初重賞挑戦となった札幌2歳ステークス(GIII)は、ここまで同騎手を務めた秋山一郎が同じく戦を務めていたグランデッツァを選んだため、安藤勝己に乗り替わる。レースは後方から追い込んだもののそのグランデッツァに届かず2着に敗れる。続くラジオNIKKEI杯2歳ステークス(当時GIII)では後方からまくり上げ、直線半ばから更に足を伸ばす強競馬で因縁のグランデッツァに先着するものの、好位から抜け出したディープ産駒アダムピークに届かず2着と惜敗が続いた。

3歳(2012年)

伝説の始まり

年が明けて3歳は共同通信杯(GIII)から始動。頸椎骨折の大ケガから復帰した内田博幸騎手に乗り代わる。少数11頭立てになったレーススタートから内田騎手押し出して2、3番手に付け(!?)、最後の直線で逃げ切りを図るディープブリランテを残り100mで交わし重賞初制覇。これは須厩舎にとっても初重賞勝利であった。その後はトライアルレースを使わず、GI皐月賞へ直行する。

そして迎えた皐月賞2012年の3歳は有力が多くまさに群雄割拠の様相を呈しており、ゴールドシップは共同通信杯からレース間隔が開いたことと、血統から来る芦毛イメージ皐月賞向きじゃないと思われ4番人気となる。この日の中山競馬場は前日のも重なって内側が荒れており、レースでは全が最内を避け、同も内を避けて最後方から群を追うような形で進んだ。3コーナーからスパートを開始し、4コーナーではほとんどのが荒れに荒れた内を嫌って外へ持ち出す中、ゴールドシップ&内田ペアはあえて内側へ突っ込んでいきショートカット、3番手まで快に追い上げて直線へ突入したのである。そしてラスト1ハロンで先頭に立つと、外から凄い勢いで追い込んできた1番人気ワールドエースを2馬身半抑えて優勝。3コーナーで後方だったはずが直線を向いたら先頭集団、という事態にテレビ観戦していた競馬ファンの間では「ゴールドシップがワープした!」話題になった。この勝利馬主歴25年の小林一氏と日高出口牧場、須厩舎に待望の初GIタイトルをもたらし、さらに兄弟でないにも関わらず前年と同じステイゴールドメジロマックイーンという事で改めてステマ配合の強さを競馬界に印づけた。

日本ダービー(GI)では皐月賞での勝利評価され、負けて強しのワールドエース人気を分けあって2番人気に推される。この時の東京競馬場高速馬場で先行の前残りで決着するレースが多く、先行できなければ勝つのは容易ではなかった。しかしそんなことを知る由もないゴールドシップは、上の内田騎手スタートから必死で追うも全く動じない安定したテンズブさを発揮して定位置の後方からの競馬となる。3コーナーから内田騎手が追い出すも行き足が鈍く、直線に入ってもまだ後方の位置取り。そこからやっとやる気になったのか最速タイとなる末脚で追い込むが、止まらないディープブリランテを捉えきれず5着となり、掲示板は確保したものの初めて連対を外す不本意な結果となってしまった。

ちなみにこのダービー、1着ディープブリランテ(ディープ産)、2着フェノーメノ(ステゴ産)、3着トーセホマレボシ(ディープ産)、4着ワールドエース(ディープ産)、5着本(ステゴ産)と、掲示板ディープインパクト産駒ステイゴールド産駒で分け合うという少ししい結果となった。なおディープ産駒3頭は全員菊花賞前に屈腱炎を発症してしまい、2014年に復帰してマイラーズカップを制したワールドエース以外はそのままターフを去ってしまっている。ステゴ産駒の頑丈さを物語徴的な対である。フェノーメノも2回繋靱帯炎やってるけど、1回から復帰したあと春天連覇してるしまぁ多少はね?

クラシック最終戦、破天荒の菊花賞

場は避暑のため、札幌競馬場函館競馬場調教をこなしながら過ごす。

菊花賞トライアルGII神戸新聞杯から始動。マイナス体重で調教も動きが悪く調子が良いとは言えない状態だったが、血統的に長距離向きと見られコスモス賞以来の1番人気に支持される。ただレースが近づくにつれやる気になったようで、スタートから上の内田騎手に押されてもガン無視していつも通り後方からの競馬、3コーナーからスパートして直線で力強く抜け出し2馬身半差の圧勝。力が一枚上手というのを見せつけ、菊花賞へ向け順調な滑り出しとなった。なお同日の中山メインオールカマーでは同じステゴ産駒のナカヤマナイトが勝利、さらにその前週はセントライト記念フェノーメノが、フランスGIIフォワ賞ではオルフェーヴルがそれぞれ勝利しており、ステゴ産駒が2週で4つのGIIを制覇するという離れ業をやってのけた。なんともネタに事欠かない一族である。

そして大標の長距離GI菊花賞ダービー上位が次々と回避を表明する中、キングジョージ手に爆散したダービーディープブリランテとの頂上対決が注される。しかし先述の通りブリランテは直前で屈腱炎を発症・長期休養に入ってしまい(その後復帰を断念して引退)、ならばもう相手は居ないと断然の1番人気(単勝オッズ1.4倍かつ1桁オッズ彼のみ)に推される。

スタートは良い感じに出て内田騎手も押していくが……実況「スッと下げます」。うん、長丁場だしスタミナより乗ってる人間スタミナの方が心配だからサッサと諦めた方が良いよね。というわけで最内1番の利を投げ捨てて定席の最後方からの競馬になる。レースは彼を封殺しようと先行牽制し合い、緩みのないペースで進む。そして彼は2周の3コーナー前、京都競馬場名物"の坂"の登りから進出を開始する。

……は?

えっと…確かに同じとこで仕掛けたミスターシービーこの年の菊花賞のCMexit_nicovideoで「はいつも非常識だ。」とか「タブーは人が作るものにすぎない。」って言われてたけど、そこまで真似しなくても良いんじゃ……[4]

そんなペースで大丈夫か?

シップウチパク大丈夫だ、問題ない。

ゴルシペアは3コーナーで先頭集団に取り付き、4コーナーから直線で先頭に並びかけ、そこからついてこられるならついてきてみろ、と言わんばかりにラストスパートを仕掛ける。外からスカイディグニティが果敢に追いかけてくるが、それをあざ笑うかのように再び加速して全く詰めさせず、ゴールドシップは1+3/4馬身差で菊花賞を制し二冠を達成。走破タイムレコードに0.2迫るもので、結果的に大外を回りながら他スタミナですり潰すという着差以上に強い競馬を見せた。また、芦毛二冠馬誕生はセイウンスカイ以来でもある。ウンスダービーで撃沈してたっけ。芦毛にはダービーを勝てない呪いでもあるのだろうか。ウィナーズサークル?なんのことやら

常識外の有馬記念

次の標を間隔が開くGI有馬記念と定めると、菊花賞の疲れを癒すため放牧に出される。帰厩後は相変わらず舌をペロペロさせながら順調に乗り込まれ、好調を表すかのように関係者からの言葉は自信にあふれていた。

2012年有馬記念ジャパンカップ戦を繰り広げたオルフェーヴルジェンティルドンナの回避が発表され、ステマ対決や3歳の頂上決戦などが実現せず話題に欠いた印もあったが、蓋を開けてみればエイシンフラッシュルーラーシップ、トゥザグローリーなど有力が顔をえ実力伯仲、波乱の雰囲気が漂っていた。その中にあってゴールドシップは菊花賞の圧勝と余裕あるローテーション評価され、3歳ながら1番人気を背負う。

レース本番、発走から2番人気ルーラーシップが立ち上がって大きく出遅れる波乱から始まり、それにられたのかゴールドシップも出遅れ、上の内田騎手挨拶程度に押していくが相変わらずのテンの遅さで群からポツンと離された最後方二番手でレースを進める。人気の2頭が最後方でやらかしている頃、先行集団ではアーネストリー先手を奪ってビートブラックが追いかける前評判通りに展開し、ペースレースが進む。そんな中、ゴールドシップの前半は群を追いかけていったルーラーシップにも追い抜かれ、定席の最後方となるなどやる気がないとしか思えないレースぶりだった。

しかし残り800m、3コーナー辺りから上の内田騎手の手が動きスパートを開始、大外を快にまくっていき一気に中団まで押し上げるが、中山2500mという元々マクりが決まりにくいコース設定とコーナーの外を回されるコースロスき、順位を思うように上げられず大外中団のまま直線へ向かう。そこで一息入れたゴールドシップを余所に直線の登り坂でエイシンフラッシュが内から鋭く抜け出し、オーシャンブルーも追いかけるように脚を伸ばす。そして坂を駆け上がって残り100mとなり皆が「ゴールドシップはもう届かないか?」と思った時、巨大な戦艦が猛進するかのような強な二の脚を繰り出し、内にいたエイシンフラッシュオーシャンブルーの2頭を一で抜き去るとルーラーシップもねじせ、2着のオーシャンブルー2馬身半差、文句の付けようのない強さで有馬記念を制した。

この年の成績は6戦5勝、負けたのは日本ダービーだけと圧倒的な成績を収め、ゴールドシップは2012年JRA賞の最優秀3歳に満票で選ばれた。ただし年度代表馬牝馬三冠ジャパンカップを勝ったジェンティルドンナにさらわれてしまった。

4歳(2013年)

遠い、遠い盾

2013年内戦に専念することになり、の予定も古馬王道阪神大賞典天皇賞(春)宝塚記念々に定められる。

初戦のGII阪神大賞典は小頭数、対抗も微妙単勝1.1倍、複勝元返しと圧倒的一強ムード。絶対に負けられない一戦だったのだが、昨年に同じステマ配合オルフェーヴルが休み明けで阪神大笑点をしでかしてしまっていたので、心配がいわけではなかった。

いざ本番、相変わらずゲートはすんなり出るクセに行き脚は全く付かずいつもの最後方。いつも通り向こう正面からロングスパート開始。徐々にペースアップしていくと、途中でベールインパクトが競り掛け、2頭が競り合ったまま3,4で先頭に並び駆ける。しかし直線に入るとベールインパクトペースについて行けず々に脱落。一方ゴールドシップはアッサリと先頭に抜け出し、そのまま押し切って余裕の勝利2013年も順満帆の出となった。

ちなみにこの勝利ゴール手前で手を抜いたのが上の内田騎手にバレてムチで気合いを付けられるオマケ付きであった。敗れたベールインパクトはその後屈腱炎引退ディープ産駒スタミナ化け物とまともに競り合うとどうなるか、彼はその身をもって教えてくれた。

そして大本番のGI天皇賞(春)舞台へ。ゴールドシップは前々週、前週の調教でも今までにないくらいの時計叩き出して調子の良さを伺わせていた。ライバルとしては悲願のGI獲りへ闘志を燃やすフェノーメノが参戦。しかしそもそもフェノーメノは前年に距離不安から3000mの菊花賞ではなく2000mの天皇賞(秋)を選んだ経緯があったため、直前評では単勝オッズ1.3倍とゴールドシップ一本かぶりの評判となっていた。もが長距離で圧倒的な強さを誇った祖父メジロマックイーン再来予感し、少し言い過ぎかもしれないがゴールドシップの勝ち負けよりどんな勝ち方をするか、が話題の中心だった。

しかし前年オルフェーヴルが断然の一番人気で飛んだように、天皇賞に住まう魔物府中からへと移住を果たしていた。スタートは相も変わらずのテンの遅さでスルスル下がって最後方、レースはサトノシレン大逃げを打ち縦長の展開となる。ゴールドシップは1周の正面スタンドから徐々にポジションを上げていくいつものまくり戦法で3コーナーから4コーナーには大外から先頭集団に取り付くが、最後の直線に向かって上の内田騎手しく手綱を扱きムチも入れるも、反応が鈍く直線に向かう時にはトーセンラージャガーメイルに置いていかれてしまう。内田騎手が懸命に追いゴール直前でジャガーメイルを差し返すのがやっとで、好位から力強く抜け出して後続を完封した勝フェノーメノから大きく離された5着、期待を大きく裏切る惨敗となってしまった。菊花賞阪神大賞典で見せた長距離適正を考えると単純な力負けとは考えにくく、去年のオルフェーヴルも似たような過程(阪大で強いパフォーマンス→本番で惨敗)と展開(大逃げ縦長、持ち味いかせず)で負けており、ステマ配合京都競馬場が苦手……?と思えてしまう。

仁川の王、戴冠

天皇賞(春)の敗戦から約2カ、ゴールドシップは大一番のGI宝塚記念に向け調整を続ける。天皇賞(春)の二の舞を踏むまいと、戦の内田騎手が2週前から付きっきりで調教をつけるという気合いの入れようだった。まくり一辺倒のレーススタイルにも、見直しを示唆していた。まあ、この時はほとんどのファンができると思っていなかったが……。

この年の宝塚記念はゴールドシップにオルフェーヴルジェンティルドンナ、そしてフェノーメノの「四強」による史上最高の決戦になる……かと思われたが、オルフェーヴル出血で直前回避。それでも4歳の最強なのか、「暫定現役最強決定戦」の趣を呈していた。

単勝は2.9倍の2番人気。惨敗後ながらも、直前までのと良馬場発表ながらやや重めの馬場が有利に働くのではないかとの思惑が働いた結果だった。それでも「これまで弱い相手に勝っていただけ」との悪評は直前まで少なからず聞こえてきた。それでもパドックでの仕上がりはまさに完璧。これでダメならもうどうしようもない、ゴールドシップのファンはそう思ったことであろう。

そしてレース本番。スタートポンと出て沈……まないだと!?ムチも付けてのっけから猛ダッシュするゴールドシップ。先行するジェンティルドンナ後ろにピタッとり付く彼の姿に、阪神競馬場にはどよめきが走る。内田騎手は本当に共同通信杯以来の先行策を取ったのだ。しかしこれはどうなのだ。本当にまくりなしでもやれるのか?

レースシルポートいつも通り暴走気味に大逃げを打つ。大きく離れた2番手に重馬場巧者のダノンバラード、そしてそれを見る形でジェンティルドンナ、ゴールドシップ、フェノーメノの三強が位置取る。ゴールドシップは3コーナーから内田が追うも、なりのジェンティルとの差が詰まらない。外からはフェノーメノが猛追。前のシルポートとの差は詰まっているが、それでも5馬身ほどある。手応えはやはりズブく、もはやここまでか……

そんな懸念は、直線で払拭された。内のジェンティルドンナがゴールドシップを外に弾き出そうとした刹那、彼は皐月で、菊で、そして有馬で見せた脚を炸裂させたのである。その姿は、祖父メジロマックイーンにも似ていた。寄ってきたジェンティルドンナを彼は逆に弾き返して一気に加速。抜け出したダノンバラードを一のうちに切り捨て、後はぶっちぎるだけ。かつての、あの無限スタミナですべてをねじせる「最強不沈艦」が復活したのだった。

終わってみれば、2着のダノンバラード3馬身半差をつけた圧勝であった。3着のジェンティルドンナ、4着のフェノーメノとの差は大きく、戦前の「三強」との評は、実際にはゴールドシップの「一強」であった。仮にオルフェーヴルが居たとしても、おそらく勝っていただろうと思わせるほどの圧倒的な強さであった。

大スランプの始まり

復活を果たしたと思われ、日本競馬を背負って立つと期待された2013年。しかし、ゴールドシップはここから大スランプに突入する。

初戦の京都大賞典は圧倒的人気を背負いながら先行策かられず5着。春天ですでに囁かれていた「高速馬場への適性のさ」を露呈してしまう。さらにジャパンカップでは、後方からまるで伸びず15着とデビュー後最悪の大敗。高速馬場への弱さのみでは説明できない腑抜けた敗戦で、長く手綱を取った内田博幸戦を降ろされる事態に陥る。

三冠馬オルフェーヴルとの最初で最後の対決となった有馬記念上はイギリスの名手ライアン・ムーアに乗り替わりとなったが、ゴールドシップは明らか調ではなかった。本来のパワフルな走りはを潜め、引退レースとなったオルフェーヴルの圧倒的な走りの前に引き立て役となるのがやっと。中山適性で何とか3着に入ったものの、オルフェーヴルには9馬身以上の差を付けられる敗に終わった。

5歳(2014年)

親友の栄光の裏で

明けて2014年。始動戦に選んだのは、昨年同様阪神大賞典だった。今度の上は事前からこのレース限りと決まっていた岩田康誠。先行策から快勝したものの、出足からしく引っかかるなどどこかちぐはぐさが見られたのも確かだった。

そして昨年のリベンジを期して挑んだ2度天皇賞(春)。今回はオーストラリアトップジョッキーであるクレイグウィリアムズへの乗り替わりとなった。先行策に定評のある彼に任せることで出足の鈍さを何とかしようという意図があったのだろうが、ゲート係員を触られ気分をしたゴールドシップは快に出遅れてしまう。もちろん、ここから何とかできるわけもなく7着に敗れ、繋靭帯炎から復活したフェノーメノの連覇を許す結果となった。

こうして、ゴールドシップには「稀代の」「走らせてみないと分からない」というありがたくない定評が付くことになってしまった。もちろん、気性面に難しさを抱えるのはドリームジャーニーオルフェーヴル兄弟からも分かるようにステマ配合の宿命ではあるのだが、単に「気性が荒い」では説明できない難しさを抱えた彼を御することは困難を極めるものだったであろう。

そして、気が付けば世代最強・現役最強の名は同じ須厩舎の盟友、ジャスタウェイのものとなっていた。

前馬未到の宝塚連覇

迎えた2度宝塚記念。ゴールドシップはファン投票1位に支持される。下の世代の不甲斐なさもあっただろうが、オルフェーヴルというスター引退した今、二の破天荒魅力的な走りを見せるゴールドシップ復活にかけるファンの想いは強かった。

当日はこれまで連帯率100%阪神競馬場、しかも良馬場ながら時計のかかる前年を髣髴とさせるような馬場状態ということもあり、堂々の1番人気に支持される。もっとも、2番人気ウインバリアシオンとの単勝オッズ差は0.3とわずかで、復活期待は疑念も入り混じったものであったのも確かだった。

今回の上は名手横山典弘。当初はウィリアムズ宝塚まで続投する予定だったが、天皇賞(春)の敗戦を受け「なり」の騎乗に定評のある横山典弘白羽の矢が立った形だった。横山騎手は2週前追い切りからゴールドシップに跨がり、じっくりと「会話」を重ねてきた。自分の乗り方を押し付けず、とにかくプライド、気持ちを尊重するアプローチは、これまでの上とは全く違うものであった。須調教師横山騎手にすべてを委ねた。そして戦前から「人馬一体」をテーマに調整を重ねたことが、遂に狂った歯車を元に戻す。

懸念されていたスタート難に出たが、例によって最後方までスッと下がる。さてこれからどうするのか…と思った次の間、ゴールドシップが猛な勢いで先行勢に取りついていった。先行策自体は前年と同じだったが、前回が出ムチを入れてまで強引に前に行かせたのに対し、今回は全くのなりに先行していたのである。これほどまでに気分良さそうに走るゴールドシップの姿は、おそらく古になって初めてであっただろう。向正面ではスロー気味の展開の中で好位をキープ。この時点で、勝負はほぼ決していた。直線に向くと、絶好調時のあの破壊的な末脚が炸裂。荒れた馬場に苦しみ後方にもがくジェンティルドンナウインバリアシオンライバルに、彼は群を余裕で置き去りにした。

終わってみれば3馬身の圧勝。去年同様「三強」と言われた宝塚記念であったが、やはり蓋を開けてみればゴールドシップの強さと復活を印付けるためのレースであった。そして彼はこの勝利によって史上初 であり、2021年クロノジェネシスが2頭になるまで一だった宝塚記念の連覇達成となった。

レース後、横山騎手「お願いします、走ってください」 とゴールドシップに話しかけながら走っていたと話した。彼の気持ちを尊重しようとした上の想いは、遂に通じたのである。1年近く迷走が続いたゴールドシップであったが、ようやくパートナーに巡り合えたと言ってよいだろう。

余談だが、2009年ドリームジャーニー宝塚記念からこの宝塚記念まで、ステマ配合グランプリ成績は11戦8勝マジキチ極めて好成績となっている(ステイゴールド産駒に広げるとナカヤマフェスタ宝塚記念も入れて11戦9勝)。とりあえずグランプリはステマ買ってりゃいいんじゃないかな、と言われたほどであった。

フランス遠征と再びの苦難

かねてから「タフ欧州馬場は向くのではないか」と言われていたゴールドシップの営は、ついにフランスG1凱旋門賞への参戦を決定。そのステップとして札幌記念に出走する。しかしここで同じく凱旋門賞挑戦を決めていた桜花賞ハープスター敗してしまう。

ハープスター、同厩のジャスタウェイと共に挑んだ凱旋門賞は、本馬場入場で隊列から外れて客席に寄るファンサまで見せたのに案の定出遅れると全くやる気を見せないまま14着に惨敗。あとの2頭と較してもあまりに情けない結果となってしまった。

失意の中帰したゴールドシップ営は有馬記念に出走。横山ワンアンドオンリーに騎乗したため岩田康誠が再び手綱を取った。得意の中山で一変するかという期待もあったが、中位置を下げてしまったこともありジェンティルドンナに届かず3着。翌年休み明けということもありAJCCも使うがまさかの7着。得意だった中山での大敗で、いよいよ正念場に立たされることになった。

6歳(2015年)

悲願の盾

光への航

音をあげるスクリュー
荒々しいまでの推進力を生み
常識に囚われない操
奔放な航跡を描いていく。

図もコンパス用だ。
潮の流れに逆らい
波濤を押さえ込んで
ただ本のまま
黄金は進む。
ゴールという港をして。

JRA 名馬の肖像 ゴールドシップexit

AJCCの敗戦後、一休みして阪神大賞典に3年連続の参戦。阪神競馬場では連対率100%ということで圧倒的1番人気に推される。ダッシュはつかずやっぱり後方からになるが、なんと向正面から進出を開始し4コーナーで前に出ると、迫ってきたデニムアンドルビーを力任せにねじ優勝史上5頭JRA一重賞3連覇を遂げた。

ここまで阪神競馬場での戦績は7戦して[6.1.0.0]。2着は2歳時のことなので、3歳になってからはである。この、もう仁川に住んだらいいんじゃなかろうか……。

この後は宝塚記念に直行するという話もあったが、懲りずに天皇賞(春)へ出走を決定。3度目の正直すことになった。このレースでは4戦ぶりに上が横山典弘に戻っている。

本番ではスタート前にゲート入りを盛大に拒み、目隠しをしてようやくゲートに入るなど不穏な空気を漂わせた。そして番1番という春天における絶対的有利をかなぐり捨て、スタートからキズナより後ろの最後方待機。ペースも決して速くなかったことから、到底前には届かないと思われた。すると横山典弘が最初の直線で観客席に大きく寄せ、スタンドを過ぎた辺りから徐々に前に進出していくと、なんと2周の坂からを入れてスパートを示し先団に取り付く。最後の直線でカレンミロティックに競りかけるとゴール直前で交わし、追い込んできたフェイムゲームの追撃をクビ差ぎ切ってゴール。これまで「人馬一体」をテーマに彼と向き合ってきた横山が「初めてゲキを飛ばした」渾身の騎乗がり、3度の挑戦で悲願の天皇賞(春)制覇となった。

インタビュアー 最後追いすがってくるも居ましたね。
横山典弘 もう追いすがる…っていうよりも…ゴールドシップととの戦いだったんでね。よく踏んってくれました。
インタビュアー どっちが勝ちましたか? 」
横山典弘 いや~、彼です(笑)

……2015年天皇賞(春)、勝利騎手インタビューよりexit「たまにでもいいからに走ってくれれば」とも答えていたが、散々言われているのはついさっきGIを6勝もしたになったである。

悪夢のグランプリ・120億円事件

春天を勝ち、営は最大標の宝塚記念3連覇へ突き進む。前走やらかしたことで頂いてしまったゲート試験にも一発で通り、調整も万全。得意の阪神、しかも今回は春天を勝って勢いもある。当然のことながら、仁川絶対王者ゴルシの圧倒的大本命は揺るがなかった。しかし一方で、これまでの行状から「ここでやらかさなきゃゴルシじゃないよなぁ」なんて冗談めいた予想も一部にはあった。余計なフラグを立てるんじゃない。(ただ一部の予想では前走での暴れっぷりをみて、ラキシスワンアンドオンリーを本命にした予想もあった。)

迎えた本番、単勝オッズは1.9倍の一本被り。状態もいたって良好。ゲートも落ち着いて入り、体制も整った。準備万端……と思った間。関西テレビリポートで馬場内にいた細江純子女史から悲鳴が上がった。隣で若干チャカついたトーホウジャッカルに反応したか、ゴールドシップがゲート内で大きく立ち上がっていたのだ。一旦は落ち着いたものの、再び立ち上がった間にゲートが開いてしまった。有馬記念ルーラーシップ思い出してもらえればいか。

どうにかゲートを出たときには既に前との差が10馬身近くついていた。もちろんゲートを出ないだけならいつものことだが、今回は押せども押せども全く動く様子がない。そりゃそうだ。ひとたびやる気を失えばテコでも動かないゴルシである。気分をし出遅れた時点でレースは終わっていたのだ。

これによりくずになった馬券120億円(正確には枠連8-8含んで117億7190万6200円)。2002年菊花賞スタート直後に落したノーリーズン(110億7998万2500円)をえ、2012年春天オルフェーヴルの149億4219万8400円(枠連除く)に次ぐ悲劇を生み出してしまった。一方、勝った6番人気ラブリーデイ単勝オッズは14.2倍で、ゴールドシップと較して約1/7.5の売上であったため、単勝オッズだけでは単純に較できないものの、くずになるはずだった推定数億円~十数億円程度の馬券が突如としてお宝馬券となった訳でもある。

結局、待っていたのはブービー15着と言う自己最悪の結果。史上初の中央GI3連覇のは脆くも弾け飛んだ。15着という結果自体は2年前のジャパンカップと同じだが、当時は戦前から府中適性が疑問視され、支持はされたけどどうなのよ?という感じだった。今回はその全く逆、負ける要素がほぼ見当たらない中で「まさか」が起きてしまったのだ。 "競馬に絶対はい"という格言を改めて実感させられるこの出来事は、後に3億円事件をもじってか120億円事件と呼ばれるようになった。まあ、このに関していえばそもそも絶対もへったくれもないようなもんだし、負けてもどこか「まあ、ゴルシだししゃあない」って空気が漂ってる感じがするけど。

ちなみに、レース後検量室へ戻る人を須調教師が迎えに来た際、あの」ゴールドシップが須貝師になんとも気まずそうな顔付きをしていた様子が映像に残っているexit_nicovideoが何を考えどんな感情を持っているかなど人間には分かるはずもないのだが、ゴールドシップというには、そういう「擬人化」を自然とさせてしまうような不思議キャラクターが備わっていた。

最後の秋へ

宝塚記念ゲートでのやらかしによって、当然ながらゴールドシップはJRAから二度ゲート試験という「こいつホントにGI6勝したなのか?」と疑いたくなるようなお仕置きを食らった。

果たして試験通過できるのかファンがヒヤヒヤしていた去る8月2日、彼はこの年の有馬記念を最後に引退種牡馬入りすることが営から発表された。このときくもビッグレッドファームexitシンジゲートが組まれており、父親と同じ日高の地で、文字通りの跡を継げることが決まった。

そして10月22日ファンの元へゴールドシップの再々試験通過の一報が届く。出走予定も決まり、一部ではまさかの天皇賞(秋)出走の噂も飛び出したが、この年かなり好調だったラブリーデイエイシンヒカリなどが出走を予定していたこともありこちらは回避。須3戦は苦しい。メンテナンスが大変になるので、2戦に決めた」ということで、ジャパンカップ有馬記念に出走して引退するルートになった。

緊張の府中

11月29日、最後の府中となったジャパンカップ。ゴールドシップは休み明けながら、ラブリーデイに次ぐ2番人気に推された。ファンの胸中は「(苦手の)東京競馬場で走るだろうか……」というよりも、

「ちゃんとゲートに入ってスタートしてくれるだろうか……」

という思いであった。なぜなら、もしここで天皇賞(春)でやった「入り不良」や、宝塚記念でやった「内駐立不良」を犯すと出走停止の裁決がなされ(いわゆる2ペナ)、ラストラン予定の有馬記念へ出走できなくなってしまう状態にあったからである営も本馬場入場時にスタンド前で駐立させたり、ゲート入り時に最初から目隠しをするなど念に念を入れた対策を施して臨んだ。

迎えたゲート入り、ゴールドシップは特に暴れることもなく最初にゲートに入った。これにはスタンドも軽く湧いた。その後続々と他のゲート入りが進んでも大人しく、ファンもこの姿には安心した。そしてスタート、ゴールドシップは出遅れることなく見事にスタートを決めた。

スタート後、上の横山典弘理に押すことなくいつも通り後方に下げる。カレンミロティックの単騎逃げ1000m592のペースの中、後方2番手をキープしたまま3コーナ手前から徐々に進出を開始。直線では大外に持ち出して追い込みを図るも、残り200mあたりから伸びを欠き、結果10着に終わる。

少々彼にしてはインパクトに欠けるレース内容ではあったが、ファンにとってはちゃんとゲート入りして、事に帰ってきてくれただけでありがたかった。これでラストランに向かうことが出来るのだから。

ラストラン

暮れの12月27日、ゴールドシップはついにラストラン有馬記念を迎えた。上にクラシックを共にし、四つの勲章を掴んだかつての相棒内田博幸を迎えるというサプライズもあり、期待は最高潮。オッズこそかつてほどではなかったが1番人気に推される。近走GIで15着→10着の6歳がこれほど支持されることはそうはない。これが当時のゴールドシップの人気徴していた、と言ってよいだろう。

本番は外スタートは五分に出たが、やはり二の脚が付かず離れた最後方になる。レースはその年の菊花賞キタサンブラック逃げ人気どころも前を追走する運びに。スローペースに落ち着いた(≒最後の切れ味勝負になった)こともあり、ゴールドシップには極限まで厳しい条件がってしまう。

さほど大きな変化もないまま向正面を過ぎようかというそ間、中山競馬場に大歓が上がった。テレビ観戦したファンの諸氏もそうだったに違いない。内田博幸の仕掛けに応えるように、ゴールドシップが外一気にマクり、3、4で3番手にまで進出したのだ。勝利した3年前にも勝るほどの強競馬。後方のが来る様子もなく、見ていたもが有終の美を確信した。

しかし、そこから内田の手綱が唸るが、ゴルシは動かない。いや、動けない。やる気がないときは呆れるほど頭が高かった彼が懸命に首を振り、前に行こうとしているのに、それ以上進めない。直線に入り、内から4歳サウンズオブアースがスッと抜け出した間、観客たちは全てを悟った。

「ああ、彼は燃え尽きてしまったのだ」と。

最後は力尽くように群に飲まれ、8着。かつてのオグリキャップのような復活劇は果たせなかった。しかし、最後まで己を貫き、ファンを見せた走は、正しく彼の集大成であり、ラストランにふさわしいものだった。ゴールドアクターが勝った間より、彼がマクっていった数メートルの方が、スタンドの歓はるかに大きかった。それこそ、ゴールドシップが最後に見せたの大きさであったと思うのである。

勝ったゴールドアクターは、奇しくも同じ「ゴールド」の名を持つ。ゴルシと同様小さな牧場の生まれで、日本で古くから続く牝系と言う共通項もある。ある意味では、ゴールドシップからゴールドアクターが引き継がれたのかもしれない。

同日の最終レース後に行われた引退式でも、内田ながらのスピーチの最中に盛大にいななき、口取り写真の人垣から後ずさって横山と須師を呆れさせるなど、最後まで自由奔放なままゴールドシップはターフを去っていった。しかし、苦楽を共にした今浪厩務員に引かれて最後のターフを歩く彼のがどこか悲しげに映ったのは気のせいだろうか。横山引退式で一番の思い出宝塚ゲート(=120億円事件)を挙げて怒号ではなく大笑いが起きたことからも分かるように、良くも悪くも、見る者すべての心を動かす憎めないエンターイナーだった…それこそ、ゴールドシップの人気の理由だったのだろう。[5]

競走引退後

引退後は予定通りビッグレッドファームにて種牡馬入り。種牡馬としては、気性の難しさ等の懸念材料も多く、種付け数は毎年100頭前後と、GIを6勝した実績にしては少なめだった。それでも、現役時代の彼の雄姿(&事)に魅せられたファンは非常に多く、もが産駒がターフを駆けるその日を今か今かと待ちわびていた。

2019年6月、いよいよ産駒デビュー7月には、産駒随一の期待サトノゴールド新馬戦にて産駒勝利を飾り、素質ブラックホールも安定した差し足で未勝利戦を順当に勝ち上がる。

そして8月31日、かつてゴールドシップが2着に敗れたGIII札幌2歳ステークスにこの2頭が出走。これが産駒重賞初出走であったが、ここをブラックホールが4外から鋭く伸びて快勝。ゲートで大きく出遅れたサトノゴールドも、を彷彿とさせる快な捲りで2着に入り、ゴルシ産駒ワンツーフィニッシュで産駒重賞初制覇をやってのけたのだった。産駒デビューから、わずか3ヶの出来事である。

その後しばらく重賞を勝てるは出なかったが、2021年オークス敗の白毛ソダシが注される中、父親の豊かなスタミナを受け継いだユーバーレーベンが外から大きく伸びてゴールドシップ産駒初のGI勝利を、しかもクラシックでの勝利を挙げた。

産駒成績の傾向は手な活躍をするこそ少ないものの、産駒デビュー3年2021年アーニングインデックス(産駒収得賞金)が1.07、翌2022年10月末時点で0.99という数字で、レベルの成績をマークしている。入着を拾いコツコツと賞金を貯めるタイプ、良く言えば馬主孝行で悪く言えば勝ちきれない産駒較的立つところではあり、また1年先輩ステゴ産駒オルフェーヴルと同様に活躍が多いフィリ―サイアーの傾向があるが、いつか父親に並ぶ後継産駒が誕生するときを楽しみにしたいところである。2025年にはメイショウタバル宝塚記念を制したが、2200mを逃げ切るというゴールドシップにまったく似つかない競馬であった。

ステイゴールドが歩んだ黄金の旅路、それを継いだゴールドシップが進んだ黄金の航路。ゴールドシップの大航は、まだまだ終わらない。今後も息子たちやたち、さらにはまだ見ぬ子孫たちが、彼の物語手にってくれることだろう。

オルフェーヴルとの対比

同じステマ配合から生まれた三冠馬オルフェーヴル較すると、面いほどありとあらゆる面が対極になっている。

オルフェーヴル ゴールドシップ
気性 常に前に行きたがり、
いつ暴走するか分からない。
気性難。暴君タイプ
掛かる事はなく、
逆に押しても前に行かない。
気分屋タイプ
脚質 まじくキレる脚が特徴。
抜け出す際のスピードは桁違い。
の加速力はいが、
加速が乗り出すと止まらない。
スタミナ豊富
出身 言わずと知れた社台グループ 日高の中小牧場の生産。
馬主 数々のGIを送り出す
社台系一口馬主クラブ
サンデーレーシング
25年も馬主を続ける北海道の名士。
しかしゴールドシップが初GI[6]
産駒 基本的に晩成寄り。
芝もダートも行ける。
仕上がりめ。
ダートはあまり得意ではない。

お分かり頂けただろうか。同じステマ配合なのにこれである。ステマ配合の深さを感じざるを得ない。オルフェが大叔父サッカーボーイ再来とすれば、ゴルシは祖父メジロマックイーン再来と言えるだろう。同じ芦毛ヒシミラクルの方がそっくり…というかヒシミラクルサッカーボーイ産駒だし、似る可性はなくもない。と言う事はゴルシはヒシミラクル生まれ変わり(ry

レースぶりも祖父マック同様、尽蔵のスタミナに物を言わせたロングスパートを身上とする。実際、菊花賞では向こう正面からミスターシービーロングスパートで全をねじせるという離れ業をやってのけた。

もっとも2013年2014年宝塚記念を見るに、脚質は先行の方が良いようにも見える。見た同様、本格的にマックのようなレース運びをするようになっていたようだ。というより、そうしないとGIでは勝てなくなっていたという感じである。 ……などと言っていたら、2015年阪神大賞典天皇賞(春)では途中まで後方→向正面でとにかく前に押し出しポジションを取りつつ加速→あとはスタミナに任せて押し切る、という菊花賞どころではないゴリ押し戦法で勝ってしまった。どうやらこのスタミナにものを言わせればあとは何でもよかったらしい。しかしこの戦法、より先に騎手がへばりそうである。どこまで行っても問題児だ……。

ゴルシ伝説

さらには、現役競走馬引退種牡馬となった後も、

など、現在進行系で話題に事欠かない。

関係者の言によると「ゴールドシップは頭が非常に良く、繊細な性格のである」とのことであり、これら数々の奇行や、気分屋な行動賢さと繊細さの裏返しだったのではないか、と言われている。人間でも繊細な性格の人であれば邪魔が入ったりしたときにイラッと来たり、自分だけが物事に対する理解や状況判断が出来ていて、周囲の人たちが全く出来ていないと馬鹿馬鹿しくなってやる気くしてしまったり、といった覚えは少なからずあるであろう。彼もこれらと同じ、または似たような気持ちを感じたときに、暴れたり言うことを聞かなくなったりしていたのではないだろうか。即ち、彼の数々の奇行や気性難エピソードムラのある競走成績の数々は、"ゴールドシップ"というが単なる暴れではなく、非常に繊細で頭の良いである左だったかもしれないのである。

血統表

ゴールドシップの五代血統表
サンデーサイレンス系
クロスNorthern Dancer 5×5(6.25)、Princely Gift 5×5(6.25)
輸入基礎星旗/Fairy Maiden()~
ステイゴールド
1994 黒鹿毛
北海道白老町
*サンデーサイレンス
Sunday Silence

1986 青鹿毛
アメリカ
Halo
1969 黒鹿毛
アメリカ
Hail to Reason
1958 黒鹿毛
Turn-to
Nothirdchance
Cosmah
1953 鹿毛
Cosmic Bomb
Almahmoud
Wishing Well
1975 鹿毛
アメリカ
Understanding
1963 栗毛
Promised Land
Pretty Ways
Mountain Flower
1964 鹿毛
Montparnasse
Edelweiss
ゴールデンサッシュ
1988 栗毛
北海道白老町
*ディクタス
Dictus
1967 栗毛
フランス
Sanctus
1960 鹿毛
Fine Top
Sanelta
Dronic
1960 栗毛
Worden
Dulzetta
ダイナサッシュ
1979 鹿毛
日本
*ノーザンテースト
1971 栗毛
NorthernDancer
Lady Victoria
*ロイヤルサッシュ
1966 鹿毛
Princely Gift
Sash of Honour
ポイントフラッグ
1998 芦毛
北海道門別町
FNo.16-h
メジロマックイーン
1987 芦毛
北海道浦河町
メジロティターン
1978 芦毛
日本
メジロアサマ
1966 芦毛
*パーソロン
*スート
*シェリル
1971 鹿毛
*スノツブ
Chanel
メジロオーロラ
1978 栗毛
日本
*リマンド
1965 栗毛
Alcide
Admonish
メジロアイリス
1964 黒鹿毛
*ヒンドスタン
アサマユ
パストラリズム
1987 黒鹿毛
北海道静内町
*プルラリズム
Pluralisme
1980 鹿毛
アメリカ
The Minstrel
1974 栗毛
Northern Dancer
Fleur
Cambretta
1975 黒鹿毛
Roberto
Cambrienne
トクエイティー
1978 黒鹿毛
北海道門別町
*トライバルチーフ
1967 黒鹿毛
Princely Gift
Mwanza
アイアンルビー
1972 青毛
*ラークスパ
競走馬の5代血統表

主な産駒成績

2017年産

2018年産

2020年産

2021年産

関連動画

3歳: 白い戦艦、激走

4~5歳: 阪神漫遊録

6歳: スタミナの鬼


120億円事件

ラストラン

俺らの知らないゴルシと知ってるゴルシ

引退後

関連静画

関連リンク

関連項目

脚注

  1. *2014年天皇賞(春)ゲート内で暴れたことによる首の右側付近から肩にかけての筋肉痛と、2015年阪神大賞典で自身の脚がぶつかり合ったことによる右前脚の蹄球炎程度。どちらも次走までに治し、その次走で勝利を収めている。
  2. *現役15戦中7戦に騎乗しており、一の勝ちである新馬戦での勝利騎手だった。ちなみにポイントフラッグを管理した須三師は須尚介師の父親である。
  3. *ストームキャットロイヤルアカデミーのいる良血であり、朝日杯FSを制したサトノアレスの全
  4. *菊花賞では京都競馬場外回りコースが使われるのだが、外回りにおける"の坂"の登りは4mの高低差を400mで登り切るという競馬場としてはかなり急な坂であり、直後にわずか100mでその高さを一気に下る下りが控えていることもあって、ここを越える際にはスタミナ消費を抑えるためにペースも抑え気味で進むのが定石とされている。ましてや、ただでさえ尋常ではないスタミナ消費が起きるここでスパートをかけ始めるなど、たとえGIステイヤーであろうともスタミナ切れを起こしてしまう可性が高いため、避けた方が良いとされているのである。……そう、尽蔵の化け物スタミナを持ったを除いては。
  5. *とは言っても、担当の松井装蹄士が「まだ衰えていない。むしろ磨きがかかっている」というコメントを残してる辺り全盛期が終わっていたかには疑問が残る。ステイゴールドが7歳で全盛期を終えないまま引退してるし。そもそも最終直線が短く、息を入れるタイミング中山の坂でスパートをかけるあの戦術自体、本来最下位になってもおかしくない常識外れの走りなのである。
  6. *ちなみにゴールドシップの祖母パストラリズムが氏の初の所有馬である。
  7. *具体例として、滞在先のホテルから家具を放り投げたレッド・ツェッペリンとか、悉く部屋を破壊するため有名所のホテルを全て出禁になったザ・フーキースムーン等を列挙している。
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